Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド

第 12 章 Calendar Server 6.3 配備のサーバー管理

この章では、Calendar Server 配備のサーバー管理について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

Calendar Server を管理するには、Delegated Administrator ユーティリティー (従来のユーザー管理ユーティリティー) または Calendar Server コマンド行ユーティリティーを実行するか、ics.conf 設定ファイルを編集します。

コマンド行ユーティリティーを実行するには、Calendar Server が稼動しているシステムの管理権限を持つユーザーとしてログインする必要があります。

詳細は、付録 D 「Calendar Server のコマンド行ユーティリティーのリファレンス」を参照してください。


注 –

管理に関するその他の内容については、別の章で説明します。

この章の内容は次のとおりです。


12.1 Calendar Server 6.3 プロセスの起動と停止

ここでは、start-cal コマンドと stop-cal コマンドの使用に関する概念情報と手順について説明します。

ここでは、次の内容について説明します。

12.1.1 Calendar Server 6.3 コマンドについて: start-cal と stop-cal

Calendar Server の起動と停止には、start-cal コマンドと stop-cal コマンドを使用します。start-calstop-cal の各ユーティリティーは、cal-svr-base/SUNWics5/cal/sbin ディレクトリに格納されています。これらのユーティリティーを Calendar Server がインストールされているローカルマシンで実行する必要があります。


注 –

スクリプトを調べて、以前の csstart csstop ユーティリティーを使用していないことを確認してください。Calendar Server の起動と停止には、start-calstop-cal ユーティリティーを使用します。


start-cal ユーティリティーは次の順序で Calendar Server サービスを開始します。

  1. watcher: Watcher。システムを監視するプロセス

  2. enpd: 予定通知サービス (ENS)

  3. csstored: 自動バックアップサービス

  4. csnotifyd: 通知サービス

  5. csadmind: 管理サービス

  6. csdwpd:DWP (データベースワイヤプロトコル) サービス。リモート Calendar Server データベース設定がある場合にのみ起動される分散データベースサービス

  7. cshttpd: HTTP サービス

これらのサービスについては、「1.10 Calendar Server バージョン 6.3 でデーモンとして実行されるサービス」を参照してください。

Procedurestart-cal を使用して Calendar Server 6.3 サービスを起動するには

  1. システムの管理権限を持つユーザーとしてログインします。

  2. stop-cal コマンドを実行して、すべての Calendar Server サービスが停止していることを確認します。

  3. ディレクトリに移動します。

    cal-svr-base/SUNWics5/cal/sbin

  4. Calendar Server を起動します。

    ./start-cal

Procedurestop-cal を使用して Calendar Server を停止するには

  1. Calendar Server が稼動しているシステムの管理権限を持つユーザーとしてログインします。

  2. ディレクトリに移動します。

    cal-svr-base/SUNWics5/cal/sbin

  3. Calendar Server を停止します。

    ./stop-cal

12.2 Calendar Server バージョン 6.3 での自動バックアップの有効化または無効化

自動バックアップは、start-cal の実行時に自動的に起動される csstored プロセスによって管理されます。ただし、自動バックアップは任意に有効または無効にすることができます。デフォルトでは、自動バックアップは無効になっています。csstored プロセスは、自動バックアップが有効になっていない場合でも実行されます。

自動バックアップには 2 種類あります。ホットバックアップとアーカイブバックアップです。各バックアップは個別に有効または無効にすることができます。

自動バックアップと csstored の設定方法については、第 9 章「自動バックアップ (csstored) の設定」を参照してください。

次に示すのは、自動バックアップを有効化および無効化するための作業の一覧です。

ProcedureCalendar Server バージョン 6.3 でホットバックアップを有効にするには

  1. 設定権限を持つ管理者としてログインします。

  2. stop-cal コマンドを発行して Calendar Server サービスを停止します。

  3. ics.conf ファイルがあるディレクトリに移動します。

    cd /etc/opt/SUNWics5/config

  4. 次の ics.conf パラメータを “yes” に設定して、ホットバックアップを有効にします。

    caldb.berkeleydb.hotbackup.enable="yes"

  5. ホットバックアップディレクトリのディレクトリパスを指定します。

    caldb.berkeleydb.hotbackup.path=
       /var/opt/SUNWics5/hotbackup_directory
    

    デフォルトは現在のディレクトリです。

  6. ics.conf ファイルの編集が終わったら、Calendar Server を再起動します。

    cal-svr-base/SUNWics5/cal/sbin/start-cal

    ics.conf ファイルを編集するときにカレンダサービスを停止する必要はありませんが、変更を適用するためにサービスを再起動する必要があります。

ProcedureCalendar Server バージョン 6.3 でアーカイブバックアップを有効にするには

  1. 設定権限を持つ管理者としてログインします。

  2. stop-cal コマンドを発行して Calendar Server サービスを停止します。

  3. ics.conf ファイルがあるディレクトリに移動します。

    cd /etc/opt/SUNWics5/config

  4. 次の ics.conf パラメータを “yes” に設定して、アーカイブバックアップを有効にします。

    caldb.berkeleydb.archive.enable=”yes”

  5. アーカイブディレクトリのディレクトリパスを指定します。

    caldb.berkeleydb.archive.path=
       /var/opt/SUNWics5/hotbackup_directory
    

    デフォルトは現在のディレクトリです。

  6. ics.conf ファイルの編集が終わったら、Calendar Server を再起動します。

    cal-svr-base/SUNWics5/cal/sbin/start-cal

    ics.conf ファイルを編集するときにカレンダサービスを停止する必要はありませんが、変更を適用するためにサービスを再起動する必要があります。

ProcedureCalendar Server バージョン 6.3 でホットバックアップを無効にするには

バックアップはデフォルトで無効になっています。以前に有効にしたバックアップを無効にする場合は、次の手順を実行します。

  1. 設定権限を持つ管理者としてログインします。

  2. stop-cal コマンドを発行して Calendar Server サービスを停止します。

  3. ics.conf ファイルがあるディレクトリに移動します。

    cd /etc/opt/SUNWics5/config

  4. 次の ics.conf パラメータを "no" に設定して、ホットバックアップを無効にします。

    caldb.berkeleydb.hotbackup.enable="no"

  5. ics.conf ファイルの編集が終わったら、Calendar Server を再起動します。

    cal-svr-base/SUNWics5/cal/sbin/start-cal

    ics.conf ファイルを編集するときにカレンダサービスを停止する必要はありませんが、変更を適用するためにサービスを再起動する必要があります。

ProcedureCalendar Server バージョン 6.3 でアーカイブバックアップを無効にするには

バックアップはデフォルトで無効になっています。以前に有効にしたバックアップを無効にする場合は、次の手順を実行します。

  1. 設定権限を持つ管理者としてログインします。

  2. stop-cal コマンドを発行して Calendar Server サービスを停止します。

  3. ics.conf ファイルがあるディレクトリに移動します。

    cd /etc/opt/SUNWics5/config

  4. 次の ics.conf パラメータを "no" に設定して、アーカイブバックアップを無効にします。

    caldb.berkeleydb.archive.enable="no"

  5. ics.conf ファイルの編集が終わったら、Calendar Server を再起動します。

    cal-svr-base/SUNWics5/cal/sbin/start-cal

    ics.conf ファイルを編集するときにカレンダサービスを停止する必要はありませんが、変更を適用するためにサービスを再起動する必要があります。

12.3 Calendar Server バージョン 6.3 のグループスケジューリングエンジンキューの管理

ここでは、GSE (グループスケジューリングエンジン) の管理に関する概念情報と手順について説明します。

GSE は、コンポーネントデータベースを更新するために使用される予定のキューを保存します。管理者は Calendar Server がキューを走査する間隔を調整するためのタイムアウト値を変更できます。また、必要に応じて、キュー内の予定を一覧表示したり、特定の予定を削除したりできます。

ここでは、次の内容について説明します。

12.3.1 Calendar Server バージョン 6.3 の GSE について

GSE により、Calendar Server ユーザーは予定を作成したり、他のユーザーに出席を依頼したりできます。出席者が同じ Calendar Server に存在する場合は、予定は出席者のカレンダにスケジューリングされます。出席者が異なる Calendar Server に存在する場合は、電子メールで出席依頼が送信されます。出席者は出席依頼に応じるか拒否するかを決めることができ、GSE ではその返信内容によって予定が更新されます。

12.3.2 Calendar Server 6.3 GSE キューについて

GSE キューは、実質的には csadmind プロセスによって管理される独立したデータベースです。Calendar Server は、コンポーネントデータベースに対して実行する必要がある更新のキューを走査します。

この走査の頻度を調節することで、Calendar Server を調整できます。これは、ics.conf ファイルの gse.belowthresholdtimeout タイムアウト値を変更することによって行われます。第 21 章「Calendar Server のパフォーマンスの調整」を参照してください。

GSE キューエントリは、csschedule を使用して管理 (一覧表示や削除) できます。csschedule は、Calendar Server がインストールされているローカルマシンで実行する必要があります。

12.3.3 Calendar Server 6.3 GSE キュー内のエントリのリスト表示

GSE キュー内のエントリをリスト表示するには、csschedule ユーティリティーの list コマンドを使用します。

たとえば、GSE キュー内のすべてのエントリを表示するには、次のように実行します。

csschedule list

GSE キューに格納されている最初の 10 エントリをリスト表示するには、次のように実行します。

csschedule -c 10 list

calid Holiday_Schedule のカレンダの GSE キューに含まれるすべてのエントリをリスト表示するには、次のように実行します。

csschedule -v list Holiday_Schedule

12.3.4 Calendar Server バージョン 6.3 での GSE キュー内のエントリの削除

GSE キュー内のエントリを削除するには、csschedule ユーティリティーの delete コマンドを使用します。

たとえば、GSE キュー内のすべてのエントリを削除するには、次のように実行します。

csschedule -v delete

calA というカレンダで、最初のスケジュール時刻が 2001 年 11 月 30 日の 13 時 30 分 45 秒、オフセット数が 1、一意の ID が 1111、定期予定 ID が 0、シーケンス番号が 0 のエントリを GSE キューから削除するには、次のように実行します。

csschedule -v -t 20011130T133045Z -o 1 -u 1111 -r 0 -n 0 delete calA

12.4 Calendar Server 6.3 プロセスの監視

Calendar Server とMessaging Server は、Sun JavaTM Enterprise System Monitoring Framework (JESMF) の一部として、同じ停止および起動メカニズムを使用するようになりました。start-cal コマンドは最初に watcher プロセスを起動し、続いて他のすべてのプロセスを起動します。watcher プロセスは、その他のサービスの依存関係、およびサービスをどの順序で起動するかを識別します。

登録された各サービス (プロセス) は、Watcher への接続を開きます。プロセスが適切な方法で接続解除されずに終了した場合、Watcher が自動的にそのプロセスを再起動します。定義した間隔内でプロセスが 2 回終了した場合、Watcher はそのプロセスを再起動しません。このタイムアウト間隔は、設定可能です。

Watcher は、cal-svr-base/data/log/watcher.log という単一のログを書き込みます。このログには次の情報が記録されます。

Watcher の設定方法については、「Calendar Server バージョン 6.3 の Watcher プロセスを設定するには」を参照してください。

12.5 Calendar Server バージョン 6.3 での CLD キャッシュのクリア

ここでは、CLD キャッシュのクリアに関する概念情報と手順について説明します。

ここでは、次の内容について説明します。

12.5.1 Calendar Server 6.3 CLD キャッシュをクリアする理由

CLD キャッシュを有効にしている場合は、ときどきキャッシュをクリアする必要があります。CLD キャッシュは、さまざまな理由からシステム設定との同期がとれなくなる (失効する) ことがあります。

次のような場合に、CLD キャッシュは失効します。

上記のいずれかを行なった場合は、CLD キャッシュを更新するために、それをクリアする必要があります。

ProcedureCLD キャッシュをクリアするには

  1. Calendar Server を停止します。

  2. /var/opt/SUNWics5/csdb/cld_cache ディレクトリ内のすべてのファイルを消去します。ただし、cld_cache ディレクトリ自体は消去しません。

  3. Calendar Server を再起動します。

12.6 サーバー名の変更

設定内のサーバー名を追加、削除、または変更した場合は、エラーの発生を防ぐために「後処理」の手順をいくつか実行する必要があります。

次の手順は、CLD を最新の状態に保つ場合に役立ちます。

12.7 Calendar Server ユーザーの匿名アクセスの設定

ここでは、匿名アクセス (ログイン) を有効および無効にする手順について説明します。

匿名アクセスとは、認証を必要としない特殊なログインのことです。匿名ログインが有効になっていると、公開カレンダへの読み書きアクセスがデフォルトで有効になります。公開カレンダへの書き込みアクセスを拒否することも可能です。

この節の内容は、次のとおりです。


注 –

Communication Express では、読み取りだけでなく、書き込みについても匿名ログインが許可されている必要があります。「4.1 Communications Express の設定」を参照してください。


Procedure匿名アクセスを有効にするには

  1. 設定権限を持つ管理者としてログインします。

  2. stop-cal コマンドを発行して Calendar Server サービスを停止します。

  3. /etc/opt/SUNWics5/cal/config ディレクトリに移動します。

  4. 古い ics.conf ファイルをコピーして名前を変更し、保存します。

  5. ics.conf に含まれる次のパラメータを編集して、匿名アクセスを有効にします。

    パラメータ 

    説明とデフォルト値 

    service.http.allowanonymouslogin

    必要に応じて、このパラメータを “yes” に設定し、匿名アクセス (ログイン) を有効にします。デフォルト値は “yes” です。

    service.calendarsearch.ldap

    匿名ログインが有効になっているときには、セキュリティー上の理由から、カレンダ検索を行う際に最初に LDAP を検索できないようにしたい場合があります。その場合には、このパラメータを “no” に設定します (デフォルト)。


    注 –

    Communications Express では、service.calendarsearch.ldap パラメータの値を “no” に設定する必要があります。この設定は、DWP 環境で最良のパフォーマンスを得るためのシステム調整の指示とは矛盾しています。DWP 環境とは、データベースが複数のバックエンドに分散されている環境のことです。「21.2 DWP 環境でのカレンダ検索のパフォーマンス向上」を参照してください。


  6. ファイルを ics.conf として保存します。

  7. Calendar Server を再起動します。

    cal-svr-base/SUNWics5/cal/sbin/start-cal

Procedure匿名ユーザーによる公開カレンダへの書き込みを無効にするには

  1. 設定権限を持つ管理者としてログインします。

  2. stop-cal コマンドを発行して Calendar Server サービスを停止します。

  3. /etc/opt/SUNWics5/cal/config ディレクトリに移動します。

  4. 古い ics.conf ファイルをコピーして名前を変更し、保存します。

  5. 次の表に示すように ics.conf のパラメータを編集します。

    パラメータ 

    説明とデフォルト値 

    service.wcap.anonymous.

    allowpubliccalendarwrite

    匿名アクセスのユーザーによる公開カレンダへの書き込みを有効または無効にします。アクセスを有効にするには、この値を “yes” に設定します (デフォルト)。

  6. ファイルを ics.conf として保存します。

  7. Calendar Server を再起動します。

    cal-svr-base/SUNWics5/cal/sbin/start-cal

12.8 プロキシ管理者のログインの有効化

Communications Express 用にプロキシ管理者のログイン (プロキシ認証) を有効にする必要があります。Communications Express 用にプロキシ認証を設定する方法については、「4.1 Communications Express の設定」を参照してください。

ただし、Communications Express を使用しない場合でもプロキシ認証を有効にすることができます。この節では、Communications Express を使用しない場合にプロキシ認証を有効にする手順について説明します。

ProcedureCommunications Express を使用しない場合にプロキシ認証を有効にするには

  1. 設定を変更する権限を持つ管理者としてログインします。

  2. /etc/opt/SUNWics5/cal/config ディレクトリに移動します。

  3. 古い ics.conf ファイルをコピーして名前を変更し、保存します。

  4. ics.conf ファイルを編集し、パラメータが次のように設定されていることを確認します。

    service.http.allowadminproxy = "yes"

    設定されていない場合は、"yes" に変更します。

  5. ファイルを ics.conf として保存します。

  6. 新しい値を適用するために Calendar Server を再起動します。

Procedureプロキシ認証が機能していることを検証するには

  1. 次の WCAP コマンドを使用して、管理者プロキシログインが正しく機能することを確認します。

    http://server[:port]/login.wcap?
    user=admin-user&password=admin-password
    &proxyauth=calendar-user&fmt-out=text/html

    この例で使用されている変数の意味は次のとおりです。

    • server: Calendar Server が稼動しているサーバーの名前。

    • port: Calendar Server のポート番号。デフォルトのポートは 80。

    • admin-user: Calendar Server の管理者。例: calmaster

    • admin-password: admin-user のパスワード。

    • calendar-user: Calendar Server ユーザーの calid

    コマンドの実行が成功すると、システムは calendar-user のカレンダを表示します。問題が発生した場合は、「Unauthorized」というメッセージが表示されます。

    コマンドが失敗した理由としては、次のような原因が考えられます。

    • admin-user が Calendar Server の管理者権限を持っていない。

    • admin-password が正しくない。

    • calendar-user が有効な Calendar Server ユーザーではない。

12.9 Calendar Server 設定の再読み込み

Calendar Server 6.3 リリースでは、設定の再読み込みに stop-calstart-cal のコマンドを使用します。詳細は、「12.1 Calendar Server 6.3 プロセスの起動と停止」を参照してください。