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Oracle® Warehouse Builder概要
11gリリース2 (11.2)
B61348-03
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2 概要

この項では、Oracle Warehouse Builderの概要を示し、作成可能なコンポーネントおよびオブジェクトのアーキテクチャについて説明します。

この項は次のトピックで構成されています。

Oracle Warehouse Builderの概要とその利点

Oracle Warehouse Builderは、Oracleデータベース用に設計された、豊富な機能を備えたデータ統合、データ・ウェアハウス、データ品質およびメタデータ管理ソリューションです。Oracle Warehouse Builderは、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)の構成部分で、(Oracle Database XEを除く)あらゆるデータベース・インストールの一部としてインストールされます。

Oracle Warehouse Builderの主要な機能領域は次のとおりです。

  • データ・モデリング

  • 抽出、変換およびロード(ETL)

  • データ・プロファイリングおよびデータ品質

  • メタデータ管理

  • ERPアプリケーション・データのビジネス・レベルの統合

  • レポートに使用するOracleビジネス・インテリジェンス・ツールの統合

  • 拡張されたデータ系統および影響分析

Oracle Warehouse Builderは、拡張可能なデータ統合およびデータ品質ソリューション・プラットフォームでもあります。Oracle Warehouse Builderを拡張してアプリケーション固有のメタデータを管理し、新しいデータ・ソースおよびターゲット・タイプの統合、新しいデータ・アクセス・メカニズムおよびプラットフォームのサポートの実装、組織のベスト・プラクティスの適用およびソリューション間のコンポーネントの再利用の促進を行うことができます。


関連項目:

Oracle Warehouse Builderのオプションの詳細は、『Oracle Databaseライセンス情報』を参照してください。

Oracle Warehouse Builderのユースケース

Oracle Warehouse Builderは、Oracleデータベースを中心に広範囲のシナリオで使用でき、データ統合、データ移動およびデータ品質に対するソリューションとしての付加価値を提供します。Oracle Warehouse Builderで作成したデータ・システムは、ソースとターゲットに関する豊富なメタデータOracle Databaseのコア機能との緊密な統合、およびそのコアの機能の認識で利用されます。Oracle Warehouse Builderで提供されるETLおよびデータ品質機能により、この項で説明する各ユースケースにおける付加価値が高まります。

最も一般的なユースケースは次のとおりです。

ビジネス・インテリジェンスおよびデータ・ウェアハウス

Oracle Warehouse Builderは、オペレーショナル・データ・ストアのリレーショナル・オブジェクトおよびデータ・ウェアハウス・パフォーマンス・レイヤーのディメンション・オブジェクトを設計する際に使用できます。緩やかに変化するディメンションの複雑なロード・プロセスでもディメンション・オブジェクトのロードを簡潔にする高度な演算子を含む、ウェアハウスをロードするETLプロセスを実装できます。Oracle Warehouse Builderを使用すると、ビジネス・インテリジェンス・アプリケーションおよびデータ・マートを実装できます。

また、Oracle Warehouse Builderは、データソースのプロファイリングやデータ・ルールの開発と検出にも使用できます。データ・ルールを使用すると、ロード中に、またはバンド外プロセスとして、データ品質を測定し、品質要件を監視および強制できます。データ・クレンジング・ロジックは、ウェアハウス・ロード・プロセスに組み込むことができます。

マスター・データ管理

Oracle Warehouse Builderアプリケーション・アダプタ(コネクタ)を使用すると、物理レベルではなく論理レベルで顧客および製品などの重要なビジネス・エンティティを表すデータ・ストアにアクセスできます。これにより、データ移動、データ品質、データ・クレンジングおよび強化プロセスの設計が簡略化されます。

Oracle Warehouse Builderのデータ品質機能を使用すると、マスター・データ・ストアの内容およびデータ・ルールの準拠を検出、監査および適用できます。自動データ・クレンジングおよび強化プロセスは簡単に実装できます。

データの移行、変換および最新化

Oracle Warehouse Builderを使用すると、移行または変換プロセスのターゲットを設計し、データ移動プロセスを実装できます。このようなシナリオでも、データ品質機能は高い価値を提供します。ソース・システムのデータ・プロファイリングは、新しいシステムへの導入前にデータ品質の問題を検出できます。Oracle Warehouse Builderを使用すると、ソース・データのプロファイリング、ターゲット・システムの設計および複雑なデータの移動、変換プロセスおよびクレンジング・プロセスの実装と編成を、カスタム・コードを作成せずに実行できます。

データ・プロファイリングおよび品質管理

Oracle Warehouse Builderのデータ・ソース(Oracleデータベース、ゲートウェイ経由でアクセスするソースおよびフラット・ファイル・ソースを含む)に接続すると、完全な機能を備えたデータ・プロファイリングを適用してデータ品質の統計を生成し、複雑なパターン、外部キー関係および関数従属性を検出できます。次に、Oracle Warehouse Builderまたは他のETLツールを使用してソースをロードしたかどうかに関係なく、複雑なデータ・ルールを設計し、データ監査を作成して使用している環境のソースまたはターゲット・システムのルールの準拠を監視できます。

データ・プロファイリングとデータ品質にOracle Warehouse Builder以外のソリューションを選択した顧客は、Oracle Warehouse Builder ETL機能および設計機能とは関係なくこれらを適用できます。


注意:

Oracle Warehouse Builderの利用方法によっては、追加のデータベース・オプションおよび技術のライセンスが必要になる場合があります。Oracle Warehouse Builderオプションの詳細は、『Oracle Databaseライセンス情報』を参照してください。

Oracle Warehouse Builderを使用したクイック・スタート

Oracle Databaseをインストールした後、OWBSYSおよびOWBuilderSYS_AUDITアカウントのロック解除とリポジトリ・アシスタントの実行以外の処理は必要ありません。この項の内容は次のとおりです


関連項目:

『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』の次のトピック:
  • 「OWBSYSおよびOWBSYS_AUDITアカウントのロック解除」

  • 「インストールおよび構成アーキテクチャの概要」


Oracle Warehouse Builderの使用方法を理解するには、次の手順から開始することをお薦めします。

  1. 前提作業

  2. Oracle Warehouse Builderデザイン・センターでのプロジェクトの構成

  3. ソース・メタデータのインポート

  4. データのプロファイリングおよびデータ品質の確保

  5. ターゲット・スキーマの設計

  6. ETLロジックの設計

  7. 設計のデプロイおよびデータ統合ソリューションの実行

  8. 品質の監視およびデータ・システムのレポート

Oracle Warehouse Builderを初めて起動すると、製品の使用を開始するリンクとともに開始ページが表示されます。


注意:

Oracle Warehouse Builderのスタンドアロン・ソフトウェアは、Oracle Databaseで使用可能です。Oracle Warehouse Builderスタンドアロン・ソフトウェアを使用して、以前のリリースのOracle DatabaseでOracle Warehouse Builderリポジトリをホストします。また、このスタンドアロン・ソフトウェアを使用して、クライアント・コンピュータにOracle Warehouse Builderをインストールします。『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』のOracle Warehouse Builderスタンドアロン・インストール・パッケージの使用に関する項を参照してください。

前提作業

Oracle Warehouse Builderクライアントの各コンポーネントを使用するには、まず、Oracle Warehouse Builderワークスペースへのアクセス権があることを確認します。

Oracle Warehouse Builderの使用を開始する手順は、次のとおりです。

  1. 『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』のサーバーへのOracle Warehouse Builderのインストールに関する項の説明に従って、Oracle Warehouse Builderソフトウェアをインストールし、必要なワークスペースを作成します。

    管理者がすでにインストールを完了している場合は、管理者に連絡して必要な接続情報を入手します。

  2. デザイン・センターを起動します。

    Windowsプラットフォームの場合は、「スタート」メニューから「プログラム」を選択します。Oracle Warehouse BuilderがインストールされているOracleホームを選択し、「Oracle Warehouse Builder」「デザイン・センター」を選択します。

    Linuxプラットフォームの場合、Oracle Warehouse BuilderのOracleホーム内のOracle Warehouse Builder/bin/unixディレクトリにあるOracle Warehouse Builderclient.shを実行します。

プロジェクト・ナビゲータを使用して、特定のワークスペース内の設計オブジェクトを管理できます。設計オブジェクトは、プロジェクトに編成されていて、セキュリティおよび再利用性のあるオブジェクトを構成します。各プロジェクトには、ユーザーが作成またはインポートできる設計オブジェクトの各タイプにノードが含まれます。

接続ナビゲータを使用して、Oracle Warehouse Builderワークスペースとデータベース、データファイルおよびアプリケーションの間の接続を確立します。

グローバル・ナビゲータを使用して、ワークスペース内のすべてのプロジェクトに共通のオブジェクトの管理およびセキュリティの管理を行います。


注意:

「セキュリティ」ノードは、管理者ロールのあるユーザーに対して表示されます。


関連項目:

『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』のセキュリティの管理に関する項。

Oracle Warehouse Builderデザイン・センターでのプロジェクトの構成

ここでは、プロジェクトを構成して、ソースおよびターゲット・データにアクセスします。

デザイン・センターのプロジェクトを構成する手順は、次のとおりです。

  1. プロジェクト・ナビゲータで、使用するプロジェクトを指定します。

    • 1つのデフォルトのプロジェクトのMY_PROJECTに問題がない場合は、次の手順に進みます。

    • または、MY_PROJECTの名前を変更したり、より多くのプロジェクトを定義できます。定義した各プロジェクトはデータベース、ファイル、アプリケーションなどのノードで同じ形式で組織されます。プロジェクトを作成する手順を参照してください。異なる組織の場合は、「コレクション」の説明に従って、オプションのコレクションを作成することを考慮します。

  2. ソースおよびターゲット・データ・オブジェクトに接続するには、ロケーションを作成します。

    • ロケーションを作成するには、適切なノードを右クリックして「新規」を選択します。必要な接続情報を入力して「接続テスト」を選択します。この手順では、ソースおよびターゲットへの接続を確立します。後続の手順を実行するまで、データまたはメタデータを移動しないでください。

    • 接続ナビゲータでは、これらの接続はロケーションを定義して確立します。「ロケーション」ノードおよびその中の各ノードを開いて、Oracle Warehouse Builderからアクセスできるソースおよびターゲットのタイプを把握します。

    ロケーションの詳細は、「ロケーション・ナビゲータ」を参照してください。

  3. ターゲット・スキーマを指定します。

    フラット・ファイルをターゲットとして使用できますが、最も一般的で推奨するシナリオは、Oracle Databaseのターゲット・スキーマとしての使用です。

    ターゲット・スキーマを定義するには、モジュールを作成します。モジュールはプロジェクト・ナビゲータにあるグループ化機能で、接続ナビゲータにあるロケーションに対応しています。Oracleターゲット・モジュールは、Oracle Warehouse Builderでユーザーが最初に作成するモジュールの1つです。

    プロジェクト・ナビゲータで、「データベース」ノードを開きます。「Oracle」を右クリックし、「新規」を選択します。モジュールの作成ウィザードが表示されます。モジュール・タイプを「ウェアハウス・ターゲット」に設定し、モジュールを開発、品質保証または本番環境のいずれで使用するかを指定します。このモジュール・ステータスは説明のみであり、次に実行する手順とは関係がありません。

    このウィザードを完了すると、ターゲット・モジュールが、マッピング、変換、表、キューブおよびターゲット・ウェアハウスの設計に使用する他の様々なタイプのオブジェクトを表す複数のノードとともに表示されます。

  4. データ・ソース用に個別のOracleモジュールを作成します(オプション)。

    必要に応じて、別のOracleモジュールを作成してOracleソース・データを格納できます。または、次の手順に進みます。

  5. 実行環境を指定します。

    接続ナビゲータで、「コントロール・センター」ノードを見つけます。コントロール・センターはOracle Databaseスキーマの1つであり、後続の手順に従ってデザイン・センターで設計したETLジョブの実行を管理します。

    Oracle Warehouse Builderでは、インストール時にワークスペースと同じデータベース内にDEFAULT_CONTROL_CENTERスキーマが作成されます。

    デフォルトの実行環境を使用する場合は、次の手順に進みます。または、新しい「コントロール・センター」を随時定義できます。詳細および手順は、『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のターゲット・スキーマへのデプロイおよびETLロジックの実行に関する項を参照してください。

  6. 開発、テストおよび本番の各環境を準備します(オプション)。

    ここまでの手順では、単一の実行環境に対応した単一プロジェクトの作成について説明しました。ただし、このプロジェクトの論理設計は、テスト環境や本番環境など、異なる物理環境で再使用できます。

    追加の構成を作成して、単一のデータ・システムを複数の異なるホスト・システムまたは様々な環境にデプロイします。『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』の構成の管理に関する項を参照してください。

  7. クライアント・プリファレンスの設定を必要に応じて調整するか、デフォルトのプリファレンスの設定を受け入れて次の手順に進みます。

    デザイン・センターのメイン・メニューから「ツール」「プリファレンス」の順に選択します。

    新しいユーザーは、必要に応じて、環境プリファレンスの値およびネーミング・プリファレンスのネーミング・モードを設定します。すべてのプリファレンスの詳細は、「Oracle Warehouse Builderデザイン・センター・プリファレンスおよびランタイム・プリファレンス」を参照してください。


    注意:

    ロケールを変更するには、Oracle Warehouse Builder.confまたはide.confを編集し、AddVMOptionを使用して新しいロケールを設定します。ロケール設定では、クライアント・テキストを表示する言語を指定します。

    たとえば、Oracle Warehouse Builder.confで次のように入力すると、ロケールが日本語に設定されます。

    AddVMOption -Duser.language = ja


ソース・メタデータのインポート

ここでは、メタデータをインポートする設計オブジェクトの各タイプのモジュールを作成します。

  1. プロジェクト・ナビゲータで、「ファイル」などのノードを選択します。

    • 選択したノードで、最後にデータを抽出するロケーションを決定します。

    • ノードを右クリックして関連する各ロケーションにモジュールを作成し、「新規」を選択します。

  2. 各種データソースからのメタデータのインポート: モジュールを右クリックして「インポート」を選択し、関連付けられたロケーションからメタデータを抽出します。データのインポート・プロセスをガイドするウィザードが表示されます。

    データ・オブジェクトのインポートの例および詳細は、『Oracle Warehouse Builderソースおよびターゲット・ガイド』のビジネス・インテリジェンス・アプリケーションへのWarehouse Builderデータのインポートに関する項を参照してください。

  3. インポートしたメタデータに対応するデータをプロファイリングします。(オプション)。

    次の手順では、『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のデータ・プロファイリングの概要に関する項に記載されている、データ品質を確保するデータ・プロファイリング・オプションを使用します。

データのプロファイリングおよびデータ品質の確保

信頼性が確かであれば、データを実用的な情報に変換するだけです。データをターゲット・システムにロードする前に、まずデータの構造と意味を理解し、品質を査定する必要があります。

データ・プロファイリング・オプションを使用してソース・データの品質をより深く理解することを検討します。データ・プロファイリング・オプションを使用してソース・データを修正し、変換されたデータのロードで発生する可能性のあるエラーを検出し、修正する手段を確立します。


関連項目:

  • データ・プロファイリング・オプションのライセンスの詳細は、『Oracle Databaseライセンス情報』を参照してください。

  • 『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のデータ・プロファイリングの実行に関する項。


ターゲット・スキーマの設計

ここでは、Oracleターゲット・モジュールのデータ・オブジェクトを作成して設計します。前の手順で、既存のターゲット・オブジェクトをすでにインポートしています。

ターゲット・スキーマを設計する手順は、次のとおりです。

  1. データ・オブジェクトを作成するには、適切なウィザードを起動するか、またはデータ・オブジェクト・エディタを使用できます。ウィザードを使用するには、目的のオブジェクトのノードを右クリックし、「新規」を選択します。ウィザードを使用した後、オブジェクトはエディタで変更できます。その場合は、該当するオブジェクトを右クリックし、「エディタを開く」を選択します。

    詳細は、『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のスキーマの設計に関する項を参照してください。

  2. オブジェクトを設計する際は、設計オブジェクトを頻繁に検証してください。

    • オブジェクトを作成時に検証することも、オブジェクトのグループを検証することもできます。プロジェクト・ナビゲータで、1つ以上のオブジェクトまたはモジュールを選択して「検証」アイコンをクリックします。

    • 検証結果ウィンドウのメッセージを確認します。エラーを修正して再度検証を試みます。

    • 最新の検証結果を後で再表示するには、「表示」メニューから「検証メッセージ」を選択します。

    詳細は、『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のデータ・オブジェクトの検証に関する項を参照してください。

  3. データ・オブジェクトを構成します。

    • データ・オブジェクトを構成するには、プロジェクト・ナビゲータで、該当するオブジェクトを選択して「構成」アイコンをクリックします。または、プロジェクト・ナビゲータで、データ・オブジェクトを右クリックし、「構成」を選択します。

    • データ・オブジェクトの構成では、オブジェクトの物理プロパティを指定します。物理プロパティ値を指定せずにデータ・オブジェクトを生成してデプロイしないでください。

    • データ・オブジェクトを作成すると、Oracle Warehouse Builderにより、オブジェクトのタイプに基づいてデフォルトの構成プロパティ値が割り当てられます。ほとんどの場合、このデフォルト値で十分です。オブジェクトの構成プロパティ値は環境に応じて編集および変更できます。たとえば、表を構成して、その表の作成先となる表領域の名前を指定します。

  4. ターゲット・オブジェクトの設計に問題がなければ、コードを生成します。

    • プロジェクト・ナビゲータで、1つ以上のオブジェクトまたはモジュールを選択して「生成」アイコンをクリックします。生成結果ウィンドウでメッセージを確認します。後で最新の生成結果を再表示するには、「表示」メニューで「生成済スクリプト」を選択します。

    • また、データ・オブジェクト・エディタでは、「生成」アイコンをクリックすると単一のオブジェクトのコードを生成できます。

    • 生成されたスクリプトをファイルとして保存でき、またオプションで、このスクリプトをOracle Warehouse Builderの外部にデプロイすることもできます。

    生成により、DDLまたはPL/SQLスクリプトが作成され、これらはターゲット・スキーマ内のデータ・オブジェクトを作成するために後の手順で使用されます。生成の詳細は、『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のデータ・オブジェクトの生成に関する項を参照してください。

ETLロジックの設計

ここでは、ソースからターゲット・オブジェクトへのデータ・フローを定義するマッピングの設計手順を説明します。

ETLロジックを設計する手順は、次のとおりです。

  1. プロジェクト・ナビゲータで、Oracleターゲット・モジュールを開き、「マッピング」ノードを右クリックして「新規」を選択します。

    • マッピング・エディタを使用すると、データのフローを視覚的に定義できます。キャンバス上に演算子をドラッグ・アンド・ドロップし、演算子をつなぐ線を描きます。演算子は、データ・オブジェクトおよびフィルタリング、集計などの機能の両方を表します。

    『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のマッピングの定義に関する項の詳細な手順を参照して、最後にマッピングのコードを生成します。

  2. マッピング間の依存性を管理します。『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のプロセス・フローの設計に関する項を参照してください。

設計のデプロイおよびデータ統合ソリューションの実行

配布は、デザイン・センターで生成した関連するメタデータおよびコードをターゲット・スキーマにコピーするプロセスです。この手順は、ターゲット・スキーマがマッピングなどのETLロジックの実行の有効化に必要です。

生成されたコードをデプロイおよび実行する手順は、次のとおりです。

  1. デザイン・センターまたはコントロール・センター・マネージャのいずれかからオブジェクトをデプロイします。

    この手順では、ターゲット・スキーマのオブジェクトを定義します。

    最も単純なアプローチは、オブジェクトを選択し、「配布」アイコンをクリックして、デザイン・センターから直接デプロイすることです。この場合、Oracle Warehouse Builderにより、デフォルトのデプロイメント設定を使用してオブジェクトがデプロイされます。

    あるいは、Oracle Warehouse Builderがオブジェクトをデプロイする方法をより詳細に制御し、フィードバックを得るには、デザイン・センターのメニューで「ツール」「コントロール・センター・マネージャ」を選択します。

    デザイン・センターまたはコントロール・センター・マネージャからオブジェクトをデプロイする場合、すべての関連付けられたオブジェクトをデプロイする必要があります。たとえば、マッピングをデプロイする場合、定義した表などのターゲット・データ・オブジェクトや関連付けられたプロセス・フロー、またはその他のマッピングにもデプロイします。

    詳細は、『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のターゲット・スキーマへのデプロイおよびETLロジックの実行に関する項を参照してください。

  2. ETLロジックを実行し、ターゲット・ウェアハウスを移入します。

    この時点で、データを初めて移動します。ターゲットを新しいデータでリフレッシュするたびにこの手順を繰り返します。

    マッピングおよびプロセス・フローでETLロジックを実行するには2つのオプションがあります。スケジュールを作成およびデプロイする場合は、『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のスケジュールの定義に関する項の説明に従い、マニュアルでジョブを実行する場合は、ETLジョブの開始に関する項の説明に従います。

品質の監視およびデータ・システムのレポート

データ・ウェアハウスに入力されるデータの品質を長期的に確保することは非常に重要です。データ監査を行うと、入力データをデータ・ルールのセットと照らし合せて検証し、データ・ウェアハウスに対して定義されたビジネス・ルールにデータが準拠しているかどうかを判別することにより、入力データの品質を監視できます。


関連項目:

『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のデータ監査およびデータ・ルールを使用した品質監視に関する項。

コントロール・センター・マネージャにはデプロイメントと実行の履歴が表示されますが、Oracle Warehouse Builderの操作の監視およびレポート作成の優先インタフェースはリポジトリ・ブラウザです。


関連項目:

『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のリポジトリ・ブラウザに関する項。

Oracle Warehouse Builderのアーキテクチャ

Oracle Databaseでは、データベースのインストール時に標準ソフトウェアの一部としてOracle Warehouse Builderが提供されます。Oracle Warehouse Builderは、Oracle Databaseの重要な部分です。Oracle Warehouse Builderはすべてのバージョン(Standard Edition、Standard Edition One、Enterprise Edition)、および通常はOracle Databaseを認証している、ポート先のすべてのプラットフォームで実行されます。

サーバー側のOracle Warehouse Builderアーキテクチャの基本コンポーネントは次のとおりです。

第3章「ユーザー・インタフェース・ツアー」で説明されているクライアント側またはデスクトップ側の主なOracle Warehouse Builderコンポーネントは、次のとおりです。

図2-1は、Oracle Warehouse Builderを構成するコンポーネントと、クライアントおよびサーバーでのそれらの配置および実行の場所を示しています。

図2-1 Oracle Warehouse Builderコンポーネント

図2-1の説明が続きます。
「図2-1 Oracle Warehouse Builderコンポーネント」の説明


関連項目:

追加構成のダイアグラムは、『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』のインストールおよび構成アーキテクチャの概要に関する項を参照してください。

Oracle Warehouse Builderリポジトリ

Oracle Warehouse Builderのアーキテクチャの主要な機能は、スキーマおよびデータベース・オブジェクトとともに事前にシードされた、データベース・インスタンスに対する単一の統合Oracle Warehouse Builderリポジトリです。この単一のリポジトリ内に、ランタイム環境と設計環境が存在します。Oracle Databaseをインストールすると、Oracle Warehouse BuilderSYSという名前のリポジトリ・スキーマが作成されます。データベースのインストールが完了したら、Oracle Warehouse BuilderSYSアカウントとOracle Warehouse BuilderSYS_AUDITアカウントのロックを解除する以外は、追加の処理を実行する必要はありません。


注意:

  • Oracle Warehouse Builderリリース11gでは、すべてのリポジトリ・オブジェクトが、リリース11gの各Oracleデータベースの一部として作成されたOracle Warehouse BuilderSYSスキーマに格納されます。Oracle Warehouse BuilderSYSデータベース・ユーザーは、Oracle Warehouse Builderユーザーとしても登録されます。通常、管理者および開発者は、Oracle Warehouse BuilderSYSアカウントを直接使用しないで、他のデータベース・ユーザーを登録し、必要な権限を割り当てます。

  • ランタイム環境および設計環境を区別する場合に複数のリポジトリを作成できますが、これはお薦めできません。



関連項目:

『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』の次のトピック:
  • 「サーバーのOracle Warehouse Builderのインストール」

  • OWBSYSおよびOWBSYS_AUDITアカウントのロック解除の手順

  • 既存のリポジトリの削除に関する「Oracle Warehouse Builderリポジトリのクリーンアップ」

  • リポジトリのリフレッシュに関するリポジトリ・オブジェクトを使用したOracle Warehouse BuilderSYSスキーマの作成に関する項


ワークスペース

Oracle Warehouse Builderの使用を開始するには、1つ以上の新しいワークスペースを作成します。ユーザーは、リポジトリ全体ではなくそれぞれのワークスペースにアクセスします。そのため、Oracle Warehouse Builder管理者は、ユーザーにリポジトリへのアクセス権を付与するのではなく、1つ以上のワークスペースへのアクセス権を付与します。すべてのワークスペースが単一のリポジトリ・スキーマに格納されるため、ワークスペースの作成が簡略化されます。

リポジトリを定義する際には、管理者が1つ以上のワークスペースを作成し、関連プロジェクトを扱う一連のユーザーに各ワークスペースを対応させます。たとえば、一般には開発用、テスト用、本番用に別々のワークスペースを作成します。この方法を取れば、チーム・メンバーは担当業務に集中できるだけでなく、セキュリティも確保できます。開発者などのユーザーには開発用およびテスト用のワークスペースへのアクセスを許可すると同時に本番用のワークスペースへのアクセスを禁止することができます。後の実装サイクルで、Oracle Warehouse Builderのリポジトリ・アシスタントを使用して既存のワークスペースを作成したり、新規のワークスペースの作成することができます。


関連項目:

  • 『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』のリポジトリの最初のワークスペースの作成に関する項。

  • 『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』の「リポジトリ・ブラウザを開く」のワークスペースへのログインに関する項。

  • 「ワークスペース」


コントロール・センター・サービス

各ワークスペースにはそのワークスペースを指すデフォルトのコントロール・センターがあり、対応するコントロール・センター・サービスにより開始および停止されます。「コントロール・センター」には、すべてのデプロイメントおよび実行に関する詳細情報が格納されており、オブジェクト単位またはジョブ単位でアクセスできます。

ローカル・システムへのデプロイには、デフォルトのコントロール・センターを使用できます。必要に応じて、別のシステムにデプロイするための追加のコントロール・センターを作成することもできます。一度にアクティブにできるコントロール・センターは1つのみであり、これは現在のアクティブな構成に関連付けられているコントロール・センターです。


関連項目:

『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』の次のトピック:
  • 「コントロール・センター・サービスの設定」

  • 「コントロール・センター・サービスの起動および停止」


コントロール・センター・エージェント(J2EEランタイム)

コントロール・センター・エージェント(CCA)は、Oracle Containers for J2EE(OC4J)サーバーで実行されます。コード・テンプレートやWebサービスなど、Oracle以外のデータのアクセスに関連する一部のOracle Warehouse Builder機能は、JavaまたはJ2EEランタイムと呼ばれるOC4Jサーバーのデータベース外部で実行されるJavaコードに依存します。一部の異機種間データ・アクセス・シナリオでは、OracleデータベースがインストールされていないホストにスタンドアロンのJavaランタイムをインストールする必要があります。

コントロール・センター・エージェントを起動するには、コマンドラインからccastartを使用します。Oracle Warehouse Builderにはcca_adminユーティリティが用意されており、これを使用すると、ランタイム環境を停止してから再起動しなくても、コントロール・センター・エージェント設定を動的に変更できます。


注意:

コード・テンプレート(CT)には、特定の技術、システム、または一連のシステムに対して特定の一連のタスクを実行するためにOracle Warehouse Builderに必要な情報が含まれています。コード・テンプレートをデプロイする前に、コントロール・センター・エージェントを起動する必要があります。

『Oracle Warehouse Builderソースおよびターゲット・ガイド』のコード・テンプレートに関する項および『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のWarehouse Builderで提供される事前作成済のコード・テンプレートに関する項を参照してください。



関連項目:

『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』の次のトピック:
  • 「コントロール・センター・エージェントの起動および停止」

  • cca_adminユーティリティに関する項

  • 「OC4J起動スクリプトの変更」

  • 「コード・テンプレートのインストール」


ターゲット・スキーマ

Oracle Warehouse Builderプロジェクトのデータは、サーバーのターゲット・スキーマに格納されます。このデータは、表、ビュー、ディメンションキューブ・オブジェクトなどのデータ・オブジェクトの形式です。従来のデータ・ウェアハウスの実装では、通常1つのみのターゲット・スキーマがあり、それはデータ・ウェアハウスのターゲットです。リレーショナルおよびディメンショナルの両方でターゲット・スキーマを設計できます。ターゲット・スキーマを設計するには、すべてのデータ・オブジェクトを含むターゲット・モジュールを最初に作成します。ターゲット・モジュール は、すべてのデータ・ウェアハウス・オブジェクトのメタデータ定義を格納するコンテナです。各ターゲット・モジュールは、オブジェクトが格納される物理ロケーションを表すターゲット・ロケーションに対応します。


関連項目:

『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のソースおよびターゲット・スキーマの設計に関する項および次の追加トピック
  • 「ターゲット・スキーマの設計」

  • 「ターゲット・スキーマへのデプロイおよびETLロジックの実行」


Oracle Warehouse Builderのヘルプの参照

Oracle Warehouse Builderには、[F1]キーで利用できるコンテキスト依存ヘルプに加えて、ユーティリティ、トレーニング、ディスカッション・フォーラム、Oracle Technology Networkなどへのリンクを含む「ヘルプ」メニューが用意されています。「ヘルプ」メニューには、完全なOracle Warehouse Builderドキュメント・ライブラリのオンライン・バージョンであるヘルプ・センターも含まれます。

ヘルプ・メニュー

デザイン・センターで使用できる「ヘルプ」メニューには、次のメニュー項目が含まれます。

  • 検索。オンラインのヘルプ・センターの検索機能のショートカットを表示します。

  • 目次。目次が選択された状態でヘルプ・センターが開きます。

  • お気に入りのヘルプ。お気に入りのヘルプ・トピックを設定していた場合、お気に入りが選択されてヘルプ・センターが開きます。

  • ダイナミック・ヘルプ。

  • 開始ページ。初めてOracle Warehouse Builderを実行すると、完了後に開始ページが表示されます。

  • 拡張機能。OTNのOracle Warehouse Builder Utility Exchangeへのリンク。Oracle Warehouse Builder Utility Exchangeの目的は、ユーティリティ、コード・サンプル、ヒントおよびコツを交換できるフォーラムをユーザー・コミュニティに提供することです。ここで示されるユーティリティは、Oracle本番リリースの一部ではありません。したがって、無償なのでサポートされません。

  • トレーニング。Oracle Warehouse Builderのトレーニングを確認できるOracle Universityのショートカットを表示します。

  • ディスカッション・フォーラム。

  • Oracle Technology Network。このリリースに対応するOTNのOracle Warehouse Builderへのショートカットが表示されます。

  • 更新の確認。Oracle Warehouse Builder製品更新があるかチェックされます。グレー表示の場合、更新は使用できません。

  • セッション・プロパティ。ワークスペースの所有者や名前などの現在のワークスペース・セッションの情報、ホスト名などの接続プロパティ、サービス名およびデータベース・バージョンおよびワークスペースの所有者に付与されるロールを表示します。

  • バージョン情報。現在のソフトウェア・リリースのバージョン情報を表示します。

ヘルプ・センター

ヘルプ・センターには、オンラインの参照や検索が可能なHTML形式の完全なOracle Warehouse Builderドキュメント・セットが含まれます。「コンテンツ」タブをアクティブにして、ヘルプ・センターが開きます。プラス記号をクリックして、コンテンツを開きます。検索機能を使用して、検索するトピックを入力します。

Oracle Warehouse Builderのドキュメント・ライブラリ

Oracle Warehouse Builderには、表2-1に示されているドキュメントが用意されています。

表2-1 Oracle Warehouse Builderドキュメント・ライブラリ

タイトル 説明および使用

Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド


「第1部: Oracle Warehouse Builderのインストールおよび構成」を使用して、必要なインストール・タスクを実行し、Oracle Warehouse Builderリポジトリを構成します。「構成の管理」の章から始まる「第II部: Oracle Warehouse Builderの管理」は、構成の詳細な手順、コントロール・センターおよびリポジトリ、コントロール・センター・エージェント、コンテンツ管理、メタデータ・ローダーの使用およびセキュリティ管理を説明します。

『Oracle Warehouse Builderリリース・ノート』


このリリース・ノートには、修正、トラブルシューティングおよび既知の問題に関する最新情報が含まれます。このリリースの最新情報を確認するため、設定プロセス中にリリース・ノートを参照できます。

『Oracle Warehouse Builder概要』


このマニュアルでは、『Oracle Database概要』と同様に、アーキテクチャ、ユーザー・インタフェースおよびOracle Warehouse Builderに含まれるコンポーネントについて詳しく説明しています。インタフェース・ツアーの章があり、Oracle Warehouse Builderでの一般的なタスクの実行に使用されるプロセスおよびステップの概要を示しています。このマニュアルには、他のマニュアル内の詳細情報および手順へのリンクが含まれています。

『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』


このマニュアルは、ターゲット・スキーマの設計、データ変換の実行、コードの生成、およびデータ品質を最適化して管理するすべてのタスクの実行の包括的な手順を示します。

『Oracle Warehouse Builderソースおよびターゲット・ガイド』


このマニュアルは、サポートされているすべてのソースおよびターゲットを示し、ソースからインポートしてターゲットにデプロイする手順を説明します。

『Oracle Database 2日でデータ・ウェアハウス・ガイド』


このマニュアルは、「Oracle Database 2日で」シリーズの一部です。Oracle Warehouse Builder以外のデータベースで提供されるデータ・ウェアハウス機能を理解する入門書として最適です。

Oracle Warehouse Builder APIおよびスクリプト・リファレンス


このマニュアルでは、Oracle Warehouse Builderで使用できるスクリプト言語を示し、完全な言語リファレンスを提供しています。

Oracle Warehouse Builderヘルプ(Oracle Warehouse Builderのオンライン・ヘルプとしてのみ利用可能。)

オンライン・バージョンの完全なドキュメント・ライブラリを提供する包括的なヘルプ・システム、およびすべてのUIオブジェクトのコンテキスト依存ヘルプ。