Oracle ACFSの概要の理解

この項では、Oracle ACFSの主なコンポーネントの概要について説明します。内容は次のとおりです。

Oracle ACFSについて

Oracle ACFSは、すべてのカスタマ・ファイルをサポートする、スタンドアロン・サーバーおよびクラスタ全体の汎用ファイル・システムとして設計されています。ユーザーとアプリケーションは、ネイティブ・オペレーティング・システムのファイル・システム・アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)とコマンドライン・インタフェース(CLI)ツールを使用して、Oracle ACFSにアクセスし、管理できます。ユーザーは、Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント(ASMCA)を使用して、Oracle ACFSを管理することもできます。

Oracle ACFSは、64ビットのファイルおよびファイル・システムのデータ構造サイズで大型ファイルをサポートしているため、64ビット・プラットフォームではファイルおよびファイル・システム容量がエクサバイト対応になります。可変エクステントに基づく記憶域の割当ておよび高パフォーマンス・ディレクトリにより、高速パフォーマンスと、各クラスタ・メンバーからOracle ACFSファイル・データへのダイレクト・ストレージ・パスを提供する共有ディスク構成が実現します。ファイル・システムの整合性と高速リカバリは、Oracle ACFSメタデータ・チェックサムとジャーナルの使用により実現します。Oracle ACFSは、マルチノード共有ファイル・システム・モデルとして設計され、各クラスタ・メンバーからOracle ACFSファイル・データへの一貫性がありキャッシュに格納されるダイレクト・ストレージ・パスを提供します。

Oracle ACFSファイルシステムは通常、クラスタ全体のアクセス用に構成されます。ファイル・システム、ファイルおよびディレクトリは、すべてのクラスタ・メンバーから見えてアクセス可能であり、どのクラスタ・メンバーからも同じパス名を使用して、ユーザーやアプリケーションが参照できます。この設計により、クラスタ・メンバー全体にわたってアプリケーション・デプロイを簡略化でき、複数インスタンス・クラスタ・アプリケーションと、変更されていないスタンドアロン・サーバー・アプリケーションの高可用性(HA)フェイルオーバーの両方が容易になります。

Oracle ACFSでは、クラスタ構成全体に対して単一のシステム・ファイル・アクセス・セマンティクを提供します。すべてのクラスタ・メンバー上のアプリケーションとユーザーには、Oracle ACFSのクラスタ全体のユーザーおよびメタデータ・キャッシュの一貫性メカニズムによってサポートされる、Oracle ACFSの共有ファイル・データの同じビューが常に提供されます。

Oracle ACFSマウント・モデルとネームスペースについて

Oracle ACFSは、リーフにファイルを持つツリー構造のネームスペースに編成されたファイルとサブディレクトリを含む階層ファイル・システムとして設計されています。ネームスペースの設計は、スタンドアロン・サーバー構成とクラスタ構成のいずれでも、単一ファイルシステム・ネーミング・モデルです。この設計により各クラスタ・メンバーは、同じパス名を使用して共有ファイルをクラスタ・アプリケーションに提供でき、マルチノードのアプリケーションおよびユーザー・アクセスと、ファイル・システム全体の管理を簡略化できます。Oracle ACFSマウント・モデルは、ノード・ローカル・マウントと、追加のカスタマ要件に対処するためのクラスタ構成におけるクラスタ・ノード・サブセット・マウントにも対応します。

Oracle ACFSファイル・システムは、Oracle Grid Infrastructureの起動および停止時に適切に処理されていることを確認するためにOracle Clusterwareリソースを使用して管理されたOracle Clusterwareになることがベスト・プラクティスです。

mountコマンドを明示的に使用できます。ただし、リソースが作成されている場合、ファイル・システムがすでにマウントされている可能性があります。

Oracle ACFSおよびデータベースのデータファイルについて

ノート:

Oracle ACFSでのデータ・ファイルのベスト・プラクティスは、データ・ファイルを格納するOracle ACFSファイル・システムのクラスタワイド・リソースを使用することです。

データベース・インストールの完了後にデータ・ファイルを追加する場合、新しいOracle ACFSファイル・システムをリスト表示するようにデータベース依存性を変更する必要があります。これができない場合、アプリケーションの信頼性に関するエラーが発生します。依存性リストでファイル・システムを指定するには、SRVCTLデータベース・オブジェクト・コマンドを使用して、リソースが使用するOracle ACFSパスを変更します。

Oracle Grid Infrastructureクラスタ構成のOracle ACFSでは、Oracle Databaseリリース11.2.0.4以上のすべてのデータベース・ファイルがサポートされます。Oracle ACFSは、データベースとともに使用するように、特にデータベースのテストと開発にOracle ACFSスナップショットを活用するように構成できます。クラスタ構成でのデータベース・ファイルをサポートするには、Oracle ACFSファイル・システムを含むディスク・グループに対して、COMPATIBLE.ADVM属性を12.1以上に設定する必要があります。Oracle Restart構成で、すべてのデータベース・ファイルをサポートするには、COMPATIBLE.ADVM属性を12.2.0.1以上に設定する必要があります。

Oracle ACFSは、Oracle Restart (スタンドアロン)構成のOracleデータベース・ファイルには使用できません。

Oracle Exadata (Linux)でのデータベース・データファイルのサポートは、Oracle Grid 12cリリース1(12.1.0.2)から開始されます。ただし、Oracle ACFSには現在、データベース操作を直接ストレージにプッシュする機能はありません。

Oracle Grid Infrastructure 12.1.0.2のOracle ACFSではさらに、Oracle Exadata (Linux)ストレージでOracle Database 10gリリース2 (10.2.0.4および10.2.0.5)のすべてのデータベース・ファイルがサポートされます。Oracle ExadataストレージでサポートするOracle Database 10gリリース2 (10.2.0.4および10.2.0.5)のデータベース・ファイルは、次の条件を満たしている必要があります。

  • DBCAでOracle Databaseを作成する際、REMOTE_LISTENER初期化パラメータをyour_scan_vip:1521に設定する必要があります。それ以外の場合、DBCAは作成プロセスで失敗します。

  • データベース・インスタンス・リソースのすべての起動および停止依存性を変更して、Oracle Clusterwareの起動時にリソースが起動するようにします。

次のリストに、データベース・ファイルによるOracle ACFSの使用に関する重要な情報を示します。

  • Oracle ACFSのサポートには、Oracle ASMによってサポートされるすべてのファイル・タイプが含まれます。

  • Oracle ACFSにデータベース・データファイルを格納する場合、FILESYSTEMIO_OPTIONS初期化パラメータをsetallに設定する必要があります。他の設定はサポートされません。データベース・データファイルを使用して最適なパフォーマンスを実現するには、データファイルを保持するOracle ADVMボリュームを含むディスク・グループのASMおよびADVM互換性属性を12.1以上に設定します。12.1.0.2より前に作成されたボリュームでは、ストライプ列を1に設定するか、ストライプ列を8に設定してストライプ幅を1 MBに設定します。12.1.0.2以上の実行中に作成されたボリュームは、すでに高パフォーマンス構成(ストライプ列は8、ストライプ幅は1MB)にデフォルト設定されています。

  • スナップショットを使用して最適なデータベース・パフォーマンスを得るには、ADVM互換性属性を12.1以上に設定した後で、スナップショットを作成する必要があります。

  • 最適なパフォーマンスのために、Oracle ACFSで、データベースのブロック・サイズおよび表領域のブロック・サイズを4K以上にします。

  • Oracle Exadata使用時の最適なパフォーマンスのためには、4Kのメタデータ・ファイル・システムを使用します。

  • Oracle ACFSでは、ブロック・サイズが2Kのデータベースはサポートされていません。

  • データベース・ファイルが格納されているOracle ACFSファイル・システムを、DNFSクライアントからそれらのファイルにアクセスするためのNFSを経由してエクスポートしないでください。この構成はサポートされていません。

  • データファイルが自動的に拡張されるように構成されている場合、拡張操作が頻繁に発生しないように増分サイズは十分な大きさである必要があります。頻繁な自動拡張は、パフォーマンスに悪影響を及ぼします。

  • ベース・ファイル・システムとスナップショット間で記憶域を共有するため、スナップショットでワークロードを実行すると、ベース・ファイルで実行中のプライマリ・ワークロードのリソースが低減されます。プライマリ・ワークロードに影響を与えずにOracle ACFSスナップショットでテスト・シナリオを実行するには、ファイル・システムをコピーしてから、コピーしたファイル・システムで作成されたスナップショットで、ワークロードのテストを実行します。

  • Oracle ACFSでは、Oracle Databaseデータファイル、表領域ファイル、制御ファイル、REDOログ、アーカイブ・ログ、RMANバックアップ、データ・ポンプのダンプセットまたはフラッシュバック・ファイルの暗号化またはレプリケーションはサポートされません。Oracle ACFSでデータベース・データファイルを暗号化するには、Oracle Advanced Securityをお薦めします。Oracle Advanced Securityでは、表領域全体のデータファイルを暗号化する、透過的データ暗号化(TDE)が提供されます。Oracle Data GuardおよびOracle GoldenGateには、Oracle ACFS上のデータベース・ファイルに対する他のレプリケーション・オプションが用意されています。

  • スナップショットまたはファイル・システムのベースとストレージを共有するデータベースは、アクティブなオンライン・トランザクション処理(OLTP)のワークロード下で断片化されていく可能性があります。この断片化により、順次スキャンにおいてボリューム内のデータの場所が不連続になることがあります。断片化はacfsutil defrag dirおよびfileコマンドによってレポートされますが、acfsutil info fileコマンドを使用して表示することもできます。acfsutil defrag dirおよびfileコマンドでは、ファイルのオンデマンド・デフラグも有効になります。

  • データベース・ファイルがACFSスナップショットの内部にある場合、またはデータベース・ファイルがfshareである場合、RMANを使用してこれらのデータベース・ファイルを疎バックアップとしてバックアップできます。このようなデータベース・ファイルの疎バックアップを実行することを選択すると、スナップショットまたはfshareのソース内の対応するファイルから変更されたスナップショットまたはfshareのデータのみがコピーされます。スナップショットまたはfshareのソース内のファイルは、スナップショットまたはfshareの作成以降に変更されていない必要があります。バックアップするファイルは、ACFSスナップショットでもfshareのいずれでも構いませんが、両方は不可です。疎バックアップおよびリストアの詳細は、RMANのドキュメントを参照してください。

    ノート:

    Oracle ACFS NAS/MAXは、RMANバックアップ・セットのdNFSターゲットとしてサポートされます。このサポートは、Oracle ACFS 19cリリースから始まります。これにより、HA-NFS機能を使用して、RMANのスケーリングおよび高可用性dNFSバックアップ・ターゲットを提供できるようになります。このガイドに記載されているその他の制限(暗号化やレプリケーションにおけるサポートの不足など)は、引き続き有効です。

  • clonedb初期化パラメータをFALSE (デフォルト)に設定してACFSでPDBスナップショット・コピーを作成すると、ソースPDBが、ACFSスナップショットを使用してクローニングされます。ACFSでは、従来のファイル・システム全体スナップショットと新しいファイル単位スナップショットという、異なる2つのタイプのスナップショットがサポートされています。PDBスナップショット・コピーでは、可能な場合はファイル単位スナップショットが使用されます。ファイル単位スナップショットを使用するには、ACFSのリリースが21以上、ACFSの互換性が21以上、RDBMSのリリースが19.12以上である必要があります。ACFSスナップショットを使用している場合、データベース・ファイルは、ACFSスナップショット・ディレクトリを指すシンボリックリンクになります。ファイル単位スナップショットを使用している場合、スナップショット・ファイルは、ユーザーには通常のファイルのように見えます。acfsutil info file -fコマンドを使用すると、これらのファイルをスナップショットとして識別できます。その出力には、"fshare: Yes"という行が含まれています。

関連項目:

スナップショットを使用するACFS上のデータベースのベスト・プラクティス

次のことは、スナップショットを使用するACFS上でのデータベースの実行のベスト・プラクティスと考えることができます。

  1. 最新のGrid RUを使用します。
  2. データベース初期化パラメータfilesystemio_options=setallを確認します。
  3. ファイル・システムの領域使用量を85%未満に保ちます。
  4. ACFSメタデータ・バッファ・キャッシュのサイズを増やします: rootとして、ノードごとに1回: acfsutil tune AcfsMetaCachePct=30
  5. REDOログ、一時表領域、アーカイブ・ログなど、個別のファイルシステムまたはASMでスナップショットを作成する必要のないファイルを保持します。
  6. データファイルの頻繁な自動拡張を回避します。

ノート:

AcfsMetaCachePctの値30は提案ですが、実際に使用される値は、ノード上のACFSファイル・システムの合計サイズ、システム上のメモリー量、システム上のその他のメモリー要件などの要因によって異なります。この調整可能値のデフォルト値は7です。この調整可能値を高い値に設定すると、ACFSメタデータ・バッファ・キャッシュに多くのメモリーが使用されるため、バッファのリサイクルが必要になる前に、大量のメタデータをメモリーに保持できます。AcfsMetaCachePctは、システム上のメモリーのパーセントです。ACFSメタデータ・バッファ・キャッシュは、必要に応じて選択した値まで大きくなります。

Oracle ACFSとOracle Databaseホームについて

Oracle ACFSファイル・システムは、Oracle Databaseホームとして構成できます。

クラスタにデータベースをインストールする場合、データベース・ホームに共有Oracle ACFSファイル・システムを使用できます。Oracle ACFSのファイル・システムは、Oracle 11gリリース2(11.2)以上のOracle Databaseホームに使用できます。

Oracle Softwareをインストールする際には、各オペレーティング・システムのユーザーに関連した個別のOracleベース(ORACLE_BASE)である必要があります。たとえば、グリッドユーザーとデータベースユーザーに対しては、別のOracleベースである必要があります。

Oracle ACFSファイル・システム上にOracle Databaseベース・ディレクトリ(データベース用のORACLE_BASE)およびホーム・ディレクトリ(データベース用のORACLE_HOME)を配置できます。Oracle Databaseベース・ディレクトリ(データベース用のORACLE_BASE)を、Oracle Grid Infrastructureのベース・ディレクトリ(グリッド用のORACLE_BASE)にしないでください。また、Oracle Grid Infrastructureのベース・ディレクトリ(グリッド用のORACLE_BASE)の下に配置しないでください。

Oracle Grid Infrastructureをインストールするまで、Oracle ACFSファイル・システムは作成されないため、Oracle Grid Infrastructureベース・ディレクトリ(グリッド用ORACLE_BASE)およびホーム・ディレクトリ(グリッド用ORACLE_HOME)をOracle ACFSファイル・システム上に配置できません。

同一のマウント・ポイントの下には、Oracle ACFS上に1つ以上のOracle Databaseホームを作成でき、各ホームは別のOracle ACFSファイル・システムを使用して作成します。

Oracle Grid Infrastructureソフトウェアのインストール後、Oracle Universal Installer (OUI)を使用してOracle Databaseソフトウェアをインストールする前に、Oracle Databaseホームとして使用するために構成するOracle ACFSファイル・システムを作成できます。

Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント(ASMCA)を使用するか、Oracle ACFSコマンドを使用して、ファイルシステムを作成することもできます。

ノート:

Oracle ACFSファイル・システムにOracle Databaseホームが含まれる場合、または Oracle Databaseがファイル・ストレージにファイル・システムを使用する場合、ファイル・システムにはOracle ACFSファイル・システム・リソースが必要です。Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタントを使用してマウント・ポイントを設定しない場合、サーバー制御ユーティリティ(SRVCTL)コマンドを使用してOracle Database依存性を設定する必要があります。

Oracle Grid Infrastructureクラスタウェア構成では、データベース・ホームにOracle ACFSを使用する場合、クラスタワイドOracle ACFSリソースが必要になります。データベース所有者がリソースを操作できるようにするには、リソースの作成時に所有者を許可されたユーザーとして指定する必要があります。データベース所有者は、srvctl add filesystem-uオプション、またはacfsutil registryコマンドで指定できます。LinuxまたはUNIX環境でリソースを追加する場合、ルート権限が必要です。

Oracle ACFSファイル・システムおよびリソースの作成後、Oracle ACFSベースのデータベース・ホーム・マウント・ポイントの場所を、Oracle Universal Installer (OUI)データベース・ソフトウェアのインストール時にディレクトリを参照して選択することで、Oracle Databaseホームの場所として選択できます。

srvctl start filesystemコマンドを使用して、手動でOracle ACFSファイル・システムをマウントできます。

ノート:

作成後にOracle ACFSファイル・システムをOracle Databaseに追加する場合、Oracle Databaseリソース依存性リストでこれらを指定する必要があります。これができない場合、アプリケーションの信頼性に関するエラーが発生します。依存性リストでファイル・システムを指定するには、SRVCTLデータベース・オブジェクト・コマンドを使用して、リソースが使用するOracle ACFSパスを変更します。

Oracle ACFSファイル・システムは、アプリケーションのホームとして使用するために構成することもできます。ただし、Oracle ACFSファイル・システムは、Oracle Clusterware、Oracle ASM、Oracle ACFSおよびOracle ADVMコンポーネントのソフトウェアが含まれるOracleベース・ディレクトリやOracle Grid Infrastructureホームには使用できません。

Oracle ACFSでOracle Databaseホームが共有されている場合にOracle RAC環境内のOracle ACFSファイル・システム上の競合を減らすために、Oracle Database監査オペレーティング・システム・ファイルをノード固有として構成する必要があります。ノード固有として設定するには、各データベース・インスタンスの構成ファイル内のAUDIT_FILE_DEST初期化パラメータが、すべてのデータベース・インスタンス用の1つの場所ではなく、固有の場所を指すようにする必要があります。

たとえば、Oracle名をTESTに設定しているデータベースを使用し、各データベース・インスタンス(TEST1TEST2など)のAUDIT_FILE_DEST初期化パラメータの場所がこのインスタンスのノード固有の場所を指すようにする場合、次のSQL文を実行できます。

SQL> ALTER SYSTEM SET AUDIT_FILE_DEST='$ORACLE_BASE/admin/adump/TEST/@' 
     SCOPE=SPFILE SID='*';

前述の例では、@は、各インスタンスのORACLE_SIDに展開します。前述の例でORACLE_BASE/acfsmountsに設定された場合、この値はORACLE_BASE変数のかわりに使用されている可能性があります。

関連項目:

Oracle ASM動的ボリューム・マネージャについて

Oracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)は、ボリューム管理サービスと、クライアントとの標準ディスク・デバイス・ドライバ・インタフェースを提供します。ファイル・システムと他のディスクベース・アプリケーションからは、相手がベンダー・オペレーティング・システム上の他のストレージ・デバイスである場合と同様に、I/OリクエストがOracle ADVMボリューム・デバイスに送信されます。

Oracle ADVMの詳細は、「Oracle ASM動的ボリューム・マネージャの概要」を参照してください

Oracle ACFSドライバ・モデルについて

Oracle ACFSファイル・システムは、動的にロード可能なベンダー・オペレーティング・システム(OS)ファイル・システム・ドライバと、サポートされているオペレーティング・システム・プラットフォームごとに開発されているツール・セットとしてインストールされます。ドライバは仮想ファイル・システム(VFS)として実装され、特定のファイル・システムに対するすべてのファイルおよびディレクトリ操作を処理します。

ノート:

ドライバで発生したエラーは、ネイティブ・オペレーティング・システム・コンソールおよびシステム・イベント・ログ出力に書き込まれます。Oracle ACFS I/O障害コンソール・メッセージの理解を参照してください。

Oracle ACFSマウント・レジストリについて

Oracle ACFSマウント・レジストリは、Oracle Grid Infrastructureクラスタ構成をサポートしますが、Oracle Restart構成はサポートしません。

継続して(再起動されても)マウントされるファイル・システムは、Oracle ACFSマウント・レジストに登録できます。クラスタ構成では、登録済のOracle ACFSファイル・システムは、クラスタ全体のマウント表と同様に、マウント・レジストリによって自動的にマウントされます。ただし、登録済のOracle ACFSファイル・システムの自動マウントは、Oracle Restart構成ではサポートされません。

デフォルトでは、Oracle ACFSマウント・レジストリに挿入されたOracle ACFSファイル・システムは、レジストリ追加後に追加されるクラスタ・メンバーを含め、すべてのクラスタ・メンバーに自動的にマウントされます。ただし、Oracle ACFSマウント・レジストリは、スタンドアロンおよびマルチノード(クラスタ・ノードのサブセット)のファイル・システム登録にも対応しています。クラスタ・メンバーごとのマウント・レジストリ・アクションは、そのメンバーへのマウント用に指定された登録済ファイル・システムのみをマウントします。

Oracle ACFSマウント・レジストリは、Oracle Clusterwareリソース、特にOracle ACFSリソースを使用して実装されます。Oracle ACFSリソース・アクションは、特定のファイル・システムをディスマウントする管理アクションとの考えられる競合を避けるために、Oracle Grid Infrastructureを初期化するたびに、1回かぎりファイル・システムを自動的にマウントするように設計されています。

関連項目:

Oracle ACFSスナップショットについて

Oracle ACFSスナップショットは、Oracle ACFSファイル・システムのオンライン読取り専用または読取り-書込みポイント・イン・タイム・コピーです。

スナップショット・コピーは領域使用効率がよく、copy-on-write機能を使用します。Oracle ACFSファイル・エクステントの変更または削除前に、その現行値は、ファイル・システムのポイント・イン・タイム・ビューを保持するスナップショットにコピーされます。

Oracle ACFSスナップショットは、作成後すぐに使用可能になります。ファイル・システムの.ACFS/snaps/ ディレクトリにスナップショットが作成されます。ファイル・システムがマウントされている間は、常にオンラインです。そのため、Oracle ACFSスナップショットは、不用意に変更、またはファイル・システムから削除してしまったファイルのオンライン・リカバリをサポートできます。Oracle ACFSスナップショットは、アクティブ・ファイル・システムの一貫性のある現行オンライン・ビューを提供するために、要求に応じて作成できるので、ファイル・システム・バックアップのソースとしても使用できます。

最大1023個の読取り専用、読取り-書込み、または読取り専用と読取り-書込みの組合せのスナップショット・ビューがファイル・システムごとにサポートされているため、使用する複数のビューにわたって柔軟なオンライン・ファイル・リカバリ・ソリューションが可能になります。64ビット・システムのOracle ACFSでは、1023個のスナップショットがサポートされます。スナップショットの合計数は、読取り専用スナップショットと読取り-書込みスナップショットの組合せでもかまいません。63を超えるスナップショットの作成をサポートするには、ADVMのディスク・グループ互換性属性を12.1.0.2以上に設定する必要があります。また、63を超えるスナップショットを作成するには、次の条件を満たす必要があります。

  • COMPATIBLE.ADVM12.1.0.2未満に設定して作成されたファイル・システムのスナップショットは、すべて削除する必要があります。

  • COMPATIBLE.ADVM12.1.0.2以上に設定した後、それより古いスナップショットが存在する間に作成されたファイル・システムのスナップショットは、すべて削除する必要があります。

Oracle ACFSの読取り-書込みスナップショットでは、イメージスナップショット・イメージをホストしているOracle ACFSファイル・システムの状態に影響を与えずに、読取りと書込みの両方が可能なスナップショット・イメージを高速で作成できます。次の場合に、読取り-書込みスナップショットを使用できます。

  • アプリケーション・ソフトウェアの新しいバージョンを、読取り-書込みスナップショット・イメージが反映された本番ファイル・データ上で、元の製品ファイル・システムを変更することなく実行するテスト

  • 実際のデータセット上で本番ファイル・システムを変更しないテストシナリオの実行

Oracle ACFS読取り-書込みスナップショットを使用するには、ADVMに対するディスク・グループ互換性属性を11.2.0.3.0以上に設定する必要があります。11.2.0.3.0より前のバージョンの既存のOracle ACFSファイル・システムで読取り-書込みスナップショットを作成する場合、ファイル・システムは11.2.0.3.0以上の形式に更新されます。ファイル・システムを新しいバージョンに更新した後で、Oracle ACFSファイル・システムを以前のバージョンに戻すことはできません。それに応じて、以前のOracle Grid Infrastructureのバージョンでマウントすることもできません。

同じOracle ACFSファイルシステム内の既存のスナップショットから、スナップショットを作成できます。また、読取り専用と読取り-書込みの形式間で、スナップショットを変換できます。既存のスナップショットからスナップショットを作成するか、スナップショットを変換するには、ADVMのディスク・グループの互換性属性を12.1以上に設定する必要があります。また、次のものがある場合、既存のスナップショットからの作成は許可されません。

  • ADVM互換性を12.1未満に設定して作成されたファイル・システム内に存在するスナップショット

  • ADVM互換性を12.1に設定した後でも、11.2のスナップショットが存在しているときに作成されたファイル・システムのスナップショット

Oracle ACFSスナップショット記憶域は、ファイル・システム内に保持され、ファイル・システムとスナップショット用に別々の記憶域プールを管理する必要がありません。Oracle ACFSファイル・システムは、追加のファイルやスナップショット記憶域の要件に対応するために動的にサイズを変更できます。

暗号化の有効化または無効化を除いて、読取り-書込みスナップショット内の暗号化メタデータを変更できません。ファイルがスナップショット内で暗号化されていない場合、アクティブ・ファイル・システム内の対応するファイルの暗号化により、そのファイルを暗号化することはできません。

操作対象が読取り-書込みスナップショットのファイルまたはディレクトリについてパス指定されている場合、読取り-書込みスナップショット内のファイルを暗号化、復号化、またはキー更新できます。ただし、暗号化、復号化、またはキー更新の操作がファイル・システムのレベルで指定されている場合、その操作では、.ACFS/snaps/ディレクトリ内のスナップショットのファイルとディレクトリを処理しません。

すべてのOracle ACFSスナップショット操作は、カーネル内のクラスタ全体でシリアル化されます。たとえば、スナップショット削除操作と同時にスナップショット作成操作を開始した場合、両方の操作は完了しますが、それらはカーネルの内部で同時に実行されません。1つの操作が完了してからもう1つの操作が開始します。

acfsutil snap duplicateコマンドは、ターゲット・ファイル・システムまたは書込み可能なスナップショットでソース・ファイル・システムまたはスナップショットの段階的変化を最小のオーバーヘッドで追跡できるように、手動で起動できます。Oracle ACFSでは、各適用操作後に、現在の内容を示すようにターゲットを更新し、次の適用操作を開始する前に、受信スナップショット複製ストリームの起点が最後に適用されたストリームの終点と一致するようにチェックします。ターゲットは、acfsutil snap duplicate applyで使用中である場合でも、あらゆるアプリケーションよって書込み可能なままです。Oracle ACFSでは、適用プロセス以外のプロセスによるターゲットに対する更新を判別し、そのような更新が発生した場合は、ターゲットの内容を追跡する内部メタデータを無効にします。これにより、ターゲットに対するそれ以降の適用操作を防ぎ、将来の適用操作によって予期しない結果が発生する可能性を回避します。

23aiリリース以降では、acfsutil snap duplicateコマンドを使用すると、ファイル・システムとそのすべてのスナップショットのバックアップを作成およびリストアでき、そのバックアップ内でスナップショットの疎性を保つことができます。この種の疎バックアップでは、元のACFSボリュームでスナップショット間またはファイル・システムとスナップショットの間で共有されているブロックは、バックアップ内でも共有されます。疎バックアップは、必ず完全バックアップです。増分バックアップの実行は準備されていません。

acfsutil snap duplicateコマンドの使用では、Oracle ACFSレプリケーション操作とやり取りします。acfsutil snap duplicate applyで使用中のターゲット・ファイル・システムをレプリケーション用のファイル・システムとして使用するために指定することはできません。また、レプリケーションで使用中のファイル・システムをacfsutil snap duplicate apply用のターゲットとして指定することはできません。

acfsutil snap duplicateコマンドを実行するには、ADVMのディスク・グループ互換性属性を12.2以上に設定する必要があります。

その他のacfsutil snapコマンドは、複製スナップショットの管理および既存のスナップショットによるOracle ADVMボリュームの再マスタリングに使用できます。

Oracle ACFSスナップショットは、acfsutil snapコマンドにより管理されます。

ノート:

Oracle ACFSファイル・システム内および関連付けられた読取り-書込みスナップショット内のファイルまたはその逆で、リンクまたはファイル名変更が試みられた場合、link()およびrename()システム・コールは失敗します。lnmvのようにlink()およびrename()システム・コールを使用するツールも同じシナリオによって失敗します。

関連項目:

Oracle ACFSとバックアップおよびリストアについて

Oracle ACFSは、オペレーティング・システム・プラットフォームで、ネイティブ・オペレーティング・システムのファイル・システム・アプリケーション・プログラム・インタフェース(API)をサポートするネイティブ・ファイル・システム・テクノロジとして動作します。そのため、ネイティブ・オペレーティング・システムのファイル・システム・インタフェースを使用してファイルにアクセスするバックアップ・アプリケーションは、Oracle ACFSファイル・システムとその他のネイティブ・オペレーティング・システムのファイル・システムにアクセスし、バックアップすることができます。Oracle ACFSスナップショットは、動的に作成され、アクティブ・ファイル・システムの一貫したオンライン・ビューをバックアップ・アプリケーションに提示するために使用できます。

標準オペレーティング・システム・インタフェース(読取りまたは書込み)以外のインタフェースを使用するバックアップ・アプリケーションは、Oracle ACFSではサポートされません。

ノート:

Oracle ACFSをOracle Recovery Manager (RMAN)のバックアップまたはリストアで使用する場合、デフォルト値はOracle ACFSファイル・システムに最適ではないこともあるため、RMANをチューニングしてパフォーマンスを向上させる必要があります。たとえば、バッファ・サイズをボリューム・ストライプ幅またはOracle ASM AUサイズと適合するようにRMANのパラメータを調整できます。また、Oracle ASMディスク・グループ内のデバイス数と適合するようにバッファ数を調整することもできます。

関連項目:

Oracle ACFSとOracle ASMの統合について

Oracle ACFSは常にOracle ASMストレージを使用して構成され、従来のデバイス・ファイルを介してOracle ASMストレージと連動します。このデバイス・ファイルは、Oracle ADVMによって提供され、動的ボリューム・ファイルを使用して構成されます。Oracle ADVMボリューム・デバイス・ファイルは、Oracle ADVMボリュームの作成後に自動的に作成されます。その後、Oracle ACFSファイル・システムがファイル・システムの作成中にOracle ADVMデバイス・ファイルにバインドされます。

Oracle ACFSが構成されてマウントされると、ファイル・システムは、Oracle ADVMボリュームに関連付けられたOracle ASMストレージ管理機能(動的バランス分散、ミラー化およびストライプ化、動的サイズ変更など)を継承します。

Oracle ACFSドライバでは、Oracle ASMインスタンスとの通信を確立し、Oracle ASMインスタンスおよびディスク・グループの状態遷移などのOracle ASMステータス情報を受信します。ただし、I/OはOracle ASMもOracle ASMプロキシも経由せず、基礎となるOracle ASMストレージに直接進みます。

Oracle ACFSとOracle ASMの操作の詳細は、Oracle ACFSとディスマウントまたは停止操作を参照してください。