Oracle® Solaris での OpenStack (Kilo) のインストールと構成

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更新: 2016 年 6 月
 
 

プロバイダルーターについて

ルーターは、プロジェクト VM インスタンスに、より広いネットワークとの接続を提供します。ルーターは、すべてのプロジェクトネットワークによって共有されます。ルーターは 1 つしかないため、プロジェクトネットワークは重複した IP アドレスを使用できません。

ルーターは、そのルーターを外部ネットワークに接続するインタフェース上で双方向のネットワークアドレス変換 (NAT) を実行します。プロジェクトには必要なだけ、またはフローティング IP の割り当て制限によって許可されている数だけのフローティング IP (パブリック IP) を割り当てることができます。これらのフローティング IP は、外部接続を必要としている VM インスタンスに関連付けられています。

ルーターを作成するには、Neutron L3 エージェントを構成する必要があります。このエージェントは、Nova インスタンスに割り当てられたアドレスとフローティング IP アドレスとの間の 1 対 1 NAT マッピングを自動的に作成します。L3 エージェントは、プライベートネットワーク間の通信も可能にします。

デフォルトでは、同じプロジェクトのプライベートネットワーク間のルーティングは無効になっています。この動作を変更するには、/etc/neutron/l3_agent.ini 構成ファイル内の allow_forwarding_between_networksTrue に設定します。このパラメータを設定したあと、neutron-l3-agent SMF サービスを再起動します。

外部ネットワーク用にルーターを構成する方法

この手順では、外部ネットワーク用にルーターを作成する方法を示します。この手順の一部には、構成ファイルの編集が必要です。そのため、この手順では Horizon ダッシュボードより端末ウィンドウを使用した方が便利です。

Neutron サービスがインストールされているノード上で、次の手順を実行します。このドキュメントでは、前の章で説明されているサンプルアーキテクチャーに基づいて、コントローラノード上でこのサービスを見つけます。

始める前に

Neutron をインストールし、構成する方法の説明に従って Neutron の構成を完了していることを確認してください。

  1. IP フィルタサービスが無効になっている場合は、それを開始します。
    controller# svcadm enable -rs ipfilter
  2. ホスト上で IP 転送が無効になっている場合は有効にします。
    controller# ipadm set-prop -p forwarding=on ipv4
  3. Neutron のグローバルシェル変数を設定します。
    controller# export OS_USERNAME=neutron
    controller# export OS_PASSWORD=service-password
    controller# export OS_PROJECT_NAME=service
    controller# export OS_AUTH_URL=http://$CONTROLLER_ADMIN_NODE:5000/v2.0
  4. プロバイダルーターを作成します。
    controller# neutron router-create router-name

    このコマンドは、ルーター名とそれに対応する ID を表示します。次の手順で、この ID を使用して構成ファイルを更新します。

  5. /etc/neutron/l3_agent.ini ファイルに、次の一連のパラメータが含まれていることを確認します。
    router_id=routerID前の手順から取得した ID。
  6. neutron-l3-agent SMF サービスを有効にします。
    controller# svcadm enable neutron-l3-agent
  7. (オプション) ルーターに関する情報を表示します。

    ルーターに外部ネットワークを追加すると、そのルーターに関する詳細情報が追加されます。

    controller# neutron router-show router-name
使用例 1  ルーターの作成

この例では、外部ネットワーク用にルーターを作成する方法を示します。

controller# svcadm enable -rs ipfilter

controller# ipadm set-prop -p forwarding=on ipv4
controller# ipadm set-prop -p forwarding=on ipv6

controller# export OS_USERNAME=neutron
controller# export OS_PASSWORD=service-password
controller# export OS_PROJECT_NAME=service
controller# export OS_AUTH_URL=http://$CONTROLLER_ADMIN_NODE:5000/v2.0

controller# neutron router-create ext-router
Created a new router:
+-----------------------+--------------------------------------+
| Field                 | Value                                |
+-----------------------+--------------------------------------+
| admin_state_up        | True                                 |
| external_gateway_info |                                      |
| id                    | f89b24ed-42dd-48b0-8f4b-fd41887a3370 |
| name                  | ext-router                           |
| status                | ACTIVE                               |
| project_id            | 7d1caf0854b24becb28df5c5cabf72cc     |
+-----------------------+--------------------------------------+

この時点で、/etc/neutron/l3_agent.ini ファイル内の router_id を更新します。

router_id = f89b24ed-42dd-48b0-8f4b-fd41887a3370

次に、L3 エージェントサービスを有効にします。

controller# svcadm enable neutron-l3-agent