ヒート・マトリックス、表、ピボット表、トレリスまたはグラフにデータを表示する方法として、グループまたは計算項目を作成できます。
グループや計算項目を使用すると、データ・ソースに存在しない新規メンバーを列に追加できます。これらのメンバーは、カスタム・メンバーとも呼ばれます。
グループは、選択したメンバーの静的リストまたは選択ステップによって生成される動的リストです。グループはメンバーとして表されます。階層列に対して作成されたグループはドリルできますが、属性列に対して作成されたグループはドリルできません。
グループでは、一緒に表示されるメジャー列の既存の集計関数が使用されます。集計は、Oracle BIサーバーの最下位詳細レベルから上方に行われますが、値が二重に集計されることはありません。
計算項目はメンバー間の計算で、ドリルできない1つのメンバーとして表されます。計算項目を作成する際、選択した集計方法(合計、平均、カスタム式など)に新規メンバーを追加します。計算は集計レベルで行われ、最下位詳細レベルでは行われません。
グループまたは計算項目の作成時に「すべてのビュー」オプションを選択すると、グループと計算項目の両方が分析全体の選択ステップになります。したがって、その分析のすべてのビューに使用されます。これらのグループおよび計算項目は、インライン・オブジェクトとしても、名前付きオブジェクトとしても保存できます。詳細は、インラインまたは名前付きでのオブジェクトの保存を参照してください。
「現在のビュー」オプションを選択して特定のビューに対するグループまたは計算項目を作成する場合、グループまたは計算項目は特定のアクティブなビューにのみ適用されます。
グループ(他の製品では「保存済選択」とも呼ばれます)は、列のユーザー定義メンバーです。
グループはメンバーのリストの場合も、メンバーのリストを生成するために実行する選択ステップのセットの場合もあります。すべてのメンバーは同じ属性列または階層列に属し、階層列内の階層レベルは異なっていてもかまいません。グループは常に、列リストの最下部に、追加された順(「選択ステップ」ペインに表示される順)に表示されます。グループには、メンバーまたは他のグループを含めることができます。カスタム・グループを作成して、ビュー内の列にカスタム・グループを追加できます。
グループはカタログに保存して再利用できます。たとえば、グループを分析およびダッシュボードの列プロンプトまたは変数プロンプトに適用できます。グループをプロンプトに適用すると、実行時、プロンプトでは、グループまたはグループのメンバーが選択リスト・オプションとしてユーザーに示されます。ユーザーがグループまたは列メンバーを選択した場合のプロンプトによる選択ステップのオーバーライドの詳細は、列プロンプトによる選択ステップのオーバーライドを参照してください。
計算項目はメンバー間の計算で、1つのメンバーとして表されます。
計算項目を使用すると、Oracle BIリポジトリで指定されているデフォルトの集計ルール、および設計者によって選択されている集計ルール(既存の分析の場合)をオーバーライドできます。計算項目は、カスタム式を使用して(デフォルト)または選択したメンバーと関数(SUMなど)を組み合せて定義できます。
計算項目は、ユーザーが定義した列のメンバーです。計算項目には、メンバーまたは他の計算項目を含めることができます。計算項目は常に、列リストの最下部に、追加された順(「選択ステップ」ペインに表示される順)に表示されます。計算項目はカタログに保存して再利用できます。
計算項目は、メンバーのセットを1つのエンティティとして表示したり操作する場合に便利です。たとえば、次のものに対して計算項目を定義できます。
地理的地域の主要な取引先
ハイエンドの製品
標準的でない期間(9月の最初の3週間など)
計算項目は、様々な場所で列に対して作成できます。計算は、表およびピボット表への合計の追加に記載されている、メジャーに適用されるデフォルトの集計ルールとは異なります。内部では、計算項目は、SQLのSELECT文として処理され、指定された関数が結果セットに対して実行されます。SQL関数の詳細は、論理SQLリファレンスを参照してください。
ビューの計算項目またはグループを作成できます。
次の手順を使用して、計算項目またはグループを作成します。
計算項目またはグループを作成するには:
注意:
分析のデータ・ソースがOracle OLAPである場合、グループの使用時にエラーに遭遇する可能性があります。ビューにグループが含まれている状態でエラー・メッセージが表示された場合、その分析のメジャー列が外部集計を使っていることが問題の原因である可能性があります。次のソリューションのいずれかを実装することについて、管理者に確認してください。
リポジトリのメジャーに対し、集計ルールを明示的に指定します。
Oracle OLAP分析ワークスペースのディメンション・メンバーとして適切な値のグループを作成します。
グループおよび計算項目は、ユーザーに対して最も役立つ情報を表示するように更新できます。
グループや計算項目は、様々な方法で編集できます。
「選択ステップ」ペインで計算項目またはグループのリンクをクリックし、「編集」をクリックして適切なダイアログを表示します。
オブジェクトをカタログに保存してある場合、「カタログ」ペインでオブジェクトを選択し、「編集」をクリックして適切なダイアログを表示します。
(外側エッジの)ヒート・マトリックス、表、ピボット表またはトレリスで、グループまたは計算項目を右クリックして「グループの編集」または「計算項目の編集」を選択します。
グループまたは計算項目の値は、次のリストに示すように、フィルタや選択ステップの影響を受けます。
フィルタ - グループまたは計算項目は、フィルタを使用して削除されていないメンバーのみを使用して評価されます。たとえば、SUM(EAST + WEST)という計算項目がある場合、フィルタでWESTを削除すると、 EASTの合計のみが計算項目として含められます。すべてのメンバーを削除すると、null値が返され、ヒート・マトリックス、表、ピボット表またはトレリスでは空のセルとして表示されます。
選択ステップ - 選択ステップを作成すると、ステップにグループまたは計算項目を追加できます。後続の保持のみステップまたは削除ステップで、グループまたは計算項目に含まれていたメンバーを参照する場合があります。
グループ・リストは、後続のステップで保持または削除されたメンバーの影響を受けますが、グループ・アウトライン値は同じままになります。たとえば、MyNewYorkグループにAlbanyとBuffaloが含まれ、その値が100とします。後続のステップでAlbanyが削除されるとします。MyNewYorkグループの値は100のままですが、Albanyはグループのリストには含まれません。
計算項目は、後続のステップで保持または削除されたメンバーの影響を受けません。
「現在のビュー」オプション・ボタンを使用して作成したすべてのビューからグループまたは計算項目を削除すると、グループまたは計算項目は残りますが、その後追加する新しいビューには追加されなくなります。
「すべてのビュー」オプション・ボタンを使用して作成したすべてのビューからグループまたは計算項目を削除すると、グループまたは計算項目は残り、その後追加する新しいビューに追加されます。
右クリック・メニューを使用してグループまたは計算項目を削除する場合は、次の点を考慮してください。
ダッシュボード・ページ内のビュー — 計算項目またはグループは、現在のビューからのみ削除されます。
ビュー・エディタ内のビュー — 計算項目またはグループは、すべてのビューからのみ削除されます。
別の分析で作成された列と同じ列にグループを追加できます。
分析に追加されるグループは、メンバーのリスト、または選択ステップのセットのいずれかとなります。これらのグループについては、グループ・オブジェクトとしての選択ステップの保存を参照してください。
次の手順では「結果」タブの使用によるグループの追加方法について説明しますが、これは、「カタログ」ペインが表示される任意の場所で行うことができます。次の方法でもグループを追加することができます。
「メンバー・ステップの編集」ダイアログの「アクション」ボックスで「グループまたは計算項目で開始」を選択し、「カタログ」ペインの「使用可能」リストからグループを選択します。
「選択ステップ」ペインで、適切な列に対する「次に、新規ステップ」をクリックして「グループまたは計算項目の追加」を選択し、「既存のグループおよび計算項目の選択」を選択してから表示されたダイアログでグループを選択します。
「カタログ」ペインを使用してグループを別の分析に追加するには:
グループや計算項目を使用していて、それらをネストする必要が生じる場合があります(ネストとは、グループの内部にグループを作成することなどを意味します)。
次のリストに、グループおよび計算項目をネストする様々なシナリオを示します。
グループはネストする(グループに他のグループを含める)ことができます。ネストしたグループはフラット化されています。たとえば、my_favorite_countriesグループにmy_favorite_citiesグループが含まれているとします。表にmy_favorite_countriesグループを表示して展開すると、my_favorite_citiesグループは表示されません。かわりに、my_favorite_citiesグループのメンバー値が表示されます。
計算項目はネストする(計算項目に他の計算項目を含める)ことができます。
グループに計算項目を含めることはできず、計算項目にグループを含めることもできません。
選択ステップを使用する場合、次のようになります。
グループまたは計算項目を含む選択ステップは、結果が実行時に生成される一連のステップとして、または静的で毎回再表示される結果として保存できます。
ステップの保存済選択であるグループは「カタログ」ペインを使用して適用できます。保存済選択に計算項目に対するステップが含まれている場合にこれを行うと、グループのメンバーのみが追加されます。グループ自体は追加されません。
計算項目について理解するには、SQLについての基本的な理解が必要です。
この項の例と説明は、SQL文と構文に対する基本的な知識があることを前提としています。これらの例に示される構文は、「新規計算項目」ダイアログのカスタム式関数に適用されます。例は仮定のものです。すべての計算項目が示されているわけではありません。
例6-1に、SoftDrinkA、SoftDrinkB、SoftDrinkCの各製品の現在のメジャーの値(売上金額など)を取得し、値を合計するコードを示します。
これは、「関数」リストから「SUM」を選択し、「SoftDrinkA」、「SoftDrinkB」、「SoftDrinkC」をクリックして、「関数」フィールドに追加するのと同じです。
例6-2では、SoftDrinkAまたはSoftDrinkBの現在のメジャー(売上金額など)の最小値、つまりいずれか小さい方を取得します。
例6-1および例6-2では、各関数計算項目は、製品レイヤーなどの外側のレイヤーの各メンバーに対して実行されます。たとえば、軸に年と製品があり、先行する計算項目の1つが製品レイヤーに基づく場合、結果は年ごとに計算されます。
例6-3では、年や製品などの外側のレイヤーの各アイテムの値を取得し、合計します。
SoftDrinkAなどの属性列の名前付きアイテムを指定するかわりに、$nや$-n(nはアイテムの行位置を示す整数)と指定できます。$nと指定した場合、メジャーはn番目の行から取得されます。$-nと指定した場合、メジャーは最後からn番目の行から取得されます。
たとえば、売上金額の場合、$1でデータ・セットの最初の行からメジャーが取得され、$-1でデータ・セットの最後の行からメジャーが取得されます。
例6-4では、売上金額などの現在のメジャーの1番目、2番目および3番目の行からアイテムが取得され、合計されます。
例6-5では、SoftDrinkA、SoftDrinkBおよびSoftDrinkCの売上を合計します。例に示す2つの計算項目は同じであることに注意してください。つまり、Sumはデフォルトの関数であるため、省略できます。
例6-6では、SoftDrinkAの売上とdiet SoftDrinkAの売上を合計し、SoftDrinkBの売上とdiet SoftDrinkBの売上を合計して、2つの金額のうち大きい方を返します。
例6-1 現在のメジャーの値の取得
sum('SoftDrinkA','SoftDrinkB','SoftDrinkC')
例6-2 現在のメジャーの最小値の取得
min('SoftDrinkA','SoftDrinkB')
例6-3 外側のレイヤーの各アイテムの値の取得
sum(*)
例6-4 メジャーの値の取得と合計
sum($1,$2,$3)
例6-5 売上値の追加
'SoftDrinkA' + 'SoftDrinkB' + 'SoftDrinkC'
sum('SoftDrinkA','SoftDrinkB','SoftDrinkC')
例6-6 売上値の合計と最大値の戻し
max('SoftDrinkA' + 'diet SoftDrinkA', 'SoftDrinkB' + 'diet SoftDrinkB')