Sun Java Communications Suite 5 インストールガイド

Communications Suite インストーラのしくみ

Communications Suite は、多くの Sun サーバー製品とクライアント製品を統合して、分散型の通信アプリケーションやコラボレーションアプリケーションをサポートします。このマニュアルでは、これらの製品を「製品コンポーネント」と呼びます。Communications Suite インストーラは、Communications Suite および Java Enterprise System (Java ES) の製品コンポーネントと共有コンポーネントをさまざまな組み合わせで、一度に 1 台のホストに対してインストールします。これらのコンポーネント間には複雑な相互関係が存在するため、それらをインストールする際には、単一の製品コンポーネントをインストールする場合よりも多くのインストール前作業やインストール後作業が必要となります。

インストール後、インストーラのユーティリティー、ログ、およびデータファイルは次の場所に置かれています。

ここで説明する内容は、次のとおりです。

このリリースで使用される Communications Suite コンポーネント

Communications Suite ソフトウェアは、一連の Sun サーバー製品とクライアント製品、およびそれらをサポートする共有コンポーネントで構成されています。これらは連携して、ネットワーク上に分散されたアプリケーションをサポートします。Communications Suite 5 release に含まれる選択可能なコンポーネントは、次のとおりです。(名前とバージョンの後に、このマニュアル内で使用する省略名を示す。)

また、Communications Suite 5 には Sun Java System Connector for Microsoft Outlook 7.2 も含まれていますが、Connector for Microsoft Outlook は Communications Suite インストーラではインストールされません。Connector for Microsoft Outlook のインストール手順については、『Sun Java System Connector for Microsoft Outlook 7.2 Installation Guide』を参照してください。

このリリースで使用される Java ES コンポーネント

Java ES ソフトウェアは、一連の Sun サーバー側製品およびそれらをサポートする共有コンポーネントで構成されています。これらは連携して、ネットワーク上に分散されたアプリケーションをサポートします。Communications Suite 5 release に含まれる選択可能な Java ES コンポーネントは、次のとおりです。(名前とバージョンの後に、このマニュアル内で使用する省略名を示す。)

インストーラに表示されるサービスおよびサブコンポーネントの完全な一覧については、付録 E 「このリリースの製品コンポーネント」 を参照してください。この付録では、今回のリリースで提供する共有コンポーネントの一覧も示します。Communications Suite 製品コンポーネントの中には、Communications Suite インストーラでインストールされない Java ES 製品と動作するものもあります。たとえば、Sun Java System Monitoring Console 1.0 (Monitoring Console) や Sun Java System Portal Server などです。これらの Java ES 製品のインストールについては、『Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)』を参照してください。

利用できるインストーラモード

Communications Suite インストーラは、Solaris pkgadd、Linux rpm のいずれかのユーティリティーを使ってCommunications Suite ソフトウェアをシステムに転送するためのインストールフレームワークです。Communications Suite のインストールは、対話形式で実行することも、再利用可能なスクリプトを使用して実行することもできます。


ヒント –

ソフトウェアをインストールせずにインストーラを実行することができます。これは、既存のホスト上の Communications Suite ソフトウェアを調査する場合に便利です。


言語の選択のしくみ

対話式インストーラは、ホストのオペレーティングシステムのロケール設定で指定されている言語で実行されます。次の言語を利用できます。

オペレーティングシステムの言語がこのリストに含まれていない場合、インストーラは英語で実行されます。

インストーラにより、英語版のコンポーネントがすべて自動的にインストールされます。また、インストールするコンポーネントを選択するときに多言語パッケージを選択して、すべての言語用にローカライズされたパッケージをインストールすることもできます。

以前にインストールしたコンポーネントに対し、インストーラを使用して追加言語パッケージをインストールすることはできません。ただし、pkgaddrpm、または swinstall ユーティリティーを使用することで、いつでも言語パッケージをインストールできます。言語パッケージの一覧は、『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』の第 5 章「インストール可能なパッケージの一覧」にあります。

インストーラが既存のコンポーネントをチェックするしくみ

インストール時に、インストーラは、インストールするホスト上にすでにインストールされているソフトウェアを調べ、次のコンポーネントを識別します。

インストーラがコンポーネントの依存性を確認するしくみ

製品コンポーネントの多くは、主要な機能を提供するために、ほかのコンポーネントの存在に依存しています。インストール時に選択した製品コンポーネントが共同して正常に機能するように、インストーラは製品コンポーネント間のチェックを広範囲に行います。このため、インストーラは、ユーザーの選択に応じて、特定の製品コンポーネントをインストールに含めるよう求められます。

通常、インストーラは、次の規則を使用して製品コンポーネント間の依存性を処理します。

インストーラがシステムの準備ができているかどうかを確認するしくみ

選択したコンポーネントがインストール可能であると確認されたら、そのインストール先ディレクトリを指定すると、インストーラでシステムチェックが実行され、選択したコンポーネントに必要な条件をホストが満たしているかどうかが確認されます。

ディスク容量、メモリー、スワップ空間、オペレーティングシステム、そのコンポーネントのパッチとオペレーティングシステムリソース、および指定したインストールディレクトリが確認され、次のメッセージを使用してシステムの状態が通知されます。

インストーラが設定タイプとパラメータを設定するしくみ

製品コンポーネントの多くは、インストール時にある程度の設定を行う必要があります。インストール時に実行する必要のある設定の範囲は、選択した製品コンポーネントおよびインストールタイプによって異なります。

インストーラで、次の設定タイプを使用できます。

インストール時の設定やインストール後の設定を行うときは、設定情報の値を記録しておくことが重要になります。多くの製品コンポーネントが正しく機能するかどうかは、ほかのコンポーネントの設定パラメータの値によって決まります。「今すぐ設定」インストールの終わりに表示される「インストールの要約」を見れば、指定した設定パラメータを確認できます。

共通サーバー設定」は、複数の製品コンポーネントが使用するパラメータを設定します。たとえば、ほとんどの製品コンポーネントでは、管理 ID およびパスワードを指定する必要があります。これらの共通の値を設定することで、すべての製品コンポーネントの管理 ID のデフォルト値とパスワードのデフォルト値を設定できます。

製品コンポーネント設定は、特定の製品コンポーネントに適用するパラメータを設定します。これらの設定は、インストール時に「今すぐ設定」タイプを選択した場合にのみ要求されます。これらの設定の一部は、共通サーバー設定から取り込まれます。

アップグレードのしくみ

グラフィカルインストーラを使用して、共有コンポーネントおよび一部の製品コンポーネントをアップグレードすることができます。グラフィカルインストールセッションでは、アップグレード可能な製品コンポーネントがホスト上に検出された場合、「アップグレードまたはインストールの選択」ページが表示されます。次の表は、インストーラでアップグレードできるコンポーネントの一覧です。該当する場合は、Solaris ゾーンの問題も説明しています。

表 1–1 Communications Suite インストーラ内でのアップグレードのサポート

製品コンポーネント 

インストーラでアップグレード可能な状況 

Solaris ゾーンの問題 

Application Server 

Solaris 9 にバンドルされた Application Server 7.0 

Solaris 10 にバンドルされた Application Server 8.0 

Java ES 2005Q1 (リリース 3) とともにインストールされた Application Server 8.1.0 

Java ES 2005Q4 (リリース 4) とともにインストールされた Application Server 8.1.2 

Application Server を非大域疎ルートゾーンにインストールするには、その前に大域ゾーンから、バンドルされたバージョンを削除しておく必要があります。 

HADB 

Java ES 2005Q1 (リリース 3) とともにインストールされた HADB 

Java ES 2005Q4 (リリース 4) とともにインストールされた HADB 

 

Message Queue 

Solaris 9 にバンドルされた Message Queue 

Solaris 10 にバンドルされた Message Queue 

Java ES 2005Q1 (リリース 3) とともにインストールされた Message Queue 

Java ES 2005Q4 (リリース 4) とともにインストールされた Message Queue 

Message Queue は、大域ゾーンまたは完全ルート非大域ゾーンにのみインストールできます。 

Message Queue は、常に大域ゾーンから非大域ゾーンに伝達されます。 

Communications Express 

 

インストーラを使用し、ローカルの非大域疎ルートゾーンに UWC をインストールできません。代わりに、pkgadd を使用して UWC および Access Manager パッケージを手動で追加する必要があります。

これらの製品コンポーネントをどれもインストールしない場合は、「新しいソフトウェアのインストール」を選択できます。これらのコンポーネントのいずれかをインストールする場合は、「既存のソフトウェアのアップグレード」を選択してアップグレードセッションを開始します。アップグレードセッションの終了後に、新しいインストールセッションを開始できます。この機能は、テキストベースのインストール用にはサポートされていません。

インストール中に、互換性のないバージョンの製品コンポーネントがインストーラで検出され、それらをインストーラではアップグレードできない場合、上記以外のアップグレードの状況が発生することがあります。この場合、インストールを続行するにはまず特定の製品コンポーネントを削除するか手動でアップグレードする必要がある、というメッセージが表示されます。このようなアップグレードについて、Communications Suite 製品コンポーネントの場合は、『Sun Java Communications Suite 5 アップグレードガイド』、Java ES 製品コンポーネントの場合は、『Sun Java Enterprise System 5 アップグレードガイド (UNIX 版)』で詳しく説明されています。

共有コンポーネントは、選択された製品コンポーネントとともにインストーラによってアップグレードされます。共有コンポーネントは、専用のインストールセッションでアップグレードすることもできます。この場合、共有コンポーネントだけをインストールし、現在のリリースに一致させることができます。「共有コンポーネント」項目をインストールするように選択すると、Communications Suite に必要なすべての共有コンポーネントがインストールまたはアップグレードされます。


注 –

疎ルートファイルシステムを持つ Solaris 非大域ゾーンでインストーラを実行する場合、「共有コンポーネント」項目は選択できません。


ログのしくみ

インストールまたはアンインストールの実行中に、実行される処理のログレコードが生成されます。これらのレコードは、1 つのファイルに ULF (Unified Logging Format) 形式で保存されます。インストーラのログビューア (viewlog コマンド) は、これらのログレコードを調べるための使いやすいインタフェースを提供します。

インストールの完了後、ログビューアはインストーラとともに次の場所に置かれています。

アンインストール後は、ログビューアはインストールおよびアンインストールのユーティリティーとともに削除されます。詳細については、「アンインストールのしくみ」を参照してください。

ログとログビューアの使用手順については、「インストールログファイルの検証」を参照してください。

アンインストールのしくみ

Communications Suite には、インストーラを使用してローカルホストにインストールしたコンポーネント製品を消去するためのアンインストールユーティリティーが用意されています。アンインストーラは、アンインストーラが稼働しているホストで製品の依存関係をチェックし、他の製品への依存が検出された場合は警告メッセージを出力します。

アンインストーラは、グラフィカル、テキストベース、またはサイレントの各モードで実行できます。インストールの完了後、アンインストーラは次の場所に置かれています。

アンインストール後は、ログビューアはインストールおよびアンインストールのユーティリティーとともに削除されます。ULF ログ自体は削除されず、次の場所に残ります。

アンインストーラの使用手順については、第 9 章「Communications Suite 製品コンポーネントのアンインストール」を参照してください。