Sun Management Center 3.5 ユーザーガイド

第 17 章 Web コンソールを使用したデータプロパティの属性の管理

この章の内容は、次のとおりです。

モジュールのデータプロパティの概要

モジュールのデータプロパティは、モジュールの追加情報を提供します。Java コンソールの属性エディタ (第 10 章「データプロパティ属性の監視」を参照) と同じ機能を備えた Web コンソールの属性エディタを使用して、モジュールデータプロパティの監視条件をカスタマイズすることができます。属性エディタでは、以下のタスクを実行できます。

Web コンソールの「属性エディタ」ページの最上部にある 1 つまたは複数のタブで、パネルを切り替えることができます。これらのタブは、指定したオブジェクトによって異なります。表示される可能性のあるタブについては、以下の節で説明します。


注 –

各属性エディタは、インスタンスを適用するオブジェクトによって、1 つまたは複数のタブを表示します。


Web コンソールの属性エディタの「情報」タブ

属性エディタの「情報」ページは、選択したオブジェクトの追加情報を提供します。

Web コンソールの属性エディタの「アラーム」タブ

「アラーム」タブでは、単純アラームに関連するデータプロパティのアラームしきい値を設定することができます。これらの単純アラームは、rCompare規則 (付録 D 「Sun Management Center ソフトウェアの規則」を参照) を使用します。属性エディタの「アラーム」ページは、単純アラームのアラームしきい値のみ設定可能です。


注 –

アラームしきい値を設定するためには、適切なセキュリティ(アクセス権)が必要です。詳細については、第 18 章「Sun Management Center のセキュリティ」を参照してください。


アラーム管理ソフトウェアでは、以下のような柔軟なアラーム設定が可能です。

単純アラームは、監視データプロパティがしきい値より大きいか小さいか、あるいはしきい値と一致するかしないかが基準となります。一方、複合アラームは一連の条件が真になると発生します。アラーム規則についての詳細は、付録 D 「Sun Management Center ソフトウェアの規則」を参照してください。

以下の表は、監視プロパティの一般的な単純アラーム制限を示したものです。アラーム制限は、「パラメータの説明」フィールドに表示されます。ユーザは、選択したデータプロパティに対して、これらのアラーム制限のうち 1 つまたは複数のしきい値を設定することができます。

表 17–1 Sun Management Center ソフトウェアの一般的な単純アラーム制限

アラーム制限 

説明 

危険しきい値 (>) 

値がこのフィールドに入力された制限を超えると、危険 (赤色) アラームが発生する。 

警告しきい値 (>) 

値がこのフィールドに入力された制限を越えると、警告 (黄色) アラームが発生する。 

注意しきい値 (>) 

値がこのフィールドに入力された制限を越えると、注意 (青色) アラームが発生する。 

危険しきい値 (<) 

値がこのフィールドに入力された制限を下回ると、危険 (赤色) アラームが発生する。 

警告しきい値 (<) 

値がこのフィールドに入力された制限を下回ると、警告 (黄色) アラームが発生する。 

注意しきい値 (<) 

値がこのフィールドに入力された制限を下回ると、注意 (青色) アラームが発生する。 

「アラーム」ウィンドウ

指定された時間帯でアラームが発生する。例えば day_of_week=fri の値を指定すると、アラームは金曜日にアラーム条件が存在する場合にのみ発生し、火曜日にアラーム条件が存在しても発生しない。

Web コンソールの属性エディタの「処理」タブ

属性エディタの「処理」ページでは、アラーム発生に対応した定義済みの処理を設定することができます。


注 –

アクセス可能な処理には、/var/opt/SUNWsymon/bin ディレクトリに格納されたスクリプトが含まれます。これらのスクリプトは、root アクセス権で実行します。


例えば危険時処理のフィールドにスクリプト名を入力すると、このスクリプトは、「直前 5 分間の負荷平均」のデータプロパティに対して危険アラームが生成されるたびに、システム管理者に電子メールを送信します。

処理は、アラーム条件ごとに個別に設定することができます。また、いずれかのアラーム条件に何らかの変化が生じた場合の対処法として、単一の処理を定義することも可能です。処理を定義する場合は、「処理」ページの「処理」ボタンを使用します。


注 –

「処理」ボタンの右側のチェックボックスで、特定のアラーム処理を自動実行するか手動実行するかを指定できます。デフォルトでは、全ての処理が手動実行に設定されます。手動処理は変更可能です。


登録済みのアラーム処理を変更する場合は、「アラーム処理変更」ダイアログボックスを使用します。ダイアログボックスの 2 つのボタン (電子メール、汎用) のいずれか一方を、アラーム処理として指定します。

電子メール

電子メールとして送信するアドレス、題名、メッセージを指定します。

汎用

管理ノード上にインストールされた汎用シェルスクリプトを選択します。

Web コンソールの属性エディタの「再表示」タブ

属性エディタの「再表示」ページを使用して、オブジェクトの再表示間隔を設定します。再表示間隔は、Sun Management Center エージェントが監視プロパティを抽出する時間間隔です。詳細については、データ表示の更新頻度を指定するを参照してください。

Web コンソールの属性エディタの「履歴」タブ

属性エディタの「履歴」ページを使用して、監視プロパティの過去のデータを保存します。例えば、履歴データポイントを 120 秒ごとに記録するよう抽出間隔を指定します。さらに、この情報の保管場所をディスクファイルまたはメモリーキャッシュで指定します。

ディスクファイルには 2 種類 (循環、テキスト) あります。循環ファイルの最大ライン長は 1000 行です。これらのファイルは、「テキストファイル名」フィールドで指定されたファイルの /var/opt/SUNWsymon/log ディレクトリに配置されます。

循環ディスクファイルは、history.log の名前で自動保存されます。テキストファイルのファイル名を指定しないと、データは agent_default.history の名前で自動保存されます。

メモリーキャッシュを選択する場合は、「最大サイズ (サンプル)」フィールドに保存するデータポイント数を指定する必要があります。例えば、このフィールドに 1000 を設定すると、最新の 1000 個のデータポイントがメモリーキャッシュに格納され、これ以上古いデータポイントは破棄されます。これらのデータポイントはグラフ化できます。詳細は、第 9 章「データプロパティのグラフ表示」を参照してください。


注 –

履歴データをグラフで表示する場合は、特定の監視プロパティのグラフを開きます。メモリーキャッシュを選択していると、これまでのデータがグラフに表示されます。


Web コンソールの属性エディタの使用

この節では、Web コンソールの属性エディタで特定の属性を表示、再表示間隔を変更、履歴情報を変更する手順について説明します。

特定のデータプロパティの属性にアクセスする
  1. 階層からデータプロパティテーブルにナビゲートします。

    例えば、以下の手順に従ってホストのメモリー情報を表示します。

    1. メインコンソールページの管理オブジェクトを選択します。

    2. 「詳細へ」リンクをクリックします。

      「ホスト詳細」ページが表示されます。

    3. 「ホスト詳細」ページで、「オペレーティングシステム」の左にある開くアイコンをクリックします。

    4. 「カーネルリーダ (簡易)」の左にある開くアイコンをクリックします。

    5. 「メモリ使用統計情報」をクリックします。

      「メモリ使用統計情報」のデータプロパティテーブルが表示されます。

  2. 表示または変更したい属性のデータプロパティテーブルで値を選択します。

    別のウィンドウに属性エディタが表示されます。

データ表示の更新頻度を指定する

次の例は、システム負荷統計情報モジュールの再表示間隔の設定方法を示したものです。

  1. 「ホスト詳細:ブラウザ」ページのデータプロパティ (例: システム負荷統計情報) を選択します。

  2. 「直前 5 分間の負荷平均」の「値」列を選択します。

    属性エディタの「情報」ページが表示されます。

  3. 「再表示」タブをクリックします。

    「再表示」ページが表示されます。

  4. 「再表示間隔」フィールドに値を秒で入力します。

    例えば 300 を入力すると、ページは 5 分ごとに更新します。

  5. 再表示間隔を変更して属性エディタを終了するには、「了解」ボタンをクリックします。

    「システム負荷統計情報」のプロパティテーブルが表示されている場合、テーブルの値は 5 分ごとに更新されます。


    ヒント –

    再表示間隔により大きな値を設定すると、エージェントの消費する CPU サイクルが減少します。


履歴データの収集頻度を変更する

「履歴のサンプリング間隔」ページは、履歴データの収集頻度を制御します。

  1. 「ホスト詳細:ブラウザ」ページのデータプロパティ (例: システム負荷統計情報) を選択します。

  2. 特定のプロパティ (例: 直前 5 分間の負荷平均) の「値」列を選択します。

    属性エディタの「情報」ページが表示されます。

  3. 「履歴」タブをクリックします。

    「履歴」ページが表示されます。

  4. 「サンプリング間隔」フィールドに値を秒で入力します。

    例えば、履歴データポイントを 2 分ごとに収集する場合は、「サンプリング間隔」フィールドに 120 を入力します。

  5. 「了解」ボタンをクリックして履歴間隔を設定し、「履歴」ページを終了します。

Web コンソールの属性エディタによるアラームの操作

この節では、Web コンソールの属性エディタを使用したアラームの作成手順と応答手順について説明します。

アラーム条件を定義する

以下は、単純アラームを作成する場合の手順例です。この例では、カーネルリーダモジュールのアラームしきい値を作成します。

  1. 「ホスト詳細:ブラウザ」ページからデータプロパティ (例: システム負荷統計情報) を選択します。

  2. 「アラーム」タブをクリックします。

    「アラーム」ページが表示されます。

  3. 「重大しきい値 (>)」フィールドに、現在値より小さい値を入力します。

    この値に基づいて危険アラームが作成されます。

  4. 「了解」をクリックして変更に同意し、「アラーム」ページを閉じます。

    しばらくすると、「システム負荷統計情報」のデータプロパティテーブルの「直前 1 分間の負荷平均」データフィールドが赤に変わります。さらに、以下のフォルダとアイコンに赤色アイコンが表示されます。ただし、システムに最高重大度の未確認オープンアラーム (黒色) が存在する場合は除きます。

    • オペレーティングシステム

    • カーネルリーダ

    • システム負荷統計情報

  5. 「ホスト詳細:アラーム」タブをクリックします。

    アラームテーブルが再表示して、作成したアラームが反映されます。詳細については、第 16 章「Web コンソールを使用したアラームの管理」を参照してください。

  6. チェックマークの形をした「肯定応答」ボタンをクリックして、このアラームに肯定応答します。

  7. 新たなアラームしきい値を作成して、その操作に慣れます。

    アラームを作成した後は、他の Sun Management Center ユーザがアラームしきい値を変更できないように、セキュリティ(アクセス権)を設定することができます。セキュリティについての詳細は、第 18 章「Sun Management Center のセキュリティ」を参照してください。


    注 –

    アラーム情報に全てのアラームしきい値を含める必要はありません。例えば、重大アラームのしきい値だけを作成するという設定が可能です。


アラームの対処法を定義する

以下の手順では、アラームの発生に対応した処理の定義方法について説明します。

  1. 「ホスト詳細:ブラウザ」ページからデータプロパティ (例: システム負荷統計情報) を選択します。

  2. 「値」列で該当する項目 (例:「直前 5 分間の負荷平均」に関連する値) を選択します。

    属性エディタの「情報」ページが表示されます。

  3. 「処理」タブをクリックします。

    「処理」ページが表示されます。

  4. 処理を定義したいアラームレベルの「処理」ボタンをクリックします。

    表示されたウィンドウで、処理のタイプを指定して、該当する情報を入力します。

    • 電子メールでユーザに通知する場合は、「電子メール」ラジオボタンをクリックします。電子メールの複数アドレスをカンマ区切りで指定して、メッセージを入力します。

    • スクリプトを実行するために、「その他」ラジオボタンをクリックします。使用可能なスクリプトのリストからスクリプトを指定し、必要に応じて適切な引数を入力します。詳細は、アラーム処理のスクリプトを定義して使用するを参照してください。

    • アラームを消去するには、「クリア」ラジオボタンをクリックします。

  5. 「了解」をクリックして変更に同意し、このページを閉じます。

    電子メールの送信を選択すると、特定のアラームが発生するたびに指定したユーザの元へメッセージが送信されます。メッセージは次のように表示されます。


    Date: Wed, 30 Jun 1999 15:25:39 -0800
    From: root@MachineB (0000-Admin(0000))
    Subject: Sun Management Center - Alert Alarm Action
    Mime-Version: 1.0
    
    Sun Management Center alarm action notification ... 
    {Alert: machineB Kernel Reader Load Average Over The Last 5 Minutes> 0.01Jobs}
アラーム処理のスクリプトを定義して使用する

以下の手順では、アラーム処理をカスタマイズして、アラーム条件の発生時にユーザへ自動通知する方法について説明します。

  1. 次の引数を使用して、スクリプトを作成します。

    %statusfmt

    アラーム重大度 (警告、危険など)

    %statusstringfmt

    アラームの全文字列 (重大度を含む)。(例: 危険: Machine A Kernel Reader Number of User Sessions> 10)

  2. コマンド行レベルで、スーパーユーザになります。


    # su -
    
  3. ホーム Sun Management Center ディレクトリのスクリプトをインストールします。

    デフォルトは、/var/opt/SUNWsymon/bin/ ディレクトリです。例えば、


    # cp custom-alarm-script /var/opt/SUNWsymon/bin/
    
  4. 「ホスト詳細:ブラウザ」タブをクリックします。

  5. アラームしきい値を設定します。

    詳細については、アラーム条件を定義するを参照してください。

  6. 「システム負荷統計情報」アイコンをクリックします。

    「ホスト詳細:ブラウザ」ページのコンテンツ表示に、「システム負荷統計情報」のプロパティテーブルが表示されます。

  7. 「直前 5 分間の負荷平均」の「値」列を選択します。

    属性エディタの「情報」ページが表示されます。

  8. 属性エディタの「処理」タブをクリックします。

    「処理」ページが表示されます。

  9. 「重大時処理」フィールドの「処理」ボタンをクリックします。

    「アラーム処理の変更」ダイアログボックスが表示されます。

  10. 「その他」ボタンをクリックします。

  11. 「使用可能なスクリプト」メニューから、スクリプトを選択します。

  12. 「引数」フィールドに以下の文字列を入力します。

    %statusstringfmt

  13. 「了解」をクリックして変更に同意し、このページを閉じます。

    「処理」ページの「重大時処理」フィールドに、スクリプトファイル名が表示されます。

アラーム処理を変更する
  1. 変更したいアラーム処理の「処理」ボタンをクリックします。

    「アラーム処理の変更」ダイアログボックスが表示されます。

  2. 変更したい処理タイプ (電子メール、その他) を選択します。

  3. 選択した処理のフィールドで変更を行います。

  4. 「了解」をクリックして変更に同意し、このページを閉じます。

    「処理」ページの該当する「処理」フィールドに、変更が表示されます。