AHFリリース24.5

クラスタのEnterprise Manager (EM)グループに対してAHFバランス・フリート・レポートを実行する新しいCLIオプション

AHF 24.5では、クラスタのEnterprise Manager (EM)グループに対してバランス・フリート・レポートを実行できるようにする新しいCLIオプションが導入されています。--em-groupフラグは、--scope fleetオプションとともに機能するように設計されています。この機能により、管理者は包括的なフリート・レポートを生成することで、クラスタ・リソースを効率的に管理および最適化できるようになります。

クラスタのEMグループに対してフリート・レポートを実行する方法
  • EMグループ名の指定: フリート名としてEMグループ名を使用し、コマンドに--em-groupフラグを含めます。
  • 既存または新規のグループ: 既存のEMグループを使用するか、クラスタの新しいグループを作成できます。たとえば、データ・センターごとにEMグループを作成して、特定のデータ・センターに対してバランス・フリート・レポートを実行します。

EMグループの詳細は、『Oracle® Enterprise Manager Cloud Controlモニタリング・ガイド』「グループの管理」を参照してください。

ノート:

  • --em-groupフラグは、--clustersオプションと相互に排他的です。つまり、両方のフラグを同時に使用することはできません。
  • --em-groupフラグは、--scope fleetオプションとともに使用する必要があります。
クラスタのEMグループのフリート・レポートを作成するには、次のコマンドを使用します:
ahf analysis create --type impact --scope fleet --name <em-group-name> --em-group

em-group-nameをEMグループの名前に置き換えます。このコマンドは、フリートの名前としてEMグループ名がHTMLフリート・レポートに表示されるバランス・フリート・レポートを生成します。

たとえば:
ahf analysis create --type impact --scope fleet --name testgroup --em-group
Starting analysis and collecting data for impact
Report is generated at : /scratch/testuser/view_storage/bagleeso_tfa1/work/oracle.ahf/data/testnode/
diag/balance/user_testuser/fleet_020424_225851580_UTC.html

関連トピック

Oracle Trace File Analyzerによる小さいトレース・ファイルの収集対象からのフィルタでの除外

AHF 24.5では、Oracle Trace File Analyzerの機能拡張が導入され、冗長または情報価値がない可能性がある重複する小さいトレース・ファイルをフィルタで除外することで、より効率的な診断収集が可能になります。

小さいファイル用の新しいフィルタ:
  • 新しいフィルタcollection.smallfiles.filterが導入され、データベースのフォアグラウンド・ログとバックグラウンド・ログおよびCRSクライアント・ログがフィルタで除外されました。
  • このフィルタは、デフォルトでは'OFF'に設定されています。有効にするには、'ON'に設定して小さいトレース・ファイルのフィルタによる除外を開始します。
たとえば:
tfactl set collection.smallfiles.filter=ON
tfactl set collection.smallfiles.filter=OFF
カスタマイズ可能なサイズしきい値:
  • collection.smallfile.sizefilterパラメータを使用して、これらのファイルのサイズしきい値をカスタマイズできます。
  • このパラメータの有効範囲は8 KBから1 MBで、デフォルト値は8 KBです。
フィルタリング・プロセス:
  • ファイルのサイズがcollection.smallfile.sizefilterで設定されたしきい値以上である場合、そのファイルは収集されます。
  • ファイルのサイズがしきい値より小さい場合、類似のサイズのファイルのうち1つのみが収集され、残りはスキップされます。類似のサイズとは、ファイル・サイズの差が8バイト未満であることを意味します。
たとえば:
tfactl set collection.smallfile.sizefilter=10KB

すべてのフォアグラウンド・データベース・ログのフィルタリング: tfactl diagcollectコマンドで-nodbforegroundfilesフラグを使用すると、サイズに関係なく、すべてのフォアグラウンド・データベース・ログをフィルタで除外できます。

たとえば:
tfactl diagcollect <other_parameters> -nodbforegroundfiles

これらの機能拡張により、特に多数の小さいトレース・ファイルを処理する場合に、Oracle Trace File Analyzerで診断を収集およびリダクションするために必要な時間とスペースが簡単に削減できます。

関連トピック

AHFインサイトに含まれるData Guardヘルス・レポート

AHFインサイトに、包括的なData Guard構成およびヘルス・レポートが含まれるようになりました。

以前は、Data Guardのヘルスおよびパフォーマンスの問題のトラブルシューティングでは、複数のソースから診断を収集する必要があり、プロセスが煩雑でエラーが発生しやすくなっていました。この機能拡張により、Data Guardのヘルスおよびパフォーマンスの問題のトラブルシューティングが簡略化されます。

Data Guardの診断収集内のAHFインサイト・レポートには、新しいData Guardセクションが含まれ、次の内容が表示されます:

  • 構成
  • メトリック
  • ログ・スイッチ間隔ヒートマップ
  • アーカイブ・ログ・サイズ
  • プロセスのCPU使用率
Data Guardインサイトを使用して診断収集を生成するには、次を実行します:
tfactl diagcollect -srdc dbdataguard

詳細は、「診断インサイトの確認」を参照してください。

関連トピック

最初の障害時に使用可能なシステム・ヘルス・メトリック

AHFは、リアルタイムのシステム・ヘルス・メトリックを自動的に収集するように構成できるようになったため、障害発生時にメトリックが使用可能になり、診断収集に含まれるようになります。CPU、メモリー、IOコンシューマなどのこれらのメトリックは、サービス・リクエストを診断するのにOracleサポートにとって非常に貴重です。

  • 自動収集: AHFは、システム・ヘルス・メトリックを自動的に取得して、障害発生時にクリティカル・データをすぐに使用できるようにします。
  • 診断収集への組込み: 収集されたシステム・ヘルス・メトリックは診断収集に統合され、トラブルシューティングのための包括的なデータを提供します。
システム・ヘルス・メトリックの自動収集を有効にするには、次のコマンドを使用します:
ahf configuration set --property ahf.collectors.enhanced_os_metrics --value on

関連トピック

Dom0でのノードおよびスイッチの検出

AHFコンプライアンス検出が拡張され、Dom0上のノードおよびスイッチが自動的に検出されるようになりました。

以前は、KVMホストで実行するときにクラスタ・ノードおよびスイッチを手動で指定する必要がありました。この更新では、AHFを使用してすでに構成されているコンポーネントを使用してDom0に対してチェックを実行することで、コンプライアンスによってプロセスが簡略化されます。これにより、関連するすべてのコンポーネントが正確に検出され、コンプライアンス・チェックに含められます。

Oracle OrachkおよびOracle Exachkレポートの「Security Checks」セクション

AHF 24.5以降、Oracle OrachkおよびOracle Exachkのレポートには、すべてのベスト・プラクティスのセキュリティ関連チェックを統合する新しい「Security」セクションが含まれています。

「Security」セクションには、システムのセキュリティ全体に影響を与える可能性がある選択済のコントロールが含まれています。

セキュリティ・コントロールは通常、機密性完全性および可用性(CIA)に対する影響についてレビューされます。米国国立標準技術研究所(NIST)のCIAの定義は次のとおりです:

  • 機密性: 個人のプライバシおよび専有情報を保護するための手段を含む、情報へのアクセスおよび開示に関する認可された制限の維持
  • 完全性: 不適切な情報変更または破棄に対する保護と、情報の否認防止と信頼性の確保
  • 可用性: 情報へのタイムリで信頼性の高いアクセスおよび使用の保証

図-7 データベース・サーバーのセキュリティ・チェック


データベース・サーバーのセキュリティ・チェック

一般的なセキュリティ・ガイドラインの詳細は、『Oracle Exadata Database Machine Security FAQ』(ドキュメントID 2751741.1)を参照してください。

Oracle OrachkおよびOracle Exachkの新しいベスト・プラクティス・チェック

リリース24.5には、Oracle OrachkおよびOracle Exachkの次の新しいベスト・プラクティス・チェックが組み込まれています。

Oracle OrachkOracle Exachkの両方に共通するベスト・プラクティス・チェック

  1. クラスタウェアの内部パッチ・メタデータがグリッド・ホームのOPatchインベントリと一致することを検証します
  2. トランスポート・ラグ <= 30秒
  3. 適用ラグ <= 30秒
  4. Data Guardのフェイルオーバー準備完了
  5. Data Guardのスイッチオーバー準備完了

すべてのチェックの詳細は、次のヘルス・チェック・カタログを参照してください: