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Oracle Application Server Microsoft Officeとの相互運用性開発者ガイド
10gリリース3(10.1.3.1.0)
B31842-01
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4 セルフサービス・ビジネス・プロセスと相互作用するスマート・ドキュメントの作成

この章では、Microsoft Word XMLファイルが添付された電子メール・メッセージを送信するBPELプロセスと相互運用できるスマート・ドキュメントの作成方法を説明します。

内容は次のとおりです。

4.1 概要

スマート・ドキュメントを使用すると、ブラウザとMicrosoft Officeアプリケーションを切り替えなくても、Microsoft Officeアプリケーションからセルフサービス・タスクを実行できます。スマート・ドキュメントは、データの自動入力が可能なので、フォームへのデータの入力やテンプレートを使用した作業が容易です。また、スマート・ドキュメントは、外部データに自動的にアクセスしてドキュメント内の適切な場所にそのデータを挿入したり、ドキュメントの準備においてコンテキスト・ヘルプを提供してユーザーを支援したりすることもできます。詳細は、2.2.1項「スマート・ドキュメント」を参照してください。

Oracle BPEL Process Managerは、BPELビジネス・プロセスの設計、デプロイ、および管理のためのユーザー・フレンドリで信頼性の高いソリューションを提供します。組込み統合サービスにより、XSLTおよびXQuery変換と、J2EE Connector Architecture(JCA)アダプタおよびネイティブ・プロトコルによるレガシー・システムへのバインドをサポートする標準BPELプロセスの高度な接続性および変換機能を使用できます。ユーザー・タスク・サービスは、組込みBPELサービスとして提供されます。これにより、BPELワークフローに参加できます。詳細は、http://www.oracle.com/technology/bpelを参照してください。

4.2 前提条件

この章で説明する手順を実行するには、次のソフトウェアがインストールされている必要があります。

4.3 手順

この使用例では、Fast Loanローン仲介業者経由で自動車ローンの利用を考えているローン希望者が、Microsoft Wordスマート・ドキュメントを使用してローン申込書を提出します。Wordドキュメントは、最初に申込者の信用度を取得するBPELプロセス・ワークフローを起動します。

申込者の信用度に問題がない場合、BPELプロセスは、ローン申込みの詳細をWestern LoanとUnion Loanという2つの異なるローン会社に送信します。一方の会社では、ローン承認プロセスが自動化されています。もう一方の会社では、ローンが手動で承認されます。

BPELプロセスは、2つのローン会社からの返答を得て、金利の低い方の返答をMicrosoft Word 2003 XMLドキュメントを使用してローン申込者に送信します。

ローン申込者の信用度に問題がある場合、プロセスは、ローン拒否メッセージが記載された電子メールをローン申込者に送信します。

この章では、スマート・ドキュメントのローン申込みフォームの作成、ローン結果通知のためのMicrosoft Wordテンプレートの作成、電子メール・サーバーの設定、および必要なBPELプロセスのデプロイの方法を説明します。

図4-1に、この章で詳しく説明するこのローン申込みの例を処理するためにスマート・ドキュメントによって使用されるBPELプロセスの概要を示します。スマート・ドキュメントは、BPELプロセスを起動し、予期される入力を提供します。BPELプロセスは、入力を得て、その入力をgetAutoLoanCreditRating機能に送信します。この機能は、詳細をcreditRatingServiceに送信します。その後、ローン申込みの詳細がWesternLoanServiceおよびUnionLoanServiceに渡されます。2つの会社からのローン提案が評価され、条件のよい方の提案がNotificationServiceに渡されます。ここからローン申込者に返答が送信されます。

BPELワークフロー・プロセスと相互作用するスマート・ドキュメント・テンプレートを作成するには、次の項の手順を実行します。

4.3.1 電子メール・サーバーの構成

BPEL_ORACLE_HOME\integration\orabpel\system\services\configディレクトリのns_emails.xmlファイルには、電子メール・アカウントの構成が含まれています。各EmailAccount要素は、特定の電子メール・アカウントの構成を設定します。EmailAccount要素のname属性は、アカウントの名前です。

デフォルトの電子メール・アカウントは、電子メール構成ファイルで指定されます。このアカウントは、電子メール通知の送信先として指定されているアカウントがない場合に使用されます。このアカウントは、タスク関連通知のためにも使用されます。デフォルトの電子メール・アカウントは、常に、構成ファイルで指定されている必要があります。

EmailAccount要素には、OutgoingServerSettingsおよびIncomingServerSettings属性が含まれています。ワークフロー・プロセスでのアクションを必要とする通知には、IncomingServerSettingsOutgoingServerSettingsの両方の属性が必要です。

表4-2に、ns_emails.xmlファイルに格納されている電子メール通知構成のXML要素とその説明を示します。

表4-2 電子メール・サーバー構成のXML要素

名前 説明

EmailAccount/Name

アカウントの名前。任意の名前を使用できますが、このサーバー内で一意である必要があります。

EmailAccount/GeneralSettings/FromName

From電子メール・アドレスの名前。

EmailAccount/GeneralSettings/FromAddress

From電子メール・アドレスの電子メール・アドレス。

EmailAccount/OutgoingServerSettings/SMTPHost

送信SMTPサーバーの名前。

EmailAccount/OutgoingServerSettings/SMTPPort

送信SMTPサーバーのポート。

EmailAccount/IncomingServerSettings/Server

受信電子メール・サーバーの名前。

EmailAccount/IncomingServerSettings/Port

受信電子メール・サーバーのポート。

EmailAccount/IncomingServerSettings/UserName

電子メール・アドレスのユーザーID。

EmailAccount/IncomingServerSettings/Password

ユーザー・パスワード。

EmailAccount/IncomingServerSettings/Password[encrypted]

パスワードの暗号化属性。パスワードが暗号化されている場合はtrue、暗号化されていない場合はfalseです。一般に、初めてパスワードを入力する場合は、falseに設定する必要があります。サーバーは、初めて構成ファイルを読み取るときにパスワードを自動的に暗号化し、属性をtrueに設定します。

EmailAccount/IncomingServerSettings/UseSSL

Secure Sockets Layer(SSL)属性。受信サーバーがSSLを必要とする場合はtrue、必要としない場合はfalseです。

EmailAccount/IncomingServerSettings/Folder

受信メッセージが読み取られるフォルダの名前。

EmailAccount/IncomingServerSettings/PollingFrequency

受信メッセージ・フォルダからメッセージを読み取るポーリング間隔。



関連資料:

http://www.oracle.com/technology/documentation/appserver101202.htmlにあるOracle Application Server 10gリリース2(10.1.2.0.2)のドキュメント・ライブラリの『Oracle BPEL Process Manager開発者ガイド』に記載されている電子メール・サーバーの構成に関する情報

Oracle Application Server 10gリリース2(10.1.2.0.2)の表で「View Library」をクリックして、「E-Business Integration」タブをクリックしてください。


4.3.2 BPELプロセスのデプロイ

BPELプロセスをデプロイするには、次の手順を実行します。

  1. OTNからサンプル・デモ・サポート・ファイルをダウンロードして、BPEL_ORACLE_HOME\integration\orabpel\samples\demosフォルダ(C:\OraBPELPM_1\integration\orabpel\samples\demos\など)に保存します。

    デモZIPファイルのダウンロードの詳細は、「はじめに」の「デモ・サポート・ファイルへのアクセス」を参照してください。

  2. Oracle BPEL Process Managerサーバーを起動します。「スタート」「すべてのプログラム」「Oracle - ORACLE_HOME「Oracle BPEL Process Manager 10.1.2」「Start BPEL PM Server」をクリックします。

  3. コマンド・プロンプト・ウィンドウを開くか、Oracle BPEL Process Managerの開発者プロンプトを起動します。「スタート」「すべてのプログラム」「Oracle - ORACLE_HOME「Oracle BPEL Process Manager 10.1.2」「Developer Prompt」をクリックします。

  4. BPEL_ORACLE_HOME\integration\orabpel\samples\demos\MSOfficeIntegration\フォルダにナビゲートします。

  5. 次のコマンドを実行します。

    BPEL_ORACLE_HOME\integration\orabpel\bin\obant
    
    

    コマンド・プロンプトにBUILD SUCCESSFULメッセージが表示されます。たとえば、次のようになります。

    BUILD SUCCESSFUL
    Total time: 33 seconds
    
    
  6. 次の手順を実行して、BPELプロセスがデプロイされていることを検証およびテストします。

    1. 「スタート」「すべてのプログラム」「Oracle - ORACLE_HOME「Oracle BPEL Process Manager 10.1.2」「BPEL Console」をクリックします。

    2. BPEL開発者資格証明を指定してログインします。

      図4-2に示すようなOracle BPEL Controlページが表示されます。AutoLoanFlow、UnionLoan、WesternLoan、およびAutoLoanCreditRatingServiceプロセスがデプロイ済プロセスのリストに表示されるようにします。

      図4-2 Oracle BPEL Controlページ

      図4-2の説明が続きます
      「図4-2 Oracle BPEL Controlページ」の説明

4.3.3 スマート・ドキュメント・フォームの作成

スマート・ドキュメントは、Microsoft Officeドキュメントを使用して作業する際のユーザー・エクスペリエンスを拡張するソリューションです。この項では、自動ローン・プロセスが使用できるローン申込みフォームの作成に必要な手順について説明します。

スマート・ドキュメントを作成するには、次の手順を実行します。

  1. BPEL_ORACLE_HOME\integration\orabpel\samples\demo\MSOfficeIntegration\LoanDemoWordSDフォルダに移動します。この例では、提供されているLoanDemo.docファイルを使用するか、Microsoft Wordで新しいドキュメントを作成することができます。

  2. Microsoft Wordを起動します。

  3. 空白のドキュメントをLoanDemo.docとしてLoanDemoWordSDフォルダに保存するか、提供されているLoanDemo.docファイルを使用します。

  4. AutoLoanTypes.xsdスキーマをLoanDemo.docにアタッチします。これには、次の手順を実行します。

    1. Microsoft Wordのメニュー・バーから、「Tools」をクリックして、「Templates and Add-Ins」を選択します。

    2. 「Templates and Add-ins」ダイアログ・ボックスで、「XML Schema」タブを選択します。

    3. 「Schema Library」をクリックします。

    4. 名前空間のhttp://www.autoloan.com/ns/autoloanを使用するすべてのスキーマを削除します。そのようなスキーマがあれば、選択して、「Delete Schema」をクリックしてください。

    5. 「Add Schema」をクリックして、BPEL_ORACLE_HOME\integration\orabpel\samples\demo\MSOfficeIntegration\LoanDemoWordSD\AutoLoanTypes.xsdを参照します。図4-3に示すように、スキーマをAutoLoanと命名し、「OK」をクリックします。

      図4-3 スキーマの追加

      図4-3の説明が続きます
      「図4-3 スキーマの追加」の説明

    6. 「OK」をクリックし、もう一度「OK」をクリックして終了します。

  5. 図4-4に示すように、バナーや表などの形式でLoanDemo.docファイルにコンテンツを追加します。

    図4-4 LoanDemo.docへのコンテンツの追加

    図4-4の説明が続きます
    「図4-4 LoanDemo.docへのコンテンツの追加」の説明

  6. XML要素をWordドキュメントにマッピングすることによって、構造をWordドキュメントに追加します。これには、次の手順を実行します。

    1. 「View」「Task Pane」をクリックして、作業ウィンドウで「XML Structure」を選択します。

    2. 図4-5に示すように、適切な要素をドキュメントに追加します。イメージのすぐ下にカーソルを移動します。カーソルがこの位置にあるときは、XMLスキーマ・ドキュメント(XSD)で定義されているルート要素である3つの要素のみをマッピングできます。

      loanApplication要素をクリックします。メッセージが表示されたら、「Apply to Entire Document」をクリックします。

      図4-5 使用可能なルート要素を示す「XML Structure」ペイン

      図4-5の説明が続きます
      「図4-5 使用可能なルート要素を示す「XML Structure」ペイン」の説明

    3. カーソルが<loanApplication>タグ内の別の場所にある場合、「XML Structure」ペインには、loanApplication要素の子要素が表示されます。図4-6に示すように、子要素を、対応する表のセルに追加します。

      図4-6 使用可能な子要素を示す「XML Structure」ペイン

      図4-6の説明が続きます
      「図4-6 使用可能な子要素を示す「XML Structure」ペイン」の説明

  7. 次の手順を実行して、XMLオプションを設定します。

    1. 「XML Structure」ペインで、「XML Options」リンクをクリックします。図4-7に示すような「XML Options」ダイアログ・ボックスが表示されます。

      図4-7 「XML Options」ダイアログ・ボックス

      図4-7の説明が続きます
      「図4-7 「XML Options」ダイアログ・ボックス」の説明

    2. ドキュメントに非構造化テキストとXML要素の両方が含まれている場合は、「Ignore Mixed Content」を選択します。ドキュメントのXML要素を非表示にするには、「Show placeholder text for all empty elements」を選択します。スキーマに適合しないXMLを保存する場合は、「Allow saving as XML even if not valid」を選択してください。

    3. 「OK」をクリックします。

  8. 「XML Structure」ペインで、「Show XML tags in the document」オプションの選択を解除してXML構造を非表示にします。

  9. ManagedManifest.xmlというXMLファイルを作成し、A.2項「第4章のManagedManifest.xmlのコンテンツ」のコードをこのファイルに追加します。

  10. スマート・ドキュメント・マニフェスト・ファイルのマニフェスト・セキュリティ・チェックを有効または無効にします。マニフェスト・セキュリティ・チェックを有効にするには、6.3.4.2項「マニフェスト・セキュリティ・チェックの有効化」に示されている手順を実行します。

    マニフェスト・セキュリティ・チェックを無効にするには、次の手順を実行します。


    重要:

    XML拡張パック・マニフェスト・セキュリティ・チェックの無効化は、必ず、テスト環境内のみで行ってください。エンド・ユーザーのコンピュータでは行わないでください。XML拡張パック・セキュリティ・チェックを無効化するオプションを使用すると、開発段階でスマート・ドキュメントを容易にテストできるので便利です。XML拡張パックのセキュリティ・チェックの詳細は、http://msdn.microsoft.com/library/en-us/sdsdk/html/sdconSecurityXMLExpansionPacks_HV01074377.aspにある「Security for XML Expansion Packs」を参照してください。


    1. Windowsレジストリをバックアップします。レジストリ・エディタで、「レジストリ」をクリックし、「レジストリ ファイルの書き出し」をクリックして、適切な場所に保存します。

    2. HKEY_LOCAL_MACHINE/Software/Microsoft/Officeにナビゲートします。

    3. Commonというキーを作成します。

    4. Commonの下に、Smart Tagというキーを作成します。

    5. 右側のペインで、右クリックして「新規」を選択し、「DWORD値」を選択します。

    6. 「名前」フィールドにDisableManifestSecurityCheckと入力します。

    7. DisableManifestSecurityCheckを右クリックして、「変更」をクリックします。

    8. 「値のデータ」フィールドに00000001と入力します。

  11. ドキュメントを保存します。

  12. MicrosoftのWSDL.exeツールを使用してWebサービス・プロキシを生成します。これには、Windowsのコマンド・プロンプト・ウィンドウを開き、C:\OraBPELPM_1\integration\orabpel\samples\demos\MSOfficeIntegration\LoanDemoWordSDフォルダにナビゲートして、次のコマンドを実行します。

    "C:\Program Files\Microsoft.NET\SDK\v1.1\Bin\WSDL" /l:CS /protocol:SOAP http://localhost:9700/orabpel/default/AutoLoanFlow/1.0/AutoLoanFlow?wsdl
    
    

    これにより、LoanDemoWordSDフォルダにAutoLoanFlow.csというプロキシ・クラス・ファイルが作成されます。

  13. シリアライズのためにAutoLoanFlow.csファイルにWSDLのルート要素を含めます。例4-1に示すように、行のすぐ下に、太字で示されているテキストを挿入します。

    例4-1 AutoLoanFlow.csファイルのWSDLルート要素

    /// <remarks/>
    [System.Xml.Serialization.XmlTypeAttribute(Namespace="http://www.autoloan.com/ns/autoloan")]
    [XmlRoot (ElementName="loanApplication", Namespace="http://www.autoloan.com/ns/autoloan")]
    public class LoanApplicationType {
    
    

    スマート・ドキュメントがこのWebサービス・プロキシを起動し、このプロキシがWebサービスをローカル・サービスのように起動します。

  14. Webサービス・プロキシは、BPELサービスがポート9700の同じホスト上で動作していることを前提としています。これが適切でない場合は、BPEL_ORACLE_HOME\integration\orabpel\samples\demos\MSOfficeIntegration\LoanDemoWordSD\AutoLoanFlow.csファイルで変更します。例4-2において太字で示されているように、ファイルを適切なポート番号で更新する必要があります。

    例4-2 AutoLoanFlow.csファイルのホストおよびポートのエントリ

    public class AutoLoanFlowBinding : System.Web.Services.Protocols.SoapHttpClientProtocol {
    
        public EndpointReferenceType ReplyTo;
    
        public AttributedURI MessageID;
    
        /// <remarks/>
        public AutoLoanFlowBinding() {
            this.Url = "http://localhost:9700/orabpel/default/AutoLoanFlow/1.0";
        }
    
    

    値を変更する場合は、手順16に示されているように、DLLファイルを再作成する必要があります。

  15. A.1項「AutoLoanSmartDocument.csファイルの内容」のコードをコピーしてテキスト・ファイルに貼り付け、このファイルをLoanDemoWordSDフォルダに保存することによって、スマート・ドキュメントの実装クラス・ファイルのAutoLoanSmartDocument.csを作成します。または、LoanDemoWordSDフォルダで提供されているAutoLoanSmartDocument.csファイルを使用することもできます。


    注意:

    AutoLoanSmartDocument.csに示されているように、AutoLoanSmartDocumentクラスは、Microsoft.Office.Interop.SmartTag.ISmartDocumentインタフェースを実装します。

  16. コマンド・プロンプト・ウィンドウから次のコマンドを実行します。

    %WINDIR%\Microsoft.NET\Framework\v1.1.4322\csc /t:library ^
    /reference:"%WINDIR%\assembly\GAC\Microsoft.Office.Interop.SmartTag\
    11.0.0.0__71e9bce111e9429c\Microsoft.Office.Interop.SmartTag.dll";
    "%WINDIR%\assembly\GAC\Microsoft.Office.Interop.Word\
    11.0.0.0__71e9bce111e9429c\Microsoft.Office.Interop.Word.dll" ^
    AutoLoanSmartDocument.cs AutoLoanFlow.cs
    
    

    cscパスと.NET Framework SDKのバージョンが適切であることを確認します。前述のコマンドの太字のテキストを参照してください。

    これにより、スマート・ドキュメントの中枢となるAutoLoanSmartDocument.dllファイルが作成されます。

  17. LoanDemoWordSDフォルダから、コマンド・プロンプト・ウィンドウで次のコマンドを実行します。

    %WINDIR%\Microsoft.NET\Framework\v1.1.4322\caspol -pp off -ag 1.1 -url ^
    "C:\OraBPELPM_1\integration\orabpel\samples\demos\MSOfficeIntegration\LoanDemoWordSD\*" ^
    FullTrust -n LoanDemo
    
    %WINDIR%\Microsoft.NET\Framework\v1.1.4322\caspol -pp on
    
    

    必要に応じて、MSOfficeIntegration\LoanDemoWordSDディレクトリとcaspolのパスを検証します。

    これにより、スマート・ドキュメント・ライブラリ・ファイルに完全な信頼が与えられます。

  18. XML拡張パックをドキュメントにアタッチします。これには、次の手順を実行します。

    1. Microsoft Wordのメニュー・バーから、「Tools」をクリックして、「Templates and Add-Ins」をクリックします。

    2. 「Templates and Add-ins」ダイアログ・ボックスで、「XML Expansion Packs」タブを選択します。

    3. 「Add」をクリックして、BPEL_ORACLE_HOME\integration\orabpel\samples\demos\MSOfficeIntegration\LoanDemoWordSD\ManagedManifest.xmlを選択します。

    4. セキュリティ・ダイアログ・ボックスで、XML拡張パック・セキュリティを有効にするか無効にするかを決定します。すでにマニフェスト・セキュリティ・チェックを無効にしている場合は、必ず、「No」をクリックしてください。

    5. 「OK」をクリックします。

  19. 「Document Actions」ペインに移動して、ドキュメントを参照します。図4-8に示すように、カーソルを<loanApplication>タグ内に移動して、「Submit for Approval」ボタンを表示させます。

    図4-8 構造化されたスマート・ドキュメント

    図4-8の説明が続きます
    「図4-8 構造化されたスマート・ドキュメント」の説明

4.3.4 ローン結果通知のためのMicrosoft Wordテンプレートの作成

この項では、4.3.3項「スマート・ドキュメント・フォームの作成」で説明した手順で作成されたスマート・ドキュメント・フォームに基づいてMicrosoft Wordテンプレートを作成する方法について説明します。このテンプレートは、ローンの詳細が記載されたMicrosoft Wordドキュメントを作成し、そのドキュメントをローン申込者の電子メール・アドレスに送信するために、AutoLoanFlowプロセスによって使用されます。

Microsoft Wordドキュメントを作成するには、次の手順を実行します。

  1. Microsoft Wordを起動します。

  2. 空白ドキュメントをLoanResult.docとしてBPEL_ORACLE_HOME\integration\orabpel\samples\demo\MSOfficeIntegration\LoanDemoWordSDフォルダに保存します。または、LoanDemoWordSDフォルダで提供されているLoanResult.docファイルを使用することもできます。

  3. AutoLoanTypes.xsdをドキュメントにアタッチします。これには、次の手順を実行します。

    1. Microsoft Wordのメニュー・バーから、「Tools」をクリックして、「Templates and Add-Ins」を選択します。

    2. 「Templates and Add-ins」ダイアログ・ボックスで、「XML Schema」タブを選択します。

    3. 「Schema Library」をクリックします。

    4. 名前空間のhttp://www.autoloan.com/ns/autoloanを使用するすべてのスキーマを削除します。そのようなスキーマがあれば、選択して、「Delete Schema」をクリックしてください。

    5. 「Add Schema」をクリックして、BPEL_ORACLE_HOME\integration\orabpel\samples\demo\MSOfficeIntegration\LoanDemoWordSD\AutoLoanTypes.xsdを参照します。スキーマをAutoLoanと命名し、「OK」をクリックします。


      注意:

      新しいXSDファイルを作成して、A.4項「AutoLoanTypes.xsdファイルの内容」のコードをそのファイルにコピーし、AutoLoadTypes.xsdとして保存することもできます。その後、このスキームを追加できます。

    6. 「OK」をクリックし、もう一度「OK」をクリックして終了します。

  4. 図4-9に示すように、バナーや表などの形式でLoanResult.docファイルにコンテンツを追加します。

    図4-9 LoanResult.docへのコンテンツの追加

    図4-9の説明が続きます
    「図4-9 LoanResult.docへのコンテンツの追加」の説明

  5. XML要素をWordドキュメントにマッピングすることによって、構造をWordドキュメントに追加します。これには、次の手順を実行します。

    1. 「View」「Task Pane」をクリックして、「XML Structure」をクリックします。

    2. バナー・イメージのすぐ下にカーソルを移動し、loan要素をクリックします。メッセージが表示されたら、「Apply to Entire Document」をクリックします。ドキュメントは、loan要素のloanApplicationloanOfferという子要素の両方からのデータを表示します。

    3. イメージの下にカーソルを移動し、ドキュメントの2つ目の表までのコンテンツを選択します。loanApplication要素をクリックします。

    4. 「Loan Approval Information」というテキストとその後の表を選択します。loanOffer要素をクリックします。

    5. 図4-10に示すように、子要素を、対応する表のセルに追加します。

      図4-10 ローン結果ドキュメントのXML構造

      図4-10の説明が続きます
      「図4-10 ローン結果ドキュメントのXML構造」の説明

  6. 次の手順を実行して、XMLオプションを設定します。

    1. 「XML Structure」ペインで、「XML Options」リンクをクリックします。図4-7に示すような「XML Options」ダイアログ・ボックスが表示されます。

    2. ドキュメントに非構造化テキストとXML要素の両方が含まれている場合は、「Ignore Mixed Content」を選択します。ドキュメントのXML要素を非表示にするには、「Show placeholder text for all empty elements」を選択します。スキーマに適合しないXMLを保存する場合は、「Allow saving as XML even if not valid」を選択してください。

    3. 「OK」をクリックします。

  7. 「XML Structure」ペインで、「Show XML tags in the document」オプションの選択を解除してXML構造を非表示にします。

  8. 図4-11に示すように、ドキュメントをLoanResultWordML.xmlとして保存します。

    図4-11 WordMLファイルとして保存

    図4-11の説明が続きます
    「図4-11 WordMLファイルとして保存」の説明

  9. BPEL_ORACLE_HOME\integration\orabpel\samples\demos\MSOfficeIntegration\LoanDemoWordSDにナビゲートして、コマンド・プロンプト・ウィンドウで次のコマンドを実行します。

    wml2xslt LoanResultWordML.xml
    
    

    LoanResultWordML.xmlドキュメントのXSLTが作成されます。デフォルトでは、wml2xslt.exeは、C:\Program Files\Microsoft Office 2003 Developer Resources\ディレクトリにあります。

  10. 手順9で作成されたLoanResultWordML.xslファイルをBPEL_ORACLE_HOME\integration\orabpel\samples\demos\MSOfficeIntegration\AutoLoanFlowディレクトリにコピーして、次のように、AutoLoanFlowディレクトリからobant.batファイルを実行します。

    BPEL_ORACLE_HOME\integration\orabpel\bin\obant
    
    

    コマンド・プロンプトにBUILD SUCCESSFULメッセージが表示されます。たとえば、次のようになります。

    BUILD SUCCESSFUL
    Total time: 15 seconds
    
    

4.3.5 ソリューションの検証

ローン申込みを処理するために、自動ローン・プロセスが使用されます。ユーザーは、Microsoft Wordドキュメントを使用してローン申込書を提出します。Wordドキュメントは、AutoLoanCreditRatingServiceプロセスからローン申込者の信用度を取得するBPELプロセスを起動し、次のいずれかを実行します。

  • 申込者の信用度に問題がない場合、プロセスは、次の2つのローン処理ビジネス・プロセスに問合せを送信します。

    • UnionLoan

    • WesternLoan

    これらの2つのプロセスからの返答を得ると、AutoLoanFlowプロセスは、金利の低い方のローン提案を選択し、ローンの詳細が記載されたMicrosoft Wordドキュメントを作成して、そのドキュメントを電子メールでローン申込者に送信します。

  • ローン申込者の信用度に問題がある場合、プロセスは、ローン申込み拒否メッセージが記載された電子メールをローン申込者に送信します。

4.3.3項「スマート・ドキュメント・フォームの作成」および4.3.4項「ローン結果通知のためのMicrosoft Wordテンプレートの作成」で作成されたスマート・ドキュメントを使用してローン申込みプロセスをテストするには、次の手順を実行します。

  1. LoanDemo.docを開きます。

  2. 図4-12に示すように、ローン申込みの詳細を入力します。

    図4-12 ローンの詳細の入力

    図4-12の説明が続きます
    「図4-12 ローンの詳細の入力」の説明

  3. 作業ウィンドウで、「Submit for Approval」をクリックします。

  4. Oracle BPEL ControlページでBPELプロセスを監視できます。

  5. 図4-13に示すように、ローン申込み情報を使用してローン結果ドキュメントが作成されます。

    図4-13 ローン申込み情報

    図4-13の説明が続きます
    「図4-13 ローン申込み情報」の説明

  6. http://localhost:9700/bpelconsoleにあるUnion Loan Consoleにログインします。

  7. ローン希望者からの電子メール・メッセージをチェックします。図4-14に、Wordドキュメントを添付ファイルとして持つ電子メールの例を示します。

    図4-14 ローン申込みメール

    図4-14の説明が続きます
    「図4-14 ローン申込みメール」の説明

4.4 関連ドキュメント

http://www.oracle.com/technology/bpel/にあるOracle BPEL Process Managerのホームページで次のドキュメントを参照してください。