5.1.3.4 IORMプランでのフラッシュ・キャッシュ管理について

I/Oリソース管理では、Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュ内の領域を保証することにより、予測可能なパフォーマンスを実現できます。

複数のデータベースが使用されており、プラガブル・データベース(PDB)によって記憶域が共有されている場合、フラッシュ・キャッシュ領域は、管理が必要なクリティカルなリソースになります。IORMにより、重要なデータベースまたはPDB用の領域を確保しながら、重要性の低いエンティティや不正なエンティティによってフラッシュ・キャッシュ全体が使用されないようにすることができます。

データベース間プランで次の属性を使用すると、フラッシュ・キャッシュ・リソースに制限を設定できます。強い制限は、キャッシュがフルでない場合でも、指定された制限を超過できないことを意味します。弱い制限は、使用可能なリソースがある場合に、指定された制限を超過できることを意味します。

  • flashCacheMin — ブロックがコールド状態であっても指定されたデータベースに対して保証される、フラッシュ・キャッシュ領域の最小容量を指定します。これは強い制限です。

    flashCacheMinは保証付き予約であるため、すべてのディレクティブのflashCacheMinの合計は、各データベースがそれぞれの割当てを取得するように、フラッシュ・キャッシュのサイズより小さくする必要があります。

  • flashCacheLimit — データベースで使用できるフラッシュ・キャッシュ領域の弱い最大容量を指定します。フラッシュ・キャッシュがフルでない場合、データベースはflashCacheLimit値を超過できます。
  • flashCacheSize — データベースで使用できるフラッシュ・キャッシュ領域の強い最大容量を指定します。flashCacheSize値を超えることはできません。

    ただし、flashCacheSizeを、データベースが使用している現在の領域よりも小さい値に設定した場合、Oracle Exadata System Softwareリリース20.1.0以降では、超過分のデータがキャッシュから事前に消去されます。以前は、別のデータによって上書きされた場合のみ、超過分のデータが削除されていました。

    Oracle Exadata System Softwareリリース19.2.0以降では、すべてのディレクティブでflashCacheSizeの合計がフラッシュ・キャッシュのサイズより大きい場合、flashCacheSizeは保証された予約ではありません。この場合、flashCacheMinを指定して、保証付きの最小割当て制限を定義することもできます。

各データベース内で、memory_minディレクティブおよびmemory_limitディレクティブを使用して、コンテナ・データベース(CDB)リソース・プランで、Oracle Database Resource ManagerによりPDBの最小割当て制限および最大割当て制限を管理できます。

データベース間IORMプラン・ディレクティブのキャッシュ制限は、対応するCDBプランの設定を制約します。したがって、データベース間IORMプラン・ディレクティブでデータベースのflashcacheminおよびflashcachesize設定が指定されている場合、CDBプランでPDB固有のmemory_min割当て制限はflashcachemin設定の一部になり、PDB固有のmemory_limit値はflashcachesizeの一部になります。

ただし、データベース間IORMプラン・ディレクティブでflashcacheminを指定せずにflashcachesizeが指定されている場合、PDB固有のmemory_min設定は無視されますが、memory_limit設定は引き続きflashcachesizeの一部になります。