Solaris のシステム管理

SunSoft 印刷クライアントソフトウェアの使用

この節では、SunSoft 印刷クライアントソフトウェアがどのように動作するかの概要を説明します。

SunSoft 印刷クライアントの手順

図 39-1 は、ユーザーが要求を発行してから印刷されるまでの、印刷要求の流れを示しています。

図 39-1 SunSoft 印刷クライアント手順の概要

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  1. ユーザーは SunSoft 印刷クライアントコマンドを使用して、SunSoft 印刷クライアントから印刷要求を出します。

  2. 印刷クライアントコマンドは印刷構成資源の階層をチェックして、どこに印刷要求を送信するかを決定します。

  3. 印刷クライアントコマンドは印刷要求を適切な印刷サーバーに直接送信します。印刷サーバーは、BSD 印刷プロトコルを受け付ける任意のサーバーです。SVR4 (LP) 印刷サーバーと BSD 印刷サーバー (SunOS 4.x の BSD 印刷サーバーなど) も含みます。

  4. 印刷サーバーは印刷要求を適切なプリンタに送信します。

  5. 印刷要求が印刷されます。

SunSoft 印刷クライアント

この節では、印刷要求を印刷サーバーに送信できるシステムである「印刷クライアント」、および印刷クライアントが印刷要求を発行するための印刷コマンドを中心に説明します。

図 39-2 は、印刷手順の中で、ユーザーが SunSoft 印刷クライアントから印刷要求を出した部分を強調して示しています。

図 39-2 ユーザーが SunSoft 印刷クライアントから印刷要求を出す

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SunSoft 印刷クライアントとは

システムに SunSoft 印刷クライアントソフトウェアをインストールして、リモートプリンタにアクセスできるようにすると、そのシステムは SunSoft 印刷クライアントになります。SunSoft 印刷クライアントコマンドの名前と出力は、以前の Solaris リリースの印刷コマンドと同じです。

SunSoft 印刷クライアントコマンドがどれくらい印刷手順を向上させるか

Solaris 2.6 の SunSoft 印刷クライアントコマンドを使用すれば、クライアントシステムは、より効率的な印刷クライアントになります。このコマンドがプリンタ構成情報を検出する際には、多くの選択肢があります。また、クライアントは印刷サーバーと直接通信します。以前の Solaris オペレーティング環境では、印刷クライアントはこのような利点を持っていませんでした。

Solaris 2.6 の SunSoft 印刷クライアントコマンドは、次のような特長を持っています。

プリンタ構成資源

この節では、SunSoft 印刷クライアントコマンドがプリンタ名とプリンタ構成情報を検出するために使用する資源を説明します。

SunSoft 印刷クライアントコマンドは、ネットワーク上のすべてのプリンタのプリンタ構成情報を格納するネットワーク (共有) 資源である、ネームサービスを使用できます。ネームサービス (NIS または NIS+) は、プリンタ構成の管理を簡単にします。プリンタをネームサービスに追加すると、ネットワーク上のすべての SunSoft 印刷クライアントは、そのプリンタにアクセスできます。

図 39-3 は、印刷手順の中で、SunSoft 印刷クライアントコマンドがプリンタ構成資源の階層をチェックして、どこに印刷要求を送信するかを決定する部分を強調して示しています。

図 39-3 SunSoft 印刷クライアントが資源をチェックしてプリンタを検出する

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SunSoft 印刷クライアントソフトウェアがどのようにプリンタを検出するか

図 39-4 に示すように、SunSoft 印刷クライアントコマンドがプリンタとプリンタ構成情報を検出するには、多数の選択肢があります。

図 39-4 SunSoft 印刷クライアントソフトウェアがどのようにプリンタを検出するか

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  1. ユーザーは lp コマンドまたは lpr コマンドを使用して、SunSoft 印刷クライアントから印刷要求を出します。ユーザーは、次の 3 つの形式のいずれかで、宛先のプリンタ名またはプリンタクラスを指定できます。

    • 単独名形式。次の例に示すように、印刷コマンドとオプションの後にプリンタ名またはプリンタクラスが続きます。

      % lp -d neptune filename
      
    • POSIX 形式。次の例に示すように、印刷コマンドとオプションの後に server:printer が続きます。

      % lpr -P galaxy:neptune filename
      
    • コンテキストベース形式。次の例に示すように、『Solaris 2.6 Software Developer AnswerBook』の『Federated Naming Service Programming Guide』で定義されているように指定します。

      % lpr -d thisdept/service/printer/printer-name filename
      
  2. 印刷コマンドは、次のようにしてプリンタとプリンタ構成情報を検出します。

    • ユーザーが宛先のプリンタ名またはプリンタクラスを 3 つの有効な形式のうちの 1 つで指定しているかどうかをチェックします。

    • ユーザーがプリンタ名またはプリンタクラスを有効な形式で指定していなかった場合は、ユーザーの PRINTER 環境変数か LPDEST 環境変数でデフォルトプリンタ名をチェックします。

    • デフォルトプリンタ用の環境変数も定義されていなかった場合は、ユーザーのホームディレクトリの .printers ファイルで _default に設定されたプリンタ別名をチェックします。

    • .printers ファイルに _default に設定されたプリンタ別名が見つからなかった場合は、SunSoft 印刷クライアントの /etc/printers.conf ファイルで構成情報をチェックします。

    • /etc/printers.conf ファイルにプリンタが見つからなかった場合は、(もしあれば) ネームサービス (NIS または NIS+) をチェックします。

プリンタを検出する際に SunSoft 印刷クライアントが用いる方法には、次の利点があります。

どこでネームサービスを使用するか

ネームサービスは、ネットワーク用のプリンタ構成情報を追加、変更、および削除するために最も効率的な方法を提供します。ほとんどすべてのサイトはネームサービスを使用することで大きな恩恵を受けます。1 つの例外は、2、3 台のプリンタと印刷クライアントしかない非常に小さなネットワークです。

SunSoft 印刷サーバー

概要のこの節では、ローカルプリンタが接続されていて、ネットワーク上の他のシステムにプリンタを利用できるようにするシステムである、印刷サーバーを中心に説明します。図 39-5 は、SunSoft 印刷プロセスの中で、印刷サーバーが印刷要求をプリンタに送信する部分を強調して示しています。

図 39-5 SunSoft 印刷サーバーが印刷要求をプリンタに送信する

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BSD 印刷プロトコル

Solaris 2.6 の SunSoft 印刷クライアントコマンドは、BSD 印刷プロトコルを使用します。このプロトコルの大きな利点の 1 つは、さまざまな印刷サーバーと通信できることです。

BSD 印刷プロトコルは業界標準です。幅広く使用され、さまざまなメーカーの異なるタイプのシステム間で互換性を提供します。Sun は、将来の相互運用性を提供するために、BSD 印刷プロトコルをサポートします。

次の手順

次に第 41 章「プリンタの設定手順」に進みます。

計画を立てるための情報が必要な場合は、第 40 章「ネットワーク上でのプリンタの計画方法の概要」を参照してください。