Sun Java System Instant Messaging 7.2 管理ガイド

第 16 章 カレンダのポップアップリマインダの使用

Instant Messaging には Sun JavaTM System Calendar Server が統合されているので、Instant Messenger ユーザーにカレンダのイベントとタスクの両方を知らせる自動ポップアップリマインダを利用できます。

この節では、次の事項について説明します。

ポップアップリマインダの概要

この節では、カレンダのポップアップリマインダについて、次の各トピックで説明します。

ポップアップリマインダの操作

カレンダ上のイベントとタスクの予定日が近づくと、ユーザーは Instant Messenger のポップアップリマインダを受信できます。ポップアップリマインダを有効にするには、次の作業が必要です。

ポップアップが有効に設定されている場合、イベントやタスクが近づくと、イベント通知システムに設定されたアラームに基づいて、Calendar Server は電子メール通知を送信し、Instant Messaging はポップアップリマインダを表示します。

ポップアップリマインダのアーキテクチャーフロー

Instant Messaging でポップアップリマインダが設定されると、次のアーキテクチャーフローに従って動作します。

  1. Instant Messaging JMS サブスクライバが、イベント通知サービス (ENS) 内の Calendar Server のイベントと通知を受け取るよう登録される。

  2. Calendar Server がイベントまたはタスクの通知を text/xml または text/calendar の形式で ENS に公開する。

  3. Instant Messaging JMS サブスクライバがカレンダイベントまたはタスクの通知を受信し、text/calendar 形式でメッセージを生成する。

  4. エンドユーザーがオンラインであれば、Instant Messaging サーバーがメッセージをカレンダの所有者に送信する。

  5. 受信者が有効な場合、Instant Messenger はメッセージに基づいて HTML ポップアップリマインダをエンドユーザーのデスクトップに生成する。

    受信者が無効な場合、Instant Messaging サーバーはメッセージを破棄します。

iim.conf カレンダポップアップ設定パラメータ

Instant Messaging をインストールするときに、デフォルトで、カレンダエージェントで使用されるいくつかの設定パラメータが iim.conf に追加されます。configure ユーティリティーを実行するときに、カレンダエージェントを有効にして、関連する設定情報を指定することもできます。ただし、たとえば、Instant Messenger のリソースファイルをカスタマイズしている場合などは、ポップアップを手動で設定するとよいでしょう。configure を再実行する場合は、リソースファイルを再配備する必要があります。configure ユーティリティーを実行する代わりに、Instant Messaging サーバーを手動で設定してカレンダのポップアアップを使用する場合は、次のパラメータの値を指定する必要があります。configure ユーティリティーについては、第 1 章「インストール後の Instant Messaging の設定」を参照してください。

表 16–1 は、カレンダのポップアップを使用するために Instant Messaging サーバーおよびカレンダエージェントを設定する際に使用する設定パラメータの一覧です。

表 16–1 カレンダポップアップを設定するための iim.conf パラメータ

iim.conf のパラメータまたはセクション

説明および適切な値 

JMS コンシューマセクション

jms.consumers

アラームの名前。 

次の値に設定します。 

cal_reminder

jms.consumer.cal_reminder.destination

アラームの宛先。 

ics.conf ファイル内の caldb.serveralarms.url 設定パラメータと同じ値であることが必要です。たとえば、次のようになります。

enp:///ics/customalarm

jms.consumer.cal_reminder.provider

プロバイダの名前。 

ens に設定します。

JMS プロバイダセクションの jms.providers パラメータと同じ名前であることが必要です。

jms.consumer.cal_reminder.type

設定するアラームの種類。次の値に設定します。 

topic

jms.consumer.cal_reminder.param

アラームパラメータ。引用符を含めて次のように値を設定します。 

"eventtype=calendar.alarm"

jms.consumer.cal_reminder.factory

新しいカレンダリマインダメッセージのリスナー。自身を登録します。 

次の値に設定します。 

com.iplanet.im.server.JMSCalendarMessageListener

値を 1 行で入力します。 

JMS プロバイダセクション

jms.providers

プロバイダの名前です。 

値を ens に設定します。

JMS コンシューマセクションの jms.consumer.cal_reminder.provider パラメータと同じ値であることが必要です。

jms.provider.ens.broker

ENS のホスト名と、ENS が受信する要求を待機するポートの番号です。 

ics.conf ファイルのパラメータ service.ens.port で指定されるポートに設定します。デフォルト値は 57997 です。

たとえば、次のようになります。 

jms.provider.ens.broker=cal.example.com:57997

jms.provider.ens.factory

トピック接続オブジェクトの作成に使用されるファクトリクラスです。 

次の値に設定します。 

com.iplanet.ens.jms.EnsTopicConnFactory

Instant Messaging の一般的なパラメータ

iim_agent.enable

Instant Messaging のカレンダエージェントを有効にします。デフォルトでは、このパラメータは False に設定されています。

引用符を含めて次のように値を設定します。 

iim_agent.enable="true"

iim_agent.agent-calendar.enable

カレンダエージェントを有効にするコンポーネントを読み込みます。 

引用符を含めて次のように値を設定します。 

iim_agent.agent-calendar.enable="true"

agent-calendar.jid

カレンダエージェントの JID。

この値を次のように設定します。 

agent-calendar.jid=calimbot.server .domain

agent-calendar.password

このパラメータには、カレンダエージェントが Instant Messaging サーバーに接続するために使用するパスワードを設定します。 

この値を次のように設定します。 

agent-calendar.password=password

iim_server.components

この値を次のように設定します。 

iim_server.components=agent-calendar

Instant Messaging ポップアップの設定

この節では、次の設定方法について説明します。

Procedureconfigure ユーティリティーを使用して Instant Messaging サーバーを設定し、カレンダのポップアップを使用する

  1. configure を実行します。

    configure ユーティリティーの詳細については、「設定チェックリストの確認」を参照してください。

  2. カレンダエージェントの設定画面で、「カレンダエージェントを有効にする」チェックボックスを選択します。

  3. 通知サーバーのホスト名とポート番号を入力します。

    Calendar Server の ics.conf ファイルの service.ens.port パラメータで指定されているポート番号と同じポート番号を使用します。

    指定する値の組み合わせは、jms.provider.ens.broker パラメータの値として iim.conf に格納されます。たとえば、ホスト名に localhost を、また、ポート番号に 57997 を入力すると、jms.provider.ens.broker パラメータは次のように設定されます。


    jms.provider.ens.broker=localhost:57997
  4. カレンダアラームの URL を入力します。

    この URL は、アラームの送信先です。たとえば、次のように入力します。


    enp:///ics/customalarm

    Calendar Server の ics.conf ファイルの caldb.serveralarms.url パラメータで指定されている URL と同じ URL を使用します。

    指定する値は、jms.consumer.cal_reminder.destination パラメータの値として iim.conf に格納されます。

  5. 「次へ」をクリックして、設定を継続します。

    configure ユーティリティーの詳細については、第 1 章「インストール後の Instant Messaging の設定」を参照してください。

ProcedureInstant Messaging Server を手動で設定してカレンダのポップアップを使用する

始める前に

表 16–1 に示されている情報を収集します。

  1. 表 16–1 に示される iim.conf ファイルのパラメータを編集します。

    iim.conf ファイルを変更する手順については、iim.conf ファイルの構文」を参照してください。

    記載されるパラメータ値は、イベントとタスクの両方についてポップアップリマインダを設定することを前提にしています。これらのパラメータが iim.conf に存在しない場合は、追加してください。

  2. imadmin を使用してカレンダエージェントを起動します。


    imadmin start agent-calendar
    

    imadmin コマンド行ユーティリティーは、次のディレクトリ内に格納されています。

    im-svr-base/sbin

    im-svr-base は Instant Messaging のインストール先ディレクトリです。

ProcedureCalendar Server を設定してポップアップを使用する

  1. Calendar Server に、設定を変更できる権限を持つ管理者としてログインします。

  2. cal-svr-base/SUNWics5/cal/config ディレクトリに移動します。

    cal-svr-base は Calendar Server のインストール先ディレクトリです。

  3. 古い ics.conf ファイルをコピーし、別の名前で保存します。

  4. 次の表に記載されているパラメータに、示されている値が設定されていることを確認します。設定されていない場合、それらを編集する必要があります。

    パラメータ 

    説明およびデフォルト値 

    caldb.serveralarms

    カレンダアラームをキューに入れられるようにします。デフォルト値は "1" (有効) です。

    caldb.serveralarms.contenttype

    アラームの内容の出力形式です。デフォルト値は "text/xml" です。

    caldb.serveralarms.dispatch

    カレンダアラームを発信できるようにします。デフォルト値は "yes" です。

    caldb.serveralarms.dispatchtype

    発信するサーバーアラームの種類です。デフォルト値は "ens" です。

    caldb.serveralarms.url

    アラームの内容を取得するためのアラームの URL です。デフォルト値は、"enp:///ics/customalarm" です。

  5. ics.conf ファイルを保存します。

  6. Calendar Server を再起動します。

    cal-svr-base /SUNWics5/cal/sbin/start-cal

    cal-svr-base は Sun Java System Calendar Server のインストール先ディレクトリです。

ProcedureInstant Messenger を設定してポップアップを使用する

  1. Instant Messenger のメインウィンドウで、「ツール」->「設定」を選択します。

  2. 「設定」ウィンドウで、「アラート」タブをクリックします。

  3. 「カレンダリマインダーを表示」オプションをオンにします。

  4. 「了解」をクリックします。

    これで、ユーザーがオンラインのときに Instant Messenger からカレンダポップアップを受け取ることができます。

サーバープールでカレンダのポップアップを設定する

サーバープール配備でカレンダのポップアップが機能するように設定するには、プール内の 1 つのサーバーのカレンダエージェントを設定するだけで済みます。プール内の設定済みの各カレンダエージェントにポップアップが配信されます。

カレンダエージェントの管理

カレンダエージェントは、Instant Messaging のコンポーネントで、カレンダと Instant Messaging ユーザーにポップアップ機能を提供します。また、Instant Messaging に付属するツールを使用すると、カレンダエージェントの起動、停止、再起動、およびステータス確認を行うことができます。また、ログファイルによってアクティビティーを監視することもできます。カレンダエージェントコンポーネントの管理については、「Instant Messaging コンポーネントの停止、起動、更新、および確認」を参照してください。また、カレンダエージェントのログについては、第 13 章「Instant Messaging のロギングの管理」を参照してください。この節では、Instant Messaging エージェントの有効化および無効化について説明します。

ProcedureInstant Messaging エージェントの有効化と無効化

  1. iim.conf を開きます。

    iim.conf の場所、およびこのファイルを変更する手順については、iim.conf ファイルの構文」を参照してください。

  2. iim_agent.enable パラメータを true に設定します。

    iim_agent.enable="true"

  3. iim.conf を保存して閉じます。

  4. サーバーを再起動します。


    imadmin refresh server