savefs プログラムは、savegrp プログラムがクライアントをプローブして、そのファイルシステムと最新の保存時刻を検索するのに使用します。1 回の保存操作のために直接 savefs プログラムを実行するのはお勧めできません。ただし、クライアントをプローブして、savegrp プログラムによってバックアップされるセーブセットとレベルのプレビューレポートを作成する場合には、savefs コマンドに -p オプションを指定して手動で起動できます。プローブ時には、savefs プログラムによって実際にデータが保存されることはありませんが、クライアントのファイルシステムのレイアウトを記述した、マシンによる構文解析が可能なレポートが作成されます。-p オプションを指定すると、コマンド行から、GUI 版の Administration プログラムでの「Group Control」->「Preview」機能を使って得られる情報と同じ情報にアクセスできます。
savefs コマンド行にファイルシステム引き数を指定しないと、「Save Set」属性に指定されているファイルシステムがプローブされます。セーブセットのリストにキーワード「All」を指定すると、ファイルシステムテーブル (Solaris の場合は /etc/vfstab) が調べられて、どのファイルシステムを保存するかが決められます。プローブされるのは、ローカルの、マウントされているファイルシステムだけです。
Sun Solaris Online DiskSuite のメタデバイスは、独立のディスクと同様に取り扱われます。これによって各ディスクが自分のセッションで保存されるので、十分な並列処理が可能となります。
「Clients」リソースでセーブセットを明示的に指定する場合には、注意が必要です。それには、2 つの理由があります。1 つは、保存操作を必要とする新しいファイルシステムが追加する場合は、このリストを手動で更新しなければならないからです。もう 1 つは、savefs プログラムはパスまたはマウントポイントの終わりで停止するので、同じファイルシステム内の 2 つのセーブセットを指定した場合、どちらかがもう一方のサブディレクトリであれば、そのサブディレクトリは 2 回保存されてしまうからです。
ファイルシステム引き数を指定するのは保存するファイルシステムを限定するためですが、ここで指定したファイルシステムは、このクライアントの「Save Set」属性のリストにも指定しなければなりません (-F オプションの説明を参照)。
savefs プログラムで使用する形式とオプションは、次のとおりです。
savefs -p [options] [filesystem...] [-M filesystem...] |
options に指定できる有効な値は、次のとおりです。
[-BEFnpqRv] [-s server] [-N name] [-g group] [-l level | -C schedule] [-e expiration] [-f filename] [-W width] [-t date] [-T seconds] |
-B オプションを使用すると、ルート (/) から呼び出しポイントまでの接続ディレクトリ情報をすべて強制的に保存できます。このオプションは、サーバーのブートストラップ情報を保存する場合などに、savegrp プログラムによって使われます。
-C schedule オプションを使用すると、自動的に保存レベルを決める場合に使用するスケジュールの名前を指定できます。このオプションを指定しないと、指定されたファイルシステムの「Clients」リソースで名前が指定されているスケジュールが使われます。
-e expiration オプションを使用すると、保存データの有効期限を nsr_getdate の形式で指定できます。デフォルトでは、有効期限は明示的には設定されていません。
-E オプションを使用すると、指定されたファイルシステムを探索して、保存処理によって生成されるデータの量を見積もることができます。このオプションを指定しないと、見積もりサイズはゼロになります。このオプションは、各ファイルシステム内のファイル数に応じて時間がかかることに注意してください。これは、保存処理が開始される前にディレクトリ全体が探索され、実際にディレクトリを保存する際にもう一度探索されるからです。ファイルのデータがディスクから読み取られるのは、最後の時点です。多くの場合、このオプションを使うことによるオーバーヘッドはわずかであり、無視できる範囲のものです。
-f filename オプションを使用すると、アプリケーション固有モジュール (ASM) にディレクティブを送る元のファイルを指定できます。デフォルトでは、これらのディレクティブは、各クライアントの「Clients」リソース内の「Directive」属性に指定されている「Directives」リソースから送られます。
-F オプションを使用すると、引き数がファイルシステムテーブルまたは「Clients」リソースに指定されていなくても、すべての引き数 (たとえば ファイルシステム) を保存できます。
-M オプションを使用すると、プローブの一環として、後続のすべてのファイルシステムがマイグレートの対象となり得るかどうかをプローブするように指定できます。このオプションは、ファイルのマイグレートをサポートしていないシステムでは無視されますが、問題はありません。
-g group オプションを使用すると、クライアントの範囲を特定のグループに限定できます。このオプションを指定しないと、どのグループかに関わらず、クライアントの「Clients」リソースのすべてのインスタンスにあるセーブセットが使われます。この値は save プログラムにも渡され、save プログラムはその値を使って特定のメディアプールを選択します。
-l level オプションを使用すると、実行する保存のレベルを指定できます。レベルは全部で 12 種類あり、full、レベル 1 から レベル 9、incr、および skip です。full では、すべてのファイルが保存されます。incr では、前回の保存 (レベルは問わない) 以降に変更されたファイルだけが保存されます (差分保存)。skip では、ファイルは保存されません。レベル 1 から レベル 9 までのどれかを指定すると、それよりも低いレベルの保存が行われたあとで変更されたファイルがすべて保存されます。たとえば、ある週の月曜日に full の保存、火曜日に レベル 3 の保存をしたあと、水曜日に レベル 3 の保存を実行すると、月曜日の full 保存以後に変更または追加されたファイルがすべて保存されます。レベルを指定しないと、保存レベルは Backup クライアントのスケジュールから自動的に決められます。savefs プログラムでは、nsrmmd プログラムによって保守されている Backup サーバー上のこれまでの保存履歴を使って、指定されたレベルの保存に必要な時間を正確に算出します。テープが削除されると、savefs は、サーバー上のメディア情報を使い、算出される保存に要する時間を、それまでの保存レベルに基づいて自動的に調整します。
-n オプションを使用すると、-E オプションで説明したように、データは保存せずに、生成されるデータの量を正確に見積もることができます。
-N name オプションを使用すると、セーブセットの記号名を指定できます。デフォルトでは、filename 引き数の最初の部分がセーブセット名として使用されます。
-p オプションを使用すると、実際の保存処理は行わずに、ファイルシステムの名前、実行する保存のレベル、保存するファイルの変更時刻を一覧表示できます。これらの情報は、オペレーティングシステムに固有のファイルと、「Schedules」リソースから収集されます。
-q オプションを使用すると、savefs プログラムを非確認モードで実行できます。サマリー情報とエラーメッセージだけが表示されます。
-qq オプションを使用すると、savefs プログラムを真の非確認モードで実行できます。この場合は、エラーメッセージだけが表示されます。
-R オプションを使用すると、処理完了時に succeeded または failed という簡単なメッセージを表示できます。このオプションは、savegrp プログラムから savefs プログラムを実行するときに自動的に使用されます。
-s server オプションを使用すると、savefs プログラムで使用する Backup サーバーを指定できます。
-t date オプションを nsr_getdate の形式で使用すると、savefs でのレベルの算出のための基準となる日付を指定できます。 このオプションを指定しないと、現在の時刻が使われます。
-T seconds オプションを使用すると、非活動タイムアウトの期間を秒単位で指定できます。savefs プログラムは、ローカルなサーバーでの処理がこのオプションで指定された時間内に進行していないことを検出すると、save プログラムが応答していないと判断します。メッセージが標準エラー出力上に表示され、savefs プログラムは正常に終了します。このオプションが使えるのは、Backup サーバーマシン上だけです。
-v オプションを使用すると、savefs を冗長モードで実行できます。このオプションを使用すると、大量のデバッグ用の出力が得られます。このオプションは、savegrp プログラムが、複数バージョンをサポートするためにクライアントが持つ savefs プログラムの機能をプローブする際に自動的に使用されます。
-W width オプションを使用すると、出力または通知メッセージを書式化するのに使われる幅 (文字数) を指定できます。width のデフォルト値は 80 です。