時間モデル統計

時間モデル統計はデータベース内での操作タイプによる経過時間を測定します。最も重要な時間モデル統計はデータベース時間(DB時間)です。DB時間は、フォアグラウンド・セッションによってデータベース・コール内で経過した合計時間を表し、またインスタンスのワークロードの合計の指標にもなります。図2-1で説明されているように、データベース時間はアプリケーションのユーザー・レスポンス時間全体の一部を構成します。

図2-1 すべてのユーザー・レスポンス時間のDB時間

図2-1の説明が続きます
「図2-1 すべてのユーザー・レスポンス時間のDB時間」の説明

セッションは、データベースに対する現在のユーザー・ログインの状況を示す、データベース・インスタンス・メモリー内の論理エンティティです。データベース時間は、CPU時間とすべてのアクティブ・セッション(アイドル状態ではないセッション)の待機時間を集計することで算出されます。データベース要求については、CPU時間は要求の処理にかかった合計時間を示し、待機時間は様々なデータベース・インスタンス・リソースの合計待機時間を示します。DB時間には、クライアント・プロセスにかかった時間のみが含まれ、PMONなどのバックグラウンド・プロセスにかかった時間は含まれません。

たとえば、ユーザー・セッションには、オンライン書店で実行されるオンライン・トランザクション(図2-2に示すアクションで構成される)などがあります。

図2-2 ユーザー・トランザクションのDB時間

図2-2の説明が続きます
「図2-2 ユーザー・トランザクションのDB時間」の説明
  1. 作者別の書籍の問合せ

    ユーザーは特定の作者の書籍の検索を実行します。このアクションでは、アプリケーションにより、作者別の書籍のデータベースに対して問合せが実行されます。

  2. 問合せの結果を参照

    ユーザーは、戻された作者別の書籍のリストを参照し、ユーザー・レビューおよび在庫状況などの詳細にアクセスします。このアクションでは、アプリケーションにより追加のデータベース問合せが実行されます。

  3. カートにアイテムを追加

    書籍の詳細を参照した後、ユーザーは書籍の1つをショッピング・カートに追加することを決定します。このアクションでは、アプリケーションによりデータベースが呼び出され、ショッピング・カートが更新されます。

  4. チェックアウト

    以前に商品を購入したときに書店のWebサイトに保存されていた、住所および支払い情報をユーザーが確認し、取引を完了します。このアクションによってアプリケーションは様々なデータベース操作を行い、ユーザー情報の取得、新しい注文の追加、在庫情報の更新、および電子メールの認証を実行します。

これらの各先行アクションでは、ユーザーは図2-2の下矢印で示されているとおりにデータベースに対し要求を行います。データベースが要求を処理するためにかかるCPU時間およびデータベースの待機にかかる待機時間はDB時間と呼ばれます(色付きの部分)。要求が完了すると、上矢印で示されているとおりに、結果がユーザーに戻されます。上矢印および下矢印の間の領域は要求を処理するための合計ユーザー・レスポンス時間を表し、図2-1で示されるようにDB時間以外のその他のコンポーネントが含まれます。

ノート:

DB時間は、インスタンスの開始時から累積的に測定されます。DB時間ではアイドル状態でないすべてのユーザー・セッションの時間が集計されるため、DB時間がインスタンス開始後の経過時間を超える場合があります。たとえば、5分間実行されたインスタンスについて4つのアクティブ・セッションがあると、累積DB時間は20分になります。

データベースのチューニングの目的は、DB時間を短縮することです。チューニングすることにより、アプリケーションでのユーザーのトランザクションの全体のレスポンス時間が向上します。