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Sun ONE Message Queue 管理者ガイド |
第 3 章 MQ の管理
MQ の管理には、さまざまなタスクとこれらのタスクを実行するためのさまざまなツールがあります。この章では、管理タスクの概要を述べてから、コマンド行管理ユーティリティの共通機能に的を絞って、管理ツールについて説明します。
MQ の管理タスク
開発環境、または運用環境のどちらにいるかによって、実行が必要な特定のタスクが変わります。
開発環境
開発環境では、作業は MQ のクライアントアプリケーションのプログラミングに重点が置かれます。MQ メッセージサーバは、主にテストのために必要となります。開発環境では、テストで使用するための開発者用のブローカの起動が大部分を占めているため、柔軟性に重点が置かれ、管理は最小限になります。一般的に、デフォルトで実装されているデータストア、ユーザリポジトリ、アクセス制御プロパティファイル、およびオブジェクトストアは、開発テストに適しています。複数のブローカのテストを実行する場合、マスターブローカは使用しません。また、テストを行うアプリケーションでは、一般的に自動作成された送信先を使用するので、集中管理される管理対象オブジェクトは使用しません。
運用環境
運用環境では、アプリケーションは確実に配置および実行される必要があるため、管理はより重要になります。実行が必要な管理タスクは、メッセージングシステムの複雑さとメッセージングシステムがサポートするアプリケーションの複雑さによって異なります。しかし、一般的にこれらのタスクは、セットアップ操作とメンテナンス操作に分類することができます。
セットアップ操作
通常、次のセットアップ操作のうち少なくとも一部を実行する必要があります。
セキュリティ (第 8 章「セキュリティ管理」を参照)
ファイルベースのユーザリポジトリにエントリを作成するか、あるいはブローカを設定して、既存の LDAP ユーザリポジトリを使用する
管理対象オブジェクト (第 7 章「管理対象オブジェクトの管理」を参照)
アクセス制御プロパティファイルのアクセス設定を変更する
- (少なくとも、管理機能をパスワードで保護する必要がある)
ブローカのクラスタ (「ブローカクラスタの操作」を参照)
持続 : ブローカを構成して、組み込み持続ではなく、プラグイン持続を使用する (付録 A 「プラグイン持続の設定」を参照)
メンテナンス操作
さらに、運用環境では、MQ メッセージサーバのリソースを厳しく監視し、制御する必要があります。アプリケーションのパフォーマンス、信頼性、およびセキュリティが重視されるため、次に示すさまざまな運用タスクを MQ の管理ツールを使用して実行する必要があります。
アプリケーション管理
ブローカの自動作成機能を無効にする (表 2-9 を参照)
ブローカの管理および調整アプリケーションのために、物理的な送信先を作成する (「送信先の作成」を参照)
送信先へのユーザアクセスを設定する (「ユーザの承認: アクセス制御プロパティファイル」を参照)
送信先を監視および管理する (「送信先の管理」を参照)
永続サブスクリプションを監視および管理する (「永続サブスクリプションの管理」を参照)
トランザクションを監視および管理する (「トランザクションの管理」を参照)
管理対象オブジェクトの管理
必要に応じて、追加の ConnectionFactory と送信先の管理対象オブジェクトを作成する
ConnectionFactory の属性値を調整して、パフォーマンスとスループットを改善する (「コネクションファクトリ管理対象オブジェクト」を参照)
MQ 管理ツール
MQ の管理ツールは、コマンド行ユーティリティとグラフィカルユーザインタフェース (GUI) 管理コンソールの 2 つのカテゴリに分類されます。コンソールは、ユーティリティ (imqcmd) と Object Manager ユーティリティ (imqobjmgr) の 2 つのコマンド行ユーティリティの機能を兼ね備えています。コンソール (および、これらの 2 つのコマンド行ユーティリティ) を使用すると、ブローカをリモートで管理したり、MQ の管理対象オブジェクトを管理したりすることができます。その他のコマンド行ユーティリティ (imqbrokerd、imqusermgr、imqdbmgr、および imqkeytool) は、図 3-1 に示すように、関連するブローカと同じホスト上で実行する必要があります。管理コンソールに関する情報は、オンラインヘルプから入手できます。通常、特殊なタスクを実行するのに使用するコマンド行ユーティリティについては、「コマンド行ユーティリティの概要」で説明します。
管理コンソール
管理コンソールを使用すると、次のタスクを実行できます。管理コンソールでは、実行できないタスクがいくつかあります。これには、ブローカの起動、ブローカのクラスタの作成、ブローカの特殊なプロパティの設定、ユーザデータベースの管理などが挙げられます。
第 4 章「管理コンソールのチュートリアル」では、コンソールについて説明し、コンソールを使用した基本的なタスクの実行方法を示した簡単で実践的なチュートリアルが用意されています。
コマンド行ユーティリティの概要
この節では、MQ の管理タスクを実行する際に使用するコマンド行ユーティリティについて説明します。ブローカの起動と管理、その他の特殊な管理タスクを実行する場合に、MQ のユーティリティを使用します。
図 3-1    ローカルおよびリモートの管理ユーティリティ
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MQ のユーティリティはすべて、コマンド行インタフェース (CLI) からアクセスできます。ユーティリティコマンドは、この章の後続の節で説明するように、共通の形式、構文規則、およびオプションを共有します。コマンド行ユーティリティの使用方法については、後続の章でさらに詳しく説明します。
ブローカ (imqbrokerd) ブローカを起動するには、ブローカーユーティリティを使用します。imqbrokerd コマンドのオプションを使用して、クラスタ内でブローカを接続するかどうかを指定したり、追加の設定情報を指定したりします。このユーティリティについては、第 5 章「ブローカの起動と設定」で説明します。
コマンド (imqcmd) ブローカの起動後に、コマンドユーティリティを使用して物理的な送信先の作成、更新、および削除、ブローカとブローカのコネクションサービスの制御、およびブローカのリソースの管理を行います。このユーティリティを実行するには、imqcmd コマンドを使用します。このユーティリティについては、第 6 章「ブローカとアプリケーションの管理」で説明します。
オブジェクトマネージャ (imqobjmgr) オブジェクトマネージャユーティリティを使用して、JNDI を介したアクセスが可能なオブジェクトストア内の管理対象オブジェクトの追加、一覧表示、更新、および削除を行います。管理対象オブジェクトを使用すると、JMS プロバイダ固有の命名および設定形式から独立するため、クライアントアプリケーションは移植可能になります。このユーティリティを実行するには、imqobjmgr コマンドを使用します。このユーティリティについては、第 7 章「管理対象オブジェクトの管理」で説明します。
ユーザマネージャ (imqusermgr) ユーザマネージャユーティリティを使用して、ユーザの認証および承認に使用するファイルベースのユーザリポジトリを設定します。このユーティリティを実行するには、imqusermgr コマンドを使用します。このユーティリティについては、第 8 章「セキュリティ管理」で説明します。
キーツール (imqkeytool) キーツールユーティリティを使用して、SSL 認証用の自己署名付き証明書を生成して、MQ のキーストアファイルに配置します。このユーティリティを実行するには、imqkeytool コマンドを使用します。このユーティリティについては、第 8 章「セキュリティ管理」で説明します。
データベースマネージャ (imqdbmgr) データベースマネージャを使用して、持続ストレージ用の JDBC 互換のデータベースを作成および管理します。このユーティリティを実行するには、imqdbmgr コマンドを使用します。詳細は、付録 A 「プラグイン持続の設定」を参照してください。
サービス管理 (imqsvcadmin) サービス管理ユーティリティを使用して Windows のサービスとして、ブローカをインストール、クエリ、および削除します。詳細は、付録 C 「Windows のサービスとしてのブローカの使用」を参照してください。
コマンド行の構文
MQ のコマンド行インタフェースユーティリティは、単純なシェルコマンドです。つまり、それらのシェルコマンドが入力される Windows、Linux、または Solaris のコマンドシェルの観点から、ユーティリティ自体の名前がコマンドとそのサブコマンドになるか、あるいはオプションが単純にそのコマンドに渡される引数になります。したがって、ユーティリティ自体を起動または終了するコマンドはなく、そのようなコマンドは必要ありません。コマンド行ユーティリティはすべて、次のコマンド構文を共有します。
Utility_Name は、imqcmd、imqobjmgr、imqusermgr などの MQ ユーティリティの名前を指定します。
一部のコマンドのオプションである Subcommand_Clause は、次のような構文になります。
次の 4 つの点に注意してください。
ユーティリティが両方のタイプの引数を受け入れる場合、サブコマンド (およびターゲット) の後にオプションを指定する
次に、サブコマンド句のないコマンド行の例を示します。このコマンドでは、デフォルトのブローカが起動します。引数に空白文字が入る場合、引数全体を引用符で囲む。通常、属性と値の組み合わせは引用符で囲んでおくことが望ましい
コマンド行で -v (バージョン) オプション、または -h/-H (ヘルプ) オプションを指定する場合、そのコマンド行ではほかのオプションを実行できない。共通オプションについては、表 3-1 を参照
次のコマンドは、少し複雑になります。管理者 (ユーザ) 名が admin で、対応するパスワードも admin の myQueue という名前が付いた queue タイプの送信先が破棄されます。この場合、確認は行われず、コンソールには何も出力されません。
共通のコマンド行オプション
MQ の管理ユーティリティ全体に共通するオプションを表 3-1 に示します。コマンド行でサブコマンドを指定した後に、これらのオプションを指定するという要件は別として、次に示すオプション (または、ユーティリティに渡されるその他のオプション) を特別な順序で入力する必要はありません。
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最終更新日 2002 年 6 月 19 日