1.2 ゲートウェイの特長
Oracle Database Gateway for DRDAを使用すると、異機種システムを単一のシームレスな環境に統合できます。
データをDRDAデータベースからOracleデータベースに移動する場合でも、アプリケーションの設計や機能を変更する必要はありません。 ゲートウェイは、アプリケーションとデータベース間のデータ型およびSQL機能に関するすべての違いを解決します。 その結果、エンド・ユーザーおよびアプリケーション・プログラマは、データの物理的なロケーションまたはストレージ特性を認識する必要はありません。
この透明性により、異種データをシームレスに統合できるだけでなく、ゲートウェイの実装、アプリケーション開発、メンテナンスも簡素化できます。 これらのトピックでは、ゲートウェイ機能について説明します:
- 「すべてのレベルの透明性」
Oracle Database Gateway for DRDAは、透過性を提供します。 - 「拡張データベース・サービス」
このトピックでは、ゲートウェイを介して使用可能なOracleデータベース・サービスについて説明します。 - 「拡張された高度なネットワーク、インターネットおよびイントラネットのサポート」
Oracleデータベースとのゲートウェイ統合は、Oracle InternetおよびOracle Netソフトウェアの利点をOracle以外のデータに拡張し、Oracleクライアント/サーバーおよびサーバー/サーバー接続ソフトウェアの利点を拡張します。 - 「動的ディクショナリ・マッピング」
このトピックでは、動的ディクショナリ・マッピングについて説明します。 - SQL
Oracle Database Gatewayは、統一されたSQLセットを使用して任意のデータにアクセスできるようにすることで、アプリケーションの開発とメンテナンスを容易にします。 - 「データ定義言語」
Oracle Applicationsは、ネイティブ・データ定義言語(DDL)文を使用して、ターゲット・データ・ストアに表を作成できます。 - 「データ・コントロール言語」
Oracle環境からネイティブ・データ・コントロール言語(DCL)文を発行して、異種データ・ストアのユーザー権限とアクセス・レベルを一元管理できます。 - 「パススルーおよびネイティブDB2 SQL」
ネイティブのDB2 SQLの実行は、ゲートウェイを介して渡され、DB2に対して直接実行できます。 - 「ストアド・プロシージャ」
ゲートウェイを使用すると、分散型のマルチデータベース環境への投資を活用して、OracleおよびOracle以外のストアド・プロシージャの両方を利用できます。 - 「言語」
Oracleデータベースをサポートするアプリケーションまたはツールは、Oracle Gatewayを通じて30を超える様々なデータ・ソースにアクセスできます。 - 「Oracle Databaseテクノロジおよびツール」
ゲートウェイはOracleデータベース・テクノロジに統合されており、グローバル問合せの最適化、マルチ・サイト・トランザクションのトランザクション調整、およびすべてのOracle Net構成のサポートを提供します。 - SQL*Plus
SQL*Plusを使用して、データベース間でデータを移動できます。 - 「2フェーズ・コミットおよび複数サイト・トランザクション」
ゲートウェイは、マルチ・サイト・トランザクションおよび2フェーズ・コミットでパートナとして参加できます。 - 「サイト自律性」
ゲートウェイ、供給サイトの自律性を含むすべてのOracleデータベース製品。 - 「移行と共存」
ゲートウェイを介したデータ・ソースの統合では、データ・ソースのアプリケーションに変更を加える必要はありません。 その結果、Oracle Databaseテクノロジが無理に適用されることなく、共存および簡単な移行パスが提供されます。 - 「セキュリティ」
ゲートウェイは、既存のセキュリティ・メカニズムをバイパスしません。 ゲートウェイ・セキュリティは、データソースの運用環境で使用されているセキュリティ・メカニズムと共存します。 - 「DRDA UDBサーバー暗号化のサポート」
Oracle Database Gateway for DRDAは、完全なUDBサーバー暗号化サポートを提供します。
1.2.1 すべてのレベルでの透過性
Oracle Database Gateway for DRDAは、透過性を提供します。
たとえば:
- 場所
ユーザーは名前で表にアクセスでき、表の物理的なロケーションを知る必要はありません。
- ネットワーク
ゲートウェイは、Oracle Netテクノロジを利用して、ユーザーがネットワーク・アーキテクチャを考慮せずに複数のネットワークのデータにアクセスできるようにします。 TCP/IPプロトコルがサポートされます。 このリリースでは、Oracleデータベースとゲートウェイ間、およびゲートウェイとDB2サーバー間のIPV4およびIPV6もサポートされます。
- オペレーティング・システム
ユーザーは、データを保持しているオペレーティング・システムを認識せずに、複数のオペレーティング・システムに格納されているデータにアクセスできます。
- データ記憶域
ゲートウェイを使用すると、データベースやファイル形式に関係なくデータにアクセスできます。
- アクセス方法
すべてのデータ・ストアに対して単一のSQL言語を使用できるため、データベース固有のアクセス方法またはSQL実装に対応するコーディングを行う必要がありません。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.2 拡張データベース・サービス
このトピックでは、ゲートウェイを介して使用可能なOracleデータベース・サービスについて説明します。
たとえば:
- SQL関数
アプリケーションは、Oracle SQLを使用してすべてのデータにアクセスできます。 ゲートウェイがOracleデータベースと統合されるメソッドにより、各データベース・リリースの最新機能が常にゲートウェイからすぐに利用できるようになります。
- 分散機能
JOIN
やUNION
などのOracle分散機能は、特別なプログラミングやマッピングなしでOracle以外のデータに対して適用できるため、異機種間データをシームレスに統合できます。 - 分散問合せの最適化
Oracleデータベースでは、高度な問合せ最適化手法を使用して、任意のデータに対してSQL文を効率的に実行できます。 ローカル・データとリモート・データのデータ分散および記憶域特性は、区別されることなく処理されます。
- 2フェーズ・コミットの保護
Oracleデータベースの2フェーズ・コミット・メカニズムは、データ・ストアにまたがるトランザクションが1つの作業単位として引き続き処理されるようにすることで、データ・ストア間で一貫性を提供します。 影響を受けるすべてのデータ・ストアで変更がコミットされないかぎり、その変更はどのデータ・ストアでもコミット(または永続的に格納)されません。
- ストアド・プロシージャおよびデータベース・トリガー
同じOracleストアド・プロシージャおよびデータベース・トリガーをすべてのデータへのアクセスに使用できるため、エンタープライズ全体に統一的なビジネス・ルールを適用できます。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.3 拡張された高度なネットワーキング、インターネットおよびイントラネットのサポート
Oracleデータベースとのゲートウェイ統合は、Oracle InternetおよびOracle Netソフトウェアの利点をOracle以外のデータに拡張し、Oracleクライアント/サーバーおよびサーバー/サーバー接続ソフトウェアの利点を拡張します。
次の機能が含まれます。
- アプリケーション・サーバーのサポート
Oracleデータベース内のデータにアクセスできるインターネット・アプリケーションまたはイントラネット・アプリケーションも、ゲートウェイを介してアクセス可能なデータ・ストアからの情報を組み込むことができます。 Webブラウザは、Oracleソフトウェアをサポートする任意のアプリケーション・サーバー製品を使用してOracle Databaseに接続できます。
- 暗黙的なプロトコル変換
OracleおよびOracle Netは、連携してプロトコル・コンバータとして機能するため、アプリケーションではクライアントのネットワーク・プロトコルをサポートしないプラットフォーム上の他のデータ・ストアに透過的にアクセスできます。 Oracleデータベースでは、TCP/IPを使用してゲートウェイおよび別のデータ・ストアと通信できます。
- 高度なセキュリティ
Oracle以外のデータは、クライアントへの転送中における権限のないアクセスや改ざんから保護されます。 これを行うには、Advanced Securityのハードウェア独立およびプロトコル独立の暗号化およびチェックサム・サービスを使用します。
- ワイヤレス通信
オラクル社の業界最高クラスのモバイル・テクノロジであるOracle Mobile Agentにより、Oracle Databaseとのワイヤレス通信またはゲートウェイを通じてアクセス可能な任意のデータベースとのワイヤレス通信が可能になります。 これにより、現場の担当者は、モバイル・ラップトップ・コンピュータからエンタープライズ・データに直接アクセスできます。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.4 動的ディクショナリ・マッピング
このトピックでは、動的ディクショナリ・マッピングについて説明します。
ゲートウェイの簡易設定では、追加のマッピングは必要ありません。 アプリケーションは、なんらかの情報にアクセスする前に、データの構造(表の列やその長さなど)を指示される必要があります。 多くの製品では、管理者が、ハブに格納された個別のデータ・ディクショナリにそれらの情報を手動で定義する必要があります。 その後、アプリケーションは、各データベースに固有のディクショナリではなく、ハブのディクショナリを使用して情報にアクセスします。 このアプローチでは、管理者による多くの手動構成およびメンテナンス作業が必要です。 リモート表の構造が変更された場合、管理者はすぐにハブのデータ・ディクショナリを更新する必要があります。
Oracle Database Gateway for DRDAでは、効率の悪い重複作業は不要です。 ゲートウェイでは、各データベースに固有の既存のディクショナリを使用します。 アプリケーションは、各データベース専用に設計されたディクショナリを使用してデータにアクセスするため、冗長なディクショナリを作成または管理する必要はありません。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.5 SQL
Oracle Database Gatewayにより、SQLの統一されたセットを使用して任意のデータにアクセスできるため、アプリケーションの開発およびメンテナンスが簡単になります。
場所、記憶域特性、または表の構造に変化があっても、アプリケーションを変更する必要はありません。 ANSIおよびISO標準のSQLがサポートされると同時に、Oracleの優れた拡張機能を使用できます。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.7 データ制御言語
Oracle環境からネイティブのデータ制御言語(DCL)文を発行することで、異機種データ・ストアのユーザー権限およびアクセス・レベルを集中管理できます。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.8 パススルーおよびネイティブDB2 SQL
ネイティブDB2 SQLの実行操作は、DB2に対して直接実行するためにゲートウェイを通じて渡すことができます。
これにより、アプリケーションは、DB2 CREATE TABLE
などの文をターゲットDB2システムで実行するためにゲートウェイに送信できます。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.9 ストアド・プロシージャ
ゲートウェイでは、OracleとOracle以外のストアド・プロシージャを両方とも使用できるため、企業の分散マルチデータベース環境に対する投資を最大限活用できます。
Oracleストアド・プロシージャは、異種データ・アクセス用の特別なコーディングを必要とせずに、複数のデータ・ストアに簡単にアクセスできます。
Oracleストアド・プロシージャ
Oracleストアド・プロシージャでは、Oracleデータベースに格納されている集中管理型のビジネス・ルールを使用して、DB2データへのアクセスと更新を行うことができます。 Oracleストアド・プロシージャを使用すると、ネットワーク通信量が最小化されるため、データベース・パフォーマンスが向上します。 アプリケーションは、ネットワークを介して個々のSQL文を送信するかわりに、単一のEXECUTE
コマンドを送信してPL/SQLルーチン全体を開始できます。
ネイティブのDB2ストアド・プロシージャ
ゲートウェイでは、標準のOracle PL/SQLを使用してDB2ストアド・プロシージャを実行できます。 Oracleアプリケーションは、DB2ストアド・プロシージャを、Oracleのリモート・プロシージャであるかのように実行します。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.10 言語
Oracleデータベースをサポートするアプリケーションまたはツールは、Oracle Gatewayを通じて30を超える様々なデータ・ソースにアクセスできます。
データが製品固有のレガシー形式で格納されていても、オラクル社およびサード・パーティ・ベンダーによる様々なオープン・システム・ツールを使用できます。 非定型の問合せツール、Webブラウザ、カスタマイズ不要のアプリケーション、アプリケーション開発ツールなど、何百ものツールがサポートされています。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.11 Oracle Databaseテクノロジおよびツール
ゲートウェイはOracleデータベース・テクノロジに統合されており、グローバル問合せの最適化、マルチ・サイト・トランザクションのトランザクション調整、およびすべてのOracle Net構成のサポートを提供します。
Oracle Databaseをサポートするツールおよびアプリケーションは、ゲートウェイを通じて異機種データにアクセスする際に使用できます。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.12 SQL*Plus
データベース間でデータを移動する場合、SQL*Plusを使用できます。
この製品により、部門データベースのデータを企業のOracle Databaseインスタンスにコピーできます。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.13 2フェーズ・コミットおよび複数サイト・トランザクション
ゲートウェイは、マルチ・サイト・トランザクションおよび2フェーズ・コミットでパートナとして参加できます。
この状況は、基礎となるデータ・ソースの機能によって異なります。つまり、ゲートウェイは次のいずれかとして実装できます:
- 完全な2フェーズ・コミット・パートナ
- コミット・ポイント・サイト
- 単一サイトの更新パートナ
- 読取り専用パートナ
ゲートウェイ実装の決定要因は、使用しているターゲット・データベースのロックおよびトランザクション処理機能です。
デフォルトでは、Oracle Database Gateway for DRDAはコミット・ポイント・サイト(コミット確認プロトコル)として構成されます。 ゲートウェイを通じて読取り専用機能を強制する場合は、オプションでゲートウェイを読取り専用として構成できます。 その他のプロトコルはサポートされません。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.14 サイト自律性
ゲートウェイを含むすべてのOracle Database製品では、サイト自律性が提供されます。
たとえば、データソースの管理は、引き続き元のシステム管理者が担当します。 また、サイト自律性は、データソースまたは運用環境によって確立されたセキュリティ対策をゲートウェイ製品が無効にすることのないように機能します。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.15 移行および共存
ゲートウェイを通じたデータソースの統合では、データソースのアプリケーションを変更する必要はありません。 その結果、Oracle Databaseテクノロジが無理に適用されることなく、共存および簡単な移行パスが提供されます。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.16 セキュリティ
ゲートウェイは、既存のセキュリティ・メカニズムをバイパスしません。 ゲートウェイ・セキュリティは、データソースの運用環境で使用されているセキュリティ・メカニズムと共存します。
機能的には、ゲートウェイ・セキュリティは、「Oracle Databaseセキュリティ・ガイド」で説明されているように、Oracleデータベースのセキュリティと同じです。 Oracle Databaseのセキュリティは、データソースのデータ・ディクショナリにマップされます。
親トピック: ゲートウェイ機能
1.2.17 DRDA UDBサーバー暗号化のサポート
Oracle Database Gateway for DRDAは、完全なUDBサーバー暗号化サポートを提供します。
親トピック: ゲートウェイ機能