Oracle® Solaris での OpenStack (Kilo) のインストールと構成

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更新: 2016 年 6 月
 
 

コアコンポーネントベースの機能

このセクションでは、OpenStack の Kilo バージョンのコアコンポーネントに導入された機能について説明します。

Cinder 関連機能

Cinder の次の機能が追加されました。

  • リモート SAN ストレージの使用

    ストレージエリアネットワーク (SAN) のサポートにより、リモートで Cinder サービスを配備できます。詳細については、ストレージのためのリモートシステムの配備を参照してください。

  • ボリュームのバックアップおよび復元操作のサポート

    Oracle Solaris では現在、Cinder バックアップ SMF サービスが有効になっています。そのため、未接続のボリュームをバックアップし、構成済みバックエンド間で復元できます。現在は、Swift が唯一のサポートされるバックエンドです。

  • Cinder ボリュームの移行のサポート

    Cinder では、Cinder ボリュームの移行に ZFS 操作を利用します。ZFS の送受信プロセスを使用すると、異なる構成済み Cinder バックエンド間でのボリュームの移行が可能になります。移行先が移行元と同じ zpool に存在する場合は、ZFS の名前変更操作が使用されます。現在、Cinder ボリュームの移行のサポートは単一システムに制限されています。

  • manage オプションによって、Cinder のボリューム管理が拡張されているため、Cinder 機能の外部で作成されたボリュームをインポートできます。これらのボリュームがインポートされたら、通常の Cinder ボリュームと同じように、クラウド内でそれらを管理できます。

    同様に、unmanage オプションによって Cinder ボリュームを非表示にして、アクセスを無効にできます。このオプションによってボリュームは削除されません。そのため、それらを再インポートして、ボリュームへのアクセスを再度有効にできます。

    Manage/Unmanage 機能は、Horizon ダッシュボードとコマンド行の両方で使用できます。

  • 新しいプロパティーで更新された ZFSSA Cinder ドライバは、現在の Kilo 実装で使用できます。OpenStack で、ZFSSA 構成設定を調整するには、手順について、アップグレード後のタスクを参照してください。

  • Solaris の OpenStack Cinder NFS Volume ドライバのサポートを利用できます。タイプ nfs のボリュームを作成できます。NFS ファイルアクセスは、Cinder でユーザーおよびグループとして定義されます。ただし、現在このドライバのサポートは、カーネルゾーンに制限されています。

    詳細については、Cinder NFS ドライバの使用を参照してください。

  • 複数のバックエンドがある構成で、作成するすべてのコンピュートノードのブートボリュームを指定できます。この機能を使用して Cinder を構成するには、コンピュートノードのブートボリュームの指定を参照してください。

Nova 関連機能

Nova の次の機能が追加されました。

  • セキュアなライブ移行

    Oracle Solaris ゾーンの機能であるライブ移行のサポートが Nova ノードの VM インスタンスに拡張されています。ノードのライブ移行の詳細については、VM インスタンスの移行および退避を参照してください。

  • インスタンスの退避のサポート

    ホストの障害発生時またはホストでサービスが無効になった場合に、nova evacuate コマンドを使用して、インスタンスを回復用に別のノードに移動できます。退避のサポートは、ルートデバイスが共有ストレージ上に存在する場合にのみ利用できます。さらに、退避は非大域ゾーンではなく、カーネルゾーンでのみサポートされます。

  • VM インスタンスのサイズ変更の機能

    VM インスタンスのフレーバを変更することによって、そのサイズを変更できます。新しいフレーバは、CPU 容量、メモリー、およびその他のリソースなどのさまざまなプロパティーを VM インスタンスに提供します。詳細については、VM インスタンスのサイズ変更を参照してください。

Neutron 関連機能

Neutron の次の機能が追加されました。

  • Neutron-in-Kernel ゾーン機能

    ゾーンでの動的 MAC アドレスおよび VID のサポートにより、カーネルゾーンに Neutron をインストールできます。詳細については、カーネルゾーンへの Neutron の配備を参照してください。

  • サービスとしての VPN

    サービスとしての VPN (VPNaaS) は Neutron によってサポートされています。さらに、すでに Neutron に割り当てられているプロファイルに「Network IPsec Management」プロファイルが追加されます。このプロファイルによって、管理者は IPsec および IKE システム管理機能 (SMF) サービスを管理できます。

Oracle Solaris の機能の追加

これらの機能追加は Oracle Solaris の OpenStack のドライバ側の拡張機能です。これらの拡張機能は、すでにコアアップストリームプロジェクトに実装されています。

cloudbase-init のサポート

cloudbase-init サービスは、クラウド内のゲストオペレーティングシステムの初期化と構成を容易にします。タスクには、ユーザーの作成、パスワードの生成、静的ネットワーク構成、ホスト名、SSH 公開鍵、およびユーザーデータスクリプトが含まれます。サービスの構成ファイルは /etc/cloudbase-init.conf です。

cloudbase-init の Oracle Solaris バージョンは、SMF サービス application/cloudbase-init として実行し、デフォルトで有効になっています。ユーザーデータを介してエクスポートされたスクリプトは、通常、特権アクセスを必要とするシステムおよびアプリケーション構成タスクを実行します。そのため、cloudbase-init サービスは、ユーザールートとして実行し、ユーザーデータスクリプトもルートとして実行します。

cloudbase-init パッケージはどの標準グループパッケージにも含まれていません。ユーザーはパッケージを、クラウド環境に配備することを明確に意図されたイメージにのみインストールしてください。


注 -  現在この OpenStack リリースでは、/etc/cloudbase-init.conf ファイルは、UserData プラグインのみを有効にします。

Cloudbase-Init の詳細については、 http://cloudbase-init.readthedocs.io/en/latest/tutorial.html を参照してください。

OpenStackClient の実装

OpenStackClient (OSC) は、共通のコマンド構造で、すべてのコンポーネントコマンドセットを 1 つのシェルに組み合わせる OpenStack コミュニティーからのクライアントです。そのため、以前のバージョンに keystone user-listglance image-showneutron net-list などのコンポーネントに基づいたコマンドがあった場合、openstack user list など、これらのコマンドのほとんどは openstack と一緒にメインコマンドとして発行されます。

Kilo の現在のバージョンでは、すべての keystone コマンドは非推奨です。keystone コマンドを使用すると、該当するアラートが生成されます。

OSC の詳細については、http://docs.openstack.org/developer/python-openstackclient/index.html を参照してください。

以前のコマンドと OSC のそれらの同等のコマンドのリストについては、OpenStackClient コマンドを参照してください。