このマニュアルでは、コンピュータとローカルエリアネットワーク (LAN) とを結ぶ同期/非同期ポイントツーポイント通信リンクを作成することを目的として、Solstice PPP を構成し使用する方法について説明します。Solstice PPP は、ポイントツーポイントプロトコル (PPP) と IP 制御プロトコル (IPCP) の標準実装です。
このマニュアルは、Solstice PPP を使用してネットワークの実装および保守を行う、経験を積んだシステム管理者を対象とします。読者に、SolarisTM 環境を実装したワークステーションとサーバーに関する知識があることを前提とします。
第 1 章「Solstice PPP の概要」では、PPP (ポイントツーポイントプロトコル) の Solstice PPP 実装について説明します。また、IP 接続を PPP リンク上で Solstice PPP を使用して確立する方法についても説明します。
第 2 章「pppinit による Solstice PPP の構成」では、スクリプト pppinit(1M) を使用して基本構成を作成する方法について説明します。また、admintool(1M) を使用して、着信接続用ユーザーアカウントを追加する方法についても説明します。
第 3 章「Solstice PPP の起動と使用」では、マシン上で Solstice PPP を起動する方法、IP 接続を PPP リンク上で確立する方法、接続を切断する方法について説明します。この章は、Solstice PPP がマシンにすでにインストールされ、構成されていることを前提とします。
第 4 章「構成ファイルの編集」では、Solstice PPP の各構成ファイルのフォーマットと構文について説明し、構成ファイルを変更することによって、より複雑なネットワーク構成を実現する方法について説明します。
第 5 章「構成例」では、Solstice PPP を使用して作成したネットワーク構成例をいくつか紹介します。また、それぞれの例に対応する構成ファイル ppp.conf、link.conf を紹介します。
第 6 章「トラブルシューティングと診断」は、Solstice PPP の運用時に発生する問題を検出して解決する方法について説明します。PPP リンクのフレームトラフィックを ppptrace と pppstat によって調べる手順、および /var/adm/log/ppp.log ファイルに記録されるエラーメッセージとステータスメッセージについても説明します。
付録 A 「PPP リンクの動作」 は PPP リンクの動作についての簡単な概要です。フェーズダイアグラムと PPP フレームについて説明します。
付録 B 「モデムケーブルとヌルモデムケーブル」 では、大半のモデム構成とヌルモデム構成で使用できるケーブルのピンアウトについて説明します。モデム接続に特殊なケーブルを使用する必要がある場合は、そのケーブルに添付されているマニュアルを参照してください。
SunDocsTM プログラムでは、米国 Sun MicrosystemsTM, Inc. (以降、SunTM とします) の 250 冊以上のマニュアルを扱っています。このプログラムを利用して、マニュアルのセットまたは個々のマニュアルをご注文いただけます。
マニュアルのリストと注文方法については、米国 SunExpressTM, Inc. のインターネットホームページ http://www.sun.com/sunexpress にあるカタログセクションを参照してください。
このマニュアルでは、次のような字体や記号を特別な意味を持つものとして使用します。
表 P-1 表記上の規則
字体または記号 |
意味 |
例 |
---|---|---|
AaBbCc123 |
コマンド名、ファイル名、ディレクトリ名、画面上のコンピュータ出力、またはコード例を示します。 |
.login ファイルを編集します。 ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。 system% |
AaBbCc123 |
ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力とは区別して示します。 |
system% su password: |
AaBbCc123 |
変数を示します。実際に使用する特定の名前または値で置き換えます。 |
ファイルを削除するには、rm filename と入力します。 |
『 』 |
参照する書名を示します。 |
『コードマネージャ・ユーザーズガイド』を参照してください。 |
「 」 |
参照する章、節、ボタンやメニュー名、または強調する単語を示します。 |
第 5 章「衝突の回避」を参照してください。 この操作ができるのは、「スーパーユーザー」だけです。 |
¥ |
枠で囲まれたコード例で、テキストがページ行幅を越える場合、バックスラッシュは継続を示します。 |
sun% grep `^#define ¥ XV_VERSION_STRING' |
ただし AnswerBook2TM では、ユーザーが入力する文字と画面上のコンピュータ出力は区別して表示されません。
コード例は次のように表示されます。
[ ] は省略可能な項目を示します。上記の場合、filename は省略してもよいことを示します。
| は区切り文字 (セパレータ) です。この文字で分割されている引数のうち 1 つだけを指定します。
キーボードのキー名は英文で、頭文字を大文字で示します (例: Shift キーを押します)。ただし、キーボードによっては Enter キーが Return キーの動作をします。
ダッシュ (-) は 2 つのキーを同時に押すことを示します。たとえば、Ctrl-D は Control キーを押したまま D キーを押すことを意味します。
このマニュアルでは、英語環境での画面イメージを使っています。このため、実際に日本語環境で表示される画面イメージとこのマニュアルで使っている画面イメージが異なる場合があります。本文中で画面イメージを説明する場合には、日本語のメニュー、ボタン名などの項目名と英語の項目名が適宜、併記されています。
「x86」という用語は、一般に Intel 8086 ファミリに属するマイクロプロセッサを意味します。これには、Pentium、Pentium Pro の各プロセッサ、および AMD と Cyrix が提供する互換マイクロプロセッサチップが含まれます。このマニュアルでは、このプラットフォームのアーキテクチャ全体を指すときに「x86」という用語を使用し、製品名では「Intel 版」という表記で統一しています。