Solstice Backup 5.1 管理者ガイド

ユーザーインタフェースの始動

Backup ソフトウェアは、コマンド行インタフェースまたは GUI で使用できます。管理プログラムはネットワーク上の任意のマシンから開始できますが、管理特権を持つユーザーだけが実際に変更を加えることができます。バックアップと復旧、およびオプションのアーカイブと取り出しのためのユーザープログラムは、クライアントリソースでその機能が有効になっているクライアントマシンでのみ使用できます。

サーバーの選択に関連するクライアントコマンドは、管理と操作の 2 つのグループに分類されます。管理コマンドには nwadminnsrwatch、および mminfo があります。操作コマンドには savesavefs、および recover があります。どちらのコマンドグループも、明示的に Backup サーバーを指定するための -s server オプションを使用できます。

サーバーが明示的に指定されていなければ、操作コマンドは次の順序に従って、いずれかのサーバーを選択します。最初に検出されたサーバーが使用されます。

  1. 現在選択されているディレクトリが実際に存在するマシンの判定が実行されます。これは NFS サーバーかローカルマシンのどちらかです。RAP に照会して、そのマシンが Backup サーバーのクライアントであると判定されたら、その Backup サーバーが選択されます。現在選択されているディレクトリをバックアップするサーバーが複数ある場合は、いずれか 1 つのサーバーが選択され、他のサーバーの名前を示す情報メッセージが出力されます。

  2. 現在選択されているディレクトリが実際に存在するマシンが Backup サーバーであるかどうかが確認されます。Backup サーバーであれば、そのマシンが使用されます。

  3. ローカルマシンが Backup サーバーであるかどうかが確認されます。Backup サーバーであれば、そのローカルマシンが使用されます。

  4. これでも Backup サーバーが見つからない場合には、nsrhost というホスト名のマシンが選択されます。

nsradmin

nsradmin プログラムは、Backup システム用のコマンド行を使用する管理プログラムです。通常 nsradmin は、ネットワーク全域の Backup リソースの監視と変更に使用します。標準入力でコマンドを入力し、標準出力でそのコマンド出力が表示されます。

コマンドオプションを指定せずに nsradmin コマンドを入力すると、次のようなコマンドプロンプトが表示されて、必要な追加オプションを入力するように要求されます。


nsradmin>

nsradmin プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


nsradmin [-c] [-i file] [-s server] [-p prognum] [v version] [query]
nsradmin [-c] [-i file] [-f resource-file] [-t typefile] [query>

属性とは、名前と、オプションでその後にコロンと 0 以上の値 (空白の場合もある) が入っているものです。複数の値を指定する場合は、コンマで区切ります。次の行に続ける場合は、行の末尾にコンマを付けます。


attribute list ::= attribute [; attribute]* 

属性リストとは、1 つまたは複数の属性をセミコロンで区切ったものです。次の行に続ける場合は、行の末尾にセミコロンを付けます。属性リストの最後には改行文字を入れ、この改行文字の前にはコンマやセミコロンは入れません。


name: mars;
type: NSR client;
remote access: mars, venus, jupiter

nsradmin の入力プロンプトごとに、コマンド名とオプションの引数を入力します。コマンド名は、最も短い固有の文字列に短縮できます。たとえば、print コマンドの場合は、p と入力できます。コマンド引数は、属性リストの形式で指定します。通常 nsradmin コマンドは、照会によって得られる一連のリソースで動作します。照会には、次の規則に従ってリソースと照合する属性リストを指定します。

nsradmin のコマンドオプション

以下に、使用できるコマンドとその機能を説明します。

nsradmin プログラムで使用できるリソース

nsradmin プログラムは、nwadmin プログラムで使用できるリソースと同じリソースを管理するためのキャラクタベースのインタフェースを提供します。以下のリソースがあります。

「NSR client」

「NSR client」リソースには、保存すべきファイル、バックアップスケジュール、ファイルを保存の対象から除外するための指示、ファイルのインデックスエントリをオンラインファイルインデックスとメディアインデックスに保持する期間、および、クライアントのファイルに対してバックアップ、ブラウズ、復旧の権限が与えられるユーザーが記述されます。Backup サーバーの「NSR client」リソースの編集には、nsradminまたは nwadminを使用します。

「NSR client」リソースには以下の属性があります。

「NSR device」

「NSR device」リソースには、Backup サーバーが使用する各ストレージデバイスが記述されます。Backup サーバーの「NSR device」リソースの編集には、nsradminまたは nwadminを使用します。

「NSR device」リソースには以下の属性があります。

「NSR directive」

「NSR directive」リソースを使用して、保存するファイルと、特定のタイプのファイルに対する特殊な処理指定を制御します。Backup サーバー「 NSR directive」リソースの編集には、nsradminまたは nwadminを使用します。

「NSR directive」リソースには以下の属性があります。

「NSR group」

「NSR group」リソースを使用して、Backup クライアントのグループがデータの保存を開始する時刻と、スケジュールされたバックアップを毎日自動的に開始するかどうかを制御します。Backup サーバー「 NSR group」リソースの編集には、nsradminまたは nwadminを使用します。

「NSR group」リソースには以下の属性があります。

「NSR jukebox」

「NSR jukebox」リソースには、Backup が「NSR Jukebox」という単一のリソースタイプで認識している各オートチェンジャの物理的特性が記述されます。Backup サーバーの「NSR jukebox」リソースの編集には、nsradminまたは nwadminを使用します。

「NSR jukebox」リソースには以下の属性があります。

「NSR label」

「NSR label」リソースには、ボリュームラベルを生成するためのテンプレートが記述されます。Backup サーバーの「NSR label」リソースの編集には、nsradminまたは nwadminを使用します。

「NSR label」リソースには以下の属性があります。

「NSR license」

「NSR license」リソースには、Backup をインストールした時点で有効になっている機能が記述されます。Backup サーバーの「NSR license」リソースの確認には、nsradminまたは nwadminを使用します。

「NSR license」リソースには以下の属性があります。

「NSR migration」

「NSR migration」リソースには、保存するファイル、スケジュール、保存対象からファイルを除外するためのディレクティブ、事前マイグレートするグループファイル、マイグレートの判断に使用する上限値、下限値、アクセスするのにかかる最短時間と最小ファイルサイズ、マイグレート対象に含めるまたは除外するファイルの所有者とグループのリスト、およびマイグレートしないファイル名パターンのリストを指定します。

Backup サーバーの「NSR migration」リソースの編集には、nsradminまたは nwadminを使用します。

「NSR migration」リソースには以下の属性があります。

「NSR notification」

「NSR notification」リソースを使用して、Backup 通知システムによって処理されるイベント、優先順位、およびアクションをそれぞれ組み合わせることができます。Backup 通知は、単一のイベントタイプ、単一の優先順位、および 1 つのメッセージから構成されています。通知システムでは、各メッセージは、イベントタイプと優先順位が指定されている個々の「NSR notification」リソースのアクションに送られます。Backup サーバーの「NSR notification」リソースの編集には、nsradminまたは nwadminを使用します。

「NSR notification」リソースには以下の属性があります。

「NSR policy」

「NSR policy」リソースを使用して、クライアントのオンラインファイルインデックスにエントリをどれだけの期間残すか、また、セーブセットをいつ再利用可能としてマークするかを制御します。各「NSR client」リソースは、ブラウズポリシーと保持ポリシーの 2 つのポリシーを使用します。各ポリシーには、「period」と「number of periods」を使って一定の時間を定義します。

Backup サーバーの「NSR policy」リソースの編集には、nsradminまたは nwadminを使用します。

「NSR policy」リソースには以下の属性があります。

「NSR pool」

「NSR pool」リソースには、各 Backup プールが記述されます。このリソースによって、ブラウズポリシーと保持ポリシーが決まります。また、ボリュームのセーブセットの特性に基づいて、ボリュームのセーブセットが書き込まれる位置が決まります。

プールには次の 4 つのタイプがあります。

「NSR schedule」

「NSR schedule」リソースには、Backup クライアントが保存するデータの量を制御するための一連のレベルが記述されます。各 Backup スケジュールについて 1 つの「NSR schedule」リソースが存在します。

Backup サーバーの「NSR schedule」リソースの編集には、nsradminまたは nwadminを使用します。

「NSR schedule」リソースには以下の属性があります。

「NSR Stage」

「NSR Stage」リソースには、Backup サーバーが使用するステージングポリシーが記述されます。Backup サーバーの「NSR Stage」リソースの編集には、nsradminまたは nwadminを使用します。

「NSR stage」リソースには以下の属性があります。

「NSR」

「NSR」リソースには、Backup サーバーとそのクライアントが記述されます。各リソースは、管理が必要な Backup システムのコンポーネントを表しています。これらのリソースを操作することで、Backup システムを制御できます。ファイルとその中のリソースは、nwadmin および nsradmin プログラムを使ってアクセスできます。また、テキストエディタで見ることもできます。

各リソースは属性のリストによって記述されています。各属性は、名前と、必要な場合には値の並びで構成されています。属性名と属性オプションはコロン (:) で区切り、属性値どうしはカンマ (,) で区切り、各属性はセミコロン (;) で終了します。行の末尾にあるカンマ、セミコロン、またはバックスラッシュ (¥) は、次の行に継続することを示します。

次に、8 つの属性を持つリソースの例を示します。


          type: NSR client;

          name: venus;

        server: earth;

      schedule: Default;

     directive: Unix standard directives;

         group: Default;

      save set: All;

remote access: ;

各「NSR」リソースには以下の属性があります。

キャラクタベースのディスプレイ用のサーバー状態確認リソース

nsrwatch プログラムでは、カーソルを配置するための termcap 機能を備えた任意のシステムから、Backup サーバーの状態を表示することができます。nsrwatch プログラムは、指定されたサーバーへの遠隔手続き呼び出し (Remote Procedure Calls, RPC) を通じてサーバーの状態に関する情報を取得します。また、nsrwatch プログラムは、ネットワークを通じて Backup サーバーにアクセスできる任意のマシンから呼び出すことができます。特定のサーバーを指定しないと、サーバー選択規則が適用されます。

nsrwatch の表示は、ヘッダーといくつかのパネル (「Server」パネル、「Device」パネル、「Sessions」パネル、「Messages」パネル、「Pending」メッセージパネル) に分かれています。パネルの大きさは、使用する端末やウィンドウの大きさに応じて調節できます。

ヘッダーには、サーバー名と現在の時間が表示されます。「Server」パネルには、サーバーの現在の状態に関する情報 (エラーメッセージ、サーバーの連続稼動時間、このサーバーが使用する Backup ソフトウェアのバージョン) が表示されます。「Device」パネルには、Backup サーバーが認識するすべてのデバイスが表示されます。各デバイスごとに、デバイスタイプ、現在マウントされているボリューム名 (ボリュームがマウントされていない場合は「unmounted」)、そのデバイスの状態が表示されます。デバイス名の後に (J) が記載されている場合は、オートチェンジャまたはサイロ内にあるデバイスを表します。「Sessions」パネルには、アクティブセッションごとに現在のセーブセット情報 (保存、復旧、またはブラウズ) が表示されます。「Messages」パネルには、Backup メッセージの履歴が表示されます。「Pending」メッセージパネルには、手動操作を要求するメッセージが表示されます。

nsrwatch プログラムは、q キー、Control-z キーまたは Control-c キーでプログラムを停止するまで、稼動し続けます。Control-l のキーを押すと、画面がクリアされ、現在の情報が再表示されます。

nsrwatch プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


nsrwatch [-s server] [-p polltime]

nwadmin

nwadmin プログラムは X Window System のアプリケーションで、Backup サーバーの管理と監視に使用します。nwadmin コマンドに -s オプションを使って、管理する Backup サーバーを指定します。このオプションを使わないと、「ユーザーインタフェースの始動」に説明されているサーバー選択の規則に従ってサーバーが選択されます。

nwadmin プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


nwadmin [-s server]

nwarchive

nwarchive プログラムは X Window System のアプリケーションで、nsrarchive プログラムの GUI 版です。nsrarchive プログラムは、手動でファイルを Backup サーバー上にアーカイブするのに使います。アーカイブデータの宛先となる Backup サーバーは、nwarchive コマンドに -s オプションを付けて指定できます。このオプションを使用しないと、「ユーザーインタフェースの始動」で説明されているサーバー選択の規則に従ってサーバーが選択されます。

nwarchive プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


nwarchive [-s server]

nwbackup

nwbackup プログラムは、Backup サーバーの管理と監視に使用する X Window System のアプリケーションで、save プログラムの GUI 版です。管理対象となる Backup サーバーは、nwbackup コマンドに -s オプションを付けて指定できます。このオプションを使わないと、「ユーザーインタフェースの始動」で説明されているサーバー選択の規則に従ってサーバーが選択されます。

nwbackup プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


nwbackup [-s server]

nwrecover

nwrecover プログラムは、Backup サーバーの管理と監視に使用する X Window System のアプリケーションです。復旧する Backup クライアントのデータは、nwrecover コマンドに -c オプションを付けて指定できます。また、復旧するデータを持った復旧元の Backup サーバーは、このコマンドに -s オプションを付けて指定できます。-s オプションを使用しないと、「ユーザーインタフェースの始動」で説明されているサーバー選択の規則に従ってサーバーが選択されます。

nwrecover プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


nwrecover [-c client] [-s server]

nwretrieve

nwretrieve プログラムは X Window System のアプリケーションで、nsrretrieve プログラムの GUI 版です。nsrretrieve プログラムは、アーカイブファイルを Backup サーバーから手動で取り出すのに使います。アーカイブデータを持った取り出し元の Backup サーバーは、nwretrieve コマンドに -s オプションを付けて指定できます。このオプションを使わないと、「ユーザーインタフェースの始動」で説明されているサーバー選択の規則に従ってサーバーが選択されます。

nwretrieve プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。


nwretrieve [-s server]