転送動作によって、ネットワークに転送されるトラフィックフローの優先度とドロップ優先順位が決まります。選択できる主な転送動作は 2 つあります。 1 つはほかのトラフィッククラスとの関連でクラスのフローに優先順位を付けることで、もう 1 つはフローを完全にドロップすることです。
Diffserv モデルでは、マーカーを使用して選択した転送動作をトラフィックフローに割り当てます。IPQoS には、次のマーカーモジュールが用意されています。
この節では、IP パケットに限定して説明します。IPQoS システムに VLAN デバイスが含まれている場合は、dlcosmk マーカーを使って、データグラムの転送動作をマークできます。詳細は、「VLAN デバイスでの dlcosmk マーカーの使用」を参照してください。
IP トラフィックに優先順位を付けるには、各パケットに DSCP を割り当てる必要があります。dscpmk マーカーは、パケットの DS フィールドに DSCP のマークを設定します。クラスの DSCP は、転送動作の種類に対応付けられている既知のコードポイントのグループから選択します。既知のコードポイントには、EF PHB 用の 46 (101110) や AF PHB 用のいくつかのコードポイントがあります。DSCP と転送の概要情報については、「IPQoS 対応ネットワークでのトラフィック転送」を参照してください。
次の手順の前に、QoS ポリシーのクラスとフィルタを定義してあるものとします。トラフィックを制御する場合は、メーターをマーカーと組み合わせて使用しますが、転送動作を定義するだけであれば、マーカーを単独で使用できます。
これまでに作成したクラスとそれらに割り当てた優先順位を確認します。
すべてのトラフィッククラスをマークする必要があるとは限りません。
もっとも高い優先順位のクラスに EF PHB を割り当てます。
EF PHB は、EF DSCP 46 (101110) を持つパケットが、AF PHB を割り当てたパケットよりも先にネットワーク上に送出されることを保証します。このため、もっとも高い優先順位のトラフィックには EF PHB を使用します。EF については、「完全優先転送 (Expedited Forwarding、EF) PHB」を参照してください。
トラフィックを計測するクラスに転送動作を割り当てます。
残りのクラスに、すでに割り当てた優先順位に応じた DS コードポイントを割り当てます。
トラフィックの計測は、一般に次の理由で行います。
SLA は、ネットワークの使用率が高いときでも、このクラスのパケットにある程度のサービスを保証する
低い優先順位のクラスがネットワークをあふれさせる傾向がある
マーカーをメーターと組み合わせて使用すると、これらのクラスに対して差別化サービスを提供したり帯域幅の管理を行ったりできます。たとえば、次の表は QoS ポリシーの一部を示しています。このポリシーは、高いトラフィックレベルを生成する人気のあるゲームアプリケーション向けのクラスを定義します。
クラス |
優先順位 |
フィルタ |
セレクタ |
レート |
転送動作をどうするか |
---|---|---|---|---|---|
games_app |
9 |
games_in |
sport 6080 |
なし |
なし |
games_app |
9 |
games_out |
dport 6081 |
メーター =tokenmt 認定速度 =5000000 認定バースト =5000000 最大速度 =10000000 最大バースト =15000000 緑の優先度 = 処理続行 黄の優先度 = 黄の PHB を付加 赤の優先度 = ドロップ |
緑 =AF31 黄 =AF42 赤 = ドロップ |
これらの転送動作では、認定速度に適合しているか、最大速度を下回っている games_app トラフィックには、低い優先順位の DSCP を割り当てます。games_app トラフィックが最大速度を上回ると、QoS ポリシーは games_app のパケットをドロップするよう指示します。すべての AF コードポイントについては、表 37–2 を参照してください。
特定の種類のトラフィックのフローアカウンティングを計画するには、「フローアカウンティングを計画する方法」を参照してください。
QoS ポリシーにさらにクラスを追加するには、「QoS ポリシーのクラスを定義する方法」を参照してください。
QoS ポリシーにさらにフィルタを追加するには、「QoS ポリシーにフィルタを定義する方法」を参照してください。
フロー制御スキームを定義するには、「フロー制御を計画する方法」を参照してください。
パケットがネットワークストリームに戻るときのフローの転送動作をさらに定義するには、「転送動作を計画する方法」を参照してください。
IPQoS 構成ファイルを作成するには、「IPQoS 構成ファイルを作成し、トラフィッククラスを定義する方法」を参照してください。