この章では、ディスク容量と i ノードに対する UFS 割り当て制限を設定し管理する方法を示します。
UFS 割り当て制限の管理については、以下を参照してください。
Oracle Solaris ZFS 割り当て制限の管理については、『Solaris ZFS 管理ガイド』の「ZFS の割り当て制限と予約を設定する」を参照してください。
UFS 割り当て制限を使用すると、システム管理者は、ファイルシステムのサイズを制御できます。割り当て制限は、各ユーザーが使用できるディスク容量と i ノード数 (おおよそのファイル数に該当) を制限します。このため、ディスク割り当て制限は、特に、ユーザーのホームディレクトリが存在するファイルシステムで便利です。通常、「公共な」ファイルシステムと /tmp ファイルシステムについては、ディスク割り当て制限の使用による利点はあまりありません。
一度割り当て制限を設定しても、それを変更して、ユーザーが使用できるディスク容量と i ノード数を調整できます。また、システムに変更が必要な場合は、それに合わせて割り当て制限を追加または削除できます。割り当て制限やそれを超えることができる時間を変更する方法、各割り当て制限を無効にする方法、またはファイルシステムの割り当て制限を削除する方法については、「UFS 割り当て制限の変更と削除」を参照してください。
ディスク割り当て制限を監視できます。UFS 割り当て制限のコマンドを使用することによりシステム管理者は、ファイルシステムでの割り当て制限を表示したり、割り当て制限を超えて使用しているユーザーを検索したりできます。これらのコマンドの使用方法については、「UFS 割り当て制限のチェック」を参照してください。
弱い制限値と強い制限値の両方を設定できます。システムは、ユーザーが自分の強い制限値を超えることを許可しません。しかし、システム管理者は、ユーザーが一時的に超えることができる、弱い制限値を設定できます。弱い制限値は、強い制限値より小さくなければなりません。
いったんユーザーが弱い制限値を超えると、割り当て制限タイマーが起動します。割り当て制限タイマーが動いている間、ユーザーは弱い制限値を超えて操作できます。しかし、強い制限値は超えることができません。再びユーザーが弱い制限値を下回ると、タイマーはリセットされます。しかし、タイマーが期限切れになったときに、まだユーザーの使用率が弱い制限値を超えていた場合、弱い制限値は、強い制限値として実施されます。デフォルトでは、弱い制限値のタイマーは 7 日です。
repquota コマンドと quota コマンドの timeleft フィールドは、タイマーの値を示します。
たとえば、あるユーザーの弱い制限値が 10,000 ブロックで、強い制限値が 12,000 ブロックであると仮定します。そのユーザーのブロック使用率が 10,000 ブロックを超えて、7 日間のタイマーも期限切れになった場合、そのユーザーは自分の使用率が弱い制限値を下回るまで、それ以上のディスクブロックをそのファイルシステム上に割り当てることはできません。
ファイルシステムは、ユーザーに 2 つの資源を提供します。データ用のブロックと、ファイル用の i ノードです。各ファイルは、1 つの i ノードを使用します。ファイルデータは、データブロック内に格納されます。データブロックは、 通常は、1K バイトブロックで構成されます。
ディレクトリがなくても、ユーザーは空のファイルを作成することによって (ブロックを使用することなく)、自分の i ノードディスク割り当て制限を超過することができます。また、ユーザーは、ユーザーの割り当て制限のデータブロックをすべて消費するのに十分な大きさのファイルを 1 つ作成して、自分のブロックのディクス割り当て制限を超過した i ノードを 1 つ使用することができます。
/etc/vfstab ファイルエントリに割り当て制限オプションを追加し、システムをリブートするたびに割り当て制限が適用されるようにします。また、ファイルシステムの一番上のディレクトリに quotas ファイルを作成します。
まず 1 人のユーザー用にディスク割り当て制限を作成したら、それをプロトタイプとして他のユーザー用にコピーできます。
ディスク割り当て制限を有効にする前に、その割り当て制限と現在のディスク使用状況との整合性をチェックして、矛盾しないことを確認します。
1 つ以上のファイルシステムのディスク割り当て制限を有効にします。
これらの手順の具体的な情報については、「UFS 割り当て制限の設定 (作業マップ)」を参照してください。
次の表で、ディスク割り当て制限を設定するコマンドを説明します。
表 7–1 UFS 割り当て制限を設定するコマンド
コマンド |
作業 |
マニュアルページ |
---|---|---|
edquota |
各ユーザーの i ノード数とディスク容量に強い制限値と弱い制限値を設定します。 | |
quotacheck |
マウントされている各 UFS ファイルシステムを調べ、ファイルシステムのディスク割り当て制限ファイルに格納されている情報と、ファイルシステムの現在のディスク使用状況を比較します。このあと、不整合を解決します。 | |
指定したファイルシステムの割り当て制限を有効にします。 | ||
quota |
マウントされているファイルシステムのユーザーの UFS 割り当て制限を表示し、割り当て制限が正しく設定されていることを確認します。 |
UFS 割り当て制限を設定する前に、各ユーザーに割り当てるディスク容量の大きさと i ノード数を決定する必要があります。ファイルシステムの合計領域サイズを超えないようにする場合は、ファイルシステムの合計サイズをユーザー数に等分すればよいでしょう。たとえば、3 人のユーザーが 100M バイトのスライスを共有し、それぞれが同じディスク容量のサイズを必要とする場合は、各ユーザーに 33M バイトずつ割り当てます。
全ユーザーが同時に割り当て制限を超えるような可能性が小さい環境では、個々の割り当て制限の合計がファイルシステムの合計サイズを超えるよう設定することも可能です。たとえば、3 人のユーザーが 100M バイトのスライスを共有する場合に、各ユーザーに 40M バイトを割り当ててもよいということです。
あるユーザーについて edquota コマンドを使用して割り当て制限を決定したら、これをプロトタイプとして利用して、同じファイルシステム上の他のユーザーにも同じ割り当て制限を設定できます。
まず UFS ファイルシステムの割り当て制限を構成します。
各ユーザーの割り当て制限を設定して、quotacheck コマンドを実行し、現在のディスク使用状況と割り当て制限ファイル間の整合性をチェックします。
システムのリブートの頻度が低い場合は、quotacheck コマンドを定期的に実行します。
edquota コマンドにより設定した割り当て制限は、quotaon コマンドを使用して有効にしなければ効力を持ちません。割り当て制限ファイルを正しく構成すれば、システムをリブートしてファイルシステムがマウントされるたびに、割り当て制限は自動的に有効になります。
作業 |
説明 |
参照先 |
---|---|---|
1. ファイルシステムの割り当て制限を構成します。 |
/etc/vfstab ファイルを編集して、ファイルシステムがマウントされるたびに割り当て制限が有効になるようにします。また、quotas ファイルを作成します。 | |
2. 1 ユーザー用の UFS 割り当て制限を設定します。 |
edquota コマンドを使用して 1 ユーザーアカウント用にディスクと i ノードの割り当て制限を行います。 | |
3. (省略可能) 複数ユーザーの UFS 割り当て制限を設定します。 |
edquota コマンドを使用して、その他のユーザーアカウント用にプロトタイプの割り当て制限を適用します。 | |
4. 整合性をチェックします。 |
quotacheck を使用して、1 つまたは複数のファイルシステムの整合性について、現在の使用状況とディスクの割り当て制限を比較します。 | |
5. UFS 割り当て制限を有効にします。 |
quotaon コマンドを使用して、1 つまたは複数のファイルシステムの UFS 割り当て制限を有効にします。 |
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
/etc/vfstab ファイルを編集します。割り当て制限を設定しようとする各 UFS ファイルシステムの mount options フィールドに rq を追加します。
割り当て制限を格納しようとするファイルシステムのルートディレクトリに移動します。
# touch quotas |
スーパーユーザーにのみ、読み取り / 書き込み権限を与えます。
# chmod 600 quotas |
次の /etc/vfstab の例は、システム pluto の /export/home ディレクトリが、ローカルシステムの NFS ファイルシステムとしてマウントされていることを示しています。割り当て制限が有効であることが、mount options 列の下の rq エントリによってわかります。
# device device mount FS fsck mount mount # to mount to fsck point type pass at boot options # pluto:/export/home - /export/home nfs - yes rq |
次の /etc/vfstab ファイルの例は、ローカルに /work ディレクトリがマウントされており、割り当て制限が有効 (mount options 列の rq エントリで示される) であることを示しています。
#device device mount FS fsck mount mount #to mount to fsck point type pass at boot options #/dev/dsk/c0t4d0s0 /dev/rdsk/c0t4d0s0 /work ufs 3 yes rq |
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
割り当て制限エディタを使用して、一時ファイルを作成します。このファイルには、ファイルシステムのルートディレクトリに quotas ファイルがあるマウント済み UFS ファイルシステム 1 つにつき 1 行の、割り当て制限情報が含まれます。
# edquota username |
username は、割り当て制限を設定するユーザーです。
1K バイトディスクブロック数の弱い制限値と強い制限値の両方を、各ファイルシステム用に指定する割り当て制限に変更します。
i ノード数の弱い制限値と強い制限値の両方を、デフォルト設定の 0 から各ファイルシステム用に指定する割り当て制限に変更します。
ユーザーの UFS 割り当て制限を確認します。
# quota -v username |
ディスク割り当て制限がある、マウント済みのファイルシステム上の、ユーザーのディスク割り当て制限情報を表示します。
ディスク割り当て制限を表示するユーザー名を指定します。
次の例は、edquota コマンドで開いた一時ファイルの内容を示しています。このシステムでは、ルートディレクトリに quotas ファイルが含まれているマウント済みファイルシステムは、/files だけです。
fs /files blocks (soft = 0, hard = 0) inodes (soft = 0, hard = 0) |
次の例は、割り当て制限設定後の一時ファイルの、上記と同じ行を示しています。
fs /files blocks (soft = 50, hard = 60) inodes (soft = 90, hard = 100) |
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
割り当て制限エディタを使用して、すでにプロトタイプユーザー用に設定した割り当て制限を、指定するその他のユーザーに適用します。
# edquota -p prototype-user username ... |
すでに割り当て制限を設定してあるアカウントのユーザー名です。
1 人以上の追加アカウントのユーザー名を指定します。複数のユーザー名を指定するには、スペースでユーザー名を区切ります。
次の例は、ユーザー bob に設定された割り当て制限をユーザー mary および john に適用する方法を示しています。
# edquota -p bob mary john |
システムをリブートすると、quotacheck コマンドが自動的に実行されます。通常、割り当て制限を設定したファイルシステムが空の場合、quotacheck コマンドを実行する必要はありません。ただし、既存ファイルを持つファイルシステム上に割り当て制限を設定した場合は、quotacheck コマンドを実行して、既存ファイルや既存 i ノードと割り当て制限データベースとを同期させる必要があります。
また、quotacheck コマンドを大規模ファイルシステムで実行するには、時間がかかることを考慮してください。
ディスクのデータの正確さを保つには、quotacheck コマンドを手動で実行するとき、チェックするファイルシステムが他のユーザーによって使用できないようにしてください。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
次のように UFS ファイルシステム上の整合性チェックを実行します。
# quotacheck [-va] filesystem |
(省略可能) 特定のファイルシステム上の各ユーザーのディスク割り当て制限を示します。
/etc/vfstab ファイルに rq エントリがある全ファイルシステムをチェックします。
チェックするファイルシステムを指定します。
詳細については、quotacheck(1M) のマニュアルページを参照してください。
次の例は、スライス /dev/rdsk/c0t0d0s7 上の /export/home ファイルシステムのディスク割り当て制限をチェックする方法を示しています。/export/home ファイルシステムは、/etc/vfstab ファイルに rq エントリを持つ、唯一のファイルシステムです。
# quotacheck -va *** Checking quotas for /dev/rdsk/c0t0d0s7 (/export/home) |
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
ファイルシステムの割り当て制限を有効にします。
# quotaon [-v] -a filesystem ... |
割り当て制限が無効にされた場合、各ファイルシステムからメッセージを表示します。
/etc/vfstab ファイル内に rq エントリがある全ファイルシステムの割り当て制限を有効にします。
指定する 1 つ以上のファイルシステムの割り当て制限を有効にします。複数のファイルシステムを指定する場合は、スペースでファイルシステム名を区切ります。
次の例は、スライス /dev/dsk/c0t4d0s7 と /dev/dsk/c0t3d0s7 上のファイルシステムのディスク割り当て制限を有効にする方法を示しています。
# quotaon -v /dev/dsk/c0t4d0s7 /dev/dsk/c0t3d0s7 /dev/dsk/c0t4d0s7: quotas turned on /dev/dsk/c0t3d0s7: quotas turned on |
作業 |
説明 |
参照先 |
---|---|---|
UFS 割り当て制限の超過をチェックします。 |
quota コマンドを使用して、UFS 割り当て制限が適用されているファイルシステム上の個々のユーザーの UFS 割り当て制限とディスク使用量を表示します。 | |
ファイルシステム上の UFS 割り当て制限をチェックします。 |
repquota コマンドを使用して、1 つ以上のファイルシステム上のすべてのユーザーの UFS 割り当て制限とディスク使用量を表示します。 | |
弱い制限値のデフォルトを変更します。 |
edquota コマンドを使用して、ディスク容量または i ノードの割り当て制限をユーザーが超えることができる時間を変更します。 | |
ユーザーの UFS 割り当て制限を変更します。 |
割り当て制限エディタ edquota を使用し、個々のユーザーの割り当て制限を変更します。 | |
ユーザーの UFS 割り当て制限を無効にします。 |
割り当て制限エディタ edquota を使用し、個々のユーザーの割り当て制限を無効にします。 | |
UFS 割り当て制限を無効にします。 |
quotaoff コマンドを使用し、UFS 割り当て制限を無効にします。 |
UFS ディスクと i ノードの割り当て制限を設定して有効にしたら、それらの割り当て制限を超過して使用しているユーザーをチェックできます。また、ファイルシステム全体の割り当て制限情報をチェックすることもできます。
次の表で、ディスク割り当て制限をチェックするコマンドを説明します。
表 7–2 UFS 割り当て制限をチェックするコマンド
コマンド |
作業 |
---|---|
ユーザー割り当て制限と現在のディスク使用量を表示します。ユーザーの割り当て制限超過使用量も表示できます |
|
指定されたファイルシステムの割り当て制限、ファイル、および所有しているディスク容量を表示します |
quota コマンドを使用して、割り当て制限が適用されているファイルシステム上の個々のユーザーの UFS 割り当て制限とディスク使用量を表示できます。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
次のように入力して、割り当て制限が有効にされているマウント済みファイルシステムのユーザー割り当て制限を表示します。
# quota [-v] username |
割り当て制限が設定されているマウント済みファイルシステムすべてについてユーザー割り当て制限を表示します。
ユーザーアカウントのユーザー名またはユーザー ID (UID) です。
次の例は、UID 301 によって識別されるユーザーアカウントに 1K バイトの割り当て制限が設定されているが、ディスク容量を使用していないことを示しています。
# quota -v 301 Disk quotas for bob (uid 301): Filesystem usage quota limit timeleft files quota limit timeleft /export/home 0 1 2 0 2 3 |
ファイルシステムのマウントポイントです。
現在のブロック使用数です。
弱いブロック制限値です。
強いブロック制限値です。
ディスク割り当て制限タイマーの残り時間 (日単位) です。
現在の i ノード使用数です。
弱い i ノード制限値です。
強い i ノード制限値です。
ディスク割り当て制限タイマーの残り時間 (日単位) です。
repquota コマンドを使用して、1 つ以上のファイルシステム上のすべてのユーザーの UFS 割り当て制限とディスク使用量を表示します。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
ディスクがまったく使用されていなくても、1 つまたは複数のファイルシステムのすべての UFS 割り当て制限を表示します。
# repquota [-v] -a filesystem |
資源を消費していないユーザーも含めて、すべてのユーザーの UFS ディスク割り当て制限を報告します。
すべてのファイルシステムについて報告します。
指定したファイルシステムについて報告します。
次の例は、割り当て制限が 1 つのファイルシステム (/export/home) だけに対して有効なシステムでの repquota コマンドからの出力を示しています。
# repquota -va /dev/dsk/c0t3d0s7 (/export/home): Block limits File limits User used soft hard timeleft used soft hard timeleft #301 -- 0 1 2.0 days 0 2 3 #341 -- 57 50 60 7.0 days 2 90 100 |
定義
現在のブロック使用数です。
弱いブロック制限値です。
強いブロック制限値です。
ディスク割り当て制限タイマーの残り時間 (日単位) です。
ファイル制限値の定義です。
現在の i ノード使用数です。
弱い i ノード制限値です。
強い i ノード制限値です。
ディスク割り当て制限タイマーの残り時間 (日単位) です。
割り当て制限を変更して、ユーザーが使用するディスク容量と i ノード数を調整できます。または、必要に応じて各ユーザーから、あるいはファイルシステム全体から割り当て制限を削除できます。
次の表で、割り当て制限を変更または削除するのに使用するコマンドを示します。
表 7–3 UFS 割り当て制限を変更または削除するコマンド
コマンド |
マニュアルページ |
説明 |
---|---|---|
edquota |
各ユーザーについて i ノード数とディスク容量の強い制限と弱い制限を変更します。また、割り当て制限を設定した各ファイルシステムの弱い制限値を変更します。 |
|
quotaoff |
指定したファイルシステムの割り当て制限を無効にします。 |
デフォルトでは、ユーザーはある週の UFS 割り当て制限に対する弱い制限値を 1 週間超えることができます。弱い制限値を 1 週間よりも長く超えると、システムはそのユーザーに対し、i ノードとディスクブロックの使用を禁止します。
edquota コマンドを使用すると、ディスク容量または i ノードの割り当て制限をユーザーが超えることのできる期間を変更できます。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
次のように割り当て制限エディタを使用して、弱い期間制限値を含む一時ファイルを作成します。
# edquota -t |
-t オプションは、各ファイルシステムの弱い期間制限値を編集することを示します。
期間制限を、0 (デフォルト) から指定する値に変更します。 数値とキーワード month 、week、day、hour、 min または sec を使用します。
この手順は、現在のディスク割り当て制限違反者には影響しません。
次の例は、edquota コマンドによって開かれた一時ファイルの内容を示しています。このシステムでは /export/home だけが割り当て制限を持つマウント済みファイルシステムであることを示しています。デフォルト値 0 は、デフォルトで 1 週間の期間制限値が使用されることを意味します。
fs /export/home blocks time limit = 0 (default), files time limit = 0 (default) |
次の例は、ブロック割り当て制限の超過に対する期間制限値が 2 週間に変更されたあとの、上の例と同じ一時ファイルの内容を示しています。また、ファイル数の超過に対する期間制限値は 16 日に変更されています。
fs /export/home blocks time limit = 2 weeks, files time limit = 16 days |
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
次のように割り当て制限エディタを使用して、一時ファイルを開きます。このファイルには、ファイルシステムのルートディレクトリに quotas ファイルがあるマウント済みファイルシステム 1 つにつき 1 行ずつのエントリが含まれます。
# edquota username |
username は、割り当て制限を変更したいユーザー名を指定します。
edquota コマンドの引数として複数のユーザーを指定できます。ただし、表示される情報がどのユーザーに属するかは示されません。混乱を避けるため、ユーザー名は 1 つだけ指定してください。
1K バイトディスクブロック数の弱い制限値と強い制限値、および i ノード数の弱い制限値と強い制限値を設定します。
ユーザーの UFS 割り当て制限が正しく変更されたことを確認します。
# quota -v username |
ディスク割り当て制限が有効にされている、すべてのマウント済みのファイルシステムについて、ユーザーの UFS ディスク割り当て制限情報を表示します。
割り当て制限をチェックしたいユーザー名を指定します。
次の例は、 edquota コマンドで開いた一時ファイルの内容を示しています。この一時ファイルのあるシステムでは、ファイルシステムのルートディレクトリに quotas ファイルが含まれているマウント済みファイルシステムは /files だけです。
fs /files blocks (soft = 0, hard = 0) inodes (soft = 0, hard = 0) |
次の例は、上と同じ一時ファイルの、割り当て制限変更後の内容を示しています。
fs /files blocks (soft = 0, hard = 500) inodes (soft = 0, hard = 100) |
次の例は、ユーザー smith の強い制限値の変更結果を確認する方法と、1K バイトブロック数と i ノード数の強い制限値がそれぞれ 500 と 100 に変更されていることを示しています。
# quota -v smith Disk quotas for smith (uid 12): Filesystem usage quota limit timeleft files quota limit timeleft /files 1 0 500 1 0 100 |
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
次のように割り当て制限エディタを使用して、quotas ファイルがその最上位ディレクトリにある各マウント済みファイルシステムに対して 1 行の割り当て制限情報を含む一時ファイルを作成します。
# edquota username |
username は、割り当て制限を無効にしたいユーザー名を指定します。
edquota コマンドの引数として複数のユーザーを指定できます。ただし、表示される情報がどのユーザーに属するかは示されません。混乱を避けるため、ユーザー名は 1 つだけ指定してください。
1K バイトディスクブロック数の弱い制限値と強い制限値の両方を 0 に変更します。
i ノード数の弱い制限値と強い制限値の両方を 0 に変更します。
必ずこれらの値を 0 (ゼロ) に変更してください。テキストファイルから行を削除してはいけません。
ユーザーの UFS 割り当て制限を無効にしたことを確認します。
# quota -v username |
ディスク割り当て制限が有効にされている、すべてのマウント済みのファイルシステムについて、ユーザーの UFS ディスク割り当て制限情報を表示します。
UFS 割り当て制限を確認したいユーザー名 (UID) を指定します。
次の例は、edquota コマンドで開いた一時ファイルの内容を示しています。このシステムでは、ファイルシステムのルートディレクトリに quotas ファイルが含まれているマウント済みファイルシステムは、/files だけです。
fs /files blocks (soft = 50, hard = 60) inodes (soft = 90, hard = 100) |
次の例は、UFS 割り当て制限を無効にしたあとの、上記と同じ一時ファイルの内容を示しています。
fs /files blocks (soft = 0, hard = 0) inodes (soft = 0, hard = 0) |
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
ファイルシステムの割り当て制限を無効にします。
# quotaoff [-v] -a filesystem ... |
UFS 割り当て制限が無効にされた場合、各ファイルシステムからメッセージを表示します。
全ファイルシステムの UFS 割り当て制限を無効にします。
指定する 1 つ以上のファイルシステムの UFS 割り当て制限を無効にします。複数のファイルシステムを指定する場合は、スペースでファイルシステム名を区切ります。
次の例は、 /export/home ファイルシステムの割り当て制限を無効にする方法を示しています。
# quotaoff -v /export/home /export/home: quotas turned off |