Oracle Database 2日でReal Application Clustersガイド 11g リリース1(11.1) E05737-03 |
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WebベースのOracle Enterprise Manager Database ControlおよびGrid Controlのインタフェースでは、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)データベースを管理できます。Oracle Enterprise Managerコンソールは、Oracle環境の制御における中心点です。Database Controlコンソールを使用して、クラスタ・データベースの管理タスクを開始します。Grid Controlコンソールを使用して、複数のOracle RACデータベースおよびクラスタ・ノードを管理します。
この章では、Oracle RAC環境の管理について説明します。また、データベース・コンポーネントの起動タスクと停止タスク、およびOracle RACでのパラメータとパラメータ・ファイルの管理方法についても説明します。この章の内容は次のとおりです。
Oracle RACは、1つ以上の個々のコンピュータをリンクして1つのシステムとして機能させるテクノロジです。Oracle RACにより、クラスタ・データベースのメンバーである各コンピュータ(ノード)はOracleデータベースへのアクセスを共有できるようになります。あるクラスタ・ノードがエラーまたはオフラインになっても、他のクラスタ・ノードは引き続き稼働し、Oracle RACデータベース全体が使用可能なままになります。つまり2つ以上の安価なコンピュータが、アプリケーションでは、はるかに強力で高価な単一のコンピュータであるかのように認識されます。
2ノードのOracle RACデータベースのパフォーマンスを向上するには、クラスタ・ノードを追加できます。各ノードを追加すると、アプリケーションの処理が高速化され、より多くのユーザーまたはプロセス、あるいはその両方がサポートされます。また、クラスタ・ノードを追加すると、2ノードのRACデータベースの可用性および信頼性も向上できます。Oracle RAC環境のノード数が増えると、個々のノードの損失によりデータベースが受ける影響が少なくなります。
Oracle RACデータベースには、クラスタ・ノード、共有記憶域およびOracle Clusterwareという3つのコンポーネントが必要です。クラスタのノード数および使用する共有記憶域のタイプは任意に選択できますが、このマニュアルでは、ある特定の2ノード・クラスタ構成について説明します。この2ノード構成では、記憶域管理用に自動ストレージ管理(ASM)、またバックアップおよびリカバリ計画用にRecovery Manager(RMAN)が使用されます。
ほとんどの管理タスクは、単一インスタンスのOracleデータベースとOracle RACデータベースの間で同じです。このガイドでは、Oracle RACに固有のデータベース管理タスクに関する追加指示と、Oracle RACデータベースの管理のための推奨事項をそれぞれいくつか説明します。
WebベースのOracle Enterprise Manager Database ControlコンソールおよびOracle Enterprise Manager Grid Controlコンソールでは、Oracle RACデータベースを管理できます。Oracle Enterprise Managerは、グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)を介してアクセスするOracle環境を制御するための中心点です。Oracle Enterprise Managerでは、サービスを作成および変更でき、クラスタ・データベース・インスタンスとクラスタ・データベースを起動および停止できます。Oracle Enterprise Manager Database Controlは、クラスタ・データベースの管理タスクに使用します。Oracle Enterprise Manager Grid Controlは、Oracle RACデータベースだけでなく、Oracle RAC環境全体の管理に使用します。
クライアント・ブラウザを使用してOracle Enterprise Managerにログインすると、「クラスタ・データベース: ホーム」ページが表示されます。「クラスタ・データベース: ホーム」ページは、単一インスタンスの「データベース: ホーム」ページに似ています。ただし、「クラスタ・データベース: ホーム」ページでは、Oracle RAC環境全体のシステム状態および可用性が表示されます。これには、アラート・メッセージおよびジョブ・アクティビティに関するサマリーや、すべてのデータベースおよび自動ストレージ管理(ASM)インスタンスへのリンクおよびそのステータスが含まれます。このページでクラスタ名をクリックすると「クラスタ: ホーム」ページが表示され、使用しているクラスタのステータスおよびアラートを表示できます。
Oracle By Example(OBE)には、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』用に作成された一連のチュートリアルが含まれています。このシリーズには、Oracle Enterprise Managerを使用してOracle RACデータベースを管理する方法を説明するOBEチュートリアルが含まれています。このOBEチュートリアルを表示するには、次のURLに移動します。
http://www.oracle.com/technology/obe/10gr2_2day_dba/rac/rac.htm
通常、クラスタ・データベースの起動および停止は、Oracle Enterprise Managerの「クラスタ・データベース: ホーム」ページから行います。クラスタ・データベースの起動および停止の操作にこのページを使用すると、Oracle RACデータベースに属するすべてのインスタンスの一貫性を保てます。これにより、Oracle RACデータベースをさらに簡単に管理できるようになります。
Oracle RACデータベース内の個々のインスタンスの起動および停止もできます。ただし、Oracle RACデータベース内の1つのインスタンスを起動または停止しても、その他のインスタンスは起動または停止されません。Oracle RACデータベースを完全に停止するには、そのすべてのインスタンスを停止する必要があります。
http://hostname:portnumber
/em
たとえば、http://docrac1.mycompany.com:1158/em
などです。
「起動/停止: 資格証明の指定」ページが表示されます。
OSDBA
またはOSOPER
のメンバーであるユーザーのユーザー名およびパスワードです。「起動/停止: 操作の選択」ページが表示されます。
「起動/停止: 確認」ページが表示されます。
個々のインスタンスを起動および停止するには、「起動/停止: 操作の選択」ページに移動して、起動または停止するインスタンスを選択し、必要に応じてインスタンスを起動または停止します。
また、インスタンスは、SQL*Plusまたはサーバー制御(SRVCTL)を使用して起動および停止することもできます。
Oracle RACデータベースの初期化パラメータの管理は、基本的には単一インスタンスのOracleデータベースの管理と同様です。ただし、Oracle RACデータベースのパラメータの場合、次の点が異なります。
Oracle RAC環境における初期化パラメータの管理は、単一インスタンスのデータベースにおけるパラメータ管理とは若干異なります。たとえば、パラメータがクラスタ全体のデータベース初期化パラメータであることを示すアスタリスクでマークされているパラメータ設定を変更すると、Oracle RACデータベース内のすべてのインスタンスのパラメータ設定が変更されます。接頭辞にインスタンス名のある初期化パラメータ、またはインスタンス固有の初期化パラメータを変更すると、変更はそのインスタンスのみに適用され、そのパラメータの他のデータベース・インスタンスでの設定には影響しません。
この項の内容は次のとおりです。
サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)は初期化パラメータのリポジトリの一種で、Oracleデータベースが起動しているサーバー、またはOracle RACデータベースの共有記憶域に保持されます。サーバー・パラメータ・ファイルに格納された初期化パラメータは持続性があり、インスタンスの実行中に加えられたパラメータへの変更はインスタンスの停止から起動までの間も持続します。
初期化パラメータ・ファイルは、初期化パラメータ設定が含まれているテキスト・ファイルです。SPFILEとは対照的に、このパラメータ・ファイルはバイナリではなく、データベース・サーバー上に配置する必要はありません。データベースでは、テキストベースの初期化パラメータ・ファイルに対して読取りを行うことはできますが、書込みは行なわれません。
デフォルトでは、Oracleデータベースによってほとんどのパラメータがデフォルト値に設定されます。この値は、すべてのインスタンスで同じです。ただし、『Oracle Databaseリファレンス』に示すとおり、多くの初期化パラメータには、インスタンスごとに異なる値も設定できます。その他のパラメータは、次の項で示すとおり、すべてのインスタンスで同じまたは一意である必要があります。
データベースの作成に重要な特定の初期化パラメータ、または特定のデータベース操作に影響する特定の初期化パラメータは、Oracle RACデータベースの各インスタンスで同じ値を設定する必要があります。これらのパラメータ値は、SPFILEに指定するか、または各インスタンスの個別のPFILEで指定します。次のリストに、すべてのインスタンスで同一である必要があるパラメータを示します。
ACTIVE_INSTANCE_COUNT
CLUSTER_DATABASE
CLUSTER_DATABASE_INSTANCES
COMPATIBLE
CONTROL_FILES
DB_BLOCK_SIZE
DB_DOMAIN
DB_FILES
DB_NAME
DB_RECOVERY_FILE_DEST
DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE
DB_UNIQUE_NAME
INSTANCE_TYPE
(RDBMSまたはASM)
PARALLEL_MAX_SERVERS
REMOTE_LOGIN_PASSWORDFILE
RESULT_CACHE_MAX_SIZE
UNDO_MANAGEMENT
DML_LOCKS
の設定は、0(ゼロ)に設定されている場合のみ、すべてのインスタンスで同じ値である必要があります。
Oracle RACでは、起動時におけるインスタンスの識別にINSTANCE_NUMBER
パラメータが使用され、特定のインスタンスに対するREDOログ・グループの割当てにTHREAD
パラメータの数値が使用されます。管理作業を簡略化するには、各インスタンスのTHREAD
パラメータおよびINSTANCE_NUMBER
パラメータの両方に同じ値を使用します。
ROLLBACK_SEGMENTS
パラメータを使用して各インスタンスのUNDOの格納に使用するロールバック・セグメントの名前を指定する場合は、それぞれの一意のロールバック・セグメント名の一部としてインスタンスSIDを使用することをお薦めします。UNDO_MANAGEMENT
パラメータがAUTO
に設定されている場合は、Oracle RACデータベースによって自動UNDO管理モードが使用され、ROLLBACK_SEGMENTS
パラメータの設定は無視されます。自動UNDO管理を使用すると、Oracle RACによって、各インスタンスで使用されるUNDOセグメントの一意の名前が生成されます。
Oracle RACデータベースで自動UNDO管理を使用する場合は、UNDO_TABLESPACE
パラメータを各インスタンスの別のUNDO表領域に設定します。
次のパラメータは、すべてのインスタンスで同じ値に設定することをお薦めします。これらのパラメータは様々なインスタンスで異なる設定にもできますが、各パラメータをすべてのインスタンスで同じ値に設定すると簡単に管理できます。
ARCHIVE_LOG_TARGET
Oracle RACデータベースのインスタンスごとに異なる値を設定すると、データベース処理によって追加の自動同期化が実行されるため、多くの場合、オーバーヘッドが増加します。
Oracle RACデータベースでOracle Streamsを使用する場合、0(ゼロ)より大きい値を使用する必要があります。
CONTROL_MANAGEMENT_PACK_ACCESS
このパラメータは、Diagnostics PackおよびTuning Packの機能の使用を制御します。すべてのインスタンスでこのパラメータの値を、使用しているOracle RACデータベース用のDiagnostics PackおよびTuning Packを購入済かどうかが反映されるように設定する必要があります。
LICENSE_MAX_USERS
このパラメータでは、データベースに定義されるユーザー・アカウント数のデータベース全体における制限を決定します。このパラメータにはデータベースのすべてのインスタンスで同じ値を指定して、どのインスタンスの使用時にも現在の値を確認できるようにすると便利です。異なる値を設定すると、インスタンスの起動時に追加の警告メッセージが生成されたり、データベース・ユーザー・アカウントの管理に関するコマンドが一部のインスタンスで失敗したりする可能性があります。
LOG_ARCHIVE_FORMAT
すべてのインスタンスに同じ値を使用しないと、メディア・リカバリが必要以上に複雑になります。リカバリ中のインスタンスでは、必要なアーカイブ・ログ・ファイルの名前が、そのアーカイブ・ログ・ファイルの作成元インスタンスとは関係なく、リカバリ中のインスタンスのLOG_ARCHIVE_FORMAT
の値に定義された書式であると想定されます。
Oracle Data Guardをサポートするデータベースでは、アーカイブ・ログ・ファイルの送受信を行うために、すべてのインスタンスでLOG_ARCHIVE_FORMAT
に同じ値を使用する必要があります。
SPFILE
すべてのインスタンスでこのパラメータに同じファイルを指定しないと、フェイルオーバー、ロード・バランシングまたは通常の処理において、各インスタンスが予測できない異なる動作をすることがあります。さらに、ALTER SYSTEM SET
コマンドまたはALTER SYSTEM RESET
コマンドでSPFILEに加えた変更は、コマンドの実行されたインスタンスで使用されるSPFILEのみに保存され、別のSPFILEが使用されるインスタンスには反映されません。
サーバーによって値が設定されているインスタンスでSPFILEの値が異なる場合、デフォルトのSPFILEを使用していないインスタンスを再起動する必要があります。
UNDO_RETENTION
各インスタンスでUNDO_RETENTION
に異なる値を設定すると、スケーラビリティが低下し、フェイルオーバー後に予測できないアクションが実行される場合があります。したがって、このパラメータにOracle RACデータベースのインスタンス間で異なる値を割り当てる前に、メリットがあるかどうかを慎重に考慮する必要があります。
Oracle Enterprise Managerを使用して、Oracle RACデータベースの初期化パラメータを表示および編集できます。
「サーバー」ページが表示されます。
「初期化パラメータ」ページが表示されます。
初期化パラメータの現行サブページにはこのインスタンスおよびデータベースの構成パラメータのリストが含まれています。これらのパラメータを特定の値にセットして、Oracleインスタンスのメモリーおよび処理設定を初期化できます。「SPFile」ではなく「現行」タブを使用して初期化パラメータを変更すると、「現在実行中のインスタンス・モードでの変更をSPFileに適用する」オプションが選択されている場合を除き、その変更は実行中のインスタンスのみに適用されます。
「インスタンス」列には、表内にリストされている値を持つパラメータのインスタンスが表示されます。アスタリスク(*)は、クラスタ・データベースのその他のすべてのインスタンスでもそのパラメータの値が同じであることを示しています。たとえば、docrac1
とdocrac2
ではopen_cursors = 200
、docrac3
ではopen_cursors = 275
となっている場合、open_cursors = 200
の「インスタンス」列にはアスタリスクが表示され、open_cursors = 275
の「インスタンス」列にはdocrac3が表示されます。このように表示を省略することにより、クラスタ・データベースのインスタンスが多い場合に領域を節約できます。
「初期化パラメータ」ページをフィルタ処理して、「名前別フィルタ」フィールドに入力したフィルタ基準を満たすパラメータのみを表示できます。またオプションとして、「すべて表示」を選択し、実行中のインスタンスで現在使用されているすべてのパラメータを1つのページに表示することもできます。
「サーバー」ページが表示されます。
「初期化パラメータ」ページが表示されます。
たとえば、OPEN_CURSORS
パラメータを選択し、「追加」をクリックします。OPEN_CURSORS
の新しいエントリで、「インスタンス」にdocrac1
を選択し、「値」フィールドを250に変更します。
「現行」タブと同様に、「SPFile」タブを使用してパラメータの追加またはリセットを行うことができます。「SPFile」タブを使用して初期化パラメータを変更すると、「SPFileモードでの変更を現在実行中のインスタンスに適用する」オプションが選択されていないかぎり、その変更は、現在実行中のインスタンスではなくSPFILEにのみ適用されます。
「SPFile」タブを使用したパラメータのリセットは、同じパラメータを「Current」タブを使用してリセットした場合とは異なることに注意してください。リセットによって、選択したパラメータ・エントリがSPFILEから削除されます。また、リセットは、アスタリスクが付いているパラメータおよびアスタリスクが付いていないパラメータの両方に適用されます。
1つのインスタンスのみに設定されたパラメータをリセットすると、そのパラメータの値がリセットされます。
「サーバー」ページが表示されます。
「初期化パラメータ」ページが表示されます。
SPFILEのopen_cursors
パラメータに次の2つのエントリが含まれているとします。
*.open_cursors = 200 docrac1.open_cursors = 250
*.open_cursors
に対して「リセット」をクリックすると、Oracle Enterprise Managerによって、このエントリがSPFILEおよび表示されたパラメータ・リストの両方から削除され、docrac1.open_cursors = 250
のみが残されます。
docrac1.open_cursors
に対して「リセット」をクリックした場合も、Oracle Enterprise Managerによって、このパラメータ・エントリがSPFILEおよび表示されたパラメータ・リストの両方から削除されますが、リセットされたパラメータのかわりに、表示されるパラメータ・リストに、新しいエントリ*.open_cursors = <EMPTY>
が追加されます。
SERVICE_NAMES
初期化パラメータには、クライアントがインスタンスへの接続に必要とする1つ以上の名前を指定します。インスタンスはそのサービス名をリスナーに登録します。クライアントがサービスをリクエストすると、リスナーはリクエストされたサービスを提供するインスタンスを決定し、クライアントを適切なインスタンスにルーティングします。
Oracle RACデータベースでは、このパラメータを直接変更しないでください。かわりに、Oracle Enterprise Managerの「クラスタ管理データベース・サービス」ページを使用して、データベースおよびデータベース・インスタンスのサービスを定義します。サービスを変更する必要がある場合は、Oracle Enterprise ManagerとSRVCTLのいずれかを使用できます。
データベースを作成する際、Oracleでは、ユーザーが指定したファイルの場所にSPFILEが作成されます。ASMディスク・グループ、クラスタ・ファイル・システム・ファイルまたは共有RAWデバイスをこの場所に指定することができます。このマニュアルで説明する環境では、SPFILEはASMディスク・グループに作成されます。
クラスタ・データベース内のインスタンスはすべて、起動時に同じSPFILEを使用します。Oracle RACで従来のパラメータ・ファイルが使用されるのは、SPFILEが存在しない場合、またはSTARTUP
コマンドでPFILE
を指定した場合のみです。管理の単純化、パラメータ設定の一貫性の維持、データベースの停止および起動イベント全体にわたるパラメータ設定の永続性の保証のために、SPFILEを使用することをお薦めします。さらにRecovery Managerを構成してSPFILEをバックアップできます。
記憶域に対するほとんどの管理タスクは、単一インスタンスのOracleデータベースとOracle RACデータベースの間で同じです。この項では、Oracle Enterprise Managerを使用してOracle RACデータベースの記憶域構造の一部を管理する追加情報について説明します。
この項の内容は次のとおりです。
インスタンスに割り当てられた特定のUNDO表領域内のUNDOセグメントは、Oracle RACによって自動的に管理されます。この表領域の内容を変更できるのは、UNDO表領域に割り当てられたインスタンスのみです。ただし、各インスタンスでは、いずれのインスタンスで作成されたUNDOデータ・ブロックでも読み取ることができます。また、トランザクション・リカバリの実行時に、UNDO表領域がUNDO生成またはトランザクション・リカバリのために別のインスタンスで使用されていないかぎり、どのインスタンスでもUNDO表領域を更新できます。Oracle RACデータベース内にUNDO表領域を割り当てるには、SPFILEまたは個別のPFILEで各インスタンスのUNDO_TABLESPACE
パラメータに別の値を指定します。Oracle RACデータベースでは、自動UNDO管理モードと手動UNDO管理モードを同時に使用することはできません。Oracle RACデータベースのすべてのインスタンスは、同じUNDOモードで操作してください。
ASMでは、管理対象のディスク全体の記憶域構成を管理することで、記憶域を自動的に最適化し、最大のパフォーマンスを引き出します。ASMではこれを、クラスタ・データベース環境内で使用可能なすべての記憶域全体で記憶域のロードを均等に分散することで実現します。ASMによって、ディスク領域全体の要件が、ディスク・グループ内のすべてのディスクに均一なサイズにパーティション化されます。また、ASMでは、データを自動的にミラー化してデータ損失を防止します。ASMのこれらの機能により、管理オーバーヘッドも大幅に削減されます。
単一インスタンスのOracleデータベースの場合と同様に、Oracle RACでASMを使用する場合も、I/Oチューニングは不要です。次のトピックで、ASMおよびASMの管理について説明します。
データベースの作成時、ASMインスタンスが存在しない場合は、Oracleデータベースによって、Oracle RAC環境の各ノードにそれぞれ1つのASMインスタンスが作成されます。各ASMインスタンスには、SPFILEまたはPFILEタイプのパラメータ・ファイルが存在します。このマニュアルが対象としている環境では、ASMインスタンスでPFILEを使用します。
クラスタに対してディスク・グループを作成する場合、または既存のクラスタ化ディスク・グループに新規ディスクを追加する場合は、共有ディスクの基礎となる物理記憶域のみを準備する必要があります。ASMをOracle RACデータベースで使用する場合と単一インスタンスのOracleデータベースで使用する場合を比較したときの唯一の大きな違いは、共有ディスクを必要とする点です。ASMでは、ディスクまたはディスク・グループを追加または削除した後、自動的に記憶域のロードが再調整されます。
クラスタでは、ASMインスタンスが実行されているノードのディスク・グループに対するメタデータの更新は、各ASMインスタンスによって管理されます。また、各ASMインスタンスが、ディスク・グループのメタデータとクラスタの他のノード間の調整を行います。単一インスタンスのOracleデータベースの場合と同様に、Oracle RAC環境では、ASM用ディスク・グループの管理に、Oracle Enterprise Manager、Oracle Database Configuration Assistant(DBCA)、SQL*PlusおよびSRVCTLを使用できます。
DBCAを使用してデータベースを作成し、ASM記憶域のオプションを選択すると、ASMインスタンスが存在していない場合にDBCAでASMインスタンスが作成されます。また、ASMインスタンスおよびディスク・グループを個別に管理できます。新しいデータベースを作成してASM記憶域のプロパティを変更する必要はありません。
ASMディスク・グループの追加や削除などの管理操作は、Enterprise Managerで実行できます。ASMディスク・グループのパフォーマンスの監視やディスク・グループの可用性の制御をインスタンス・レベルで実行することも可能です。Enterprise Managerには、Oracle RACに固有の次のようなASM用の機能があります。
Oracle RAC環境でのREDOログ・ファイルの管理は、単一インスタンスのOracle Database環境でのREDOログ・ファイルの管理に似ています。この項では、Oracle RAC環境でのREDOログ・ファイルの構成に関するいくつかの追加的な概念および手順を概説します。
REDOログには、データファイルに加えられた変更の記録が含まれます。単一インスタンスのOracleデータベースでは、REDOログは2つ以上のREDOログ・ファイル・グループに格納されます。このグループのそれぞれにREDOログ・ファイルが含まれ、そのファイルの1つ以上のミラー化コピーも含まれる場合があります。Oracle RACデータベースでは、各インスタンスに独自のREDOログ・グループ・セットが必要であり、このセットはREDOスレッドと呼ばれます。REDOログ・ファイルのミラー化コピーにより、ハードウェア障害またはデータ破損が原因のデータ損失に対してシステムの保護が強化されます。REDOログ・ファイルが読取り不可の場合、Oracle Databaseではそのミラー化コピーへのアクセスを試行します。REDOログ・ファイルのミラーは、プライマリのREDOログ・ファイルとは別のディスク・デバイスに配置する必要があります。
各インスタンスのREDOスレッドには、少なくとも2つのREDOログ・グループが含まれる必要があります。各インスタンスのREDOスレッドには、同じ数のREDOログ・グループを含めること、および、単一インスタンスのOracleデータベースの場合と同様に、各グループに同じ数のメンバーを含めることをお薦めします。たとえば、インスタンスが2つのOracle RACデータベースで、各インスタンスのREDOスレッドに5つのREDOログ・グループが含まれる場合があります。この場合、データベースでは合計10のREDOログ・グループになります。これらの各REDOログ・グループは、2つのメンバー(REDOログおよびそのミラー化コピー)を含むことができます。DBCAを使用してOracle RACデータベースを作成すると、オラクル社の推奨事項を満たす構成がOracle RACデータベースに自動的に実装されます。
Oracle RACデータベースでは、単一インスタンスのOracleデータベースの場合と同じ方法で、各インスタンスがそのREDOスレッドへのREDOログ・グループの書込みおよびアーカイブを行います。ただし、リカバリ・モードでは、リカバリを実行中のインスタンスは、どのインスタンスがREDOスレッドを生成したかに関係なく、データベースのすべてのREDOスレッドの読取りおよび処理を実行できます。このため、実行中のインスタンスは、障害が発生した1つ以上のインスタンスが完了した作業をリカバリできます。またユーザーは、障害が発生したインスタンスの再起動を待たずに自分の作業を続行できます。たとえば、インスタンスAとインスタンスBという2つのインスタンスを持つOracle RACデータベースがあるとします。インスタンスAが停止しても、インスタンスBはインスタンスAとBの両方のREDOログ・ファイルを読み込んでリカバリを正常に完了できます。
Oracle RACデータベースでは、すべてのREDOログ・ファイルは共有記憶域にあります。また、各インスタンスには、クラスタ内の他のすべてのインスタンスのREDOログ・ファイルへのアクセス権が必要です。Oracle RACデータベースでASMが使用されている場合は、REDOログ・ファイルの共有記憶域およびこれらのファイルへのアクセス権がASMによって管理されます。
「REDOログ・グループ」ページで、追加REDOログ・グループを作成し、メンバーをそのREDOログ・グループに追加できます。「スレッド」列により、REDOログ・ファイルが属するインスタンスまたはREDOスレッドが識別されます。
Oracle By Example(OBE)には、Oracle RACデータベースの一連のチュートリアルが含まれています。OBEでは、注釈付きのスクリーンショットを使用して、この章で説明した基本的な管理タスクを学習できます。
クラスタ・データベースの調査に関するOBEのチュートリアルを表示するには、次のURLに移動します。
http://www.oracle.com/technology/obe/10gr2_db_vmware/manage/clusterintro/clusterintro.htm
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