この節では、異なる 2 つの手順を紹介します。
CPU/メモリーボード上のメモリーモジュールの中には、他の CPU/メモリーボードと共用されているものもあります。このため、システム構成からボードを切り離す際には、その前にすべてのメモリーモジュールの使用を停止する必要があります。
インタリーブ方式のメモリーが搭載されている場合、あるいは cfgadm の状態レポート (cfgadm -s cols=ap_id:type:info) に non-detachable あるいは permanent と示されている場合は、その CPU/メモリーボードは切り離せません。
スーパーユーザーでログインします。
cfgadm コマンドを使用して、CPU/メモリーボードのシステム名を調べます。
例 2-1 は、Sun Enterprise 6x00 システムに対する cfgadm の一般的な出力例です。
この例では CPU/メモリーボードは ac1 で、このボードにはメモリーバンク (bank1) が 1 つ存在しています。
ボード上のメモリーモジュールのすべての活動を停止します。
ボードの交換が完了するまで、他の CPU/メモリーボードからのあらゆるアクセスを停止し、使用されないようにします。
1 枚の CPU/メモリーボードが持てるメモリーバンク数の上限は 2 つです。メモリーバンクには ac番号:bank番号 の形式で論理名が付けられます。ac番号 の部分はドライバのインスタンスを表しますが、この 番号 とボードのスロット番号は直接には関係していません (番号生成の仕組みについては、「メモリーバンクと CPU 番号の命名規則」を参照してください)。bank番号 の部分には bank0 または bank1 のいずれかが入ります。メモリーバンク名は、次のコマンドを使用して調べることができます。
# cfgadm -s cols=ap_id:info
Ap_Id Information |
ac0:bank0 slot3 64Mb base 0x0 permanent |
ac0:bank1 slot3 empty |
ac1:bank0 slot5 empty |
ac1:bank1 slot5 64Mb base 0x400000000 disabled-at-boot |
sysctrl0:slot1 no ffb installed non-detachable |
sysctrl0:slot3 non detachable |
sysctrl0:slot5 |
sysctrl0:slot7 disabled at boot |
この例では、メモリーモジュールが取り付けられているメモリーバンクが 2 つ示されています。1 つはスロット 3 (sysctrl0:slot3) のボード上の ac0:bank0、もう 1 つはスロット 5 (sysctrl0:slot5) のボード上の ac1:bank1 です。
ボード ac1 のメモリーバンク 1 を構成解除する場合には、以下のようにします。
# cfgadm -c unconfigure ac1:bank1
メモリースパン内の再配置不可能なメモリーページ (システム用に予約されているメモリー区画) は構成解除できません。再配置不可能なメモリーは、cfgadm のリストでは permanent と表示されます。
メモリーモジュールが再配置可能であるかどうかを調べるには、以下のようにボード名だけを指定、またはボード名とバンク番号を指定する形式で cfgadm コマンドを使用します。
# cfgadm -v ac番号
# cfgadm ac番号:bank番号
ボード上の CPU が、システムで動作しているどのプロセスにも結合されていないことを確認します。
CPU がプロセスに結合されている場合は、結合を解除しない限り、ボードを切り離すことはできません。
CPU は、ボード番号に基づく番号で識別されます。第 1 CPU 番号の値はボード番号の値の 2 倍 (2 × n) です。第 2 CPU 番号の値はボード番号の値を 2 倍して 1 を加えた値 (2 × n + 1) になります。
たとえば、ボード 3 の CPU 番号は 6 と 7 になります。ボード 3 の CPU 情報を調べる場合は、psrinfo コマンドで CPU 番号に 6 と 7 を指定します。
# psrinfo 6 7 6 on-line since 01/10/99 18:00:56 7 on-line since 01/10/99 18:01:01
結合されているすべてのプロセスを表示するには、pbind(1) コマンドを使用します。現在取り外そうとしているボードの CPU が表示されたリスト中のプロセスに関与していた場合は、結合を解除しない限りボードは取り外せません。
# cfgadm -c unconfigure sysctrl0:slot番号
sysctrl0 の l は英小文字のエル、0 は数字のゼロです。
# cfgadm -c disconnect sysctrl0:slot番号
ここでボードの LED が、取り外し可能な状態であることを示すパターンで点灯していれば、ボードは物理的に取り外して交換できます (「交換入出力ボードの取り付け」を参照)。この状態を示す表示パターンとは、具体的には外側の 2 つの LED が消灯し、中央の LED が点灯している状態を指します。
ボードは、必ず切り離し操作の完了後に取り外してください。切り離さずに取り外すと、システムが損傷します。
交換ボードがない場合は、入手できるまで、切り離したボードをそのままシステムに残しておいてかまいません。
交換ボードをすぐに入手できない状況でボードを取り外す場合は、空いているスロットに代用のボードを装着して、冷却用の空気がカードケージ内を正しく流れるようにしておく必要があります。この代用ボードには、Sun Enterprise 3000/3500/4000/4500/5000/5500 システムの場合はダミーボード (パーツ番号 504-2592)、Sun Enterprise 6000/6500 システムの場合はロードボード (パーツ番号 501-3142) を使用してください。
AP (Alternate Pathing) を使用している場合は、以下の作業を行います。
ボードのすべての機能を代替入出力ボードに切り替えます。
代替パスのすべてが機能していることを確認します。
ボードを取り外します。「入出力ボードの取り外し」を参照してください。
AP を使用していない場合は、取り外そうとするボードが提供する機能の使用を中止するように警告されます。
ボード上のすべての装置の使用を停止します。
入出力装置を構成解除するには、その装置を前もって閉じておく必要があります。ボード上のネットワークインタフェースがどれも使用されていないことを確認してください。ボードに接続されているすべての記憶装置をマウント解除し、閉じます。「入出力ボードの構成解除」を参照してください。
構成解除するボード上に存在する装置を調べるには、ifconfig、mount、df、swap のいずれかのコマンドを使用します。
装置を開いている処理を調べるには、fuser(1M) コマンドを使用します。
ボード上のネットワークインタフェースが使用されていないことを確認します。
ボードに接続されているすべての記憶装置をマウント解除し、閉じます。
DR は、自動的にネットワークの使用を停止したり、装置を閉じたりしません。現在は、ネットワークの使用を停止したままにしたり、すべての装置を閉じたままにしたりする手段はありません。 マウント解除してから構成解除操作を行う間に、他のクライアントによって再マウントされる可能性があります。
ボード上に常駐パーティションを持つ Solstice DiskSuite メタデバイスなどのファイルシステムをマウント解除します (例: umount /パーティション)。
ボード上の常駐パーティションから Solstice DiskSuite または Alternate Pathing データベースを削除します。
Solstice DiskSuite または AP データベースの格納場所は、ユーザが選択、変更することができます。
Sun Enterprise Volume Manager(TM) が使用しているすべての専用領域を削除します。
デフォルトでは、Volume Manager は、自身が管理する装置ごとに専用領域を使用します。このため、そのような装置は、Volume Manager の管理対象から除外してから切り離します。
切り離すボード上に Sun RSM Array(TM) 2000 コントローラがある場合は、rm6 または rdacutil コマンドを使用してすべてオフラインにします。
スワップ構成からディスクパーティションを削除します。
装置や raw パーティションを直接に開いている処理は、強制的に終了するか、その処理にボード上の開いている装置を閉じさせます。
切り離しに対して危険な装置がボード上に存在する場合は、その装置のすべてのインスタンスを閉じ、modunload(1M) コマンドでドライバを読み込み解除します。
ファイルシステムをマウント解除すると、NFS クライアントシステムがその影響を受けることがあります。
ボード上のすべての装置の使用を停止します。
「入出力装置の終了」を参照してください。
ボードの状態を確認します。
ボードを取り外したり交換したりする場合は、状態と条件の組み合わせは、以下のいずれかである必要があります。
# cfgadm -c unconfigure sysctrl0:slot番号
sysctrl0 の l は英小文字のエル、0 は数字のゼロです。
sysctrl0:slot# (接続点の ID) には、手順 2 の状態表示で示されたボード名を使用します。
通常、入出力ボードに対して構成解除操作を行なうと、自動的に切り離しも行なわれます。
cfgadm コマンドを使用して、ボードが構成解除されたかどうか確認します。
構成解除操作が失敗した場合は、以下の操作を行います。
ボードが構成解除されると、以下のいずれかを行うことができます。
カードケージからボードを取り外す場合は、最初にボードの状態を確認します。
cfgadm を使用して、ボードが論理的に切り離されていることを確認します。
ボード上の LED で、ボードが電気的に切り離されていることを確認します。
外側の 2 つの LED が消灯、真ん中の LED が点灯している必要があります。
ボードが切り離され、周辺装置用電源が正しく機能していることを確認したら (「交換の手順」を参照)、物理的にボードを取り外したり、交換したりすることができます。交換手順については、「ボードの取り付け」を参照してください。
交換ボードがない場合は、入手するまで、切り離したボードをそのままシステムに残しておいてかまいません。
ボードを取り外していて、交換ボードをすぐに入手できない場合は、空いているスロットに代わりのボードを装着して、冷却用の空気がカードケージ内を正しく流れるようにしてください。Sun Enterprise 3000/3500/4000/4500/5000/5500 システムには、代わりのボードとしてダミーボード (パーツ番号 504-2592) を使用してください。Sun Enterprise 6000/6500 システムには、代わりのボードとしてロードボード (パーツ番号 501-3142) を使用してください。