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Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition インストールガイド

第 1 章
インストールの準備

この章では、Sun Open Net Environment (Sun ONE) Application Server 7, Enterprise Edition ソフトウェアコンポーネント、インストールの選択の範囲と制限、Application Server 環境のシステム要件について説明します。

ここでは次の項目について説明します。

インストールに関する最新情報については、『Sun ONEApplication Server リリースノート』を参照してください。

インストール後、Sun ONE Application Server ソフトウェアを設定する方法について、『Sun ONE Application Server 管理者ガイド』を参照してください。

次の Web ページには、技術情報、ディスカッションフォーラム、ツールとユーティリティ、製品のダウンロードなど、役に立つ情報が用意されています。

http://wwws.sun.com/software/products/appsrvr/home_appsrvr.html


インストールの概要

Sun ONE Application Server 7 Enterprise Edition の各機能の実装の手順は、必ずしも単純なものではありません。特に、高可用性データベース (HADB) やクラスタリング、フェイルオーバー、それにロードバランスに関する手順の複雑さは、シナリオやインストールの種類によって異なります。

表 1-1 の概要には、Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition ソフトウェアを完全に実装するために必要は高レベルのタスクを説明しています。右側の列には、タスクの説明が記載されている箇所が示されています。

表 1-1 インストールの概要 

手順

タスクの説明

説明の記載箇所

1

高可用性の設定を決定し、システムをセットアップします

システム配備ガイド

2

Enterprise Edition の要件が満たされていることを確認します

「インストールの要件」
プラットフォームの概要

3

ソフトウェアコンポーネントをインストールします

「Enterprise Edition ソフトウェアのインストール」

4

HADB ホストの共有メモリーを設定します

「共有メモリーとセマフォの設定」

5

SSH または RSH を使用して、HADB 管理クライアントの通信を設定します

「ホスト通信の設定」

6

HADB 管理クライアントの環境変数を設定します

「ユーザー環境の設定」

7

基本クラスタを設定します

「clsetup コマンドの使用」

8

アプリケーションサーバーインスタンスを起動します

「サーバーの起動と停止」

9

ロードバランサプラグインをインストールします

「ロードバランサプラグインのインストール」

10

loadbalancer.xml ファイルを設定します

管理者ガイド、ロードバランサの設定

11

高可用性の設定を調整します

管理者ガイド、HADB 設定
管理者ガイド、セッション持続性

12

インストールされているクラスタを管理します

管理者ガイド、クラスタ管理

この高レベルな概要のほか、付録 A 「インストールのチェックシート」に、チェックリスト形式でインストールの概略を示す手順が示されています。

Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition のマニュアルは、製品に付属のマニュアル CD にあります。


インストールコンポーネント

Sun ONE Application Server Version 7, Enterprise Edition 製品は、連動してApplication Server プラットフォームを作成する次のようなソフトウェアコンポーネントで構成されています。

Application Server

このコンポーネントは Sun ONE Application Server ソフトウェアのコアコンポーネントを含み、J2SE コンポーネントに依存します。Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition の機能の詳細については、『新機能』と『製品の概要』を参照してください。

管理

管理インタフェースとコマンド行インタフェースは、Application Server コンポーネントのインストール時に自動的にインストールされます。管理インタフェースが起動すると、Application Server グラフィカルインタフェースの初期ページが表示されます。

グラフィカルインタフェースでもコマンド行インタフェースでも、サーバーとその管理下に置かれるアプリケーションを管理および設定できます。アプリケーションを配備することもできます。

管理ツールの詳細な使用方法については、『Sun ONE Application Server 管理者ガイド』、管理インタフェースのオンラインヘルプ、asadmin および hadbm のマニュアルページを参照してください。

管理クライアント

管理クライアントは、Application Server の独立したコマンド行コンポーネントです。Sun ONE Application Server コンポーネントのインストール時に自動的にインストールされ、J2SE コンポーネントに依存しています。

Application Server がインストールされていない場合でも、このクライアントのコマンド行バージョンを別途インストールすることもできます。そのためには、インストール時に Sun ONE Application Server コンポーネントではなく Sun ONE Administration Client コンポーネントを選択してください。

Java 2 Software Development Kit (J2SE)

Sun ONE Application Server 製品には、J2SE 1.4.1_03 が必要です。これにより、J2SE 1.4 プラットフォームで改良されたパフォーマンスおよび機能を利用できます。

システムにインストールされている J2SE のバージョンが適切であれば、インストール時に、その J2SE コンポーネントを再度使用するように指定することもできます。


Sun ONE Application Server 7 は、Sun Microsystems 製の J2SE 1.4.1_03 でのみ動作することが保証されています。サードパーティの J2SE 開発キットはバージョンに関係なくサポート対象外です。


J2SE はデフォルトでは次の場所にインストールされます。/usr/j2se

Sun ONE Message Queue

Sun ONE Message Queue, Platform Edition softwareは、JMS (Java Message Service) 1.0.2 仕様の製品版実装です。Application Server ソフトウェアのインストール時に自動的にインストールされます。

Sun ONE Message Queue の Platform Edition は、次の Message Queue 機能がないという点で Enterprise Edition と異なります。

詳細については、次の場所にある Sun ONE Message Queue のマニュアルセットを参照してください。

http://docs.sun.com/db/prod/s1.s1msgqu?l=ja#hic

サンプルアプリケーション

Sun ONE Application Server Version 7, Enterprise Edition 製品には 60 以上のサンプルアプリケーションが含まれ、Application Server ソフトウェアをインストールすると使用できるようになります。このコンポーネントは Application Server コンポーネントに依存します。

すべてのサンプルには、ソース、スキーマ、Ant ビルドスクリプト、EAR ファイルが付属しています。これらのサンプルアプリケーションは、次のように分類できます。

サンプルアプリケーションのインストール先は、次のとおりです。

サンプルの詳細については、次のファイルを参照してください。

Always-On (常時配信) テクノロジのコンポーネント

Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition には、複数層、複数マシンのクラスタ化されたアプリケーションサーバーの配備をサポートする、Always-On (常時配信) テクノロジが組み込まれています。また、Web サーバープラグインを使用した Web 層でのロードバランス、およびアプリケーショントラフィックの分配をサポートしています。

Always On (常時配信) テクノロジのさまざまなトポロジについては、『Sun ONE Application Server システム配備ガイド』を参照してください。Application Server の高可用性の設定と管理の手順については、『Sun ONE Application Server 管理者ガイド』を参照してください。

次のインストールコンポーネントは、常時配信テクノロジの基本を提供します。

高可用性データベース (HADB)

Application Server は、トランザクション型の、可用性とスケーラビリティに優れたセッション状態を持続するインフラストラクチャを提供します。Application Server は、HADB を使用してセッション情報を格納します。

このコンポーネントの追加情報については、『Sun ONE Application Server 管理者ガイド』の「HADB 設定」の章を参照してください。

HADB 管理クライアント

HADB 管理クライアントは、HADB 用のコマンド行インタフェースです。HADB の設定、実行時管理、および監視を実行するためのユーティリティ一式を入手できます。

これらのユーティリティの使用方法は、『Sun ONE Application Server 管理者ガイド』、hadbm のマニュアルページ、および asadmin セッション持続性のマニュアルページに記載されています。

ロードバランサプラグイン

ロードバランサは、着信 HTTP 要求を受け取ってクラスタ内のインスタンスを通して配信します。また、ロードバランサにより、インスタンスが使用できなくなったときにセッションを新しいインスタンスにフェイルオーバーしたり、ユーザーがインスタンスをオフラインにする前に休止したりできます。

Application Server の高可用性ロードバランサプラグインは、HTTP リバースプロキシプラグインの拡張版です。また、サードパーティのロードバランサを使用することもできます。このコンポーネントは、プリインストールされた Web サーバーに依存しています。サポートされている Web サーバーは、『Sun ONE Application Server プラットフォームの概要』にリストされています。

このコンポーネントの追加情報については、「ロードバランサプラグインのインストール」および『Sun ONE Application Server 管理者ガイド』の「ロードバランスの設定」を参照してください。


インストール方法

Sun ONE Application Server は、コマンド行インタフェースまたはグラフィカルインタフェースを使ってインストールまたはアンインストールできます。グラフィカルインタフェースまたはコマンド行インタフェースのどちらかを使って、対話形式でインストールできます。また、サイレントモードを使って、1 台または複数のマシンに対して同じ条件でインストールすることもできます。

部分インストールまたは増分 (2 回目以降の) インストールがサポートされています。どちらかの対話モードを使って、部分インストールを実行し、あとから増分インストールを何回でも実行できます。サイレントモードの場合、部分的な初期インストールを実行できますが、2 回目以降のインストールでは対話モードを使用する必要があります。

インストールプログラムやアンインストールプログラムはコンポーネントの依存関係をチェックし、依存しているコンポーネント抜きでコンポーネントをインストールしたりアンインストールすることは許可しません。

次の節では、さまざまなインストール方法について説明します。

グラフィカルインタフェース方式

グラフィカルインタフェースを使ってインストールを行う場合は、対話形式のグラフィカルなダイアログボックスが表示されます。

グラフィカル (デフォルト) 方式を使ったインストールプログラムの起動 :

グラフィカル (デフォルト) 方式を使ったアンインストールプログラムの起動 :

コマンド行インタフェース方式

コマンド行インタフェースを使う場合、グラフィカルインタフェースによるインストールと手順は同じですが、グラフィック対応の表示は行われません。

コマンド行方式でインストールプログラムを実行するには、次のコマンドを入力します。

コマンド行方式でアンインストールプログラムを実行するには、次のコマンドを入力します。

Telnet でリモートサーバーにアクセスしている場合は、コマンド行インタフェースを使って対話形式で製品をインストールできます。


セキュリティ強化された Solaris オペレーティング環境の場合、コマンド行方式を使う必要があります。セキュリティ強化された環境でインストールプログラムを起動するには、「セキュリティ強化された Solaris オペレーティング環境の要件」の手順を実行する必要があります。


サイレントモード

サイレントモードを使用すると、対話式インストールの実行中に作成されたパラメータファイルに基づいて、スクリプトによるインストールを実行できます。サイレントモードでは、Application Server はユーザーは何も操作を行わずにインストールまたはアンインストールされます。インストール設定ファイルを参照することで、対話形式でインストールまたはアンインストールされたコンポーネントは、1 つまたは複数のサーバーで自動的にインストールまたはアンインストールされます。

サイレントモードの詳細な使用方法については、「サイレントモードでのインストール (非対話型)」および「サイレントモードでのアンインストール (非対話型)」を参照してください。


製品の配布

Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition ソフトウェアは、CD-ROM から入手できます。Enterprise Edition のライセンスは自動的に製品とともにインストールされ、使用期限はありません。その他のライセンスで Enterprise Edition のライセンスに変更できるものはありません。

パッケージベースのモデルによるインストールでは、コンポーネントがパッケージとしてインストールされます。デフォルトでは、インストール先は 3 つのディレクトリルートにまたがります。


インストールの要件

この節では、Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition 製品のインストール前に必要な要件を示します。

プラットフォーム要件

表 1-2表 1-4 で、さまざまな高可用性の設定に対する Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition の要件の概略を示します。

設定 1

表 1-2 で、3 マシンタイプの設定を説明します。

設定 2

表 1-3 で、2 マシンタイプの設定を説明します。

設定 3

表 1-4 で、シングルマシンタイプの設定を説明します。

uname または showrev コマンドを使ってオペレーティングシステムのバージョンを確認できます。ディスク容量は df -k コマンドで確認できます。RAM は、prtconf または top コマンドを使ってチェックできます。

サポートされているディレクトリサーバー、Web サーバー、Web ブラウザなどの最新情報については、『Sun ONE Application Server プラットフォームの概要』を参照してください。

Solaris の要件

次のような Solaris 固有の要件を満たす必要があります。

Solaris 8 のパッチ要件


Solaris 8 システムには、「Sun 推奨パッチクラスタ」がインストールされている必要があります。このパッチクラスタにはこの節に一覧がある 3 つの必須パッチが含まれており、次の URL の「Recommended and Security Patches (推奨 & セキュリティパッチ)」から入手できます。

http://jp.sunsolve.sun.com/


Solaris 8 システムには、次の Solaris パッチをインストールする必要があります。

これらのパッチは、次のパッチ検索ページから個別に入手できます。

http://sunsolve.sun.com

共有 Message Queue ブローカの要件

Solaris 9 にバンドルされている Application Server ソフトウェアのアクティブなインストールがあるマシンに、バンドルされていないアプリケーションサーバーをインストールすると、これらのアプリケーションサーバーで Message Queue ブローカが共有されます。

このため、起動するドメイン名またはインスタンス名が重複していると、次のようなエラーメッセージが表示されます。

こうしたエラーを回避する方法については、『Sun ONE Application Server 管理者ガイド』の「JMS サポート」の章を参照してください。

セキュリティ強化された Solaris オペレーティング環境の要件

セキュリティ強化とは、既存のサービスや機能を、プラットフォームのセキュリティ全般が向上するようにカスタマイズすることです。通常、セキュリティ強化プロセスには、不必要なサービスの無効化、オブジェクト上の所有権とアクセス権の強化、デフォルト以外のログと監査のような各種セキュリティ機能の有効化などのタスクがあります。通常、セキュリティ強化されたオペレーティングシステムでは、GUI ベースのアプリケーションは実行できません。

セキュリティ強化された Solaris オペレーティング環境に Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition をインストールして使用するには、次の 2 つのライブラリが必要です。

これらのライブラリは、SUNWlibC (Sun Workshop Compilers Bundled libC) パッケージをインストールすることによって入手できます。このパッケージは、コアではなくエンドユーザーパッケージクラスタの Solaris の一部です。

一般的な要件

Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition 製品をインストールする前に、次の要件も満たしておく必要があります。

高可用性要件

高可用性環境の設定には、次の要件が重要です。

トポロジの計画

Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition ソフトウェアをインストールする前に、製品のトポロジ、つまり、使用可能なシステム上でホストされるコンポーネントを決定する必要があります。Sun ONE Application Server と HADB サーバーは、通常は 2 つの方法でホストされます。

どちらの場合も、高可用性を実現するには、コンポーネントごとに最低 2 つのシステムが必要です。

インストールプログラムは明示的なコンポーネントの依存関係を適用しますが、それ以外では、特定のマシンにインストールできる製品コンポーネントの組み合わせを制限しません。結果として、考えられる製品トポロジの数は非常に多くなります。

Always-On (常時配信) テクノロジに対して実装できるさまざまなトポロジの詳細については、『Sun ONE Application Server Operational Deployment Guide』の Enterprise Edition を参照してください。

容量に関する注意事項

HADB の再分割には追加の容量が必要なため、データデバイスは容量の 50% を超えて使用しないでください。再分割が失敗した場合は、デバイスがいっぱいになっていて、十分な容量がない可能性があります。デバイスが容量の 80% または 90% で稼働しているときに再分割が失敗した場合は、HADB をクリアすることが必要になります。つまり、データベースとセッションスキーマからすべてのデータを削除しなければならなくなります。

hadbm deviceinfo コマンドを使ってデバイスの容量を監視することは重要です。デバイスの容量が 50% を超えると、追加のノードを追加する必要があります。詳細と手順については、『Sun ONE Application Server 管理者ガイド』および『Sun ONE Performance Tuning Guide』を参照してください。

Web サーバーのインストール

インストールプロセスを始める前に、ロードバランサプラグインのインストール先のマシンに Web サーバーがインストールされている必要があります。

現在サポートされているバージョンは次のとおりです。

Sun ONE Web Server のインストールについては、次の URL にある『iPlanet WebServer インストールガイド』を参照してください。

プラグインのインストール手順については、「ロードバランサプラグインのインストール」を参照してください。

共有メモリーの設定

HADB の設定を始める前に、HADB ホストの共有メモリーを設定する必要があります。これは、高可用性コンポーネントをインストールする前でも後でも実行できます。詳細については、「共有メモリーとセマフォの設定」を参照してください。

リモートアクセスの設定

HADB を設定する前に、HADB ホスト上のリモートアクセスを設定して、高可用性の管理クライアントが HADB ノード間で通信できるようにする必要があります。これは、高可用性コンポーネントをインストールする前でも後でも実行できます。OpenSSH/SSH または RSH の設定手順については、「ホスト通信の設定」を参照してください。


マニュアルの参照方法

Sun ONE Application Server のマニュアルは、様々な方法で入手できます。



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