Trusted Solaris 管理の手順

スケルトンディレクトリの管理

管理者役割は、次の図に示すようなユーザーマネージャの「ホーム (Home)」ダイアログボックスを使用して、アカウント用にスケルトンパスディレクトリを定義します。

図 3-4 ユーザーマネージャ: ホームディレクトリを作成するダイアログボックス

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上の図に示したように、デフォルトのスケルトンパスディレクトリは、/etc/skel です。管理者役割によってこのデフォルト値を承認されると、それぞれのシェルのデフォルトの初期化ファイルが /etc/skel からアカウントの $HOME ディレクトリにコピーされ、リネームされます。

次の図に示すように /etc/skel ディレクトリの一覧にある local.cshrclocal.loginlocal.profile ファイルは、一般ユーザーアカウント向けにコピーされます。


例 3-2 デフォルトの /etc/skel ディレクトリ内容


trusted1% cd /etc/skel
trusted2% ls -R
local.cshrc local.login local.profile tsol/
 
tsol:role.link_files role.profile

(Trusted Solaris に固有の /etc/skel/tsol ディレクトリについては、「/etc/skel/tsol の役割スタートアップファイル」を参照してください。)

管理者役割がユーザーマネージャで自動ホームディレクトリ作成オプションを選択している場合、/etc/skel ファイルはアカウントの最下位ラベルに対応する SLD にコピーされます。

/etc/skel/tsol の役割スタートアップファイル

役割およびインストールユーザーのホームディレクトリは、次の図に示すように /etc/security/tsol/home/rolename に作成されます。



trusted1% ls /etc/security/tsol
admin/    install/    oper/     secadmin/

/etc/skel/tsolrole.link_filesrole.profile ファイルはデフォルトのスタートアップファイルで、役割のホームディレクトリだけで使用されます。


trusted% cd /etc/skel/tsol
trusted% ls 
role.link_files role.profile

新たに別の管理役割を設定するときは、セキュリティ管理者役割は、ユーザーマネージャの「スケルトンパス (Skeleton Path)」フィールドに /etc/skel/tsol を指定する必要があります。

スケルトンファイルの変更

管理者役割は、次のようなことを行うことがあります。

Trusted Solaris システムでは、スケルトンディレクトリ内のファイルは、アカウントの持つ最下位ラベルで作成された、そのアカウント用の最初の SLD だけに自動的にコピーされます。

この後、アカウントはいくつかの設定を行う義務があります。ユーザーアカウントは、スケルトンディレクトリからコピーされたファイルを自分のデフォルトのシェルに合わせてリネームし、必要に応じてその内容を変更する必要があります。たとえば、ユーザーのデフォルトシェルが C シェルでその最下位機密ラベルが PUBLIC である場合、最初のログインの後、ユーザーはホームディレクトリ内の PUBLIC ラベルを持つ SLD に移り、そこで local.cshrc (/etc/skel から自動的にコピーされたもの)をリネームし、必要に応じてその内容を変更することになります。

これらの初期化ファイルはアカウントの持つ最下位ラベルで作成されたホームディレクトリ内の最初の SLD にロードされるだけなので、その他のラベルで作成された SLD にこれらのファイルを配置するにはさらに追加作業が必要となります。ホームディレクトリ内の SLD にファイルをコピーする場合やリンクを作成する場合には、ユーザーまたは管理者は、.copy_files.link_files ファイルあるいはその両方のファイルを作成する必要があります。詳細は、「.copy_files および .link_files の使い方」を参照してください。