この章では、Communications Suite のインストールとアンインストールの問題を解決する方法について説明します。
この章では、次の内容について説明します。
ここでは、Communications Suite のインストールおよびアンインストール時に、問題の原因を分析して特定するための一般的なガイドラインを紹介します。
ここで説明する内容は、次のとおりです。
インストールまたはアンインストール中に問題が発生した場合は、発生した問題に関する情報を確認するために、最初にインストールログを調べます。インストール、アンインストール、およびインストール時の設定に関するメッセージはソースログファイルに収集されます。ユーザーの選択、パッケージの操作、インストールまたはアンインストールの手順などの操作のあとには、情報メッセージ、警告メッセージ、およびエラーメッセージが発行されます。各メッセージに表示される情報は、日時、ログレベル、モジュール ID、およびメッセージテキストで構成されます。
インストールまたはアンインストールに関する情報を収集するログファイルには、次の 4 つの種類があります
サマリーファイル。何をインストールして設定したかについての概要情報が記録されます。
詳細バージョン A ファイル。完了情報が記録されます。
詳細バージョン B ファイル。ログメッセージの詳細が記録されます。
デバッグファイル。インストールに失敗したときにそれに関連する情報が記録されます。デバッグファイルは、ほかのいずれかのログにエラーが示された場合に使用します。
アンインストール後に、アンインストーラはアンインストーラ自体、インストーラ、およびログビューアを削除します。ただし、ソースログファイルは削除されず、次の場所に格納されます。
Solaris の場合: /var/sadm/install/logs
Linux の場合: /var/opt/sun/install/logs
次の表は、ソースログファイルの形式を示しています。
表 10–1 ログファイルの形式
ログに記録される内容 |
ログファイル名の形式 |
---|---|
インストーラ |
Sun_Java_Communications_Suite_install.Atimestamp |
Sun_Java_Communications_Suite_install.Btimestamp |
|
Sun_Java_Communications_Suite_log.timestamp |
|
Sun_Java_Communications_Suite_Summary_Report_install. timestamp |
|
アンインストーラ |
Sun_Java_Communications_Suite_uninstall.Atimestamp |
Sun_Java_Communications_Suite_uninstall.Btimestamp |
|
Sun_Java_Communications_Suite_UnInstall_log.timestamp |
|
Sun_Java_Communications_Suite_Summary_Report_uninstall. timestamp |
ログメッセージは ULF (Unified Logging Format) で保存されます。この形式で読み取るのが難しい場合は、vi などのテキストエディタでソースファイルを編集するか、または Communications Suite ログビューアを使用して、ログメッセージを表示することもできます。
Communications Suite ログビューアは、Sun_Java_Communications_Suite_Install_log. timestamp ファイルまたは Sun_Java_Communications_Suite_UnInstall_log. timestamp ファイルのインストーラログメッセージを表示するためのグラフィカルディスプレイを提供します。メッセージをフィルタで検索するときには、重要度の高いものまたは目的に合っているものから表示されるように、3 つの方法が用意されています。ログレベル別、モジュール ID 別、内容別の 3 つがあります
ログレベル。次の 8 つのログレベルから選択できます。SEVERE、ERROR、WARNING、INFO、CONFIG、FINE、FINER、および FINEST です。ログレベルを選択すると、そのログレベル以上の重要度のログレコードのみが表示されます。「FINEST」を選択することは、すべてのレコードを表示することを選択することになります。
モジュール ID。モジュールはログメッセージを書き込むインストーラの一部です。モジュール ID (JAVAESConfig、JAVAESInstall、または JAVAESUninstall) を選択すると、選択したモジュール ID に関連付けられたメッセージのみが表示されます。
「Content」。内容フィルタは、「configure」などの文字列を入力するように求められ、その文字列を含むメッセージのみが表示されます。
一般的なフィルタの例には次のようなものがあります。
SEVERE ログメッセージのみを表示する。
ログレベルが「ERROR」以上のログメッセージだけを表示する。
インストール手順からのログメッセージのみを表示する。
インストールログメッセージのうち、ログレベルが「ERROR」以上のメッセージだけを表示する。
フィルタリングしたシナリオの結果をファイルに保存します。
次の表に、ログビューアの基本機能の概要を示します。
表 10–2 ログビューアの機能
作業 |
機能 |
---|---|
「開く」 |
フィルタリングし、表示するログファイルを選択します。 |
「保存」 |
フィルタリングし、翻訳したメッセージを「ファイル」>「名前を付けて保存」オプションで指定したファイルに保存します。 |
「名前を付けて保存」 |
フィルタリングし、翻訳したメッセージを書き込む個別のファイルを選択します。 注意: このファイルは、インストーラがソースログの保存に使用するディレクトリに置くことはできません。 |
「印刷」 |
フィルタリングし、翻訳したファイルを印刷します。 |
「終了」 |
開いているすべての出力ファイルを閉じ、入力ファイルを閉じて、ログビューアページを閉じます。 |
「ログレベルのフィルタ」 |
フィルタリングするログレベルを選択します。 |
「モジュール ID のフィルタ」 |
開いたファイル内のいずれかのモジュール ID を選択するか、選択しません。リストは、フィルタリングするログファイルを選択したときに作成されます。 |
「内容のフィルタ」 |
ユーザー定義の文字列を含むメッセージを選択します。 |
「言語の選択」 |
翻訳言語を選択します。デフォルトは英語です。このリストは、インストーラによって格納される翻訳リソースバンドルに基づいて表示されます。 |
この機能によって、ログビューアはトラブルシューティングの状況に役立つ選別された情報を表示できます。フィルタ条件を満たすメッセージが単一のログテーブルに表示されます。ログテーブルの行を選択して、詳細を表示し、メッセージを複数行形式で表示することができます。
ログビューアは読み取り専用モードで動作するため、複数のユーザーが同時にログビューアを使用できます。インストール後、ログビューアは次の場所に存在します。
Solaris SPARC の場合: /var/sadm/prod/SUNWcomm-entsys5i/Solaris_sparc
Solaris x86 の場合: /var/sadm/prod/SUNWcomm-entsys5i/Solaris_x86
Linux の場合: /var/sadm/prod/sun-comm-entsys5i/Linux_x86
Sun_Java_Communications_Suite_Summary_Report_install. timestamp などのサマリーファイルを検証します。
問題が発生した場合は、どのコンポーネントが問題の原因であるかを確認します。複数の問題が発生している場合は、最初の問題に対処します必要に応じて、詳細ログのいずれかまたは両方のファイルを調べる必要があります。
Sun_Java_Communications_Suite_install.A timestamp などの詳細ログ (A および B) を検証します。
Sun_Java_Communications_Suite_Install_log. timestamp などのデバッグログを検証します。
多数の製品コンポーネントに、インストール時の相互依存関係があります。1 つの製品コンポーネントに影響を与える問題は、別の製品コンポーネントにも影響を与える可能性があります。まず、『Sun Java Enterprise System 5 インストール計画ガイド』で説明されている内容をよく理解してください。
サマリーファイルおよびログファイルを参照し、関連付けられている製品に問題が発生していないかどうか確認します。これにより、最初に解決すべきことの手がかりが得られる可能性があります。
正しい接続情報を指定しているかどうかチェックします。次に例を示します。
Directory Server の設定時に指定した情報は、Directory Server を使用する製品コンポーネントに指定したディレクトリ情報と一致しているか。
Portal Server または Portal Server SRA に指定した Access Manager の情報は、Access Manager に指定した情報と一致しているか。Portal Server のインストールについては、『Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)』を参照してください。
製品コンポーネントの相互依存関係のほかに、一部の製品コンポーネントは Solaris パッケージがインストールされているかどうかにも依存しています。パッケージがホストにインストールされていない場合、それが原因でインストールが失敗することがあります。詳細については、リリースノートの「ソフトウェア要件」の節を参照してください。
製品コンポーネントの起動時に問題が発生する場合は、その製品コンポーネントのログファイルを調べてください。多くの製品コンポーネントログファイルの場所については 「製品コンポーネントのトラブルシューティングのためのヒント」に記載されています。
次のホストレベルの問題は、インストール時に問題を引き起こす可能性があります。
アップデート: 推奨アップデート (パッチ) は適用されているか。
ディスク容量: ディスクパーティションをどのように設定し、どのパーティションにインストールディレクトリを作成するか。インストールディレクトリ /var/sadm および /etc/opt、または独自に指定したデフォルト以外のディレクトリに、十分なディスクの空き容量が必要です。
ネットワークポート: 設定時に、Communications Suite 製品コンポーネントのポート番号を指定します。次のことをチェックします。
/etc/services ファイルで標準ポート番号を調べる。
サマリーログファイルを参照し、標準の設定と比較する。ポート番号を誤って入力していないか、またはあるサーバーに対して通常は別のサーバーで使用するポートを設定していないか。
netstat -a コマンドを使用して、現在システムで使用しているポートを調べる。すでに他で使用中のポート番号を割り当てていないか。
IP アドレス: 設定時に、IP アドレスを指定します。正しい IP アドレスを入力したかどうかチェックします。確認する必要のあることがいくつかあります。
このシステムに複数のネットワークインタフェースがある場合、それぞれに独自の IP アドレスが指定されているか。
高可用性設定において、論理ホストの IP アドレス、またはクラスタノードの IP アドレスを指定したか。
製品コンポーネントの起動時に問題が発生した場合は、第 6 章「Communications Suite のインストール後設定の完了」に説明されている手順を正しく実行しているかを確認してください。
DVD または CD からのインストールでは、メディアの汚れや損傷を調べます。ディスクに汚れがあると、インストール時に問題が発生する可能性があります。
Directory Server に依存する製品コンポーネントをインストールする場合、次のいずれかの問題によって問題が発生する可能性があります。
Directory Server に対して不正なユーザー ID およびパスワードを指定した。
不正な LDAP ポートを指定した。
Directory Server に到達できない。
インストーラを対話モードで実行するとインストール時に Directory Server の接続性がチェックされますが、サイレントモードではチェックされません。Directory Server を利用できない状態でサイレントインストールを実行すると、Access Manager のインストールが失敗する可能性があります。
編集済みの設定ファイルなど、カスタマイズされたファイルの上書きを防ぐために、そのファイルが格納されるディレクトリには Web Server をインストールできません。
Web Server を再インストールする場合、インストールディレクトリをチェックして、それが空であることを確認します。空ではない場合は、どこか別の場所にファイルをアーカイブしてからインストールを再試行します。
インストーラは、製品コンポーネントごとにパスワードの入力を求めます。複数のホストに複数の製品コンポーネントをインストールする場合、各ホストで正しいパスワードを入力することが重要です。
パスワードの問題を解決するには、いったんアンインストールしてから再インストールすることが必要となる場合があります。アンインストールに失敗した場合は、「アンインストール時に残されたファイルによるインストールの失敗」を参照してください。
製品コンポーネントをインストールしたものの問題があり、再インストールまたはアンインストールを実行できない場合は、Solaris の pkginfo コマンドまたは Linux の rpm コマンドを使用して、インストールしたパッケージを調べます。その結果を、『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』の第 5 章「インストール可能なパッケージの一覧」に記載されている Communications Suite パッケージと比較します。追加情報については、「アンインストール時に残されたファイルによるインストールの失敗」を参照してください。
Solaris 9 と Solaris 10 では、prodreg ツールを使用することもできます。このツールは、製品レジストリへのグラフィカルインタフェースを提供し、pkg ユーティリティーの代わりに、各コンポーネントおよびそのパッケージの両方への索引付けをします。prodreg を起動するには、コマンド行でこのコマンド名を入力します。詳細については、prodreg(1) のマニュアルページを参照してください。
「アンインストーラ用の管理者アクセス権の付与」で説明されているように、アンインストール時に管理者アクセス権をアンインストーラに付与しなければならないことがあります。
ここでは、インストール時に発生する可能性のある次の問題について説明します。
アンインストール時に製品コンポーネントやパッケージが削除されずに残されることがあります。このような場合、Communications Suite を再インストールする前に、製品コンポーネントやパッケージを手動で削除する必要があります。この問題には、次のものが該当します。
アンインストーラで問題が発生し、アンインストールに失敗したパッケージの名前が表示される。
一度削除した製品コンポーネントをインストールしようとしたが、インストーラはその製品コンポーネントがすでにインストールされていることを示す。
次のコマンドを使用して、一部だけがインストールされたパッケージがないかどうか調べます。
Solaris OS の場合: pkginfo -p
Linux の場合:
rpm -qa |grep —I ^sun | xargs rpm -V |
コマンドの出力で、一部だけがインストールされたパッケージのリストが表示されます。『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』の第 5 章「インストール可能なパッケージの一覧」を参照し、返されたパッケージ名に基づいてそれらのパッケージが属している製品コンポーネントを調べます。
コンポーネントまたはパッケージを削除します。
Solaris 9 または Solaris 10 では、prodreg というツールを使用します。
prodreg ツールを使用すると、ホスト上のパッケージベースのコンポーネントを管理できます。各製品コンポーネントとそのパッケージについて、相互依存関係を含む完全な情報を参照できます。prodreg ツールを使用して、安全に製品コンポーネントをアンインストールし、パッケージを削除することができます。prodreg ツールで製品コンポーネントを削除すると、再インストールできるようになります。
Linux では、rpm -e コマンドを使用します。
製品のレジストリファイルを編集するには、/var/opt/sun/install/productregistry ファイルを開きます。この XML ファイルには、各製品コンポーネントの説明があります。各製品コンポーネントの説明は、<compid\> タグで始まり、</compid\> タグで終わります。製品コンポーネントのエントリ全体を削除します。
次のディレクトリに Communications Suite 製品コンポーネントまたはパッケージが含まれていないことを確認します。
/opt
/etc/opt
/var/opt
インストーラをもう一度実行します。
Communications Suite 5 release から、インストールが終了すると、製品レジストリファイル内に共有コンポーネントが登録されるようになっています。
アンインストーラは、製品コンポーネントをシステムから削除しますが、共有コンポーネントは削除しません。アンインストールが終了しても、製品レジストリには共有コンポーネントのエントリが依然として含まれています。アンインストール後に共有コンポーネントを手動で削除しても、それらのコンポーネントは製品レジストリからは削除されません。したがって、次回の Communications Suite 5 のインストールは失敗します。なぜなら、手動で削除された共有コンポーネントに対するエントリが製品レジストリ内には依然として存在するため、インストーラはそれらのコンポーネントが存在するものと仮定するからです。
Communications Suite の共有コンポーネントをシステムから手動で削除しないでください。
推奨される解決方法: 製品レジストリファイルから対応するエントリを削除するか、製品レジストリファイル自体を削除します。製品レジストリファイルからエントリを削除するとファイルが壊れる危険性があるため、製品レジストリの全体を削除することをお勧めします。これを行う前に、Communications Suite コンポーネント以外の製品が製品レジストリファイルを使用していないことを確認してください。
Linux では、Solaris OS に存在するグラフィカル製品レジストリに相当するものがありません。Linux でファイルを手動で削除した場合、製品レジストリファイルを手動で編集して、それらのエントリを削除する必要があります。
電源障害またはシステム障害が発生した可能性があります。または CTRL/C を入力して、インストーラのプロセスを停止した可能性もあります。
推奨される解決方法: インストール中または設定プロセスで障害が発生した場合は、おそらく一部だけがインストールされたままになっています。アンインストーラを実行します。アンインストーラが失敗した場合は、「アンインストールが失敗し、ファイルが削除されずに残った」の手順に従います。
イメージが入力を受け付けるようになる前に、インストーラによって画面上にイメージが作成されることがあります。待ちきれずにインストールウィザードで何度も「次へ」をクリックすることは避けてください。
推奨される解決方法: デフォルトの選択肢を表すボタンには、青い四角形が表示されます。この四角形は、ボタンが表示されたあとに表示されることがあります。ボタンをクリックするときは、青い四角形が表示されるまで待ってください。
使用しているプラットフォームで作成された状態ファイルを使用している場合、ファイルが壊れ、原因不明であるというエラーが発生する可能性があります。この問題の解決には、次の 2 つの方法があります。
サイレントインストールを実行しているのと同じプラットフォームで状態ファイルを作成した場合は、新しい状態ファイルを生成して再インストールします。
別のプラットフォームまたは別のバージョンで作成した状態ファイルを使用している場合、問題は、その状態ファイルが、作成したときと同じタイプのプラットフォームだけで実行できることです。たとえば、状態ファイルを Solaris 9 で作成した場合、そのファイルは Solaris 10 では使用できません。また、x86 プラットフォームで作成した状態ファイルは、SPARC プラットフォームでは使用できません。
状態ファイルを作成したプラットフォームが、サイレントインストールを実行しているプラットフォームと異なる場合、状態ファイルに対してプラットフォームに適した ID を新たに作成します。この方法については、「プラットフォームに適した状態ファイル ID の作成」を参照してください。
状態ファイルを編集した場合、それによってエラーが発生した可能性があります。次の点をチェックし、「状態ファイルの作成」の説明に従って状態ファイルを再生成します。
すべてのローカルホストパラメータが設定され、矛盾のない値が設定されているか。
パラメータ値の大文字、小文字の区別は適切か。
目的のパラメータを入力せずに、必須のパラメータを削除してしまっていないか。
使用するすべてのポート番号は有効であり、かつ割り当て済みではないか。
推奨される解決方法: 問題を解決し、状態ファイルを再生成します。
この問題が起きる場合、たいていはインストールしたコンポーネントの MANPATH 環境変数が正しく設定されていないことが原因です。
推奨される解決方法: 新しいマニュアルページに直接関連付けるように /etc/MANPATH を更新します。「MANPATH の確認」を参照してください。
ここでは、アンインストール時に発生する可能性のある次の問題について説明します。
インストールプログラムは、システム上の次の場所に uninstall (アンインストーラ) を格納します。
Solaris OS の場合: /var/sadm/prod/SUNWcomm-entsys5
Linux の場合: /var/sadm/prod/sun-comm-entsys5
アンインストーラがこのディレクトリにない場合は、次のいずれかの原因が考えられます。
このホストには Communications Suite がインストールされていない。
アンインストーラは、すでにアンインストーラを含むすべての製品コンポーネントをこのホストから削除している。
アンインストール時に、どの Communications Suite 製品コンポーネントもホストに存在しないことを検出すると、アンインストーラはアンインストーラ自身をもアンインストールします。
失敗したインストールの実行中に、次のいずれかの状況が生じた。
アンインストーラがホストにインストールされなかった。
アンインストーラは削除されたが、一部の製品コンポーネントはホストに残された。
推奨される解決方法: 「アンインストールが失敗し、ファイルが削除されずに残った」の説明に従ってシステムを手動でクリーンアップします。
アンインストーラがファイルまたはプロセスを削除できなかったために手動クリーンアップが必要となった場合は、次の手順を実行し、システムからパッケージを削除します。
削除が必要なパッケージを特定します。
システム上のパッケージを、『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』の第 5 章「インストール可能なパッケージの一覧」に記載されている Communications Suite パッケージと比較します。インストールされているパッケージを特定するには、Solaris の pkginfo または prodreg ユーティリティー、あるいは Linux の rpm コマンドを使用できます。(「アンインストール時に残されたファイルによるインストールの失敗」を参照)
Communications Suite 製品コンポーネントの実行中のすべてのプロセスを停止します。
プロセスを停止する簡単な手順については、第 6 章「Communications Suite のインストール後設定の完了」製品コンポーネントマニュアルに説明されています。
以後のインストールで再利用を考えているカスタム設定データとユーザーデータをすべてバックアップします。
「Communications Suite 製品コンポーネントのアンインストール動作の確認」に、バックアップすべき設定とユーザーデータに関する情報が説明されています。詳細については、各製品コンポーネントのマニュアルを参照してください。
pkgrm、rpm -e、または swremove コマンドを使用して、Communications Suite コンポーネントパッケージを削除します。
以後のインストールで使用しない、残されている製品コンポーネントディレクトリとその内容をすべて削除します。これらのディレクトリをあとで利用する場合は、別の場所に移動します。
次の場所にある製品レジストリファイルを更新します。
Solaris OS の場合: /var/sadm/install/productregistry
Linux の場合: /var/opt/sun/install/productregistry
アンインストーラはこのレジストリを使用して、ホストにインストールされている製品コンポーネントを特定します。インストーラとアンインストーラは、インストールまたはアンインストールの完了時に製品レジストリを更新します。
アンインストーラを使用せずに、パッケージを手動で削除した場合は、システムにインストールされているソフトウェアを製品レジストリが正しく反映するように、このファイルを手動で更新する必要があります。
次の場所にあるシステムのログファイルをクリーンアップします。
Solaris OS の場合: /var/sadm/install/logs
Linux の場合: /var/opt/sun/install/logs
ログファイルは、パッケージを手動削除したあとのシステムの状態を正しく反映していない可能性があります。
アンインストール時に、アンインストーラは製品レジストリファイルを使用して、アンインストールが必要な要素を特定します。
Solaris OS の場合: /var/sadm/install/productregistry
Linux の場合: /var/opt/sun/install/productregistry
アンインストーラが失敗した場合は、バックアップコピーから製品レジストリを復元してからアンインストールを再実行しなければならないことがあります。
パッケージを手動で削除した場合、製品レジストリは自動更新されません。製品レジストリがシステムの状態を正しく反映していないために、後でアンインストーラを実行したときに問題が生じる可能性があります。このような場合は、再インストールを行なってから、アンインストーラを再実行します。
ここでは、Common Agent Container の共有コンポーネントに関連して起きる可能性のある次の問題について説明します。
Communications Suite に含まれる Common Agent Container (V2.0) では、デフォルトで次のポートが予約されています。
JMX ポート (TCP) = 11162
SNMP アダプタポート (UDP) = 11161
トラップ用 SNMP アダプタポート (UDP) = 11162
Commandstream アダプタポート (TCP) = 11163
RMI コネクタポート (TCP) = 11164
Sun Cluster のインストールに関する問題を解決しようとする場合、Sun Cluster では異なるバージョンの共通エージェントコンテナを使用しているため、ポートの割り当てが異なります。この場合、デフォルトのポートは次のようになります。
JMX ポート (TCP) = 10162
SNMP アダプタポート (UDP) = 10161
トラップ用 SNMP アダプタポート (UDP) = 10162
Commandstream アダプタポート (TCP) = 10163
RMI コネクタポート (TCP) = 10164
上記のポート番号のいずれかがすでにインストール時に予約されている場合は、Common Agent Container が使用するポート番号を次の手順の説明に従って変更します。
Common Agent Container の cacaoadm コマンドの詳細については、cacaoadm のマニュアルページを参照してください。このマニュアルページをコマンド行に表示できない場合は、MANPATH が正しく設定されているか確認します。「MANPATH の確認」を参照してください。
ルートとして、Common Agent Container 管理デーモンを停止します。
/opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm stop |
次の構文を使用して、ポート番号を変更します。
/opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm set-param param=value
たとえば、SNMP アダプタが占有するポートをデフォルトの 11161 から 11165 に変更するには、次のようにします。
Sun Cluster では、以前に指定したポートを使用します。
/opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm set-param snmp-adaptor-port=11165 |
Common Agent Container 管理デーモンを再起動します。
/opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm start |
ルートとして、Common Agent Container 管理デーモンを停止します。
/opt/sun/cacao/bin/cacaoadm stop |
次の構文を使用して、ポート番号を変更します。
/opt/sun/cacao/bin/cacaoadm set-param param=value
たとえば、SNMP アダプタが占有するポートを 11161 から 11165 に変更するには、次のようにします。
/opt/sun/cacao/bin/cacaoadm set-param snmp-adaptor-port=11165 |
Common Agent Container 管理デーモンを再起動します。
/opt/sun/cacao/bin/cacaoadm start |
Communications Suite が稼働するホストで、セキュリティーキーを再生成することが必要になる場合があります。たとえば、ルートパスワードが他の人に知られたおそれがあり、安全性が危うくなっている場合には、セキュリティーキーを再生成することが必要です。Common Agent Container サービスによって使用されるキーは、次の場所に格納されています。
Solaris OS の場合: /etc/opt/SUNWcacao/security
Linux の場合: /etc/opt/sun/cacao/security
通常の動作では、これらのキーはデフォルトの構成のままとなります。キーの安全性が危うくなったために、キーを再生成することが必要な場合は、次の手順でセキュリティーキーを再生成できます。
ルートとして、Common Agent Container 管理デーモンを停止します。
/opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm stop |
セキュリティーキーを再生成します。
/opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm create-keys --force |
Common Agent Container 管理デーモンを再起動します。
/opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm start |
Sun Cluster ソフトウェアの場合は、この変更をクラスタ内のすべてのノードに伝達する必要があります。詳細については、『Sun Cluster Software Installation Guide for Solaris OS』の「How to Finish a Rolling Upgrade to Sun Cluster 3.1 8/05 Software」を参照してください。
ルートとして、Common Agent Container 管理デーモンを停止します。
/opt/sun/cacao/bin/cacaoadm stop |
セキュリティーキーを再生成します。
/opt/sun/cacao/bin/cacaoadm create-keys --force |
Common Agent Container 管理デーモンを再起動します。
/opt/sun/cacao/bin/cacaoadm start |
cacaoadm コマンドの詳細については、cacaoadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
このセクションの表では、製品コンポーネントの問題を解決するためのさまざまなヒントを提供し、役立つマニュアルを紹介します。ここで説明する内容は、次のとおりです。
トピック |
詳細 |
---|---|
設定ファイル |
AMConfig.properties
|
ログファイルとデバッグファイル |
ログファイルのディレクトリ:
|
デバッグモード |
『Sun Java System Access Manager 7.1 Developer’s Guide』の「Auditing Features」の章を参照してください。 |
トピック |
詳細 |
---|---|
ログファイル |
ログファイルのディレクトリ:
Application Server インスタンスのログディレクトリ (最初に作成するインスタンスのデフォルトの場所):
メッセージログのファイル名: server.log (サーバーインスタンスごとに存在する) |
設定ファイル |
|
トラブルシューティング |
『Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.2 トラブルシューティングガイド』を参照してください。 |
トピック |
詳細 |
---|---|
ログファイル |
管理サービス (csadmind): admin.log 分散データベースサービス (csdwpd)dwp.logHTTP サービス (cshttpd): http.log 通知サービス (csnotifyd): notify.logCalendar バックアップサービス (csstored): store.log デフォルトのログディレクトリ:
詳細については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。 |
設定ファイル |
Solaris の場合: /opt/SUNWics5/cal/config/ics.conf Linux の場合: /opt/sun/calendar/config/ics.conf |
デバッグモード |
デバッグモードを使用するには、Calendar Server の管理者が ics.conf ファイルで logfile.loglevel 設定パラメータを設定します。次に例を示します。 logfile.loglevel = "debug" 詳細については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。 |
トラブルシューティング |
トピック |
詳細 |
---|---|
ログファイル |
デフォルトのログファイル: uwc-deployed-path/logs/uwc.log |
インスタンスディレクトリ |
Solaris OS の場合: /var/opt/SUNWuwc Linux の場合: /var/opt/sun/uwc |
トラブルシューティング |
『Sun Java System Communications Express 6.3 管理ガイド』の第 5 章「トラブルシューティング」を参照してください。 |
トピック |
詳細 |
---|---|
ログファイル |
実行時ログファイル: Solaris: /opt/SUNWcomm/log |
トラブルシューティング |
『Sun Java System Delegated Administrator 6.4 管理ガイド』の付録 C「Delegated Administrator のデバッグ」を参照してください。 |
トピック |
詳細 |
---|---|
ログファイル |
インストールログファイル:
|
トラブルシューティング |
『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.0 管理ガイド』のパート I「Directory Server による管理」を参照してください。 『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.0 管理ガイド』のパート II「Directory Proxy Server による管理」を参照してください。 |
トピック |
詳細 |
---|---|
ログファイル |
サーバーログ: xmppd.log エージェントカレンダーログ: agent-calendar.log ウォッチドッグのログiim_wd.log マルチプレクサログ: mux.log.log デフォルトのログディレクトリ:
詳細については、『Sun Java System Instant Messaging 7.2 管理ガイド』を参照してください。 |
設定ファイル |
Solaris の場合: /opt/SUNWiim/config/iim.conf Linux の場合: /opt/sun/im/config/iim.conf |
デバッグモード |
デバッグモードを使用するには、Instant Messaging の管理者が iim.conf ファイルで iim.log.iim_server.severity 設定パラメータを設定します。 サーバーコンポーネントの例: iim.log.iim_server.severity = "DEBUG" マルチプレクサコンポーネントの例: iim.log.iim_mux.severity = "DEBUG" ウォッチドッグコンポーネントの例: iim.log.iim_wd.severity = "DEBUG" |
トラブルシューティング |
トラブルシューティングの詳細と追加情報については、『Sun Java System Instant Messaging 7.2 管理ガイド』を参照してください。 |
アンインストール後の作業 |
アンインストール時に、Instant Messaging の設定ディレクトリと Web コンテナに配備されているインスタントメッセージのリソースは削除されないため、アンインストール後に削除する必要があります。 Instant Messaging をホストから完全に削除するには、次のような不要なディレクトリを削除します 。/opt/SUNWiim/、 /var/opt/SUNWiim/、および /etc/opt/SUNWiim/。 さらに、undeploy all コマンドを使用して、Web コンテナからリソースの配備を解除します。 |
トピック |
詳細 |
---|---|
ログファイル |
インストールログファイル:
ブローカログファイル:
|
トラブルシューティング |
『Sun Java System Message Queue 3 2005Q4 Administration Guide』の「問題のトラブルシューティング」の章を参照してください。 パフォーマンスの問題については、『Sun Java System Message Queue 3 2005Q4 Administration Guide』の「メッセージサービスの分析と調整」を参照してください。 |
トピック |
詳細 |
---|---|
設定ファイル |
Monitoring Console の場合:
Monitoring Framework の場合:
|
ログファイル |
Monitoring Console の場合:
Monitoring Framework の場合:
|
トラブルシューティング |
Monitoring Console にアクセスできない場合は、『Sun Java Enterprise System 5 監視ガイド (UNIX 版)』の「Monitoring Console のトラブルシューティング」を参照してください。Monitoring Console で監視したコンポーネントを確認できない場合は、『Sun Java Enterprise System 5 監視ガイド (UNIX 版)』の「Monitoring Framework のトラブルシューティング」を参照してください。 |
トピック |
詳細 |
---|---|
ログファイル |
Web Server のログファイルは 2 種類あります。errors ログファイルと access ログファイルです。errors ログファイルには、サーバーで発生したすべてのエラーがリストされます。access ログファイルには、サーバーに対する要求と、サーバーからの応答に関する情報が記録されます。詳細については、『Sun Java System Web Server 7.0 管理ガイド』を参照してください。 これらのログは、次のディレクトリにあります。
「今すぐ設定」インストール時に Web Server の設定が失敗した場合、追加情報については次のログを参照してください。
|
設定ファイルのディレクトリ |
|
このマニュアルに記載されている次の情報も、トラブルシューティングに役立ちます。
第 6 章「Communications Suite のインストール後設定の完了」 では、インストール後の設定の実行手順を説明しています。
第 9 章「Communications Suite 製品コンポーネントのアンインストール」 では、ソフトウェアのアンインストール時に発生する可能性のある問題について説明しています。