Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド 11g リリース1(11.1) E05700-03 |
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この項では、Oracle Database 11g リリース1のバックアップおよびリカバリの新機能について説明します。今回のリリースの新機能によって、Oracle Databaseのバックアップおよびリカバリの管理性が大幅に向上します。特に、データ・リカバリ・アドバイザの導入、Recovery ManagerとData Guardとの統合の向上、リカバリ・カタログ機能の拡張およびアーカイブREDOログの管理の向上によって、高い管理性が実現されています。
今回のリリースの新機能は、次のとおりです。
データ・リカバリ・アドバイザは、自動的にデータ障害を診断し、修復を推奨する組込みツールです。障害は、手動で修復するか、または自動的に修復されるように要求することができます。データ・リカバリ・アドバイザでは、LIST FAILURE
、CHANGE FAILURE
、ADVISE FAILURE
およびREPAIR FAILURE
のコマンドがサポートされています。
参照:
データ・リカバリ・アドバイザのコマンドについては、第14章「データ・リカバリ・アドバイザを使用した障害の診断および修復」および『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』を参照してください。 |
Recovery ManagerをTARGET
としてデータベースに接続せずに、プライマリ・データベースまたはフィジカル・スタンバイ・データベースに対してRecovery Managerの永続構成を設定できるようになりました。Recovery ManagerはData Guard環境内のすべてのデータベースでシームレスに動作するため、あるデータベースに作成したバックアップをリストア用に、別のデータベースで作成したものをリカバリ用に使用できます。同じリカバリ・カタログで、すべてのプライマリ・データベースおよびスタンバイ・データベースのメタデータを管理できます。
BACKUP
... KEEP
コマンドを使用して、長期バックアップを作成するか、またはバックアップに一貫性を持たせるために必要なアーカイブ・ログ・ファイルのみを保存するアーカイブ・バックアップを作成できるようになりました。
Recovery Managerは、フラッシュ・リカバリ領域にあるアーカイブREDOログ・ファイルのバックアップ時に、リカバリ領域外のアーカイブ先に対してフェイルオーバーを実行できるようになりました。リカバリ領域のログが欠落または破損した場合に、Recovery Managerは、代替格納場所にあるアーカイブ・ログの正常なコピーを使用してバックアップの書込みを続行できます。
CONFIGURE
コマンドでアーカイブ・ログの削除方針を構成すると、フラッシュ・リカバリ領域を含むすべてのアーカイブ先にその構成が適用されるようになりました。フラッシュ・リカバリ領域と同様に、BACKUP
... DELETE INPUT
およびDELETE
... ARCHIVELOG
のいずれもこの構成に従います。ログがスタンバイ・データベース転送先に適用または転送された後でのみ削除対象となるように、CONFIGURE
コマンドでアーカイブREDOログの削除方針を構成することもできます。方針は、必須のスタンバイ転送先のみに対して設定するか、またはすべてのスタンバイ転送先に対して設定できます。
参照:
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DUPLICATE
コマンドを使用して、既存のデータベース・バックアップを必要とせずに、ネットワーク上に複製データベースまたはフィジカル・スタンバイ・データベースを作成できるようになりました。この形式の複製は、アクティブなデータベースの複製と呼ばれます。
リカバリ・カタログの所有者は、同じリカバリ・カタログ・データベース内の他のデータベース・ユーザーに対して、カタログのサブセットへのアクセス権限の付与(GRANT
)または取消し(REVOKE
)を実行できるようになりました。このサブセットは、仮想プライベート・カタログと呼ばれます。また、IMPORT CATALOG
コマンドを使用して、1つのリカバリ・カタログ(またはカタログ内の特定のデータベースのメタデータ)を別のリカバリ・カタログにマージすることもできます。
Recovery Managerは、作業を複数のチャネルに分割することによって、1つのファイルをパラレルでバックアップできるようになりました。各チャネルで1つのファイル・セクションがバックアップされます。BACKUP
コマンドにSECTION SIZE
を指定して、マルチセクション・バックアップを作成します。マルチセクション・バックアップは自動的にパラレルでリストアされます。オプションは不要です。
VALIDATE
... SECTION SIZE
を使用して、ファイルの検証をパラレル化することができます。
参照:
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BACKUP
コマンドでは、バックアップのリカバリに不要なUNDOはバックアップされなくなりました。すでにコミットされたトランザクションに対してUNDOが生成された場合、そのUNDOは不要となります。データベース内の大部分のUNDOはこのような不要なUNDOです。
Recovery Managerでブロック・メディア・リカバリを実行すると、バックアップを検索する前に、必要なブロックのフラッシュバック・ログ(使用可能な場合)が自動的に検索されるようになりました。フラッシュバック・ログから取得したブロックを使用すると、ブロック・メディア・リカバリのパフォーマンスを大幅に向上できます。
Recovery Managerを含むいくつかのデータベース・コンポーネントおよびユーティリティで、破損ブロックを検出してV$DATABASE_BLOCK_CORRUPTION
に記録できるようになりました。破損ブロックは、インスタンス・リカバリによって検出されると、このビューに自動的に記録されます。Oracle Databaseでは、ブロックの破損が検出または修復されると、このビューが自動的に更新されます。VALIDATE
コマンドは、VALIDATE ... BLOCK
、VALIDATE DATABASE
などの多くの新しいオプションで拡張されています。
参照:
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Recovery Managerでは、バックアップのバイナリ圧縮用の既存のBZIP2
アルゴリズムに加えて、ZLIB
アルゴリズムもサポートされるようになりました。ZLIB
はBZIP2
より高速で実行されますが、作成されるファイルのサイズが大きくなります。ZLIB
には、Oracle Advanced Compressionオプションが必要です。CONFIGURE COMPRESSION ALGORITHM
コマンドを使用して、Recovery ManagerのバックアップにBZIP2
(デフォルト)とZLIB
のいずれを使用するかを選択できます。
フィジカル・スタンバイ・データベースでブロック・チェンジ・トラッキングを有効にできるようになりました。スタンバイ・データベースのバックアップ時に、Recovery Managerは、ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルを使用して、最後の増分バックアップ以降に変更されたブロックを迅速に識別できます。
実行時にユーザーの入力を受け入れるRecovery Managerのコマンド・ファイルおよびストアド・スクリプトを作成できるようになりました。これによって、バックアップ・スクリプトで、タグ、ファイル名、リストア・ポイント名などにRecovery Managerの置換変数を使用できます。
Oracle VSSライターが、Windows上でVolume Shadow Copy Service(VSS)インフラストラクチャを使用するアプリケーションと統合されました。VSS対応ソフトウェアおよびストレージ・システムを使用して、Oracle Databaseをバックアップおよびリストアできます。主なメリットとしては、オープン状態のデータベースのシャドウ・コピーを作成できることがあげられます。
DB_LOST_WRITE_PROTECT
初期化パラメータで、スタンバイ・データベースの管理リカバリ中またはプライマリ・データベースのメディア・リカバリ中に消失書込みを検出できるようになりました。消失書込みの検出は、デフォルトでは無効になっています。
以前のリリースでは、Recovery Managerは、転送先データベースでトランスポータブル表領域が読取り/書込みに設定されるまで、そのトランスポータブル表領域をバックアップすることはできませんでした。今回のリリースでは、Recovery Managerは、トランスポータブル表領域が読取り/書込みではない場合でも、そのトランスポータブル表領域をバックアップし、そのバックアップをリストアできるようになりました。
Enterprise Managerに、データ・リカバリ・アドバイザ用のインタフェースが追加されました。
トランザクションを無効にできます。Oracle Databaseによって、トランザクション間の依存性が判別され、不要な変更を無効にする補正トランザクションが実際に作成されます。データベースは、トランザクション、およびそのトランザクションに依存している他のすべてのトランザクションが発生しなかった場合と同様の状態まで巻き戻されます。
フラッシュバック・データ・アーカイブによって、表の存続期間中、その表に対するトランザクション関連のすべての変更をデータベースで自動的に追跡して保存できるようになりました。したがって、この機能をデータベース・アプリケーションに組み込む必要はありません。
フラッシュバック・データ・アーカイブは、コンプライアンス、監査レポート、データ分析およびDSS(意思決定支援システム)で特に有効です。フラッシュバック・データ・アーカイブとともにいくつかの論理フラッシュバック機能を使用すると、非常に古いデータにアクセスできます。
参照:
フラッシュバック・データ・アーカイブの構成方法および使用方法については『Oracle Databaseアドバンスト・アプリケーション開発者ガイド』、フラッシュバック機能の概要は「Oracleフラッシュバック技術」を参照してください。 |
対称マルチプロセッシング(SMP)・コンピュータ上のデータベースのメディア・リカバリが高速化されました。パフォーマンスでの向上された点は、次のとおりです。
構成は不要ですが、デフォルトの適用率が十分でない場合は、新しいparallel recovery待機イベントを使用してチューニングできます。
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