3.11 「管理サービス」でのワークスペースの作成

ユーザーはワークスペースという作業用の共有領域にサインインして、Oracle APEXにアクセスします。管理者は、「管理サービス」での手動ワークスペース作成や、ユーザーがログイン・ページでリンクをクリックする自動化された手法の利用が可能です。

3.11.1 ワークスペースについて

ワークスペースでは、オブジェクト、データおよびアプリケーションをプライベートに保持しながら、同一のAPEXのインストール内で複数のユーザーが作業できます。各ワークスペースには、一意の数値IDおよび名前が含まれます。

ワークスペースに変更を加えるためには、ワークスペース管理者がサービスまたは変更リクエストをインスタンス管理者に送信する必要があります。変更リクエストの承認または新しいワークスペースの割当てを行うことができるのはインスタンス管理者のみです。

3.11.2 ワークスペースの作成方法の指定の概要

インスタンス管理者は、特定のAPEXインスタンスでのワークスペースのプロビジョニング(または作成)プロセスの動作方法を決定できます。

どのようにプロビジョニングを行うかを決定するために、インスタンス管理者は、「インスタンスの設定」ページでプロビジョニング方法を選択します。

  • 手動 - インスタンス管理者が新しいワークスペースを作成し、サインイン資格証明についてワークスペース管理者に通知します。
  • リクエスト - ユーザーがワークスペースをリクエストします。管理者がそのリクエストを承認すると、ユーザーは電子メール検証リンクを含む電子メールを受信します。ユーザーが電子メール検証リンクをクリックすると、ワークスペースが作成されます。
  • 自動 - リクエストは管理者による確認を必要をせず自動的に承認されるという点を除き、「リクエスト」と同じです。

ノート:

ユーザーに「サインイン」ページ内のリンクの使用によるワークスペースのリクエストを可能にするには、インスタンス管理者は、プロビジョニング方法として「リクエスト」または「自動」を選択し、電子メールを構成する必要があります。「プロビジョニング方法」が「手動」に設定されている場合は、「サインイン」ページにリンクは表示されません。

リクエストおよび自動プロビジョニングについて

ワークスペースでプロビジョニング方法として「リクエスト」または「自動」を使用している場合は、次のイベントが発生します。

  1. ユーザーが、電子メール検証リンクを含む電子メールを受信します。
  2. ユーザーが検証リンクをクリックすると、ワークスペースが作成されます。
  3. ユーザーがもう1つ電子メールを受信します。それには、サインイン資格証明(つまり、ワークスペース名、ユーザー名およびパスワード)が含まれています。
  4. ワークスペース・リクエストのステータスがAcceptedからApprovedに変更されます。

3.11.3 ワークスペース・プロビジョニング・モードの選択

インスタンス管理者は、プロビジョニング方法を選択して、どのようにワークスペース・プロビジョニングを行うかを決定します。

ノート:

開発環境のセキュリティとパフォーマンスを確保するために、この機能は、Oracle Cloudで実行されているOracle APEXインスタンスでは使用できません。

プロビジョニング方法を選択するには:

  1. Oracle APEX管理サービスにサインインします。
  2. 「インスタンスの管理」をクリックします。
  3. 「インスタンスの設定」で、「インスタンスの設定」をクリックします。
  4. 「ワークスペース作成」で、プロビジョニング方法を選択します。
    • 手動 - インスタンス管理者が新しいワークスペースを作成し、サインイン資格証明についてワークスペース管理者に通知します。
    • リクエスト - ユーザーがワークスペースをリクエストします。管理者がそのリクエストを承認すると、ユーザーは電子メール検証リンクを含む電子メールを受信します。ユーザーが電子メール検証リンクをクリックすると、ワークスペースが作成されます。
    • 自動 - リクエストは管理者による確認を必要をせず自動的に承認されるという点を除き、「リクエスト」と同じです。

    ノート:

    ユーザーに「サインイン」ページ内のリンクの使用によるワークスペースのリクエストを可能にするには、インスタンス管理者は、プロビジョニング方法として「リクエスト」または「自動」を選択し、電子メールを構成する必要があります。「プロビジョニング方法」が「手動」に設定されている場合は、「サインイン」ページにリンクは表示されません。

  5. 検証コードが必要 - リクエスト処理時に検証コードを表示して必要とするかどうかを決定します。「はい」または「いいえ」を選択します。
  6. 通知の電子メール・アドレス - 新しいワークスペースリクエストとワークスペース変更リクエストについて、通知の電子メール・メッセージを受信する電子メール・アドレスを入力します。指定しない場合、ワークスペースリクエストを通知する電子メール・メッセージは送信されません。
  7. 「変更の適用」をクリックします。

ヒント:

「自動」を選択した場合は、ワークスペースのプロビジョニングを無効にし、ユーザーにメッセージを送信できます。電子メール・プロビジョニングの無効化を参照してください。

3.11.4 Oracle-Managed Filesがワークスペース割当てに及ぼす影響

インスタンス管理者が新しいスキーマを使用してワークスペースを新規に作成する場合、新しい表領域およびデータ・ファイルがそのスキーマに作成されます。Oracle-Managed Filesが有効な場合、新しい表領域のデータ・ファイルを管理します。

Oracle Managed Filesを使用すると、Oracle Databaseの管理が簡単になり、データベースを構成するオペレーティング・システム・ファイルをデータベース管理者(DBA)が直接管理する必要がなくなります。DBAは、Oracle Managed Filesを使用して、ファイル名ではなくデータベース・オブジェクトごとに操作を指定します。新しい表領域のデータファイルには、Oracle Managed Filesの表記規則に従って名前が付けられます。また、それらのファイルの配置は、データベース初期化パラメータDB_CREATE_FILE_DESTによって決定されます。

Oracle Managed Filesを有効にしていない場合は、APEXがインストールされた表領域の最初のデータファイルと同じディレクトリにデータ・ファイルが作成されます。

参照:

Oracle Database管理者ガイドOracle Managed Filesの使用

3.11.5 ワークスペースの手動作成

インスタンス管理者は、完全開発環境またはランタイム環境のいずれかで手動でワークスペースをプロビジョニングできます。

3.11.5.1 完全開発環境でのワークスペースの手動作成

インスタンス管理者はワークスペースの作成ウィザードを実行して、完全開発環境でワークスペースを手動で作成できます。

ノート:

このトピックは、Oracle Cloudで実行されているOracle APEXインスタンスには適用されません。Oracle Cloudサービスのドキュメントを参照してください。

ワークスペースを手動で作成するには:

  1. 管理サービスにサインインします。
  2. 「ワークスペースの管理」をクリックします。
  3. 「ワークスペース・アクション」で、「ワークスペースの作成」をクリックします。
    ワークスペースの作成ウィザードが表示されます。
  4. 「ワークスペースの指定」で、次のステップを実行します。
    1. ワークスペース名 - 一意のワークスペース名を入力します。
    2. 「ワークスペースID」 - 新しいワークスペースIDを自動的に生成させるために、「ワークスペースID」は空白のままにしておきます。ワークスペースIDは、100000より大きい正の整数にする必要があります。
    3. ワークスペースの説明 - ワークスペースの説明を入力します。
    4. 「次」をクリックします。
  5. 「スキーマの指定」で、既存のスキーマを再利用するか、新しく作成するかを指定します。

    既存のスキーマを使用する場合

    1. 「既存のスキーマを再利用」 - 「はい」を選択します。

    2. 「スキーマ名」 - リストからスキーマを選択します。

    3. スキーマの情報レポートの情報を調べます。レポートに「推奨される追加権限」が表示される場合、アプリケーションの解析対象スキーマとして使用した場合の権限エラーを回避するために、これらの権限をスキーマに付与することを検討してください。

    4. 「次」をクリックします。

    新しいスキーマを作成する場合

    1. 「既存のスキーマを再利用」- 「いいえ」を選択します。

    2. 「スキーマ名」 - リストからスキーマを選択します。

    3. スキーマ・パスワード - パスワードを入力します。

    4. 領域割当て制限(MB) - 新しいスキーマを作成する場合、そのスキーマに関連付ける表領域の最大サイズを選択します。この制限は、後から調整できます。

    5. 「次」をクリックします。

  6. 「管理者の指定」で、ワークスペース管理者の情報を入力して、「次へ」をクリックします。
  7. 選択内容を確認して、「ワークスペースの作成」をクリックします。

3.11.5.2 ランタイム環境でのワークスペースの手動作成

インスタンス管理者はSQL*Plusを起動し、次のSQL文を実行して、ランタイム環境でワークスペースを手動で作成できます。

ノート:

開発環境のセキュリティとパフォーマンスを確保するために、この機能は、Oracle Cloudで実行されているOracle APEXインスタンスでは使用できません。

ランタイム環境にワークスペースを追加するには:

  1. SQL*Plusを起動して、SYSとしてOracle APEXがインストールされているデータベースに接続します。たとえば:
    • Windowsの場合:

      SYSTEM_DRIVE:\ sqlplus /nolog
      SQL> CONNECT SYS as SYSDBA
      Enter password: SYS_password
      
    • UNIXおよびLinuxの場合:

      $ sqlplus /nolog
      SQL> CONNECT SYS as SYSDBA
      Enter password: SYS_password
      
  2. 次の文を実行します。
    ALTER SESSION SET CURRENT_SCHEMA = APEX_220200
    
  3. 次の例に、ADD_WORKSPACEプロシージャを使用して、HRおよびOE用の追加のスキーマ・マッピングとともにSCOTTというプライマリ・スキーマを使用するMY_WORKSPACEという新しいワークスペースを追加する方法を示します。
    BEGIN
        APEX_INSTANCE_ADMIN.ADD_WORKSPACE (
            p_workspace_id => 8675309,
            p_workspace => 'MY_WORKSPACE',
            p_primary_schema => 'SCOTT',
            p_additional_schemas => 'HR:OE' );
    END;
    

参照:

Oracle APEX APIリファレンスADD_WORKSPACEプロシージャ

3.11.6 複数のワークスペースの作成

複数のワークスペースの作成ウィザードを実行して、複数のワークスペースをプロビジョニングします

ノート:

開発環境のセキュリティとパフォーマンスを確保するために、この機能は、Oracle Cloudで実行されているOracle APEXインスタンスでは使用できません。

複数のワークスペースを作成するには:

  1. 管理サービスにサインインします。
  2. 「ワークスペースの管理」をクリックします。
  3. 「ワークスペース・アクション」で、「複数のワークスペースの作成」をクリックします。

    「複数のワークスペースの作成」ウィザードが表示されます。

  4. ワークスペースのプロビジョニングで使用で、次のいずれかを選択します。
    • システム生成のワークスペース名

    • 固定の接頭辞と整数連番の接尾辞が付いたワークスペース名

    • ワークスペース名として電子メール・ドメイン名を使用し、重複に対しては整数連番の接尾辞を指定

    次に何が表示されるかは、選択したオプションによって異なります。

    ヒント:

    特定のフィールドについてさらに学習するには、フィールドレベル・ヘルプを参照してください。

  5. 「システム生成のワークスペース名」を選択した場合、次を指定します。
    1. ワークスペース数 - 作成するワークスペースの合計数を入力します。
    2. サンプルのEMP表とDEPT表のインストール - サンプルのEMP表とDEPT表を各ワークスペースにインストールするかどうかを決定します。
    3. 領域割当て制限(MB) - 新しいスキーマを作成する場合、そのスキーマに関連付ける表領域の最大サイズを選択します。この制限は、後から調整できます。
    4. リソース・マネージャ・コンシューマ・グループ - このワークスペースに関連付けられたすべてのページ・イベントで使用される、データベース・リソース・マネージャのコンシューマ・グループを指定します。さらに学習するには、フィールドレベル・ヘルプを参照してください。
    5. ワークスペースの自動パージを許可- そのワークスペースが未使用ワークスペースの自動消去の候補であるかどうかを決定します。
    6. ワークスペースの説明 - オプションでワークスペースのコメントまたは説明を入力します。
  6. 「固定の接頭辞と整数連番の接尾辞が付いたワークスペース名」を選択した場合、次を指定します。
    1. ワークスペース接頭辞 - ワークスペース名の生成時に使用する接頭辞を入力します。たとえば、DBという接頭辞を指定した場合、生成されるワークスペース名はDB_001、DB_002、DB_003のようになります。
    2. ワークスペース数 - 作成するワークスペースの合計数を入力します。
    3. サンプルのEMP表とDEPT表のインストール - サンプルのEMP表とDEPT表を各ワークスペースにインストールするかどうかを決定します。
    4. 領域割当て制限(MB) - 新しいスキーマを作成する場合、そのスキーマに関連付ける表領域の最大サイズを選択します。この制限は、後から調整できます。
    5. リソース・マネージャ・コンシューマ・グループ - このワークスペースに関連付けられたすべてのページ・イベントで使用される、データベース・リソース・マネージャのコンシューマ・グループを指定します。さらに学習するには、フィールドレベル・ヘルプを参照してください。
    6. ワークスペースの自動パージを許可- そのワークスペースが未使用ワークスペースの自動消去の候補であるかどうかを決定します。
    7. ワークスペースの説明 - オプションでワークスペースのコメントまたは説明を入力します。
  7. 「ワークスペース名として電子メール・ドメイン名を使用し、重複に対しては整数連番の接尾辞を指定」を選択した場合、次を指定します。
    1. サンプルのEMP表とDEPT表のインストール - サンプルのEMP表とDEPT表を各ワークスペースにインストールするかどうかを決定します。
    2. 領域割当て制限(MB) - 新しいスキーマを作成する場合、そのスキーマに関連付ける表領域の最大サイズを選択します。この制限は、後から調整できます。
    3. リソース・マネージャ・コンシューマ・グループ - このワークスペースに関連付けられたすべてのページ・イベントで使用される、データベース・リソース・マネージャのコンシューマ・グループを指定します。さらに学習するには、フィールドレベル・ヘルプを参照してください。
    4. ワークスペースの自動パージを許可- そのワークスペースが未使用ワークスペースの自動消去の候補であるかどうかを決定します。
    5. 電子メール・アドレス(電子メール・アドレスを含むテキストがあればカット・アンド・ペースト)
    6. ワークスペースの説明 - オプションでワークスペースのコメントまたは説明を入力します。
  8. 「次」をクリックします。
  9. 選択した項目を確認して、「ワークスペースのプロビジョニング」をクリックします。