nsrhsmck プログラムは、HSM によりマイグレートされたファイルの、ファイルスタブとクライアントファイルインデックスのエントリとの整合性の検査と変更を行います。次の 4 つの状況が生じた場合に nsrhsmck プログラムで処理されます。
第 1 の状況は、マイグレートされたファイルのスタブ名が変更された時に発生します。この状況では、元のファイル名の付いたスタブは、すでに存在しません。ここで、nsrhsmck により、スタブに付けられた新しい名前が反映されるように、クライアントファイルインデックスのエントリを更新することによって、この状況を修正します。
第 2 の状況は、Backup IB (Instruction Buffer) 名前空間内で他のシンボリックリンクと同じ名前のシンボリックリンクが作成された場合に発生します。この状況を修正するための処置として、この重複リンクを、Backup IB 名前空間を直接指すものではなく、元のシンボリックリンクを指すシンボリックリンクと置き換えます。
第 3 の状況は、マイグレートファイルを指すスタブが削除された場合に発生します。これは、削除する可能性があるものとしてみなされます。スタブがあとからもう一度現れることがあるからです。たとえば、Backup を使用してスタブが復旧された場合などです。削除の可能性があるマイグレートファイルのインデックスエントリに、60 日後に削除の可能性ありというマークを付けることによって、この状況を修正します。削除の可能性ありというマークが付けられたファイルが、インデックスエントリが削除される前にディスク上で検出されると、そのインデックスエントリの削除の可能性ありというマークは消えるので注意してください。
nsrhsmck によって処理される第 4 の状況は、削除の可能性ありというマークが付けられたインデックスエントリが、60 日の有効期限を過ぎた時点で発生します。この場合、期限切れのエントリを HSM ファイルインデックスから削除することによって、この状況を修正します。エントリが HSM ファイルインデックスから削除される前に、このファイルがディスク上に存在していないことを確認するための検査が行われます。
nsrhsmck を実行するときは、コマンド行でパスを指定する必要があります。指定したパスの下のファイルとインデックスエントリだけが、整合性を検査されます。
次の例では、nsrhsmck プログラムで使用できるオプションについて説明しています。
-c オプションを使用すると、HSM ファイルインデックスを検索し、削除の可能性ありというマークが付けられたエントリのうち、60 日の有効期限が切れたものを削除するように nsrhsmck プログラムに指示できます。
-d オプションを使用すると、HSM ファイルインデックスを検索し、検出された削除される可能性のあるものにマークを付けるように nsrhsmck に指示できます。
-f オプションを使用すると、ディスク上のファイルシステムを検索し、重複したリンクと名前が変更されたスタブを検出するように、nsrhsmck プログラムに指示できます。
-M オプションを使用すると、nsrexecd または他の Backup デーモンによってマスターモードで実行するように nsrhsmck プログラムに指示できます。その結果、nsrexecd によって要求されるこれ以外の処理が実行されると同時に、タイムスタンプの付いたメッセージがログに記録されます。このオプションを手動で操作することはお勧めできません。このオプションは、nsrhsmck が自動的に呼び出された時に使用します。
-n オプションを使用すると、検出された不一致を変更せずにレポートするように nsrhsmck プログラムに指示できます。
-s server オプションを使用すると、Backup サーバーとして使用するマシンを指定できます。このオプションを省略すると、現在使用中のマシン (Backup サーバーの場合)、またはホストテーブルに入力された nsrhost の論理名の付いたマシンがデフォルトマシンとみなされます。
-v オプションを使用すると、nsrhsmck プログラムを冗長モードで実行できます。このフラグは、最高の冗長レベルに達するために、コマンド行で最高 3 回まで指定できます。冗長モードで大量の出力が生成される場合があります。ほとんどの状況において、このオプションの使用はお勧めできません。