この章では、Sun Cluster ノード上で Sun Cluster HA for Sybase ASE の構成と管理を行う手順について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager による Sybase ASE データベースアクセスを構成する
Web Start プログラムを使用して Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールする
scinstall ユーティリティを使用して Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールする
Sun Cluster HA for Sybase ASE は、フェイルオーバーデータサービスとして構成する必要があります。データサービスやリソースグループ、リソースなど関連項目の一般的な情報については、『Sun Cluster 3.1 の概念』マニュアルと、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「Sun Cluster データサービスの計画」を参照してください。
表 10-1 に、必要なインストール作業や構成作業とその説明のある節を示します。
表 1–1 作業マップ:Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成
作業 |
参照先 |
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Sun Cluster HA for Sybase ASE インストールの準備 | |
Sybase ASE 12.0 ソフトウェアのインストール | |
Sybase データベース環境の作成 | |
Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストール | |
Sun Cluster HA for Sybase ASE リソースタイプの登録とリソースグループおよびリソースの構成 | |
Sun Cluster HA for Sybase ASE インストールの確認 | |
Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングやセキュリティの問題について | |
Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成 | |
障害モニターの情報の表示 |
Sun Cluster HA for Sybase Adaptive Server 12.0 のインストールに先立って、次のファイルのインストール先を選択する必要があります。
Sybase ASE アプリケーションファイル – 該当するファイルには、Sybase ASE バイナリやライブラリがあります。これらのファイルは、ローカルファイルシステムにインストールすることも、クラスタファイルシステムにインストールすることもできます。
Sybase ASE バイナリをローカルファイルシステム (クラスタファイルシステムではなく) に置く利点と欠点については、『 Sun Cluster 3.1 Data Service Planning and Administration Guide』の「Configuration Guidelines for Sun Cluster Data Services」を参照してください。
Sybase ASE 構成ファイル – 該当するファイルには、interfaces ファイルや config ファイル、環境ファイルがあります。これらのファイルは、ローカルファイルシステム (リンク付き) にインストールすることも、高可用性ローカルファイルシステムにインストールすることも、クラスタファイルシステムにインストールすることもできます。
データベースデータファイル – 該当するファイルには、Sybase デバイスファイルがあります。これらのファイルは、raw デバイスか通常ファイルとして高可用性ローカルファイルシステムかクラスタファイルシステムにインストールする必要があります。
この節で説明する手順を使用して、以下の操作を行います。
ノードの準備
Sybase ASE ソフトウェアをインストールします。
Sybase ASE インストールの確認
Sun Cluster HA for Sybase ASE を構成する前に、『Sun Cluster 3.1 ソフトウェアのインストール』に記載されている手順に従って、各ノードで Sun Cluster ソフトウェアを構成する必要があります。
この手順では、Sybase ASE ソフトウェアのインストールに先立ってノードをどのように準備する必要があるかを説明します。
この作業のすべての手順をすべてのノードで実行してください。すべてのノードでこれらの手順がすべて実行されないと、Sybase ASE インストールが完全に行われず、Sun Cluster HA for Sybase ASE は起動に失敗します。
この手順を始める前に、Sybase ASE のマニュアルを参照してください。
すべてのノードでスーパーユーザーになります。
/etc/nsswitch.conf ファイルを次のように構成します。これによって、スイッチオーバーやフェイルオーバーが起こったときに Sun Cluster HA for Sybase ASE の起動と停止が正しく行われます。
Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作する論理ホストをマスターできる各ノードで、次の group エントリのどれかを /etc/nsswitch.conf ファイルに指定します。
group: group: files [NOTFOUND=return] nis group: files [NOTFOUND=return] nisplus |
Sun Cluster HA for Sybase ASE は、su user コマンドを使用してデータベースノードの起動や停止を行います。
クラスタノードのパブリックネットワークに障害が発生すると、ネットワーク情報ネームサービスが使用不能になることがあります。group に上のどれかのエントリが追加されていると、su(1M) コマンドは、NIS/NIS+ ネームサービスが使用不能ならそのネットワーク情報ネームサービスを参照しません。
Sun Cluster HA for Sybase ASE 用のクラスタファイルシステムを構成します。
データベースを raw デバイスに格納する場合は、広域デバイスを raw デバイスアクセス用に構成します。広域デバイスの構成方法については、『Sun Cluster 3.1 ソフトウェアのインストール』を参照してください。
Solstice DiskSuiteTM/Solaris Volume Manager ソフトウェアを使用する場合は、ミラー化メタデバイスか raw ミラー化メタデバイス上の UNIX ファイルシステム (UFS) ロギングを使用するように Sybase ASE ソフトウェアを構成する必要があります。raw ミラー化メタデバイスの構成方法については、Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager のマニュアルを参照してください。
ローカルディスクか多重ホストディスクに SYBASE_HOME ディレクトリを作成します。
Sybase ASE バイナリをローカルディスクにインストールする場合は、できるだけ別のディスクを使用してください。Sybase ASE バイナリを別のディスクにインストールすると、オペレーティング環境の再インストール時にバイナリが上書きされるのを防止できます。
各ノードの /etc/group ファイルにデータベース管理者 (DBA) グループのエントリを作成し、予定するユーザーをこのグループに追加します。
root と sybase ユーザーが dba グループのメンバーになっているか確認し、必要に応じてほかの DBA ユーザーのエントリを追加します。このグループ ID は、Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作するどのノードでも同じでなければなりません。次は、その例です。
dba:*:520:root,sybase |
グループエントリをネットワークネームサービスに作成することができます。その場合には、ネットワークネームサービスに依存するのを避けるために、これらのエントリをローカルの /etc/group ファイルにも追加します。
各ノードで、Sybase システム管理者のエントリを作成します。
次のコマンドでは、/etc/passwd と /etc/shadow ファイルを Sybase システム管理者のエントリで更新します。
# useradd -u 120 -g dba -d /Sybase-home sybase |
sybase ユーザーエントリは、Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作するどのノードでも同じでなければなりません。
Sybase ASE ソフトウェアをインストールする手順は次のとおりです。
クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。
Sybase ASE インストールの要件に注意します。
Sybase ASE バイナリは、次のどちらにインストールすることもできます。
クラスタノードのローカルディスク
高可用性ローカルファイルシステム
クラスタファイルシステム
Sybase ASE ソフトウェアをクラスタファイルシステムにインストールする場合は、まず、Sun Cluster ソフトウェアを起動し、ディスクデバイスグループの所有者になる必要があります。
Oracle ソフトウェアをどこにインストールするかについては、Sun Cluster HA for Sybase ASE インストールの準備を参照してください。
ネットワークとアプリケーションのリソースを格納するためのフェイルオーバーリソースグループを作成します。
# scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist] |
リソースグループの名前を指定します。どのような名前でもかまいませんが、クラスタ内のリソースグループごとに一意である必要があります。
潜在マスターを識別するための名前または ID をコンマで区切ったリストを指定します (オプション)。フェイルオーバー時に Resource Group Manager (RGM) が主ノードとして選択する順番がこのリスト上のノードの順序で決まります。
ノードリストの順序を指定する場合は、-h オプションを使用します。クラスタのすべてのノードがマスターになり得るのであれば、-h オプションを指定する必要はありません。
Sun Cluster HA for Sybase ASE で使用するすべてのネットワークリソースが /etc/inet/hosts ファイルまたはネームサービス (NIS、NIS+) データベースに追加されていることを確認します。
ネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) をフェイルオーバーリソースグループに追加します。
# scrgadm -a -L -g resource-group -l logical-hostname [-n netiflist] |
ネットワークリソースを指定します。ネットワークリソースは、クライアントが Sun Cluster HA for Sybase ASE にアクセスするために使用する論理ホスト名または共有アドレス (IP アドレス) です。
各ノード上の IP Networking Multipathing グループをコンマで区切って指定します (省略可能)。 netiflist に指定する各要素の形式は、netif@node でなければなりません。netif には、IP Networking Multipathing グループ名を指定できます (たとえば、sc_ipmp0)。ノードには、ノード名かノード ID を指定できます (たとえば、sc_ipmp0@1 や sc_ipmp@phys-schost-1 )。
現在、Sun Cluster では、netif にアダプタ名を使用することはできません。
scswitch(1M) コマンドを実行して次の作業を行います。
リソースと障害の監視を有効にします。
リソースグループを管理状態にします。
リソースグループをオンラインにします。
# scswitch -Z -g resource-group |
作成したばかりのリソースグループをマスターするノード上で、sybase としてログインします。
Sybase バイナリのインストールは、対応する論理ホストが動作しているノードで実行する必要があります。
Sybase ASE ソフトウェアをインストールします。
Sybase ASE ソフトウェアをどこにインストールする場合でも、Sybase ASE の標準的なインストール手順を使用する場合と同じように、各ノードの /etc/system ファイルを変更する必要があります。Sybase ASE ソフトウェアのインストール手順については、Sybase のインストールと構成のマニュアルを参照してください。
どの Sybase サーバーでも、ホスト名の指定を求められた時にはネットワークリソースに関連付けられたホスト名を入力してください。
Sybase ASE ソフトウェアをインストールしたなら、Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager を使用する場合は、Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager による Sybase ASE データベースアクセスを構成するに進みます。VERITAS Volume Manager (VxVM) を使用する場合は、VERITAS Volume Manager による Sybase ASE データベースアクセスを構成する に進みます。
Sybase ASE ソフトウェアのインストールを確認する手順は次のとおりです。
sybase ユーザーと dba グループが $SYBASE_HOME ディレクトリと $SYBASE_HOME の子ディレクトリを所有していることを確認します。
scstat(1M) コマンドを実行して、Sun Cluster ソフトウェアが正しく動作することを確認します。
Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager または VxVM による Sybase ASE データベースアクセスを構成します。
Sybase ASE データベース環境を作成します。
Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager を使用する場合は、次の手順に従って、Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager による Sybase ASE データベースアクセスを構成します。
Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager ソフトウェアが使用するディスクデバイスを構成します。
広域デバイスの構成方法については、『Sun Cluster 3.1 ソフトウェアのインストール』を参照してください。
データベースを raw デバイスに格納する場合は、次のコマンドを使って、各 raw ミラー化メタデバイスの所有者、グループ、モードを変更します。
raw デバイスを使用しない場合は、この手順を実行しないでください。
raw デバイスを作成する場合は、Sybase ASE リソースグループをマスターできる「各ノードで」デバイスごとに次のコマンドを実行します。
# chown sybase /dev/md/metaset/rdsk/dn # chgrp dba /dev/md/metaset/rdsk/dn # chmod 600 /dev/md/metaset/rdsk/dn |
ディスクセットの名前を指定します。
metaset ディスクセット内の raw ディスクデバイスの名前を指定します。
変更が有効になっているか確認します。
# ls -lL /dev/md/metaset/rdsk/dn |
VxVM ソフトウェアを使用する場合は、次の手順に従って、VxVM ソフトウェアによる Sybase ASE データベースアクセスを構成します。
VxVM ソフトウェアが使用するディスクデバイスを構成します。
VERITAS Volume Manager の構成方法については、『Sun Cluster 3.1 ソフトウェアのインストール』を参照してください。
データベースを raw デバイスに格納する場合は、現在のディスク-グループ主ノードで次のコマンドを実行して、各デバイスの所有者、グループ、モードを変更します。
raw デバイスを使用しない場合は、この手順を実行しないでください。
raw デバイスを作成する場合は、raw デバイスごとに次のコマンドを実行します。
# vxedit -g diskgroup set user=sybase group=dba mode=0600 volume |
リソースグループの名前を指定します。どのような名前でもかまいませんが、クラスタ内のリソースグループごとに一意である必要があります。
潜在マスターを識別するための物理ノード名または ID をコンマで区切って指定します (省略可能)。フェイルオーバー時、ノードはこのリスト内の順番に従ってプライマリとして判別されます。
変更が有効になっているか確認します。
# ls -lL /dev/vx/rdsk/diskgroup/volume |
ディスクデバイスグループをクラスタに再登録して、クラスタ内での VxVM 名前空間の整合性を確保します。
# scconf -c -D name=diskgroup |
この手順を行う前に、必ず次の作業を行ってください。
可用性の高い IP アドレスと名前 (つまり、インストール時に動作するネットワークリソース) を確立します。
高可用性ローカルファイルシステムまたはクラスタファイルシステムにすべての Sybase ASE デバイス (マスターデバイスやシステムデバイスを含む) のデバイスパスを配置します。これらのデバイスパスを次のいずれかのファイルタイプとして構成します。
通常のファイル
raw デバイス
Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager ソフトウェアまたは VxVM ソフトウェアが管理するファイル
クラスタファイルシステムまたはローカルファイルシステムにある Sybase ASE サーバーログの場所を配置します。
Sybase ASE 12.0 環境は、データサーバー、バックアップサーバー、モニターサーバー、テキストサーバー、XP サーバーから構成されています。構成が必要なサーバーは、データサーバーだけです。ほかのサーバーを構成するかどうかは任意です。
interfaces ファイルは、クラスタ全体で 1 つしか存在できません。このファイルは $SYBASE ディレクトリに含まれています。ノードごとにファイルのコピーを保持する場合は、ファイルの内容が同一でなければなりません。
Sybase ASE サーバーに接続するすべてのクライアントは、Sybase OpenClient ライブラリとユーティリティーを使って接続します。Sybase ASE ソフトウェアを構成するときに、ネットワークリソースとさまざまなポートの情報を interfaces ファイルに指定してください。クライアントは、この接続情報を使って Sybase ASE サーバーに接続します。
次の手順に従って、Sybase ASE データベース環境を作成します。
GUI ベースのユーティリティー srvbuild を実行して Sybase ASE データベースを作成します。
このユーティリティーは、$SYBASE/ASE_12-0/bin ディレクトリに含まれています。詳細は、Sybase ASE の『Installing Sybase Adaptive Server Enterprise on Sun Solaris 2.x (SPARC)』を参照してください。
データベースが正しくインストールされていることを確認するために、すべてのサーバーが正しく起動するか確認します。
ps(1) コマンドを実行してすべてのサーバーの動作を確認します。エラーがある場合は、Sybase ASE サーバーのログに出力されます。
Sybase ASE システム管理者アカウントのパスワードを設定します。
sa ログインパスワードの変更方法については、『Sybase Adaptive Server Enterprise System Administration Guide』を参照してください。
障害監視に使用する Sybase ASE アカウントを新しく作成します。
障害モニターは、このアカウントを使って次の作業を行うことができます。
システムテーブルのクエリーのサポート。
ユーザーテーブルの作成や更新。
この目的で sa アカウントを使用することは避けてください。
次の例では、障害モニター用の Sybase ASE アカウントを新たに作成します。
# isql -Usa -Psybase -Sasedb 1> use master 2> go 1> create database sc3xdb 2>go 1> sp_addlogin dbmon, dbmonp, sc3xdb 2> go 1> use sc3xdb 2> go 1> sp_changedbowner dbmon 2> go 1> sp_modifylogin dbmon, defdb, sc3xdb 2> go 1> exit |
詳細については、Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターを参照してください。
停止ファイルの sa パスワードを更新します。
停止ファイルには sa パスワードが格納されているため、適切なアクセス権でこのファイルを保護するとともに、このファイルを、システム管理者が選択するディレクトリに置く必要があります。停止ファイルの読み取り、書き込み、実行は、sybase ユーザーだけができるようにします。
停止ファイルについては、重要なセキュリティの問題を参照してください。
Sybase ASE データベース環境を作成したら、Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストールへ進みます。
Sun Cluster を最初にインストールしたときに Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールしていない場合は、この手順に従ってこれらのパッケージをインストールします。この手順は、Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールするクラスタノードごとに行う必要があります。この手順を実行するには、Sun Cluster Agents CD-ROM が必要です。
同時に複数のデータサービスをインストールする場合は、『Sun Cluster 3.1 10/03 ソフトウェアのインストール』の「ソフトウェアのインストール」の手順を実行してください。
Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールする際には、次のどちらかのインストールツールを使用します。
Web Start プログラム
scinstall ユーティリティ
Web Start プログラムは、Sun Cluster 3.1 Data Services 10/03 より前のリリースでは「提供されていません」。
Web Start プログラムは、コマンド行インタフェース (CLI) から実行することも、グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) から実行することもできます。手順の内容と順序は CLI も GUI もほぼ同じです。Web Start プログラムの詳細については、installer(1M) のマニュアルページを参照してください。
Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールするクラスタノードでスーパーユーザーになります。
(省略可能) GUI から Web Start プログラムを実行する場合は、DISPLAY
環境変数が設定されていることを確認してください。
Sun Cluster Agents CD-ROM を CD-ROM ドライブに挿入します。
ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行されていて、かつ CD-ROM デバイスを管理するように構成されていれば、CD-ROM は /cdrom/scdataservices_3_1_vb ディレクトリに自動的にマウントされます。
CD-ROM の Sun Cluster HA for Sybase ASE コンポーネントディレクトリに移動します。
Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスの Web Start プログラムは、このディレクトリにあります。
# cd /cdrom/scdataservices_3_1_vb/\ components/SunCluster_HA_Sybase_3.1 |
Web Start プログラムを起動します。
# ./installer |
プロンプトが表示されたなら、インストールのタイプを選択します。
画面の説明に従って、Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをノードにインストールします。
インストールが終了すると、Web Start からインストールサマリが出力されます。このサマリには、インストール時に Web Start プログラムが作成したログが含まれています。これらのログは、/var/sadm/install/logs ディレクトリに格納されています。
Web Start プログラムを終了します。
CD-ROM ドライブから Sun Cluster Agents CD-ROM を取り外します。
Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録や構成を行うに進みます。
Sun Cluster Agents CD-ROM を CD-ROM ドライブに挿入します。
オプションは指定せずに、scinstall ユーティリティーを実行します。
scinstall ユーティリティーが対話型モードで起動します。
すべてのデータサービスのインストールを非対話型モードで行うために scinstall の -s オプションを指定することはしないでください。
メニューオプション「新しいデータサービスのサポートをこのクラスタノードに追加」を選択します。
scinstall ユーティリティーにより、ほかの情報を入力するためのプロンプトが表示されます。
Sun Cluster Agents CD-ROM のパスを指定します。
ユーティリティーはこの CD をデータサービス CD-ROM として示します。
インストールするデータサービスを指定します。
選択したデータサービスが scinstall ユーティリティーによって示され、この選択内容の確認が求められます。
scinstall ユーティリティーを終了します。
ドライブから CD を取り出します。
Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録や構成を行うに進みます。
Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスの登録や構成は、以下の手順を使って行います。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、フェイルオーバーデータサービスとして登録および構成してください。
この手順では、scrgadm (1M) コマンドを使って Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成を行う方法を説明します。
この手順には、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプを作成する方法も含まれます。このリソースタイプは、HAStorage と Sun Cluster HA for Sybase ASE 間でアクションの同期をとって、高可用性ローカルファイルシステムを使用できるようにします。Sun Cluster HA for Sybase ASE ではディスクに負荷がかかるため、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプを構成する必要があります。
SUNW.HAStoragePlus リソースタイプについては、SUNW.HAStoragePlus(5) マニュアルページと『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「リソースグループとディスクデバイスグループの関係」を参照してください。
その他のオプションでもデータサービスは登録および構成できます。これらのオプションについては、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「データサービスリソース管理用ツール」を参照してください。
この手順を実行するには、次の情報を確認しておく必要があります。
データサービスをマスターするクラスタノードの名前。
クライアントがデータサービスにアクセスするために使用するネットワークリソース。通常、この IP アドレスはクラスタをインストールするときに設定します。詳細は、『Sun Cluster 3.1 ソフトウェアのインストール』の Sun Cluster 環境の計画や Solaris オペレーティング環境のインストール手順を参照してください。
Sybase ASE アプリケーションがインストールされたパス。
次の手順は 1 つのクラスタメンバー上で実行します。
クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。
scrgadm コマンドを実行して、Sun Cluster HA for Sybase ASE のリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.sybase |
データサービスのリソースタイプを追加します。
当該データサービス用にあらかじめ定義されているリソースタイプを指定します。
SUNW.HAStoragePlus リソースタイプをクラスタに登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus |
タイプ SUNW.HAStoragePlus のリソース sybase-hastp-rs を作成します。
# scrgadm -a -j sybase-hastp-rs -g sybase-rg -t SUNW.HAStoragePlus \ -x GlobalDevicePaths=sybase-device-group1,/dev/global/dsk/dl \ -x FilesystemMountPoints=/global/sybase-inst \ -x AffinityOn=TRUE |
フェイルオーバーを行うためには、AffinityOn が TRUE に設定され、ローカルファイルシステムが広域ディスクグループ上に存在する必要があります。
scrgadm コマンドを実行して、次の作業を完了し、リソースグループ sybase-rg をクラスタノード上でオンラインにします。
リソースグループを管理状態にします。
リソースグループをオンラインにします。
このノードは、デバイスグループ sybase-set1 および raw デバイス /dev/global/dsk/d1 の主ノードになります。ファイルシステムに関連するデバイスグループ (/global/sybase-inst など) のプライマリサーバーもこのノードになります。
# scrgadm -Z -g sybase-rg |
Sybase ASE アプリケーションリソースをフェイルオーバーリソースグループに作成します。
# scrgadm -a -j resource -g resource-group \ -t SUNW.sybase \ -x Environment_File=environment-file-path \ -x Adaptive_Server_Name=adaptive-server-name \ -x Backup_Server_Name=backup-server-name \ -x Text_Server_Name=text-server-name \ -x Monitor_Server_Name=monitor-server-name \ -x Adaptive_Server_Log_File=log-file-path \ -x Stop_File=stop-file-path \ -x Connect_string=user/passwd -y resource_dependencies=storageplus-resource |
追加するリソースの名前を指定します。
リソースグループ名を指定します。RGM はここにリソースを入れます。
追加するリソースのタイプを指定します。
環境ファイルの名前を設定します。
適応サーバーの名前を設定します。
バックアップサーバーの名前を設定します。
テキストサーバーの名前を設定します。
監視サーバーの名前を設定します。
適応サーバーのログファイルへのパスを設定します。
停止ファイルへのパスを設定します。
障害モニターがデータベースに接続するときに使用するユーザー名とパスワードを指定します。
デフォルト値を持つ拡張プロパティを指定する必要はありません。詳細については、Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成を参照してください。
リソースと障害の監視を有効にします。
Sybase サーバーが起動すると、Sybase 起動ログがコンソールに出力されます。これらのメッセージをコンソールに出力したくない場合は、該当する RUN ファイルを更新して、メッセージの出力先を別のファイルに変更します。
# scswitch -Z -g resource-group |
Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と更新が終わったなら、Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールを確認する に進みます。
次の確認テストを実行し、Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成が正しく行われているか確認してください。
これらの確認検査では、Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作するすべてのノードで Sybase ASE データサーバーを起動できるかどうかと、この構成のほかのノードから Sybase ASE データサーバーにアクセスできるかを確認します。これらの検査を実行して、Sun Cluster HA for Sybase ASE から Sybase ASE ソフトウェアを起動する際に起こる問題を特定してください。
Sybase ASE リソースグループをマスターしているノードにログインします。
Sybase ASE 環境変数を設定します。
この環境変数は、Environment_file 拡張プロパティで指定する変数のことです。これらの環境変数の設定については、表 1–2 を参照してください。
Sun Cluster HA for Sybase ASE リソースがオンラインになっていることを確認します。
# scstat -g |
Sybase ASE ログを調べて、エラーがある場合は、その原因を判別します。
データサーバーに接続できることを確認してから、次のテストコマンドを実行します。
# isql -S adaptive-server -U sa -P password isql> sp_help isql> go isql> quit |
Sybase ASE データサービスのプロセスを終了させます。
Sun Cluster ソフトウェアがそのプロセスを再起動します。
Sybase ASE リソースを持つリソースグループを別のクラスタメンバーに切り替えます。
# scswitch -z -g resource-group -h node |
この時点でそのリソースグループを持つノードにログインします。
Sybase ASE クライアントの接続は、Sun Cluster HA for Sybase ASE のスイッチオーバーが起こると無効になります。つまり、スイッチオーバーが起こると、Sybase ASE へのクライアント接続は停止されます。したがって、クライアントは接続を再確立する必要があります。スイッチオーバー後の Sun Cluster HA for Sybase ASE の回復時間は、Sybase ASE トランザクションログの再生にどのくらいの時間が必要かによって異なります。
Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスの各インスタンスは、ログファイルを /opt/SUNWscsyb/log ディレクトリに保持します。
これらのファイルには、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスが行うアクションの情報が含まれています。構成の問題解決に必要な診断情報を入手したり、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスの動作を監視する場合には、これらのファイルを参照してください。
さらに、Sun Cluster HA for Sybase ASE ロギングの問題も参照してください。
この節では、Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングとセキュリティの問題について説明します。
Sun Cluster HA for Sybase ASE は、メッセージを /opt/SUNWscsyb/log ディレクトリの message_log ファイルに記録します。このファイルの最大サイズは 512K バイトですが、Sun Cluster HA for Sybase ASE は、古いログファイルを削除しません。したがって、ログファイルの数が多数になることがあります。
Sun Cluster HA for Sybase ASE は、 すべてのエラーメッセージを syslog ファイルに記録します。さらに、このデータサービスは、障害モニターの履歴を log ディレクトリの restart_history ファイルに書き込みます。これらのファイルの数もまた多数に上ることがあります。
定期的なファイル整理の一環として次のログファイルを検査し、必要のないファイルを削除してください。
syslog
message_log
restart_history
Sun Cluster HA for Sybase ASE では、システム管理者のパスワードが停止ファイルに組み込まれていなければなりません。/opt/SUNWscsyb/bin ディレクトリには、停止ファイルのテンプレート sybase_stop_servers が含まれています。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、このファイルを使って Sybase ASE 環境にログインしたり、Sybase ASE サーバーを停止します。したがって、停止ファイルを実行できるように sybase ユーザーを設定してください。ただし、一般ユーザーからのこのファイルへのアクセスは防止する必要があります。読み取り、書き込み、実行の特権を次のユーザーだけに与えます。
sybase ユーザー
sybase グループ
この節では、Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成手順を説明します。通常、拡張プロパティは、Sybase ASE リソースを作成するときに、コマンド行から scrgadm -x parameter=value を実行して構成します。『 Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「データサービスリソースの管理」に記載されている手順を使用すれば、この構成を後で行うこともできます。
Sun Cluster のすべての拡張プロパティについては、r_properties(5) と rg_properties(5) のマニュアルページを参照してください。
表 1–2 に、Sybase ASE サーバーリソース用に設定可能な拡張プロパティを示します。拡張プロパティの中には動的に変更できるものもありますが、それ以外の拡張プロパティは、リソースを作成するか無効にするときにしか更新できません。「調整可能」の欄には、そのプロパティをいつ変更できるかが示されています。
表 1–2 Sun Cluster HA for Sybase ASE の拡張プロパティ
名前/データタイプ |
説明 |
|
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Environment_File |
すべての Sybase ASE 環境変数が格納されているファイル。Sun Cluster HA for Sybase ASE では、変数 SYBASE と SYBASE_ASE、SYBASE_OCS を必ず定義する必要があります。その他の変数を定義すると、環境変数として Sybase サーバーに渡されます。 環境変数の定義は、次の形式に従っていなければなりません。
さらに、これらの環境変数は、Environment_File 内で 1 行に 1 つずつ指定しなければなりません。 通常、ユーザーは、Sybase システムによって作成された SYBASE.sh 環境ファイルを使用します。 注 – このプロパティの値は、sybase ユーザーによって使用されているシェルとは無関係です。つまり、sybase ユーザーは、デフォルトシェルとして csh を使用できます。 初期値: なし 範囲: 最小値 =1 調整: 無効時 |
|
Adaptive_Server_Name |
データサーバー名。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、このプロパティを使って、$SYBASE/$ASE/install ディレクトリから RUN サーバーの場所を見つけます。
初期値: なし 範囲: 最小値 =1 調整: 無効時 |
|
Backup_Server_Name |
バックアップサーバー名。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、このプロパティを使って、$SYBASE/$ASE/install ディレクトリから RUN サーバーの場所を見つけます。このプロパティが設定されていないと、Sun Cluster HA for Sybase ASE はこのサーバーを管理しません。
初期値: Null 範囲: なし 調整: 無効時 |
|
Monitor_Server_Name |
モニターサーバー名。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、このプロパティを使って、$SYBASE/$ASE/install ディレクトリから RUN サーバーの場所を見つけます。このプロパティが設定されていないと、Sun Cluster HA for Sybase ASE はこのサーバーを管理しません。
初期値: Null 範囲: なし 調整: 無効時 |
|
Text_Server_Name |
テキストサーバー名。Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、このプロパティを使って、$SYBASE/$ASE/install ディレクトリから RUN サーバーの場所を見つけます。このプロパティが設定されていないと、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスはこのサーバーを管理しません。
初期値: Null 範囲: なし 調整:無効時 |
|
Adaptive_Server_Log_ File |
アダプティブサーバーのログファイルへのパス。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、このプロパティを絶えず読み取り、エラーを監視します。
初期値: なし 範囲:最小値 =1 調整:無効時 |
|
Stop_File |
Sun Cluster HA for Sybase ASE は、サーバーの stoppages の間にこのプロパティを使用します。このプロパティには、sa パスワードが含まれています。このプロパティを一般ユーザーのアクセスから保護してください。
初期値: なし 範囲: 最小値 =1 調整: 無効時 |
|
Probe_timeout |
障害モニター検証で使用するタイムアウト値。
初期値: 30 秒 範囲: 1> – 99999 秒 調整: 任意の時点 |
|
Debug_level |
Sun Cluster HA for Sybase ASE ログへの書き込みに関するデバッグレベル。
初期値: 0 範囲: 0 – 15 調整: 任意の時点 |
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Connect_string |
user/password 形式の文字列。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、このプロパティをデータベース検証に使用します。
初期値: なし 範囲:最小値 =1 調整:無効時 |
|
Connect_cycle |
Sun Cluster HA for Sybase ASE が新しい接続を確立する前に行われる障害モニター検証サイクルの回数。
初期値: 5 範囲: 1 – 100 調整: 任意の時点 |
|
Wait_for_online |
START メソッドが、自身が終了する前に、データベースがオンラインになるのを待つかどうか。
初期値: FALSE 範囲: TRUE – FALSE 調整: 任意の時点 |
Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターは、Sybase ASE サーバーの状態を調べてサーバーが正常かどうかを判定します。
Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターは、アダプティブサーバーだけを監視します。この障害モニターは、補助サーバーは監視しません。
障害モニターは、次のプロセスから構成されています。
主障害モニタープロセス
データベース-クライアント障害検証
次の各項では、Sun Cluster HA for Sybase ASE の障害モニタープロセスと、障害モニターが使用する拡張プロパティについて説明します。
障害モニタープロセスでは、エラーを診断し、統計情報を検査します。障害モニターは、次の条件が満たされたときに、操作が正常であったとみなします。
データベースがオンラインである場合。
活動検査でエラーが返されない場合。
テストトランザクションでエラーが返されない場合。
操作が失敗に終わると、主プロセスは、アクションテーブルを検査してとるべきアクションを特定し、あらかじめ決められたアクションをとります。操作が失敗に終わった場合、主プロセスは、次のアクションをとることができます。これらのアクションでは、外部プログラムがバックグラウンドの別プロセスとして実行されます。
現在のノードでリソースを再起動します。
現在のノードでリソースグループを再起動します。
リソースグループのノードリストに存在する次のノードにリソースグループをフェイルオーバーします。
さらに、サーバーの障害モニターは Adaptive_Server_Log ファイルをスキャンし、エラーが見つかれば、それを訂正するアクションをとります。
データベース-クライアント障害検証では、活動検査とテストトランザクションを実行します。拡張プロパティ Connect_string では、すべてのデータベース操作を行うアカウントを指定します。拡張プロパティ Probe_timeout では、タイムアウト値を設定します。障害機構は、この値を使って、正常なデータベース検証の間に経過した時間を計算します。
障害モニターでは、次の拡張プロパティを使用します。
Thorough_probe_interval
Retry_count
Retry_interval
Probe_timeout
Connect_string
Connect_cycle
Adaptive_Server_Log
これらの拡張プロパティについては、Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成を参照してください。