Solaris のシステム管理 (IP サービス)

Procedureフロー制御を計画する方法

フロー制御では、クラスのトラフィックフローを測定し、定義された速度でネットワークにパケットを送出します。フロー制御を計画するときは、IPQoS メータリングモジュールが使用するパラメータを定義します。メーターは、トラフィックがネットワークに送出される速度を決定します。メータリングモジュールの紹介は、「メーター (tokenmt および tswtclmt) の概要」を参照してください。

次の手順は、「QoS ポリシーにフィルタを定義する方法」の説明に従って、フィルタとセレクタを定義していることが前提になります。

  1. ネットワークの最大帯域幅を調べます。

  2. ネットワークでサポートされている SLA を見直します。顧客と各顧客に保証されているサービスの種類を特定します。

    一定レベルのサービスを保証するには、顧客によって生成される特定のトラフィッククラスを計測する必要があります。

  3. 「QoS ポリシーのクラスを定義する方法」で作成したクラスの一覧を見直します。

    SLA に対応付けられているクラス以外に計測する必要があるクラスがあるかどうか確認します。

    たとえば、IPQoS システムが大量のトラフィックを生成するアプリケーションを実行するとします。この場合は、そのアプリケーションのトラフィックを分類したあと、フローのパケットがネットワークに戻される速度を制御して、フローを計測します。


    注 –

    すべてのクラスを計測する必要があるとは限りません。クラスのリストを確認するときは、このガイドラインに留意してください。


  4. 各クラスのどのフィルタがフロー制御に必要なトラフィックを選択するのかを判断します。次に、メータリングを必要とするクラスのリストを精緻化します。

    複数のフィルタを持つクラスでも 1 つのフィルタに対してだけ計測を必要とする場合もあります。たとえば、あるクラスの着信トラフィックと発信トラフィックに対してフィルタを定義したとします。しかし、結果的にどちらかの方向のトラフィックしかフロー制御を必要としない場合があります。

  5. フロー制御を行うクラスごとにメーターモジュールを選択します。

    作成した QoS 計画表のメーター欄にモジュール名を追加します。

  6. 計測するクラスごとの速度を構成表に追加します。

    tokenmt モジュールを使用する場合は、次の速度を bps で定義する必要があります。

    • 認定速度

    • 最大速度

    特定のクラスの計測に十分な場合は、認定速度と認定バーストを tokenmt に定義するだけでも構いません。

    必要に応じて、次の速度も定義できます。

    • 認定バースト

    • 最大バースト

    tokenmt 速度の詳しい説明については、 tokenmt をツーレートメーターとして構成する」を参照してください。tokenmt(7ipp) のマニュアルページでも詳しく説明しています。

    tswtclmt モジュールを使用する場合は、次の速度を bps で定義する必要があります。

    • 認定速度

    • 最大速度

    また、ウィンドウサイズをミリ秒単位で定義することもできます。これらの速度は、tswtclmt メータリングモジュール」および twstclmt(7ipp) のマニュアルページで定義されています。

  7. 計測するトラフィックのトラフィック適合結果 (outcome) を追加します。

    どちらのメータリングモジュールでも、結果は緑、赤、黄の 3 つです。定義した速度に当てはまるトラフィック適合結果を QoS 構成表に追加します。メーターの結果については、「メーターモジュール」で詳しく説明されています。

    認定速度に適合したトラフィックまたは適合しなかったトラフィックに対して取るべきアクションを決める必要があります。常にではありませんが多くの場合、このアクションは、ホップ単位の動作でパケットヘッダーをマークすることです。緑レベルのトラフィックに対して取りうるアクションの 1 つとして、トラフィックフローが認定速度を超えないかぎり処理を続行することもあります。あるいは、フローが最大速度を超えた場合にそのクラスのパケットをドロップすることもできます。


例 33–2 メーターの定義

次の表は、電子メールトラフィックのクラスに対するメーターの記入例を示す例です。IPQoS システムを持つネットワークの総帯域幅は 100 Mbits/秒、つまり毎秒 10000000 ビットです。QoS ポリシーは、電子メールクラスに低い優先順位を割り当てます。このクラスには、ベストエフォート型の転送動作も割り当てられます。

クラス 

優先順位 

フィルタ 

セレクタ 

レート 

email

mail_in

daddr10.50.50.5

dport imap

direction LOCAL_IN

 

email

mail_out

saddr10.50.50.5

sport imap

direction LOCAL_OUT

メーター =tokenmt

認定速度 =5000000 

認定バースト =5000000 

最大速度 =10000000 

最大バースト =1000000 

緑の優先度 = 処理続行 

黄の優先度 = 黄の PHB を付加 

赤の優先度 = ドロップ 


参照