計量コンポーネント・タイプの理解

計量コンポーネント・タイプでは、計量コンポーネントの最も重要なプロパティを定義します。

計量コンポーネント・タイプで定義することは、計量コンポーネントの測定対象(KWH、温度など)、測定頻度、計量コンポーネントを物理設備に接続する必要があるかどうか、計量コンポーネントを作業メモ計量コンポーネントと総計計量コンポーネントのいずれとして使用するのかです。また、計量コンポーネント・タイプでは、計量コンポーネントの最終測定値の格納方法、計量コンポーネントのユーザー定義値の計算方法、およびそのタイプの計量コンポーネントの検証・編集・推定(validation, editing, and estimation: VEE)を管理する特定のルールも指定します。他にも、計量コンポーネント・タイプでは、そのタイプに属している計量コンポーネントの表示プロパティと有効な属性値も定義します。

次の構成可能な項目は、ほとんどの計量コンポーネント・タイプで使用できます。

  • 値識別子: このタイプの計量コンポーネントの測定量を識別する単位、TOUおよび使用量識別子の値を格納します。値識別子では、このタイプの計量コンポーネントの測定レコードに格納される量を指定します。詳細は、この項の後半の「計量コンポーネント・タイプ値識別子」のトピックを参照してください。
  • 有効なVEEグループ: このタイプの計量コンポーネントに対して有効と考えられるVEEグループを定義します。ここで指定した各グループは、このタイプの計量コンポーネントで選択でき、フォールバックVEEグループを上書きします。
  • フォールバックVEEグループ: このタイプのすべての計量コンポーネントで使用できる特定のVEEグループ役割のデフォルトのVEEグループを定義します。これにより、同じタイプの複数の計量コンポーネントに対して同じVEEグループを指定する必要性が軽減されます。これらのグループに対する変更は、このタイプのすべての計量コンポーネントに自動的に適用されます(その特定のVEEグループ役割に独自のVEEグループを指定していない場合)。各VEEグループには、(初期ロード、手動上書き、推定などで) VEEグループをいつどのように使用するのかを示すVEEグループ役割が指定されます。
  • 適格プロファイル係数(インターバルのみ): このタイプのインターバル計量コンポーネントに適格であると考えられるプロファイル係数を定義します。デフォルトとして指定できるプロファイル係数は1つです。プロファイル係数が必要な場合は、デフォルトのプロファイル係数がシステム処理で自動的に選択されます。
  • スカラーからインターバルへの変換で有効なプロファイル係数(スカラーのみ): スカラー測定からインターバル測定への変換時にこのタイプのスカラー計量コンポーネントに適格であると考えられるプロファイル係数を定義します。これらのプロファイル係数を使用して、スカラー値からインターバル・データの曲線を生成します。これらの係数のいずれかが定義されていない場合、スカラーからインターバルへの変換では、フラット・ライン方法を使用します(つまり、スカラー値をインターバル間で均等に分割します)。デフォルトとして指定できるプロファイル係数は1つです。変換プロファイル係数が必要な場合は、デフォルトのプロファイル係数がシステム処理で自動的に選択されます。
  • 有効作業メモ計量コンポーネントTYP: このタイプの計量コンポーネントに対して有効であると考えられる作業メモ計量コンポーネント・タイプを定義します。
  • 関連統計計量コンポーネント・タイプ: このタイプの計量コンポーネントの履歴使用に関する統計情報の格納に使用する計量コンポーネント・タイプを定義します。このリストの使用方法の詳細は、「計量コンポーネント統計の構成」を参照してください。
  • 表示プロパティ: このタイプの計量コンポーネントの測定データの表示方法を定義します。次に例を示します。
    • 表示構成: 測定値の表示方法に関する詳細(360度チャート・レンダリング方法、データの表示時間数、測定検索の最大日数、使用するデフォルトのTOUマップ、使用する日別TOUプロファイル係数、デフォルトの測定条件など)。
    • イベント・バー・プロファイル: このタイプの計量コンポーネントの測定データを表示するときに使用するイベント・バー・プロファイル。イベント・バー・プロファイルは、「360度表示イベント・バー・プロファイル」拡張可能参照の値として定義されます。
    • 最終値オーバーレイ・プロファイル: このタイプの計量コンポーネントの測定データを表示するときに使用する最終値オーバーレイ・プロファイル。最終値オーバーレイ・プロファイルは、「最終値オーバーレイ・プロファイル」拡張可能参照の値として定義されます。
    • チャートに表示されない測定条件: 360度チャートへのレンダリングから除外する必要がある測定条件。条件がこれらの値と一致する測定は、ギャップとしてレンダリングされます。たとえば、多くの360度チャートでは条件「検針なし - システム」を使用して、測定の欠落を表します。この条件をこのリストに追加すると、数量測定が0および条件「検針なし - システム」を含む行ではなく、ギャップがレンダリングされます。

計量コンポーネント・タイプを作成する場合は、次のオプションを使用できます。

名前

詳細

ビジネス・オブジェクト

Interval Channel Type - Physical

物理インターバル・チャネルの構成を提供します(インターバル・サイズを含む)。これは、1時間までのインターバル・サイズで消費使用を測定する計量コンポーネントにお薦めします。

D1-IntervalChannelTypePhysical

インターバル・チャネル・タイプ - 作業メモ

作業メモ・インターバル計量コンポーネントの構成を提供します。

D1-IntervalChannelTypeScratchp

インターバル・チャネル・タイプ - 物理差引

物理差引インターバル・チャネルの構成を提供します。標準のインターバル構成(インターバル・サイズを含む)に加えて、追加の差引固有の構成(繰越しの検証、推定の再評価など)も提供します。これは、1時間までのインターバル・サイズで差引使用を測定する計量コンポーネントにお薦めします。

D1-IntrvlChanTypPhysSubtractiv

指針タイプ

手動で検針される物理指針の構成を提供します(繰越しの検証など)。これらは消費または差引になりますが、まれにしか検針されないことを想定しています(月に1回など)。

D1-RegisterTypePhysical

自動検針指針タイプ

自動的に検針される物理指針の構成を提供します。標準の指針構成(繰越しの検証など)に加えて、予定される検針のスケジュールに関する詳細も提供します(初回日次測定時間や測定間の予測時間数など)。これらは消費または差引になりますが、頻繁に検針されることを想定しています(少なくとも1日に1回など)。

注意: これらの計量コンポーネント・タイプは、大きいインターバル・サイズ(24時間以上)で受信するインターバル・データをモデル化するためにも使用できます。

D1-AutoReadRegisterType

総計タイプ

集計測定の構成を提供します。

D2-AggregatorType

注意: インターバル・サイズが1時間を超える"インターバル"・データについては、D1-AutoRegisterReadType計量コンポーネント・タイプ・ビジネス・オブジェクトおよびD1-RegisterAutoRead計量コンポーネント・ビジネス・オブジェクトを使用します。このビジネス・オブジェクトは、日次およびサブ日次検針に適しています。インターバル・データ・ビジネス・オブジェクトを使用すると、夏時間中に測定日の問題が発生する可能性があります。

計量コンポーネント・タイプ値識別子

計量コンポーネントは、特定のタイプの数量を測定するように構成されており、これは計量コンポーネント・タイプの値識別子のリストで定義されます。最大11個の値識別子を指定できます。主測定量は、測定の値識別子タイプを使用して識別する必要があります。その他の10個の導出値は主測定に基づいて計算でき、これらは値01から値10の値識別子タイプで識別されます。各値識別子は、次のもので構成されます。

  • 単位: 記録される数量の単位。たとえば、キロワット時(kWh)、キロワット(kW)、サーム、立方フィート(CCF)、温度(華氏または摂氏)などです。詳細は、「単位の理解」を参照してください。
  • TOU: 数量が使用された期間を示す所定の単位の修飾子で、オンピーク(ある消費対象について、数量が最大となった時間を意味する)、オフピーク(ある消費対象について、数量が最小となった時間を意味する)などがあります。詳細は、「使用時間の理解」を参照してください。
  • 使用量識別子: 単位/TOUの組合せが同一である測定量間をより詳細に識別するために使用され、識別する単位の識別子がTOUとして正確に記述されていない状況でも識別します。通常、使用量識別子が使用されるのは、複数の計量コンポーネントが同じ対象を異なる方法で測定する場合のみです。生成KWHと消費量KWHの両方を測定するメーターは、使用量識別子を使用して、これら2つを区別します。詳細は、「使用量識別子の理解」を参照してください。
  • 値導出アルゴリズム: 単位、TOUおよび使用量識別子とは異なり、これは測定対象の識別には使用されず、主測定に基づいた導出値の計算に使用されます。導出値を計算する場合は、適切なロジックを含むアルゴリズムをリストから選択する必要があります。これは、値識別子タイプが値01から値10のそれらの値識別子に適用できます。導出値の計算方法の詳細は、この章の「重要な計量コンポーネント・タイプ・システム・イベント」のトピックを参照してください。導出値の機能の詳細は、「最終測定の概要」を参照してください。

単位、TOUおよび使用量識別子を組み合せて、計量コンポーネントの測定対象を定義します。TOUおよび使用量識別子はオプションですが、単位はすべての値識別子に定義する必要があります。たとえば、2つの計量コンポーネントを含むメーター(次の図を参照)の場合、どちらも同じ単位(kWh)を測定しますが、各計量コンポーネントは異なる使用時間(TOU)期間(ピークおよびオフピーク)で消費量を測定します。

計量コンポーネント・タイプ値識別子

別の例としては、生成されたKWHと消費されたKWHの両方を記録するメーターがあります。このメーターは、単位と使用量識別子の両方を測定するように構成されます。

計量コンポーネント・タイプ値識別子

測定は、計量コンポーネントが検針されるたびに記録されます。つまり、月に1回検針される2つの計量コンポーネントを含むメーターの場合は、2つの測定(各計量コンポーネントに1つ)が毎月記録されます。

重要な計量コンポーネント・タイプ・システム・イベント

計量コンポーネント・タイプでは、そのタイプの計量コンポーネントの消費量の計算に関連する、複数のビジネス・オブジェクト・アルゴリズム・システム・イベントをサポートしています。

  • インターバル消費量の計算: インターバル・リストを受信し、そのインターバル・データで必要な計算を実行して消費量を計算します。インターバル・データを消費量データとしてすでに受信しているため、このシステム・イベントのアルゴリズムは、通常、適切な乗数の適用に制限されます。例として、アルゴリズム・タイプ「インターバル消費量の計算」(D1-IN-CNSUMP)を参照してください。
  • スカラー消費量の計算: スカラー検針に関する情報を受信し、必要に応じて消費量を計算します。このイベントのアルゴリズムは、通常、停止および開始検針を使用した消費量の計算、または消費量および開始検針を使用した検針の計算をサポートしています。インターバルの場合と同様に、適切な乗数を適用します。例として、アルゴリズム・タイプ「スカラー消費量の計算」(D1-SC-CNSUMP)を参照してください。
  • 差引インターバル消費量の計算: インターバル・リストおよびサポートする情報(最初のインターバルの開始検針など)を受信し、前のインターバルの検針からそのインターバルの検針を差し引いて消費量を計算するか、前のインターバルの検針に現在のインターバルの消費量を加えて検針を計算します。例として、アルゴリズム・タイプ「差引インターバル消費量の計算」(D1-SIN-CNSUM)を参照してください。
  • 条件マッピング: 開始検針の詳細とともに単一差引インターバルの詳細を受信し、適用可能な最終条件および検針条件を計算します。これは、差引インターバル計量コンポーネント・タイプでのみ使用されます。例として、アルゴリズム・タイプ「差引インターバル - 条件マッピング」(D1-SIN-CNMAP)を参照してください。

これらのシステム・イベントは、通常、初期測定ライフサイクル(多くの初期測定ビジネス・オブジェクトの「VEE前」ステータスなど)の初期ステージ中に初期測定処理内からコールされます。

計量コンポーネント・タイプ・ビジネス・オブジェクト・アルゴリズムに加えて、計量コンポーネント・タイプ自体が提供する追加のシステム・イベントがあります。

  • 値の導出: 初期測定および関連する最終測定の詳細を受信します。これらの入力を使用すると、主測定または他のいずれかの導出値から導出された値を計算できます。例として、アルゴリズム・タイプ「式を使用した数量の導出」(D1-DERIVAQTY)を参照してください。

重要な計量コンポーネント・システム・イベント

特定の計量コンポーネント・タイプに関連付けられた計量コンポーネント・ビジネス・オブジェクトは、定期推定プロセスで使用される特殊なシステム・イベントをサポートしています。

  • 定期推定: このシステム・イベントは、計量コンポーネントの最終測定履歴をスキャンして欠落した測定を識別し、作業予定または推定初期測定(あるいはその両方)を作成します。このシステム・イベントの詳細は、次のアルゴリズム・タイプを参照してください。例として、アルゴリズム・タイプ「取付履歴に基づくインターバルIMDおよび作業予定の作成」(D1-CIITBIH)および「自動検針スカラー定期推定」(D1-ARSPE)を参照してください。

計量コンポーネント・ビジネス・オブジェクト・オプション

特定の設備タイプに関連付けられた設備ビジネス・オブジェクトは、その設備に関連付けられるデータの定義にとどまらず、システムでの設備の処理方法における重要な役割を担います。次に、設備ビジネス・オブジェクトに定義されたビジネス・オブジェクト・オプションと、そのシステム処理に対する影響のリストを示します。

  • 推定IMD BO: 作成する適切な推定初期測定データを識別するために使用します。
  • 手動上書きIMD BO: 作成する適切な手動上書き初期測定データを識別するために使用します。
  • システム初期測定データBO: 作成する適切なシステム初期測定データを識別するために使用します。
  • 計量コンポーネント消費量関数: 互換性があるすべての計量コンポーネントの360度ゾーンから実行可能な関数を識別します。各計量コンポーネントは、0対多のこれらの関数をサポートできます。
  • インターバル初期測定関数: 互換性があるすべての初期測定ゾーンから実行可能な関数を識別します。各計量コンポーネントは、0対多のこれらの関数をサポートできます。

これらのオプションの詳細を確認するには、計量コンポーネント・ビジネス・オブジェクトにアクセスして、ビジネス・オブジェクト・オプションを調べます。