この節では、データ格納の作成や変更のときに構成できるオプションについて説明します。また、これらの作業を行うための手順も詳しく説明します。
データ格納には最高 4 つの接尾辞を指定できます。1 つの接尾辞は 1 つの名前付きコンテキストに対応します。名前付きコンテキストという用語は、データ格納接尾辞の下にあるサブツリーにも使用します。管理コンソールの「データ格納 (Data Store)」には、データ格納にあるすべての名前付きコンテキストが表示されます。このリストには、データ格納接尾辞と、それらのデータ格納接尾辞の下に作成された名前付きコンテキストが含まれています。
名前付きコンテキストの識別名は、検索などのディレクトリ操作や LDAP クライアントアプリケーションの構成を行うときに指定する基本識別名に対応します。
識別名には、OSI ツリー構造 (たとえば、o=XYZ, c=US) に適合した識別名か、一連のドメイン構成要素によって会社の DNS ネーミング構造 (たとえば、dc=XYZ, dc=COM) を反映した識別名を指定できます。
データ格納には、マスター名前付きコンテキストと複製 (スレーブ) 名前付きコンテキストを混在して持つことができます。また、この一部またはすべてを他のサーバーへ複製できます。複製については、第 9 章「複製の実装」を参照してください。
データ格納の識別名は、データ格納が空のときしか変更できません。
ディレクトリから取り出された情報はキャッシュに保存されます。キャッシュがいっぱいになると、最も古いエントリが廃棄され、新しい情報用の領域が作成されます。キャッシュから情報を取り出す方がデータベースからエントリを取り出すより高速ですが、大きなキャッシュには大きなメモリーが必要です。
輻輳しきい値は、リソースが不足したときに新しい操作の起動を防ぐことによって、ディレクトリが過負荷にならないようにするものです。
使用可能なディスク容量が「輻輳限度」に達すると、追加操作はそれ以上行われません。ただし、変更、相対識別名の変更 (modrdn)、検索、読み取り、および削除の操作は行われます。デフォルトの限度は 500K バイトです。
データベースが「危険限度」に達すると、検索、読み取り、および削除の操作は行われますが、追加、変更、および modrdn の操作は行われません。デフォルトの限度は 200K バイトです。
これらの制限は、残りのディスク容量が通常の「復帰限度」より大きくなるまで有効です。デフォルトの限度は 1000K バイトです。
不要なエントリを削除してもデータベースが輻輳限度に達する場合は、データベースの生成をやり直して、ディスク領域の使い方を最適化する必要があります。「データベースの再生成」を参照してください。
しきい値は、データ格納があるディスクの空き容量を K バイトで指定します。データ格納のデフォルトの場所は、/var/opt/SUNWconn/ldap/dbm です。
管理コンソールの「作成 (Create)」メニューから「データ格納... (Data Store...)」を選択します。
「データ格納の作成 (Create Data Store)」ウィンドウが表示されます。これは、図 4-2 の「データ格納の変更 (Modify Data Store)」ウィンドウとほぼ同じです。
「一般 (General)」セクションの「データ格納接尾辞 (Datastore suffix)」フィールドに、このデータ格納に格納する名前付きコンテキストの識別名を指定します。
複数の名前付きコンテキストを指定する場合は、「接尾辞を追加 (More suffixes)」ボタンをクリックします。
このデータベースを格納するディレクトリのパス名を指定します。
データ格納が読み取り専用かどうかを指定します。
デフォルトでは、読み取り専用ではありません。
最後の変更属性を記録するかどうかを指定します。
このオプションを有効 (On) にすると、作成者の識別名、作成タイムスタンプ、変更者の識別名、および変更タイムスタンプがエントリに追加されます。これによって、特定の日付や時刻より後に作成や変更がされたエントリのディレクトリを検索できます。この機能は、複数のデータ格納の変更を同期させたい場合や、部分的な複製を使用したい場合に便利です。
キャッシュサイズの限度をエントリ数とバイト数で指定します。
詳細は、「キャッシュへの保存」を参照してください。
詳細は、「輻輳しきい値」を参照してください。
(省略可能) データベースのどの属性に索引を作成するかを指定します。
詳細は、「索引を作成するには」を参照してください。
「名前付きコンテキスト (Naming Contexts)」セクションで、このデータ格納に入れるマスターサブツリーとスレーブサブツリーを指定します。
これらは、データ格納に名前を付けるために使用する名前付きコンテキスト内のサブツリーまたはオブジェクトとなる名前付きコンテキストです。名前付きコンテキストを指定しないと、データ格納自体の識別名がマスター名前付きコンテキストのリストに自動的に追加されますが、この識別名は名前付きコンテキストの情報を保存するまで表示されません。詳細は、「名前付きコンテキスト」を参照してください。
「作成 (Create)」メニューから「名前付きコンテキスト... (Naming Contexts...)」を選択します。
「名前付きコンテキストの追加 (Add Naming Context)」ウィンドウが表示されます。図 4-3 は、「スレーブ (Slave)」モードを選択した場合に表示されるこのウィンドウの外観を示しています。
以下の情報を指定します。
サブツリーの種類 (サブツリーまたはオブジェクト)
「接尾辞 (Suffix)」フィールドにサブツリーまたはオブジェクトの識別名
モード (マスターまたはスレーブ)
名前付きコンテキストが複製 (スレーブ) の場合は、次の情報を指定します。
「マスターホスト名 (Master hostname)」フィールドにサーバー名。この複製はこのサーバーから複製されたものです。
マスターが変更を複製するためにバインドを開始したときに dspushd が使用する「マスター更新 DN (Master update DN)」
スレーブで更新をマスターからプルするかどうか。バインドパラメータの指定方法については、「複製を作成するには」を参照してください。
「了解 (OK)」をクリックして、名前付きコンテキストの情報を保存します。
「名前付きコンテキスト (Naming Contexts)」セクションに新しい名前付きコンテキストが表示されます。
(省略可能) 格納された名前付きコンテキストを別のサーバーへ複製できます。
複製する場合は、複製手順では名前付きコンテキストが自動的に作成されないため 手順 9 に従って、名前付きコンテキストをターゲットサーバーに作成する必要があります。詳細は、「複製の設定」を参照してください。
「データ格納の作成 (Create Data Store)」ウィンドウの「了解 (OK)」をクリックして、データ格納の定義を保存します。
データ格納のルートにディレクトリエントリを追加します。
エントリをディレクトリに追加する方法の詳細は、「ルートエントリの作成」を参照してください。このルートエントリを追加するまでは、データ格納にエントリを追加できません。
次のいずれかの手順を実行します。
データ格納を変更するには、変更するデータ格納を「データ格納 (Data Store)」リストから選択し、「選択 (Selected)」メニューから「データ格納を変更... (Modify Data Store...)」か「名前付きコンテキストを変更 (Modify Naming Context)」を選択します。
選択した状態でダブルクリックします。
データ格納または名前付きコンテキストの現在の特性が表示されます。データ格納が空でなければ、データ格納の接尾辞を除いて、構成のどの部分も変更できます。