Oracle Enterprise Manager アドバンスト構成 10gリリース5(10.2.0.5.0) B53907-01 |
|
この章では、ソフトウェアをインストールした後に構成を見なおした場合のEnterprise Managerの再構成方法について説明します。
この章では次の項について説明します。
次の項では、Enterprise Managerをインストールした後で管理エージェントに対して実行可能な再構成およびチューニング変更について説明します。詳細は次の項を参照してください。
管理対象ホストに管理エージェントをインストールする際、管理エージェントを特定の管理サービスに関連付けます。管理エージェントは管理サービスのURLアドレスおよびポートを使用して、管理サービスを指定し通信を行います。
管理エージェントをインストールした後で、別の管理サービスと関連付けるために管理エージェントを再構成することができます。管理エージェントを再構成しても管理サービスを変更する必要はありません。再構成された管理エージェントは、再起動すると新規の管理サービスとの通信を開始します。
管理エージェントをインストールした後で、管理エージェントを新規の管理サービスと関連付けるには、次のようにします。
emd.properties
ファイルを探します。
AGENT_HOME/sysman/config/emd.properties
REPOSITORY_URL
プロパティの値を変更します。次に例を示します。
REPOSITORY_URL=http://mgmthost2.acme.com:4889/em/upload
emdWalletSrcUrl
プロパティおよびemdWalletDest
プロパティの値を変更します。たとえば、新規管理サービスがmgmthost2.acme.com
というホスト上にあり、新規Oracleホームが/private/oracle/em10g
である場合は、プロパティを次のように変更します。
emdWalletSrcUrl=http://mgmthost2.acme.com:4889/em/wallets/emd emdWalletDest=/private/oracle/em10g/sysman/config/server
emd.properties
ファイルを閉じます。
AGENT_HOME/sysman/emd/upload/ AGENT_HOME/sysman/emd/state/
新規管理サービスの管理エージェントを保護するには、次のコマンドを使用します。
emctl secure agent <password_to_secure_agent_against_new_mgmt_service>
管理エージェントは、事前に定義されたポート番号を使用して管理サービスからのリクエストを受信します。このポート番号は、管理エージェントを管理対象ホスト上にインストールしたときにデフォルトで定義されます。後でこのポートの変更が必要になった場合は、次の手順を使用します。既存のソフトウェアがデフォルトの管理エージェント・ポートを使用している場合などに、このポート番号を変更する必要があります。
管理エージェント・ポートを変更するには、次のようにします。
emd.properties
ファイルを探します。
AGENT_HOME/sysman/config/emd.properties
次に例を示します。
EMD_URL=http://managed_host1.acme.com:1813/emd/main
次に例を示します。
EMD_URL=http://managed_host1.acme.com:1913/emd/main
管理エージェントは一定のディスク領域制限下で動作するように設計されています。この管理エージェントに対する制限によって、エンタープライズ・システム上でディスク領域が過剰に使用され、パフォーマンスまたはリソースに関する問題が発生することが回避できます。ただし、ディスク領域が問題になった場合、管理エージェントで使用するディスク領域を制御しているデフォルトの設定を調整できます。
あるホスト上の管理エージェントによってホストのターゲットに関する管理データが収集されると、その収集データが管理リポジトリにアップロードされるまでデータはローカル・ディスクに保存されます。管理エージェントは、この収集データおよびメタデータを次のディレクトリに保存します。
AGENT_HOME/sysman/emd/upload
デフォルトでは、uploadディレクトリに収集データが50MBまで保存されます。収集データが50MBを超えると、データがリポジトリにアップロードされてより多くのディスク領域を使用できるようになるまで、データ収集が一時的に停止します。
また、管理エージェントにより、ローカル・ディスクで現在使用中のディスク領域の割合が
98パーセントを超えないようにチェックされます。この値を超えると、データ収集が停止し、管理エージェントへのログおよびトレース・ファイルへの情報の保存も停止されます。
このデフォルト設定は次のように変更します。
emd.properties
ファイルを探します。
AGENT_HOME/sysman/config/emd.properties
表12-1 管理エージェントで使用するディスク領域を制御するためのプロパティ
管理エージェントは、エンタープライズを効率的に管理するために必要なデータを収集するEnterprise Managerコンポーネントです。このためEnterprise Managerには、管理エージェント・プロセスを追跡し管理エージェントが実行中であることを確認するためのソフトウェアが含まれています。
たとえば、管理エージェントが予期せず終了すると、ウォッチドッグ・プロセスと呼ばれる自己監視プロセスが自動的に管理エージェントを再起動します。
ほとんどの場合、ウォッチドッグ・プロセスはバックグラウンドで動作し、構成やメンテナンスは必要ありません。ウォッチドッグ・プロセスは、管理エージェント・ホーム・ディレクトリの次のディレクトリにあるemwd.pl
スクリプトによって制御されています。
AGENT_HOME/bin
次のコマンドを使用すると、ウォッチドッグ・プロセスを確認できます。
$PROMPT> ps -ef | grep emwd
今日のグローバルな経済環境では、管理対象のシステムが世界各地に点在することも珍しくありません。たとえば、企業の本社はアメリカ合衆国のニュー・ハンプシャー州にあり、カリフォルニア州、カナダおよびヨーロッパに点在するシステムを管理する場合などが考えられます。
Enterprise Managerがこれらのリモート・システムで稼働中の管理エージェントから監視データを収集する場合は、データが正確に関係付けられていることが重要です。カナダのオンタリオ州にあるマシンのソフトウェア障害によって、ニュー・ジャージー州のホーボーケンにあるマシンのパフォーマンスに問題が発生する可能性があるためです。
このデータを関係付けるには、インストールした各管理エージェントの正確なタイムゾーンをEnterprise Managerが取得することが重要です。次の項では、管理エージェントによるタイムゾーンの取得方法と、タイムゾーンが正しくない場合の問題の修正方法を説明します。
管理エージェントをインストールすると、ホスト・コンピュータの現在のタイムゾーンの取得が試行されます。取得が成功すると、次の構成ファイルのagentTZRegion
プロパティ設定が更新されます。
AGENT_HOME/sysman/config/emd.properties
agentTZRegion
プロパティは、管理エージェント・ホーム・ディレクトリにインストールされている次のファイルで一覧表示される、どの値に設定することもできます。
AGENT_HOME/sysman/admin/suportedtzs.lst
次の両方の状況に当てはまる場合、管理エージェントのタイムゾーンをリセットする必要があります。
タイムゾーンの変更をemd.properties
ファイルに伝播するには、次の操作を実行します。
ORACLE_HOME/bin/emctl resetTZ agent
このスクリプトにより、agentTZRegion
の値がマシンの現行タイムゾーン設定と一致するように、ORACLE_HOME/<hostname>_<sid>/sysman/config/emd.properties
が更新されます。
mgmt_target.set_agent_tzrgn
を実行する必要があります。次に例を示します。
SQL> exec mgmt_target.set_agent_tzrgn('em.oracle.com:1830','PST8PDT'); SQL> commit; SQL> exit
em.oracle.com:1830
はemdターゲットの名前です。
管理エージェントのインストール時に、管理エージェント構成ツールによって検出されたタイムゾーンが管理エージェントで認識されない場合があります。つまり、構成ツールで取得されたタイムゾーンが、管理エージェントのサポート・タイムゾーンのリストに列記されていない場合です。
この問題によって管理エージェントが起動できなくなり、次のエラーと同様のエラーが発生します。
Could not determine agent time zone. Please refer to the file: ORACLE_HOME/sysman/admin/supportedtzs.lst and pick a timezone region with a standard offset of +5:0 from GMT and update the property 'agentTZRegion' in the file: ORACLE_HOME/sysman/config/emd.properties
このエラーは、使用しているEnterprise Manager製品に応じて、表12-2のログ・ファイルの中の1つに表示されます。
使用中の製品 | タイムゾーン・エラーが表示されるファイル |
---|---|
Grid Controlコンソール |
|
Application Server Controlコンソール |
|
Database Controlコンソール |
|
有効なタイムゾーンを使用するため管理エージェントを構成するには、次のようにします。
AGENT_HOME/bin/emctl config agent getTZ
emctl config agent getTZ
コマンドによって返されるタイムゾーンを書き留めます。これがホスト・コンピュータのタイムゾーンです。
AGENT_HOME/sysman/admin/supportedtzs.lst
このファイルには管理エージェントでサポートされているすべてのタイムゾーンのリストが含まれています。
supportedtzs.lst
ファイルの内容を参照し、ホスト・コンピュータのタイムゾーンに一番近いサポート・タイムゾーンを書き留めます。
AGENT_HOME/sysman/config/emd.properties
emd.properties
ファイル内の終わり近くにある次のプロパティを探します。
agentTZRegion=
supportedtzs.lst
ファイル内のタイムゾーンに設定します。次に例を示します。
agentTZRegion=Europe/Warsaw
emd.properties
ファイルを閉じます。これで、ログ・ファイルにエラーが生成されることなく管理エージェントを起動することができます。
12.1.6.3項では、管理エージェントが適切なタイムゾーンを判断できない場合に考えられる問題を修正する方法を説明しました。管理エージェントが正しいタイムゾーンを検出できないときにも同様の問題が起こる可能性がありますが、タイムゾーンは管理サービスや管理リポジトリが存在するデータベースでは認識されません。
管理サービスが、管理エージェントによって確立されたタイムゾーンを認識できないと、Enterprise Managerでは次のエラーが発生します。
OMS does not understand the timezone region of the agent. Either start the OMS using the extended list of time zones supported by the database or pick a value of time zone from ORACLE_HOME/emdw/sysman/admin/nsupportedtzs.lst, update the property 'agentTZRegion' in the file ORACLE_HOME/sysman/config/emd.properties and restart the agent. A value which is around an offset of -05:00 from GMT should be picked.
このエラーは、使用しているEnterprise Manager製品に応じて、表12-2のログ・ファイルの中の1つに表示されます。
この問題の解決方法は2つあります。
timezlrg.dat
データベース構成ファイルのより広範なタイムゾーン・リストを使用して管理リポジトリ・データベースを再起動してから、管理エージェントを起動します。Oracle PortalのようなApplication ServerコンポーネントをSecure Sockets Layer(SSL)上で実行するためには、適切なセキュリティ証明書を管理エージェント構成ファイルに追加する必要があります。
関連するセキュリティ証明書を追加するには、次の手順を実行します。
b64SiteCertificate.txt
ファイル内の証明書(Base64encoded X.509(.CER)形式)を取得します。(実際の構成ではこのファイル名と異なる可能性があります。)このファイルの内容の例を次に示します。
------BEGIN CERTIFICATE-------------- MIIDBzCCAnCgAw... ...... base 64 certificate content ..... ------END CERTIFICATE-----------------
${ORACLE_HOME}/bin/mkwallet -i welcome ${ORACLE_HOME}/sysman/config/monwallet ${ORACLE_HOME}/sysman/config/b64SiteCertificate.txt NZDST_CLEAR_PTP
次の項では、Enterprise Managerをインストールした後で管理サービスに対して実行可能な構成変更について説明します。
管理サービスをインストールしてデプロイする際、管理サービスを特定の管理リポジトリに関連付けます。管理サービスはデータベース・ホスト、データベース・システム識別子(SID)、データベース・ポート、管理ユーザーおよび管理パスワードを使用して、管理リポジトリを指定し通信を行います。
このリポジトリ情報が保存されているemoms.properties
ファイルは、Oracle Management Serviceがインストールされデプロイされている次のディレクトリ内にあります。
ORACLE_HOME/sysman/config/
次の項では、emoms.properties
ファイルのリポジトリ情報の変更と、Enterprise Managerで管理リポジトリ・パスワードを保護する方法の詳細を説明します。
管理サービスを新規リポジトリと関連付けるには、emoms.properties
構成ファイルに保存されているリポジトリ・プロパティを変更する必要があります。
emoms.properties
ファイルを探します。
ORACLE_HOME/sysman/config/
emoms.properties
ファイルを編集します。例12-1はemoms.properties
ファイル内のエントリの例です。
表12-3 emoms.propertiesファイルのリポジトリ・プロパティ
プロパティ | 説明 |
---|---|
emdRepUser |
管理リポジトリのユーザー名。デフォルト値はSYSMANです。 |
emdRepPwd |
管理リポジトリのパスワード。パスワード値の変更方法の詳細は、「リポジトリ・パスワードの変更について」を参照してください。 |
emdRepConnectDescriptor |
リポジトリ・データベース用の管理リポジトリOracle Net接続文字列。プロパティemdRepSID、emdRepServerおよびemdRepPortに指定する値と、この接続文字列のHOST、PORTおよびSERVICE_NAMEの値とが同じ値である必要があります。このプロパティを指定しない場合、emRepSID、emRepServerおよびemRepPortプロパティが接続記述子の構成に使用されます。リポジトリをホスティングしているデータベースがRACデータベースの場合、「管理サービスの構成」の説明に従って値を構成する必要があります。 |
emdRepSID |
管理リポジトリ・スキーマが存在するデータベースのシステム識別子(SID)。 |
emdRepServer |
リポジトリ・データベースが存在するサーバーまたはホスト・コンピュータの名前。 |
emdRepPort |
リポジトリ・データベースのポート番号。 |
oracle.sysman.eml.mntr.emdRepUser=SYSMAN oracle.sysman.eml.mntr.emdRepPwd=sysman oracle.sysman.eml.mntr.emdRepConnectDescriptor=(DESCRIPTION\=(ADDRESS_ LIST\=(ADDRESS\=(PROTOCOL\=TCP)(HOST\=system12.mycompany.com)(PORT\=1521))) (CONNECT_DATA\=(SERVICE_NAME\=oemrep1))) oracle.sysman.eml.mntr.emdRepSID=oemrep1 oracle.sysman.eml.mntr.emdRepServer=system12.mycompany.com oracle.sysman.eml.mntr.emdRepPort=1521
セキュリティ上の理由から、emoms.properties
ファイルに保存されているパスワードは、管理サービスが起動すると同時に暗号化されます。emoms.propertiesファイル内のリポジトリ・パスワードを変更するには、emctl config oms change_repos_pwd
コマンドライン・ユーティリティを使用します。このユーティリティを使用すると、リポジトリ用の新規のパスワードを入力するように要求されます。パスワードを入力して[Enter]キーを押すと、自動的にパスワードが更新されます。
リポジトリ・パスワードを変更するには、次のようにします。
ORACLE_HOME/bin/emctl stop oms
ORACLE_HOME/bin/emctl config oms change_repose_pwd
ORACLE_HOME/bin/emctl start oms
管理サービスをインストールすると、管理サービスのポート番号は自動的に4889に設定されます。次に、Enterprise Managerインストール後にポート番号を手動で変更する手順を説明します。たとえば、同じホスト・コンピュータ上に2つのOracle Management Serviceをインストールする場合などに、ポート番号を変更する必要があります。
デフォルトの管理サービス・ポートを変更するには、次のようにします。
httpd_em.conf
ファイルを探します。
ORACLE_HOME/sysman/config/
http_em.conf
ファイルを開き、4889
のすべての出現箇所を、使用する新規ポート番号に変更します。
http_em.conf
ファイルを保存して閉じます。
ORACLE_HOME/dcm/bin/dcmctl updateconfig -ct ohs
sysman/config
ディレクトリにあるemoms.properties
ファイルを探します。
emoms.properties
ファイルを開き、管理サービスの新規ポート番号を参照するように次のエントリを変更します。
oracle.sysman.emSDK.svlt.ConsoleServerPort=4889
デフォルトの管理サービス・ポートをセキュア・ポートに変更するには、次のようにします。
ORACLE_HOME/bin/emctl stop oms
ORACLE_HOME/bin/emctl secure oms -secure_port <newPortNo>
ORACLE_HOME/dcm/bin/dcmctl updateconfig -ct ohs
ORACLE_HOME/bin/emctl start oms
「ホスト・コマンドの実行」および「SQLの実行」アプリケーションでは、複数のホストおよび複数のデータベースに対して個別にコマンドを実行できます。
デフォルトでは、これらのアプリケーションの「実行」ボタンをクリックすると、指定したターゲットに対してコマンド実行がすぐに開始されます。必要な場合は、「実行」ボタンをクリックすると確認ページが表示されるように管理サービスを設定できます。
各アプリケーションの確認ページを有効にするには、次の操作を実行します。
|
![]() Copyright © 2003, 2009 Oracle Corporation. All Rights Reserved. |
|