1.2 ラスター・データ・ソース

ラスター・データは、リモート・センシング、航空写真測量、地図作成法およびグローバル・ポジショニング・システムなどの様々な地理情報テクノロジによって収集され、使用されています。

データは、収集された後、デジタル・イメージ処理システム、コンピュータ・グラフィック・アプリケーションおよびコンピュータ画像認識テクノロジによって分析されます。これらのテクノロジでは、複数のデータ形式が使用され、様々な製品が作成されます。

この項では、アプリケーション開発時に知っておく必要のある概念および技術に焦点を当て、GeoRasterのいくつかの主要なデータ・ソースおよび使用方法について簡単に説明します。テクノロジの詳細は説明しないため、それらの情報については一般的な教本や参考資料を参照してください。

1.2.1 リモート・センシング

リモート・センシングでは、ある領域またはオブジェクトの情報を、その領域またはオブジェクトに物理的に接続していないデバイスを介して取得します。たとえば、センサーの例には、衛星、気球、飛行機、ボート、地上局などがあります。センサー・デバイスには、フレーム・カメラ、プッシュブルーム(走査)方式のセンサー、合成開口レーダー(SAR)、水路用ソナー、ペーパー・スキャナ、フィルム・スキャナなどの広範囲なデバイスを使用できます。リモート・センシング・アプリケーションには、環境のアセスメントや監視、地球変動の調査や監視、天然資源調査などのためのアプリケーションがあります。

リモート・センシングによって収集されたデータは、通常、地理イメージと呼ばれます。波長、バンド数およびその他の要因によって、地理イメージの放射特性が決定されます。地理イメージにはシングルバンド、マルチバンドまたはハイパースペクトルがあり、いずれもGeoRasterで管理できます。これらの地理イメージ(特に衛星で観測されたイメージ)は、地表のあらゆる領域を表現できます。気象衛星の場合などは高い時間解像度が得られるため、変更を簡単に検出できます。リモート・センシング・アプリケーションでは、多くの場合、様々なタイプの解像度(時間、空間、スペクトル、放射)が重要になります。

1.2.2 写真測量

写真測量では、写真による測定結果から測量情報を導出します。ほとんどの写真測量アプリケーションでは、航空写真や、衛星リモート・センシングによって収集された高解像度イメージが使用されます。従来の写真測量の主なデータは、白黒写真、カラー写真、立体写真セットなどのイメージです。

写真測量によって、イメージ作成時に存在したとおりのイメージとオブジェクトの精密な地理的関係が確立され、オブジェクトに関する情報をそのイメージから導出できます。イメージとオブジェクトの関係は、いくつかの方法によって確立できますが、その方法は、アナログ(光学的、機械的および電子的な構成要素を使用)または分析的(モデリングは数学的で処理はデジタル)の2つのカテゴリに分けられます。アナログのソリューションは、ソフトコピー写真測量とも呼ばれる、分析的/デジタルのソリューションに、次第に取って代わられています。

ソフトコピー写真測量システムでは、主に、数値標高モデル(DEM)やオルソ・イメージなどが生成されます。GeoRasterでは、これらのすべてのラスター・データを地理参照情報とともに管理できます。

1.2.3 地理情報システム

地理情報システム(GIS)は、地理参照情報を取得、格納および処理します。従来のGISソフトウェアはベクトルベースかラスターベースのいずれかでしたが、Oracle Spatialでは、GeoRaster機能によってラスターとベクトルの両方のデータを処理できます。

ラスターベースGISシステムは、通常、幾何補正されたグリッド・データを処理します。グリッド・データには、離散データまたは連続データがあります。離散データには行政的小区域、土地利用と土地被覆、バス路線、油井などがあり、これらは通常、整数グリッドとして格納されます。連続データには標高、アスペクト、汚染濃度、環境騒音レベル、風速などがあり、これらは通常、浮動小数点グリッドとして格納されます。GeoRasterでは、これらのすべてのデータを格納できます。

離散グリッド・レイヤーの属性は、値属性表(VAT)というリレーショナル表に格納されます。VATには、GISベンダーが指定した列が含まれており、ユーザーが定義した列を含めることもできます。VATは、単純な表としてOracle Databaseに格納できます。ラスターGISアプリケーションでそのVATを使用できるように、対応するGeoRasterオブジェクト内にVAT名を登録することができます。

1.2.4 地図作成法

地図作成法は、地図を作成するための技術で、3次元の地表を(または地表以外の空間をローカル座標系を使用して)2次元で表すものです。今日では、地図をデジタルで作成したり、スキャンしてデジタル形式にできるようになり、地図作成が大幅に自動化されています。コンピュータに格納した地図では、高速な問合せ、分析および更新が可能です。

様々な使用方法や目的に対応する、多くのタイプの地図があります。地図のタイプの例には、基本図(背景)、主題図、地形図(3次元)、方位図、地籍図(土地利用)および差込み図などがあります。通常、地図には、縮尺棒、凡例、記号(北矢印など)、ラベル(都市名、河川名など)など、複数の注釈要素が含まれています。

地図は、ラスター形式(GeoRasterで管理可能)、ベクトル形式またはハイブリッド形式で格納できます。

1.2.5 デジタル・イメージ処理

デジタル・イメージ処理は、標準イメージ形式(TIFF、GIF、JFIF(JPEG)など)および多くの地理イメージ形式(NITF、GeoTIFF、ERDAS IMG、PCI PIXなど)のラスター・データの処理に使用されます。イメージ処理技術は、リモート・センシング・アプリケーションおよび写真測量アプリケーションで広範囲に使用されています。これらの技術を必要に応じて使用して、解釈を容易にするためのイメージの強調、修正および復元や、ぶれ、ひずみ、その他のノイズの修正、および地理オブジェクトの自動分類とターゲット識別を行うことができます。GeoRasterでは、ソース・イメージ、中間イメージおよび結果イメージをロードして管理できます。

1.2.6 地質学、地球物理学および地球化学

地質学、地球物理学および地球化学のすべての分野ではデジタル・データが使用され、GeoRasterで管理可能ななんらかのデジタル・ラスター地図が作成されます。

  • 地質学では、このデータには地域地質図、地層図、岩盤すべりの写真などが含まれます。地質学的調査および石油地質学で広く利用されるコンピュータによる地層シミュレーション、合成鉱物の推算、3次元での油田の特徴付けでは、ラスター・データが使用されます。

  • 地球物理学では、重力、磁界、地震波の伝達およびその他の項目に関するデータを、地理参照情報とともに記録します。

  • 地球化学では、複数の化学元素の含有量を分析および測定できます。多くの場合、Triangulated Irregular Network (TIN)技術を使用して、さらなる分析のためのラスター地図が作成され、イメージ処理も広範囲に使用されます。