ウィンドウシステム内で次の 3 つの種類の操作を行うと、機密ラベルがアップグレードまたはダウングレードされることがあります。
カット&ペースト
コピー&ペースト
ドラッグ&ドロップ
/usr/dt/config/sel_config ファイルを調べて、次のことを決定します。
ある種類の操作が自動的に確認されるようになっているか
選択確認ダイアログが表示されるようになっているか
次の図に、ファイルマネージャ間におけるドラッグ&ドロップ操作の選択確認ダイアログを示します。異なるラベルのファイルマネージャおよびウィンドウ間におけるカット&ペーストやコピー&ペーストの操作では、他の選択確認ダイアログが表示されます。
sel_config ファイルは次のことも指定します。
自動応答が行われる選択の種類の一覧
セキュリティ管理者役割は、デフォルトを受け入れることも、あるいは、アプリケーションマネージャにある「システム管理 (System_Admin)」フォルダの「選択構成 (Selection Configuration)」アクションを使って変更することもできます。「選択構成 (Selection Configuration)」アクションを実行すると、/usr/dt/config/sel_config ファイルが adminvi(1M) で開いて編集できます。新しい設定は、次回ログインしたときから有効になります。
次の節では、必要な背景について説明します。また、デフォルトを変更したいセキュリティ管理者向けに、ファイル内の各フィールドについても説明します。必要であれば、「ファイルと選択のアップグレードとダウングレードの規則の変更」を参照してください。
この節では、ウィンドウシステム内でカット、ペースト、ドラッグ、およびドロップの各操作がどのように制御されるかについて説明します。
これらの操作をファイルアイコンに実行したときに適用される規則は、ウィンドウ内の選択に適用される規則とは異なります。
デフォルトでは、通常のユーザーは、カット&ペースト、コピー&ペースト、およびドラッグ&ドロップの各操作を、発信元と宛先の機密ラベルとユーザー ID が同じ場合に限り、ファイルと選択の両方に実行できます。
特定の承認を持っていれば、ユーザーは次の種類の操作も実行できます。
所有者または機密ラベルが異なるファイルマネージャ間におけるファイルのカット&ペースト、コピー&ペースト、およびドラッグ&ドロップ
所有者および機密ラベルが異なるウィンドウ間における選択のカット&ペーストおよびコピー&ペースト
選択のドラッグ&ドロップでは、常に、機密ラベルと所有者が同じであることが必要です。
次の表に、機密ラベルおよび所有者の関係が異なるファイルに行う可能性のある種類の操作を要約し、必要な承認を示します。
表 2-3 ファイルマネージャ間におけるコピー&ペースト、カット&ペースト、およびドラッグ&ドロップに必要な規則と承認
操作の説明 |
機密ラベル (SL) の関係 |
所有者の関係 |
承認 |
---|---|---|---|
ファイルマネージャ間におけるファイルのコピー&ペースト、カット&ペースト、およびドラッグ&ドロップ |
同じ SL |
同じ UID |
必要なし |
|
ダウングレード |
同じ UID |
ファイルの機密ラベルをダウングレード |
|
アップグレード |
同じ UID |
ファイルの機密ラベルをアップグレード |
|
ダウングレード |
異なる UID |
ファイルの機密ラベルをダウングレード および ファイル所有者として動作 |
|
アップグレード |
異なる UID |
ファイルの機密ラベルをアップグレード および ファイル所有者として動作 |
次の表に、機密ラベルおよび所有者の関係が異なるウィンドウ間の選択に行う可能性のある種類の操作を要約し、必要な承認を示します。
表 2-4 ウィンドウ間における選択のコピー&ペースト、カット&ペースト、およびドラッグ&ドロップに必要な規則と承認
操作の説明 |
機密ラベル (SL) の関係 |
所有者の関係 |
承認 |
---|---|---|---|
ウィンドウ間における選択のコピー&ペーストまたはカット&ペースト |
同じ SL |
同じ UID |
必要なし |
|
ダウングレード |
同じ UID |
ダウングレードしたウィンドウにペースト |
|
アップグレード |
同じ UID |
アップグレードしたウィンドウにペースト |
|
ダウングレード |
異なる UID |
ダウングレードしたウィンドウにペースト および ファイル所有者として動作 |
|
アップグレード |
異なる UID |
アップグレードしたウィンドウにペースト および ファイル所有者として動作 |
ウィンドウ間における選択のドラッグ&ドロップ |
同じ SL が常に必要 |
同じ UID が常に必要 |
適用なし |
sel_config ファイル内の規則は、ファイルマネージャ間におけるファイルのコピー&ペースト、カット&ペースト、およびドラッグ&ドロップに適用されます (ファイルマネージャアプリケーションについての詳細は、dtfile(1) のマニュアルページおよび『Trusted Solaris ユーザーズガイド』を参照)。sel_config ファイル内の規則は、ウィンドウ間における選択のコピー&ペーストおよびカット&ペーストにも適用されます。この場合、/usr/dt/bin/sel_mgr アプリケーションが調停します。
選択のドラッグ&ドロップでは、常に、機密ラベルと所有者が同じであることが必要です。したがって、sel_config ファイル内の規則は、選択のドラッグ&ドロップには適用されません。
sel_config ファイルには、次のような 2 つのセクションがあります。
自動確認
自動応答
次の表に、sel_config ファイルの自動確認セクション内の各行の形式を示します。
表 2-5 sel_config 内の自動確認セクションの形式
転送の種類 |
自動的に確認するか n = 選択確認ダイアログを表示 |
---|---|
SL 関係 |
y | n |
SL 関係とは、発信元と宛先の SL 間の関係のことです。SL 関係は次のうちの 1 つです。
upgrade|downgrade|equal|disjoint |
処理は常にラベルが同じときに許可されるため、選択確認ダイアログは機密ラベルが同じであることを定義した規則を持っていません。
autoreply フィールドは、後に指定されているすべての種類の選択に対する応答の種類を定義します。このセクションは、個々に応答するのではなく、複数の種類の選択にまとめて自動応答する方法を提供します。次の表に、デフォルトの autoreply セクションを示します。デフォルトでは autoreply は y に設定されており、後に続く 4 つの種類の選択に自動応答します。
autoreply: y |
replytype: TARGETS |
replytype: Pixel Sets |
replytype: LENGTH |
replytype: Type Of Monitor |
autoreply の値が y の場合、残りのエントリは、確認なしで操作を完了させるための (実際の内容ではなく) 選択データの属性として使われます。autoreply の値が n の場合、残りのエントリは無視されます。これらのエントリは、「確認 (Confirmer)」ウィンドウに表示される任意の「種類 (Type)」フィールドに指定できます。
次の例に、/usr/dt/config/sel_config ファイル内のコメントとデフォルトの設定を示します。
#pragma ident "@(#)sel_config 5.7 99/09/17 SMI; TSOL 2.x" # # Copyright (c) 1998, 1999 by Sun Microsystems, Inc. # All rights reserved. # # Auto settings default file # # This file controls the action of the selection # manager and the file manager drag and drop confirmers. # There is an entry for the 3 possible types of transfer based # upon the source label and destination label. # # The file has two sections, the auto confirm section and # and the auto reply section. # # # Auto Confirm Section # # Specifies for each transfer type whether the action should # be automatically or manually confirmed. # # Auto confirm? y -> confirm transfer without displaying confirmer # (note: user must still have proper authorizations) # n -> display confirmer before processing transfer # # Auto # Transfer Type Confirm? downgradesl: n upgradesl: n disjointsl: n # Auto Reply Section autoreply: y replytype: TARGETS replytype: Pixel Sets replytype: LENGTH replytype: Type Of Monitor |
システム管理者役割になり、ADMIN_LOW
ワークスペースに移動します。
アプリケーションマネージャの「システム管理 (System_Admin)」フォルダに移動します。
「選択構成 (Selection Configuration)」アクションをダブルクリックし、sel_config ファイルを adminvi(1M) で開いて編集します。
必要であれば、各フィールドの意味については、「ファイルと選択のアップグレードとダウングレードの規則の変更」を参照してください。
変更を行った後、ファイルを保存して終了します。
:wq |
変更は、次回任意のユーザーがログインしたときから有効になります。