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Oracle WebCenter Framework開発者ガイド
10g(10.1.3.4)
B50831-02
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2 WebCenterアプリケーションの計画

この章では、構築するWebCenterアプリケーションのタイプの決定方法を示し、WebCenterアプリケーションを構築するための主要な考慮事項について説明します。WebCenterアプリケーションの構築を開始する前に、この章をよく読んで、使用可能なオプションと構築の開始前に考慮する必要のある問題を見極める必要があります。

2.1 WebCenterアプリケーションの概要

Oracle WebCenter Frameworkには、(ポートレット、カスタマイズおよびコンテンツ統合などの)機能セットが備わっています。この機能セットを使用すると、Oracle ADFを使用してWebCenterアプリケーションを構築してデプロイするプロセスが簡単になります。

WebCenterアプリケーションとは、次の要素の一部または全部が使用されたアプリケーションです。

WebCenterアプリケーションを構築してテストした後は、エンドユーザーのためにアプリケーションをデプロイする必要があります。WebCenterアプリケーションがデプロイされて実行されると、ユーザーはアプリケーションへのアクセスを開始し、管理者はアプリケーションの保守を開始します。以降の各項に、WebCenterアプリケーションのコンポーネントの概要を示します。

2.1.1 カスタマイズ可能ページについて

Oracle WebCenter Frameworkには、次のすべての要素を使用してJSFページを拡張するための機能が本質的に備わっています。

  • 領域内でコンテンツを再配置したり、子コンポーネントの表示/非表示を切り替えるための、カスタマイズ可能コンポーネント

  • 動的コンテンツを表示、パーソナライズおよび再利用するためのポートレット

  • Java Content Repository(JCR)データ・コントロールを介してコンテンツ・リポジトリから取得したコンテンツ

これらの要素を組み合せることで、ユーザーはコンテンツおよびコラボレーション機能に簡単にアクセスできるようになります。またオプションで、これらの様々なページ要素のカスタマイズを有効化して、WebCenterアプリケーションをよりフレキシブルにすることができます。管理者はエンドユーザーのページをカスタマイズできますが、エンドユーザーはページをパーソナライズできませんので注意してください。ポートレットがパーソナライズを実装していて、アプリケーションがユーザー認証を実装している場合、エンドユーザーはポートレットのみをパーソナライズできます。


関連項目:

これらの機能を使用してページを拡張する方法の詳細は、第4章「ページへの移入」を参照してください。

2.1.2 カスタマイズ可能コンポーネントについて

カスタマイズ可能コンポーネントを使用すると、管理者は要件に応じてビューを操作できます。たとえば、管理者は特定のコンポーネントをすべて非表示にしたり、ページの一番上に移動するように選択できます。カスタマイズ可能コンポーネントをページに追加すると、そのページはカスタマイズ可能になります。

カスタマイズ可能コンポーネントには、ShowDetailFrameというコンテンツ・コンテナ・コンポーネントと、PanelCustomizableというレイアウト・コンポーネントがあります。これらのコンポーネントを使用すると、管理者はコンテンツの一部の再配置または表示/非表示の切替えを行ったり、ページ上のコンテンツの動作を定義できます。

Oracle WebCenter Frameworkでは、2つのカスタマイズ・コンポーネントが提供されています。

  • 内側のコンポーネントをクロムで囲むShowDetailFrameコンポーネント。これによって管理者は、そのコンテンツを最小化、最大化または移動できます。

  • PanelCustomizableコンポーネント。これによって管理者は、内側の子コンポーネントの表示/非表示を切り替えることができます。

一般的なシナリオにおいては、複数のShowDetailFrameにそれぞれ異なるコンポーネント(たとえば、Oracle ADF Facesの表やobjectImageなど)が含まれていることがあります。この場合、これらのShowDetailFramePanelCustomizableコンポーネントでラップすると、ShowDetailFramePanelCustomizableの子になります。このシナリオでは、各ShowDetailFrameが、最小化、最大化および移動のためのそれぞれのクロムを持ちます。さらに、すべてのShowDetailFrameはクロムで囲まれているため、子ShowDetailFrameの表示/非表示を切り替えることができます。PanelCustomizableは、コンテンツの移動を可能にします。このコンポーネントがない場合、ShowDetailFrameは最小化または最大化のみできます。


関連項目:

詳細は、4.4項「カスタマイズ可能コンポーネントの使用」を参照してください。

2.1.3 ポートレットについて

Oracle WebCenter Frameworkでは、ポートレットに対してWSRP 1.0、WSRP 2.0、JSR 168およびOracle PDK-Javaがサポートされています。この初期リリースのOracle WebCenter Frameworkでは、WSRP 2.0機能にはいくつかのOracle拡張要素が必要ですので注意してください。また、Oracle WebCenter Framework環境では、すべてのポートレットはアプリケーションからリモートに実行されるため、ローカル・ポートレットは存在しないことにも注意してください。ポートレットを消費する前には必ず、ポートレットのプロデューサをデプロイしてアプリケーションに登録する必要があります。

オラクル社またはサード・パーティが提供するポートレットを使用することも、プログラムを使用して独自のポートレットを作成することもできます。Oracle WebCenter Frameworkに付属のビルトイン・ポートレットには、次のポートレットがあります。

  • リッチ・テキスト・ポートレットは、実行時にブラウザ・ベースでリッチテキストな編集を可能にします。

  • Webクリッピングは、ブラウザ・ベースの宣言型ツールです。これを使用すると、WebアプリケーションとWebCenterアプリケーションを統合できます。

  • OmniPortletは、宣言型のポートレット構築ツールです。これを使用すると、XMLファイル、値間を特定文字で区切ったファイル(スプレッドシートなど)、Webサービス、データベース、Webページといった多様なデータソースに対してポートレットを構築できます。

また、パッケージ・アプリケーションには、アプリケーションの特定のデータまたは機能にアクセスできる、独自のポートレット・セットが付属していることが多くあります。互換性のあるテクノロジ(WSRP、JSR 168またはPDK-Java)を使用して構築されていれば、これらのポートレットをWebCenterアプリケーションに含めることもできます。

ポートレットとFacesコンポーネント、およびポートレットとページの間でパラメータが受渡しされるように、複数のポートレットをリンクできます。この方法で、ポートレットで表示されるデータがページ・コンテキストに応じて変わる、状況依存アプリケーションを作成することができます。


関連項目:


2.1.4 (JCRデータ・コントロールを介して取得する)コンテンツについて

WebCenterアプリケーションからコンテンツ・リポジトリを参照および問合せするには、リポジトリからのデータをアプリケーションにバインドする必要があります。Oracle JDeveloperおよびOracle ADFでJCRデータ・コントロールを使用すると、コンテンツ・リポジトリに接続し、WebCenterアプリケーション内にそのコンテンツを表示できます。この機能はJSR 227に基づいており、様々なソースからのデータをJavaユーザー・インタフェースにバインドする標準的な方法を提供します。

たとえば、Oracle Content Database(Oracle Content DB)、Oracle Application Server Portal(OracleAS Portal)またはファイル・システムからコンテンツを選択するデータ・コントロールを作成できます。作成したデータ・コントロールは、表としてのJSPドキュメントにドロップできます。Oracle Content DB、OracleAS Portalまたはファイル・システム以外のコンテンツ・リポジトリからデータを取得する必要がある場合は、独自のJCRアダプタを作成できます。データ・コントロールの作成ウィザードの「コンテンツ・リポジトリ・コンフィギュレーション」ページから、取得するデータが含まれるコンテンツ・リポジトリを選択します。


関連項目:

コンテンツ統合の詳細は、第5章「コンテンツの統合」を参照してください。

2.1.5 スキンについて

Oracle ADF Facesにおけるスキンは、アプリケーション全体に対して1か所に設定されるグローバル・スタイルシートです。アプリケーション全体に対して1つのスキンを作成できるため、各コンポーネントのスタイルを設定したり、各ページにスタイルシートを挿入する必要はありません。各コンポーネントで自動的に、スキンで記述されているスタイルが使用されます。スキンの変更内容は実行時に取り込まれるため、コードを変更する必要はありません。スキンはCascading Style Sheet仕様に基づいており、CSS 3.0構文を使用します。


関連項目:

スキンの概要および使用方法の詳細は、第9章「カスタマイズ可能コア・コンポーネントのスタイルの定義および適用」を参照してください。

2.1.6 セキュリティについて

WebCenterアプリケーションのセキュリティ・モデルは、広範な種類の領域に対応しています。次のように、特定の環境のニーズを考慮し、アプリケーションに適用する必要のあるセキュリティの側面を選択する必要があります。

  • ユーザー・ログインを要求し、ユーザー・ロールに基づいて特定の領域や機能へのアクセスを制限する必要がある場合。この場合、ロールに基づいて、細かいレベル(たとえば、ページ、データ・イテレータ、属性、メソッドなど)で許可されるアクションを定義できます。また、他のページやコンポーネントに対する権限に基づいて、ユーザーにビュー・コンポーネントが表示されるかどうかを制御することもできます。

  • WebCenterアプリケーションで、外部アプリケーションのセキュリティ・システムまたはコンテンツ・リポジトリとネゴシエートしてデータまたはコンテンツをフェッチする必要がある場合。

  • アプリケーションとリモート・ポートレットの間にセキュアなアイデンティティ伝播を構成する必要がある場合。


関連項目:

WebCenterアプリケーションを保護するためのオプションの詳細は、第10章「WebCenterアプリケーションの保護」 を参照してください。

2.1.7 ライフ・サイクルについて

設計時環境(Oracle JDeveloper)でWebCenterアプリケーションを作成してテストした後は、アプリケーションを本番システムにデプロイする必要があります。WebCenterアプリケーションをデプロイした後は、システムを保守する必要があります。たとえば、パフォーマンスや可用性の監視、ポートレット・プロデューサの編集またはリフレッシュ、アプリケーションのアンデプロイ、あるいはカスタマイズ・データの移行を行います。また当然、アプリケーションをさらに拡張し、再度ステージングして本番システムに再デプロイすることも必要になります。ライフ・サイクル・ツールおよびGrid Controlコンソールを使用すると、これらの作業を本番WebCenterアプリケーションで簡単に実行できます。

2.2 開始前に考慮する必要のある設計上の問題

WebCenterアプリケーションの設計を始める前に、関係者のニーズを考慮する必要があります。具体的には、WebCenterアプリケーションのエンドユーザー、管理者および開発者が最も求めている機能は何かを考慮することが重要です。この計画プロセスでは、次に示す一般的な質問リストが参考になります。WebCenterアプリケーションの実際の構築を開始する前に、次の質問すべてに対する答えを慎重に考察してください。

2.3 サービス・リクエスト・デモの使用

このガイドで使用する例は、Oracle ADFアプリケーション(『Oracle Application Development Framework開発者ガイド』を参照)に基づいており、既存のOracle ADFアプリケーションにポータルおよびWebCenterサービスの機能を追加する方法を示しています。この項では、次の2つのトピックについて説明します。

2.3.1 Oracle ADFサービス・リクエスト・デモの概要

サービス・リクエスト・デモ(SRDemo)アプリケーションは、家電製品のサービスを行う会社がWeb上でサービス問題を解決できる、サンプルのカスタマ・リレーションシップ・マネジメント・アプリケーションです。このアプリケーションは16のWebページで構成され、次のようなフローで、顧客が生成したサービス・リクエストを管理します。

  1. 顧客がログインし、サービス・リクエストを送信します。

  2. 管理者がログインし、リクエストを技術者に割り当てます。

  3. 技術者がログインし、割り当てられたリクエストを確認した後、解決策を提供するか、顧客に追加の情報を要求します。

  4. 顧客がサイトに戻り、サービスを確認した後、リクエストを完了するか、追加情報を提供します。

  5. リクエストが未処理の間、管理者は技術者の既存のリクエストを確認でき、必要に応じて別の技術者に再割当てできます。

また、技術者は自分の専門領域の製品を指定できます。管理者はこの情報を使用して、サービス・リクエストを割り当てます。

ログイン後のユーザーには、顧客、管理者または技術者としてのロールに応じたアプリケーション機能のみが表示されます。

デモの詳細は、『Oracle Application Development Framework開発者ガイド』の「Oracle ADFサービス・リクエスト・デモの概要」を参照してください。

シナリオについて

SRDemoでは、顧客のサービス・リクエストを追跡するために既存のOracle ADFアプリケーションを使用し、既存のアプリケーションを変更することなくアプリケーションにポータル機能を追加します。このサービス・リクエスト・アプリケーションによって、顧客、技術者および管理者はすべて、同じインタフェースからサービス・リクエストの情報を表示できます。3つのロールは次のとおりです。

  • 顧客(My Acme Corporationの顧客)

  • 技術者(My Acme Corporationのサービス・リクエストを処理する技術者)

  • 管理者(Webサイトを管理し、My Acme Corporationの技術者チームを運営する管理者)。

顧客

顧客はアプリケーションにログインし、現在の告知内容、自分の既存のサービス・リクエスト、およびこれらのリクエストの詳細情報を表示できます。また、購入した製品の情報や、サービスを提供する会社と締結している現在の契約のリストも表示できます。さらに、既存のサービス・リクエストに対する意見を送信できます。

技術者

技術者はアプリケーションにログインし、割り当てられたサービス・リクエストを表示できます。また、既存のサービス・リクエストを更新できます。

管理者

管理者はアプリケーションにログインし、実行時、顧客に表示される告知内容を更新できます。また、コンテンツ・リポジトリ内のコンテンツを使用して、実行時にページを変更できます。たとえば、顧客に対して新しいサービスが使用可能になった場合、管理者は実行時にこの新しいサービスに関する情報を追加できます。また、管理者は顧客からの意見を検討し、自分のメモを追加できます。さらに、現在のサービス・リクエストの量や最も行動的な顧客などが示されたダッシュボード・ページにサイト統計を表示できます。また、このダッシュボード・ページをカスタマイズできます。管理者は、1つのページから一般サイト管理にアクセスし、スキンを切り替えてルック・アンド・フィールを変更したり、ログインをカスタマイズすることができます。

2.3.2 Oracle ADFサービス・リクエスト・デモの設定

SRDemoを表示し、このガイドで例示した作業のいくつかを実行するには、開始ファイルをダウンロードしてインストールする必要があります。そのための手順は、次のとおりです。

  1. 次のページにあるWebCenterSRDemo.zipファイルをダウンロードします。

    http://www.oracle.com/technology/products/webcenter/documentation.html
    
  2. Zipファイルをc:\ドライブに抽出し、ディレクトリの最上位にあるInstall.htmlファイル内の指示に従います。