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Oracle® Grid Infrastructureインストレーション・ガイド
11gリリース2 (11.2) for Microsoft Windows x64 (64-Bit)
B58876-07
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5 Oracle Grid Infrastructureのインストール後の手順

この章では、Oracle Grid Infrastructureソフトウェアをインストールした後に実行する、インストール後の作業について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

5.1 インストール後に必要な作業

インストールを完了したら、次の作業を実行する必要があります。


注意:

以前のリリースでは、ocopy.exeコマンドを使用して投票ディスクをバックアップする作業が、インストール後に必要でした。Oracle Clusterware 11gリリース2 (11.2)以上のリリースでは、投票ディスクのバックアップが不要になりました。

5.1.1 パッチの更新のダウンロードおよびインストール

My Oracle Support Webサイトを参照して、インストールした環境に必要なパッチの更新を確認します。


注意:

My Oracle Supportを利用するには、ブラウザにAdobe Flashプラグインのバージョン9.0.115以上が必要です。Adobe Flashのチェッカ・ページに移動して、ご使用のブラウザでFlashプラグインの正確なバージョンをチェックし、最新バージョンのAdobe Flashがインストールされていることを確認します。

Flashをインストールしていない場合は、次のAdobe Webサイトから最新バージョンのFlash Playerをダウンロードします。

http://www.adobe.com/go/getflashplayer

Oracleでは、一般的な修正およびベース製品のリリース以降にお客様で発生した修正を含むパッチ・セットを定期的に提供します。パッチ・セットでは、バージョン番号の4番目の数字が増分し(10.2.0.1.0から10.2.0.4.0など)、これらのパッチ・セットはベース・リリース(すなわち10.2.0.1.0)と同じ方法で完全にリグレッション・テストが行われます。お客様は、これらの修正を適用することが推奨されます。

次のパッチ・セットが利用可能になる前に修正を必要とする重大な問題が発生した場合、お客様は最新のパッチ・セットに加えて1回かぎりの修正を利用可能にするように要求できます。この配布メカニズムはMicrosoft Hot Fixesに類似しており、Oracleパッチ・セット例外(または個別パッチ)と呼ばれます。Unixプラットフォームとは異なり、これらのパッチ・セット例外は、現在のパッチ・セット以降のすべての修正を含むパッチ・セット例外バンドル(累積パッチ・バンドル)で配布されます。たとえば、バグ12393432は、Oracle Databaseリリース11.2.0.1 for Microsoft Windows (x64)のパッチ・セット例外バンドル、パッチ12です。ご使用のリリースに利用可能な最新のパッチ・バンドルを常に適用する必要があります。

パッチ・セット例外バンドルには、CPU (クリティカル・パッチ・アップデート)、DST (夏時間)、PSU (パッチ・セット更新)および推奨パッチ・バンドルの修正も含まれます。パッチ・セット例外バンドルを適用する前に以前のセキュリティ・パッチを適用しておく必要はありません。ただし、リリースのパッチ・セット例外バンドルを適用する前に、所定の製品ホームの指定されたパッチ・セット・レベルであることが必要となります。

必要なパッチの更新をダウンロードするには、次の手順を実行します。

  1. Webブラウザを使用して、My Oracle SupportのWebサイトを表示します。

    https://support.oracle.com

  2. My Oracle Support Webサイトにログインします。


    注意:

    My Oracle Supportの登録ユーザーでない場合は、「こちらで登録してください」をクリックして登録してください。

  3. My Oracle Supportのメイン・ページで「パッチと更新版」をクリックします。

  4. パッチセットを検索するには、次の手順を実行します。

    1. ページの左側の「Oracleサーバー/ツール」という見出し下の「最新のパッチセット」リンクをクリックします。

      「クイック・リンク」ページが、新しいブラウザ・ウィンドウまたはタブに表示されます。

    2. 「単純検索」をクリックします。

    3. 「検索条件」フィールドに「製品またはファミリ」を設定します。隣接するテキスト・フィールドの横の懐中電灯アイコンをクリックします。ポップアップ・ウィンドウの「すべての製品」の横のテキスト・フィールドに"%Oracle Database%"と入力し、「実行」をクリックします。

    4. リストから「Oracle Databaseファミリー」を選択し、「選択」をクリックして「単純検索」ウィンドウに戻ります。

    5. Oracle 11.2.0.2.0など、パッチ・セット・リリースの値を選択します。


      注意:

      パッチ・セット・リリースは、現在のソフトウェア・リリースより1大きくなります。たとえば、現在のソフトウェア・リリースがOracle 10.2.0.3の場合、パッチ・セット・リリースはOracle 10.2.0.4となります。

    6. 「パッチ・タイプ」で「パッチ・セット/ミニパック」を選択します。

    7. 「プラットフォームまたは言語」で「Microsoft Windows x64 (64-bit)」を選択します。

    8. 「実行」をクリックします。手順6に進みます。

  5. パッチセットを検索するには、次の手順を実行します。

    1. ページ右側の「パッチ検索」セクションで、「製品またはファミリ(拡張検索)」を選択します。

    2. この「製品またはファミリの検索」セクションで、「製品」に「Oracle Database」、「リリース」に「Oracle 11.2.0.1.0 (Oracle Database)」を選択します。いずれかのバンドル・パッチを適用し、ベース・バージョン番号(11.2.0.1.0)のかわりに、変更されたデータベース・バージョン(11.2.0.1.3など)を使用した場合。

    3. 「プラットフォーム」の検索フィルタが表示されている場合、そのプラットフォームの「Microsoft Windows x64 (64-bit)」を選択します。この検索フィルタが表示されない場合、この検索フィルタを追加するか、最後の検索フィルタ行のドロップダウン・リストから「プラットフォーム」を選択します。

    4. 「検索」をクリックします。

      Microsoft Windows x64プラットフォームの指定したOracle Databaseリリースに対して使用可能なすべてのパッチのリストが表示されます。

    5. (オプション)Oracle RACまたはOracle Grid Infrastructureに固有のパッチを見つけるには、「検索の編集」をクリックします。「製品またはファミリの検索」ウィンドウに戻る場合は、「パッチ・ターゲット」にフィルタを追加し、値を「Real Application Clusters」に設定します。


      注意:

      Oracle RACはOracle Databaseソフトウェアのオプションであるため、Oracle Databaseに適用するパッチはOracle RACデータベースにも適用されます。

  6. パッチ番号をクリックしてパッチの説明を表示し、パッチのREADMEファイルにアクセスします。このページからパッチをダウンロードすることもできます。

  7. 「README」 をクリックして、パッチの適用手順を表示します。「README」ページが、別のブラウザ・ウィンドウまたはタブで開かれます。READMEファイルには、パッチに関する情報、このパッチで修正されたバグのリスト、およびインストールにパッチを適用する方法が記載されています。

    タブまたはウィンドウを閉じて前のページに戻ります。

  8. 「ダウンロード」をクリックして、パッチ・ファイルをシステムに保存します。

  9. Oracleソフトウェアに付属のunzipユーティリティを使用して、My Oracle SupportからダウンロードしたOracleパッチの更新を解凍します。unzipユーティリティはGrid_home\BINディレクトリにあります。

  10. パッチをインストールする準備としてデータベース・プロセスを停止する方法については、付録D「Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2へのアップグレード方法」を参照してください。

5.1.2 Windowsファイアウォールの例外の構成

Windowsファイアウォール機能がクラスタの1つ以上のノードで有効になっている場合、ほぼすべてのTransmission Control Protocol (TCP)ネットワーク・ポートが着信接続に対してブロックされます。そのため、TCPポート上で着信接続をリスニングするOracle製品はすべて、これらのどの接続要求も受信せず、これらの接続を行っているクライアントはエラーを報告します。

使用するシステムが次の条件をすべて満たす場合は、Windowsファイアウォールに例外を構成する必要があります。

  • Oracleサーバー側のコンポーネントが、サポートされているMicrosoft Windowsバージョンを実行しているコンピュータにインストールされている。コンポーネントのリストにはOracle Database、Oracle Grid Infrastructure、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)、ネットワーク・リスナー、Webサーバーまたはサービスが含まれています。

  • 問題になっているWindowsコンピュータが、ネットワーク上の他のコンピュータからの接続を受け入れる。他のコンピュータがOracleソフトウェアにアクセスするためにWindowsコンピュータに接続することがない場合、インストール後の構成手順は必要なく、Oracleソフトウェアは予想どおりに機能します。

  • 問題になっているWindowsコンピュータが、Windowsファイアウォールを実行するように構成されている。Windowsファイアウォールが有効になってない場合、インストール後の構成手順は必要ありません。

前述のすべての条件が満たされている場合は、Oracleソフトウェアに対して正常に受信接続できるようにWindowsファイアウォールを構成する必要があります。Oracleソフトウェアが接続要求を受け入れることを可能にするには、ファイアウォールの特定の静的TCPポートを開くか、または選択したポートへの接続要求を受信できるように特定の実行可能ファイルの例外を作成して、Windowsファイアウォールを構成する必要があります。このファイアウォールの構成は、次のいずれかの方法で実行できます。

  • Windowsファイアウォール・アプリケーションを起動して、「例外」タブを選択します。「プログラムの追加」または「ポートの追加」をクリックして、Oracleソフトウェアの例外を作成します。

  • コマンド・プロンプトから、netsh firewall add...コマンドを使用します。

  • フォアグランド・アプリケーションがポートをリスニングしようとしていることがWindowsから通知されたときに、その実行可能ファイルの例外を作成できます。この方法で例外を作成した場合、コントロール パネルまたはコマンドラインから実行可能ファイルの例外を作成した場合と同じ効果があります。

次の項では、WindowsのTCPポートをリスニングするOracle Database 11gリリース2の実行可能ファイルと、その実行可能ファイルの簡単な説明を示します。それらの実行可能ファイルが使用中で、リモート・クライアント・コンピュータからの接続を受信している場合は、適切な処理が行えるように、それらをWindowsファイアウォールの例外リストに追加することをお薦めします。また、複数のOracleホームを使用している場合は、oracle.exeなどの同じ実行可能ファイルのためにファイアウォールの例外を複数回(実行可能ファイルがロードされる各ホームに1つ)作成する必要があります。

5.1.2.1 Oracle Databaseのファイアウォール例外

SQL*Plus、Oracle Call Interface(OCI)、Open Database Connectivity(ODBC)、Object Linking and Embedding Database(OLE DB)アプリケーションなどのリモート・クライアントからの基本的なデータベース操作と接続性のために、次の実行可能ファイルをWindowsファイアウォールの例外リストに追加する必要があります。

  • Oracle_home\bin\oracle.exe - Oracle Database実行可能ファイル

  • Oracle_home\bin\tnslsnr.exe - Oracleリスナー

データベースに対してリモート監視機能を使用する場合は、次の実行可能ファイルをWindowsファイアウォールの例外リストに追加する必要があります。

  • Oracle_home\bin\emagent.exe - Oracle Database Control

  • Oracle_home\jdk\bin\java.exe - Enterprise Manager Database Control用のJava Virtual Machine(JVM)

5.1.2.2 Oracle Database Examples(またはCompanion CD)のファイアウォール例外

Oracle Database Companion CDをインストールした後に、次の実行可能ファイルをWindowsファイアウォールの例外リストに追加する必要があります。

  • Oracle_home\opmn\bin\opmn.exe - Oracle Process Manager

  • Oracle_home\jdk\bin\java.exe - JVM

5.1.2.3 Oracle Gatewaysのファイアウォール例外

Oracle Databaseがゲートウェイを介してOracle以外のソフトウェアとやりとりする場合は、ゲートウェイ実行可能ファイルをWindowsファイアウォールの例外リストに追加する必要があります。表5-1に、Oracle以外のソフトウェアへのアクセスに使用されるゲートウェイ実行可能ファイルを示します。

表5-1 Oracle以外のソフトウェアにアクセスするためのOracle実行可能ファイル

実行可能ファイル名 説明

omtsreco.exe

Microsoftトランザクション・サーバー用のOracleサービス

dg4sybs.exe

Oracle Database Gateway for Sybase

dg4tera.exe

Oracle Database Gateway for Teradata

dg4msql.exe

Oracle Database Gateway for SQL Server

dg4db2.exe

Oracle Database Gateway for Distributed Relational Database Architecture(DRDA)

pg4arv.exe

Oracle Database Gateway for Advanced Program to Program Communication(APPC)

pg4t4ic.exe

Oracle Database Gateway for APPC

dg4mqs.exe

Oracle Database Gateway for WebSphere MQ

dg4mqc.exe

Oracle Database Gateway for WebSphere MQ

dg4odbc.exe

Oracle Database Gateway for ODBC


5.1.2.4 Oracle ClusterwareおよびOracle ASMのファイアウォール例外

クラスタ内のノードにOracle Grid Infrastructureソフトウェアをインストールした場合は、次の実行可能ファイルとポートをファイアウォールの例外リストに追加したにのみWindowsファイアウォールを有効にすることができます。ファイアウォールの例外リストは、各ノードで更新する必要があります。

  • Grid_home\bin\gpnpd.exe - グリッド・プラグ・アンド・プレイ・デーモン

  • Grid_home\bin\oracle.exe - Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)実行可能ファイル(記憶域にOracle ASMを使用している場合)

  • Grid_home\bin\racgvip.exe - Virtual Internet Protocol Configuration Assistant

  • Grid_home\bin\evmd.exe - OracleEVMService

  • Grid_home\bin\crsd.exe - OracleCRService

  • Grid_home\bin\ocssd.exe - OracleCSService

  • Grid_home\bin\octssd.exe - クラスタ時刻同期化サービス・デーモン

  • Grid_home\bin\mDNSResponder.exe - マルチキャストのドメイン・ネーム・システム(DNS)・レスポンダ・デーモン

  • Grid_home\bin\gipcd.exe - グリッド・プロセス間通信(IPC)デーモン

  • Grid_home\bin\gnsd.exe - グリッド・ネーミング・サービス(GNS)・デーモン

  • Grid_home\bin\ohasd.exe - OracleOHService

  • Grid_home\bin\TNSLSNR.EXE - 単一クライアント・アクセス名(SCAN)リスナーおよびOracle RACデータベースとOracle ASM用のローカル・リスナー

  • Grid_home\opmn\bin\ons.exe - Oracle Notification Service(ONS)

  • Grid_home\jdk\jre\bin\java.exe - JVM

5.1.2.5 Oracle RACデータベースのファイアウォール例外

Oracle RACデータベースの場合、例外を必要とする実行可能ファイルは次のとおりです。

  • Oracle_home\bin\oracle.exe - Oracle RACデータベース・インスタンス

  • Oracle_home\bin\emagent.exe - Oracle Enterprise Managerエージェント

  • Oracle_home\jdk\bin\java.exe - Oracle Enterprise Manager Databaseコンソール用

さらに、次のポートをWindowsファイアウォールの例外リストに追加する必要があります。

  • Microsoftファイル共有システム管理バス(SMB)

    • 135から139のユーザー・データグラム・プロトコル(UDP)・ポート

    • 135から139のTCPポート

  • Network Basic I/O System(NetBIOS)を使用せずに直接ホストされたSMBトラフィック

    • ポート445(TCPおよびUPD)

5.1.2.6 Windows用のOracle Cluster File Systemのファイアウォール例外

Windows用のOracle Cluster File System(Windows用のOCFS)を使用してOracle ClusterwareファイルまたはOracle RACデータベース・ファイルを格納する場合は、次の例外をWindowsファイアウォールに追加する必要があります。

  • Grid_home\cfs\Ocfsfindvol.exe - Windows Volume Service用のOCFS

  • %WINDOWS_HOME%\system32\drivers\Ocfs.sys - OCFS用のシステム・ファイル(Oracle Clusterwareの記憶域にWindows用のOCFSを使用している場合)

5.1.2.7 その他のOracle製品のファイアウォール例外

前述したすべての例外に加え、次に示すOracleソフトウェアのいずれかを使用する場合は、関連する実行可能ファイルのためにWindowsファイアウォールの例外を作成する必要があります。

表5-2 Windowsファイアウォール例外を必要とするその他のOracleソフトウェア製品

Oracleソフトウェア製品 実行可能ファイル名

Data Guard Manager

dgmgrl.exe

Oracle Internet Directory Lightweight Directory Access Protocol(LDAP)Server

oidldapd.exe

外部プロシージャ・コール

extproc.exe


5.2 インストール後の推奨作業

Oracle Grid Infrastructureをインストールした後で、必要に応じて次の作業を行うことをお薦めします。

5.2.1 トラブルシューティング・ツールのインストール

トラブルシューティングの問題に対処するために、Instantaneous Problem Detection OS Tool(IPD/OS)をインストールすることをお薦めします。このユーティリティは、Oracle Grid Infrastructure 11.2.0.1インストール用で、Oracle Technology Network(OTN)で入手可能です。


注意:

Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2)リリースでは、IPD/OSユーティリティが更新され、名前がクラスタ状態モニター(CHM)に変更されています。CHMは、Oracle Grid Infrastructureリリース11.2.0.3まではWindowsプラットフォームで使用できず、IPD/OSはOracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2.0.2)の最初のパッチ・セット・リリースと互換性がありません。

5.2.1.1 Instantaneous Problem Detection OS Tool(IPD/OS)のインストール

IPD/OSは、サービス・パック2以上を適用したWindows Server 2003を実行しているWindowsシステムにインストールできます。IPD/OSは、x86およびx64インストールをサポートしています。


注意:

クラスタにIPD/OSがすでにインストールされている場合は、新しいバージョンをインストールする前に現行バージョンを削除する必要があります。

IPD/OSツールは、オペレーティング・システムおよびクラスタ・リソースに関連する状態の悪化や障害を検出し、分析するように設計されています。このツールを利用すると、Oracle ClusterwareおよびOracle RACが稼働しているクラスタで起こる様々な問題(ノードの追出しなど)について、明確に理解できます。このツールは、オペレーティング・システム・リソースの消費状況を、各ノード、プロセスおよびデバイス・レベルで継続的に追跡します。また、クラスタ全体のデータを収集し分析します。リアルタイム・モードでは、しきい値に達するとオペレータに対してアラートが表示されます。根本原因分析のため、履歴データを再生し、障害発生時に何が起きていたのかを理解できます。

次のURLのWebページで、「Cluster Health Monitor - Download」というタイトルのリンクをクリックすると、IPD/OSをダウンロードできます。

http://www.oracle.com/technetwork/database/clustering/overview/index.html

パフォーマンスの問題を防ぐために、Oracle RACノードでは、IPD/OS用のGraphical User Interface(GUI)によるインタフェースを実行できません。クライアントは、クラスタ・メンバー・ノードでないLinuxクライアントまたはWindowsクライアントにインストールできます。このクライアントからデータを表示できます。


関連項目:

IPD/OSツールおよびクライアントのインストールの詳細は、IPD/OSのREADMEファイルを参照してください。

5.2.2 プログラムのメモリー使用量の最適化

Windowsオペレーティング・システムは、システム・キャッシュではなくプログラムのメモリー使用量に合わせて最適化される必要があります。メモリーの最適化設定を変更するには、次の手順を実行します。

  1. 「スタート」メニューから、「コントロール パネル」「システム」を選択します。

  2. 「システムのプロパティ」ウィンドウで、「詳細設定」タブをクリックします。

  3. 「パフォーマンス」セクションで、「設定」をクリックします。

  4. 「パフォーマンス オプション」ウィンドウで、「詳細設定」タブをクリックします。

  5. 「メモリ使用量」セクションで、「プログラム」が選択されていることを確認します。

5.2.3 高速リカバリ領域ディスク・グループの作成

Oracle Grid Infrastructureのインストール時に記憶域にOracle ASMを選択した場合、Oracle Clusterwareファイルを格納するために1つのディスク・グループが作成されます。シングル・インスタンスのデータベース、Oracle RACデータベースまたはOracle RAC One Nodeデータベースを作成する場合、このディスク・グループをデータベースのデータ・ファイルの格納に使用することもできます。ただし、高速リカバリ領域用に別のディスク・グループを作成する必要があります。

5.2.3.1 高速リカバリ領域および高速リカバリ領域ディスク・グループについて

高速リカバリ領域は、リカバリに関連するすべてのOracle Databaseファイルのための、統合された記憶域の場所です。データベース管理者は、DB_RECOVERY_FILE_DESTパラメータを高速リカバリ領域のパスに定義することで、ディスク上へのバックアップやデータの迅速なリカバリが可能になります。最近のデータを迅速にバックアップできれば、リカバリ作業のためにバックアップ・テープを探さなければならないシステム管理者の負担を軽減できます。

データベース初期化パラメータ・ファイルで高速リカバリ領域を有効にすると、すべてのRMANバックアップ、アーカイブ・ログ、制御ファイルの自動バックアップ、およびデータベースのコピーが高速リカバリ領域に書き込まれます。RMANは、リカバリに必要でなくなった古いバックアップおよびアーカイブ・ファイルを削除することで、高速リカバリ領域のファイルを自動的に管理します。

Oracle RACで高速リカバリ領域を使用するには、Oracle ASMディスク・グループ、クラスタ・ファイル・システムまたは各Oracle RACインスタンスのDirectネットワーク・ファイル・システム(NFS)で構成される共有ディレクトリに配置する必要があります。つまり、高速リカバリ領域はOracle RACデータベースのすべてのインスタンス間で共有される必要があります。Oracle ClusterwareファイルおよびOracle Databaseファイルは、高速リカバリ領域ファイルと同じディスク・グループに配置できます。ただし、ストレージ・デバイスの競合を減らすため、別の高速リカバリ領域ディスク・グループを作成することをお薦めします。

高速リカバリ領域を有効にするには、すべてのインスタンスに対してDB_RECOVERY_FILE_DESTパラメータに同じ値を設定します。高速リカバリ領域のサイズは、パラメータDB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZEで設定します。一般的に、高速リカバリ領域は大きいほど使いやすくなります。使い勝手を良くするため、少なくとも3日分のリカバリ情報を格納できるストレージ・デバイスに、高速リカバリ領域ディスク・グループを作成することをお薦めします。理想的には、高速リカバリ領域は、保存ポリシーに基づいて保存されたデータ・ファイルのバックアップを使用してデータベースをリカバリする際に必要な、すべてのデータ・ファイルと制御ファイル、オンラインREDOログ、およびアーカイブREDOログ・ファイルのコピーを格納できるサイズであることが求められます。

複数のデータベースで同じ高速リカバリ領域を使用できます。たとえば、150GBの記憶域を持つディスク上に1つの高速リカバリ領域ディスク・グループを作成し、それを3つの異なるデータベースで共有するとします。各データベースの高速リカバリ領域のサイズを、そのデータベースの重要度によって設定することができます。たとえば、database1は重要性が最も低いデータベースで、database2は重要性がより高く、database3は重要性が最も高い場合、database1には30GB、database2には50GB、database3には70GBとデータベースごとに異なるDB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE設定を行い、各データベースの保存ターゲットを満たすことができます。


関連項目:

『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』

5.2.3.2 高速リカバリ領域ディスク・グループの作成

高速リカバリ領域のOracle ASMディスク・グループを作成するには、次の手順を実行します。

  1. Gridホームのbinディレクトリに移動し、Oracle ASM Configuration Assistant (ASMCA)を起動します。次に例を示します。

    C:\> cd app\11.2.0\grid\bin
    C:\> asmca
    
  2. ASMCAが開き、「ディスク・グループ」タブが表示されます。新しいディスク・グループを作成するには、「作成」をクリックします。

  3. 「ディスク・グループの作成」ウィンドウが開きます。

    「ディスク・グループ名」フィールドに、高速リカバリ領域ディスク・グループの説明的な名前(FRAなど)を入力します。

    「冗長性」セクションで、適用する冗長レベルを選択します。

    「メンバー・ディスクの選択」フィールドで、高速リカバリ領域に追加する適切なディスクを選択し、「OK」をクリックします。

  4. 「ディスク・グループの作成」ウィンドウが開き、ディスク・グループの作成が完了したというメッセージが表示されます。「OK」をクリックします。

  5. 「終了」をクリックします。

5.3 前のバージョンのOracle DatabaseのGrid Infrastructureでの使用

次の項で、Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2)インストールで前のリリースのOracle Databaseを使用する場合について説明します。

5.3.1 前のバージョンのOracle Databaseの使用に関する一般的な制限

Oracle Databaseリリース10.2およびリリース11.1を、Oracle ClusterwareおよびOracle ASMリリース11.2とともに使用できます。既存バージョンのOracle ClusterwareとOracle ASMをOracle Grid Infrastructure 11gリリース2(Oracle ClusterwareとOracle ASMを含む)にアップグレードする場合で、Oracle RACデータベースをOracle Database 11gリリース2にアップグレードする計画もある場合は、Oracle RACのアップグレードが完了したときに、既存のデータベースに必要な構成も自動的に完了するため、この項の説明を読む必要はありません。


注意:

Oracle Databaseバージョン11.1以下をOracle Grid Infrastructure 11.2とともに使用してデータベースのディスク・グループ互換性を構成する詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

ただし、Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2にアップグレードする場合で、アップグレードの予定がない既存のOracle RACインストールがある場合、または前のバージョンのOracle RAC(10.2または11.1)をOracle Grid Infrastructure 11gリリース2を実行するクラスタにインストールする場合は、前のバージョンのデータベースがOracle Grid Infrastructureで正常に動作するには、追加の構成タスクを完了するか、またはパッチを適用(あるいはその両方を実行)する必要があります。

データベースのバージョンがOracle Database 11gリリース2の場合にのみ、Oracle DatabaseホームをOracle ACFSに格納できます。前のリリースのOracle DatabaseはOracle ACFSを使用するように設計されていないため、Oracle DatabaseをOracle ACFSにインストールすることはできません。


注意:

リリース11.1.0.7、11.1.0.6および10.2.0.4からアップグレードする場合は、Oracle RACまたはOracle DatabaseインストールをOracle Clusterwareリリース11.2インストールで起動する前に、アップグレード元となるリリース用の最新の推奨パッチを確認し、必要に応じてアップグレード前に既存のデータベース・インストールにそれらのパッチをインストールすることをお薦めします。

推奨パッチの詳細は、My Oracle SupportのNote 785351.1にある「Oracle Upgrade Companion」を参照してください。

https://metalink.oracle.com

各リリースの推奨パッチの現在のリストについては、『Oracle Databaseプラットフォーム共通日本語README』およびOracle Support Note 756388.1および756671.1を参照することもできます。


5.3.2 ASMCAを使用した前のバージョンのデータベースのディスク・グループの管理

前のバージョンのOracle DatabaseおよびOracle RACをOracle Grid Infrastructure 11gにインストールするときに、Oracle ASM Configuration Assistant(ASMCA)を使用して、ディスク・グループを作成および変更します。Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2以上では、Oracle ASMはOracle ClusterwareとともにOracle Grid Infrastructureインストールの一部としてインストールされます。Database Configuration Assistant(DBCA)を使用してOracle ASMで管理タスクを実行することはできなくなりました。

5.3.3 DBCAの使用またはOracle Databaseリリース10.2.xまたは11.x用のパッチの適用

Oracle ClusterwareおよびOracle ASMリリース11.2の環境に、DBCAを使用してOracle RACまたはOracle Databaseの10.2.xまたは11.1.xのデータベースを作成するには、Oracle RACまたはOracle Databaseホームにパッチをインストールする必要があります。特定のパッチに関する詳細は、Oracle DatabaseのReadmeを参照してください。

Oracle Database 10gリリース2ソフトウェアまたはOracle Database 11gリリース1ソフトウェアを使用している場合は、新しいデータベースを作成したり、Oracleホームにパッチを適用する前に、最初にクラスタのすべてのノードでOracleRemExecService Windowsサービスを停止する必要があります。データベースを作成する前、またはOracleホームにパッチを適用する前にこのプロセスを停止しないと、OPatchまたはDBCAがリモート・ノードのOracle RACデータベース・インスタンスを開始できません。このため、データベースの作成またはパッチの適用操作でエラーが戻されます。

5.3.4 Oracle Databaseリリース10.2.xまたは11.x用のクラスタ・ノードの固定

前のバージョンのOracleソフトウェアがインストールされていないクラスタにOracle Clusterware 11gリリース2をインストールすると、Oracle Database 10gおよび11.1では永続的な構成が必要であるにもかかわらず、クラスタ・ノードは動的にOracle Databaseリリース11.2以上と互換性があるように構成されます。ノードに永続的な構成を作成することを、ノードの固定と呼びます。


注意:

アップグレード中、すべてのクラスタ・メンバー・ノードには自動的に固定されるため、既存のデータベースに対して手動で固定する必要はありません。ノードの固定は、Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2)ソフトウェアをインストールした後に、前のリリースのOracle Databaseをインストールする場合にのみ必要です。

前のバージョンのOracle Databaseをインストールして使用するための準備でノードを固定するには、次の形式でGrid_home\bin\crsctlを使用します。nodesは、構成を固定するクラスタ内の1つまたは複数のノードを示す、スペース区切りリストです。

crsctl pin css -n nodes

ノードが固定状態か非固定状態かを確認するには、Grid_home\bin\olsnodesコマンドを使用します。

olsnodes -t -n 

例5-1 前のリリースのOracle Databaseを使用する前のクラスタ・ノードの固定

クラスタのノードnode3およびnode4でOracle Database 10gリリース2を作成する場合、そのノードを固定する必要があります。ノードnode3およびnode4を固定するには、管理者ユーザーとしてログインし、次のコマンドを入力します。

C:\..\bin> crsctl pin css -n node3 node4

例5-2 クラスタ内の固定されたノードのリスト

クラスタ内で固定されたノードをすべてリストするには、次のコマンドを使用します。Grid_homeはOracle Grid Infrastructureインストールのパスです。

C:\> Grid_home\bin\olsnodes -t -n

このコマンドの出力結果は、次のようになります。

node1 1       Pinned
node2 2       Pinned
node3 3       Pinned
node4 4       Pinned

例5-3 個々のノードが固定されているかどうかの確認

特定のノードの状態をリストするには、olsnodesコマンドで-nオプションを使用します。Grid_homeはOracle Grid Infrastructureインストールのパスです。

C:\> Grid_home\bin\olsnodes -t -n node3

このコマンドの出力結果は、次のようになります。

node3 3       Pinned

関連項目:

ノードの固定および固定解除の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

5.3.5 適切なLSNRCTLコマンドの使用

Oracle ClusterwareおよびOracle ASM 11gリリース2で、リスナー制御ユーティリティ(LSNRCTL)を使用してローカルおよびSCANリスナーを管理するには、Gridホームにあるlsnrctlプログラムを使用します。以前のリリースで使用していたOracleホームの位置からlsnrctlプログラムを使用しないでください(この位置は新しいリリースでは使用できません)。

5.3.6 Oracle Clusterwareリソースの起動および停止

Oracle Database 10gリリース2またはOracle Database 11gリリース1データベースがOracle Clusterwareに登録されている場合は、Oracle Clusterware 11gリリース2を停止する前に、次のいずれかを実行する必要があります。

  • 最初にOracle Database 10gリリース2またはOracle Database 11gリリース1のデータベース・インスタンスを停止してから、Oracle Clusterwareスタックを停止する

  • crsctl stop crs -fコマンドを使用してOracle Clusterwareスタックを停止し、発生するエラーを無視する

5.4 インストール後のOracle Clusterwareバイナリの変更

インストール後に、Gridホームにインストールされているソフトウェアを変更する必要がある場合は、まずOracle Clusterwareスタックを停止する必要があります。たとえば、個別パッチを適用したり、Oracle ClusterwareまたはOracle ASMで使用されるダイナミックリンク・ライブラリ(DLL)を変更するには、次の手順に従って、Oracle Clusterwareを停止および再起動する必要があります。


注意:

Oracle Grid Infrastructureホームに対して行った変更を有効にするには、Gridホーム・ディレクトリで実行しているすべての実行可能ファイルを停止してから再起動する必要があります。さらに、GridホームのOracle共有ライブラリまたはDLLファイルを使用するアプリケーションを停止してください。

次の手順を使用して、変更のためにOracle Grid Infrastructureホームを準備します。

  1. 管理者グループのメンバーとしてログインし、Grid_home\binディレクトリに移動します。Grid_homeはOracle Grid Infrastructureホームへのパスです。

  2. 次のコマンドを使用して、Oracle Clusterwareを停止します。

    C:\..\bin> crsctl stop crs -f
    
  3. Oracle Clusterwareが完全に停止した後で、Gridホームにインストールされているソフトウェアに更新を実行します。

  4. 次のコマンドを使用して、Oracle Clusterwareを再起動します。

    C:\..\bin> crsctl start crs
    
  5. 各クラスタ・メンバー・ノードで、手順1から4を繰り返します。