TAS 5.2 にアップグレードするには、tnconvert ユーティリティーを実行する必要があります。tnconvert は、既存の TAS 構成ファイルを読み取り、それを変換して、変換結果を /etc/totalnet/convert ディレクトリに保存します。また、新しい TAS 5.2 起動キーを求めるプロンプトを表示して、指定された起動キーを保存します。tnconvert を実行するには、新しいキーが必要です。このプロセスによって、/etc/totalnet/convert/log.tnconv にログファイルが生成されます。インストールが終了すると、ポストインストールスクリプトが tnconvert によって保存された構成ファイルを復元し、新しい起動キーをインストールした後、必要なドライバをインストールして読み取ります。
tnconvert ユーティリティーは、管理ユーザーおよびグループの名前は変換しません。tnconvert を使用して、TAS 5.2 を TAS の以前のバージョンに変換することはできません。
アップグレード手順を実施する前に、以下の作業が必要です。
スーパーユーザーアクセス権を持っていることを確認します。
既存の TotalNET サーバーを削除していないことを確認します。
新しい起動キーを探します。SunLink PC クライアントの追加用に Sun Enterprise Services アップグレード契約を締結している場合は、該当するアップグレードパッケージが送付されます。アップグレード契約を締結していない場合は、Sun の販売代理店にお問い合わせの上、該当するパッケージをご購入ください。
アップグレードプロセスの詳しい説明については、「アップグレードの概要」を参照してください。
「アップグレード手順: TAS 5.x」または 「アップグレード手順: TAS 4.1.1.」を実行する前に、この項を読んでください。アップグレード手順には以下の作業が含まれます。
tnconvert ユーティリティーは TAS 構成ファイルをアップグレードします。tnconvert は、TAS 構成ファイルを読み取って変換し、出力結果を /etc/totalnet/convert のログファイルに書き込み、新しい起動キーを保存します。tnconvert の実行時には、以下の表のオプションを使用することができます。tnconvert の正確なコマンド行形式は、「アップグレード手順」の中の該当する手順を参照してください。
# tnconvert [-f] [-k activation-key] |
-f |
tnconvert が衝突の解釈処理を求めるプロンプトを表示しないようにします。このオプションを使用している場合は、tnconvert は事前に定義済みのデフォルト値を使用して衝突を解釈処理します。このオプションを使用しない場合は、衝突の解釈処理を求めるプロンプトが表示されます。 |
-k activation-key |
新しい起動キーを求めるプロンプトが表示されません。activation-key 変数には自身の起動キーを指定します。このオプションを使用しない場合、tnconvert は新しいキーを求めるプロンプトを表示します。 |
古い TAS パッケージを削除して新しいパッケージをインストールするには、以下の作業を実行します。
TAS システムの停止
ドライバのアンロード
パッケージの削除
プラットフォームに合った手順に従った、TAS 5.2 のインストール
TNHOME/usr/bin ディレクトリにある tnvolck コマンドは、TAS シャドウファイルをチェックします。tnvolck コマンドの実行時には、以下の表のオプションを使用できます。tnvolck の正確なコマンド行形式は、「アップグレード手順」の中の該当する手順を参照してください。詳細は、tnvolck の詳しい説明を参照してください。
# tnvolck [-a] [-y|-n] [-p] [volume[:file]] |
-a |
置換可能なパスを持つボリユームを除いて、定義済みのすべての TAS ボリュームをチェックします。このオプションを使用している場合は、volume と file を指定する必要はありません。 |
-y |
ユーザーがすべての質問に yes と応答し、ファイルやディレクトリにデフォルトの変更または指定された変更を加えることを望んでいると tnvolck に仮定させます (下記の -p を参照)。 |
-n |
ユーザーがすべての質問に no と応答すると tnvolck に仮定させます。こうすると、tnvolck を使用して、ボリュームを変更せずにボリュームをチェックできます。 |
-p |
名前に大文字/小文字が混在していても、ファイル名の中の既存の大文字/小文字を tnvolck に保管させます。このオプションは、ボリュームのファイル名の大文字/小文字属性を小文字に設定している場合のみ使用するようにします。このオプションを指定していない場合は、ファイル名を小文字に変換する前に、確認を求めるプロンプトが表示されます。 |
volume |
変換するボリュームを指定します。同じボリューム名を 2 回使用すると、最初のボリュームのみが走査されます。 |
file |
置換可能なパスを持つボリューム上で tnvolck を実行できるようにします。このオプションには、tnvolck が当該ボリュームに対して使用するディレクトリ名のリストが含まれています。tnvolck が置換可能なパスを持つボリュームを発見しても、ユーザーがファイルを指定していない場合は、tnvolck は警告を出力し、そのボリュームをスキップします。置換可能なパスの TAS サポートについての詳細は、『TAS Reference Manual』の tnvolume の説明を参照してください。このマニュアルには、TNAS の TotalAdmin メニューフレームの中の Documentation をクリックすればアクセスできます。 |
tnvolck コマンドは、ボリュームが置換可能なパスを持つ場合を除いて、それぞれのボリュームのパス属性の値をボリュームチェックの開始ポイントとして使用します。当該パスの下のそれぞれのファイルとディレクトリをチェックします。2 つのボリュームが同じパスに解釈処理されている場合は、tnvolck はそのパスを 1 回だけチェックします。1 つのパスに別のパスが含まれている場合は、tnvolck はサブディレクトリをチェックするので、レベルの高い方のパスを持つボリュームの名前のみを指定します。2 つのボリュームが同じパスに解釈処理されているか、または 1 つのボリュームに別のボリュームが含まれており、それぞれが異なるファイル名の大文字/小文字を持つ場合には、tnvolck はエラーメッセージを印刷して、両方のボリュームをスキップします。
atconvert ユーティリティーは、システム上のすべての TAS 4.1.1. Macintosh ボリュームを TAS 5.2 形式に変換します。atconvert は、ボリュームのディレトクリパスを表す dir 変数と共に使用します。atconvert の正確なコマンド行形式については、「アップグレード手順」の中の該当する手順を参照してください。大きなボリュームの中のファイルを新しいシャドウファイルのディレクトリ構造に変換するには、数分かかることがあります。詳細は、『TAS Reference Manual』の atconvert の説明を参照してください。このマニュアルには、TNAS の TotalAdamin メニューフレームの中の Documentation をクリックすればアクセスできます。
TAS 5.x から TAS 5.2 にアップグレードするには、以下の手順に従います。
すべてのボリュームを含めて、TAS の現在のバージョンをバックアップします。
TAS 5.2 CD をドライブに装着します。
以下のコマンドを使用して、ディレクトリを tnconvert の場所に変更します。ここで、mntpnt はマウント・ポイントを、OSversion は以下の表にある変換するプラットフォームの名前を表しています。
# cd /mntpnt/TAS/OSversion |
プラットフォーム |
OSversion |
---|---|
AIX |
aix4_1_4 |
SPARC 上の Solaris |
solaris2_5_1/sparc |
i386 上の Solaris |
solaris2_5_1/i386 |
HP 10.10 および 10.20 |
hpux10_20 |
IRIX 5.3 |
irix5_3 |
IRIX 6.x |
irix6_x |
以下の形式を使用して、tnconvert を実行します。コマンドオプションの詳細な説明は、表 2-1 を参照してください。
# tnconvert [-f] [-k activation-key] |
以下の例は、SPARC 上の Solaris の場合に、CD を装着して tnconvert を実行するコマンドのシーケンスを示しています。
# cd /cdrom/totalnet_advanced_server/TAS/solaris2_5_1/sparc # ./tnconvert |
tnconvert が正しく実行されたかどうかを確認するには、/etc/totalnet/convert ディレクトリの log.tnconv ファイルをチェックします。TAS 5.2 の tnconvert 用のログファイルには、それぞれの変換手順、元の構成のコピー、新しい構成のコピーなど、以前のリリースに比べて多くの情報が含まれています。
TAS と TotalAdmin を停止します。
# cd TNHOME/usr/sbin # ./tnshut # ./tas.sh stop totaladmin |
ドライバをアンロードします。
# ./tniunload # ./atunload |
Solais または AIX を使用している場合、すなわち、システムが NetBEUI を実行している場合は、tniunload と atunload に加えて nbuunload も実行します。
# ./nbuunload |
Solaris 上の TAS 5.1 の場合は、マルチユーザーカーネルのドライバを読み込んでいる場合には、submxunload を実行します。
# ./smbmxunload |
以下の表の該当する手順に従って、古いパッケージを削除します。
プラットフォーム |
コマンド/命令 |
---|---|
AIX |
smit を使用します。 |
SPARC/i386 |
コマンド pkgrm TAS TASDOC を実行し、TASDCE パッケージがインストールされている場合は、SPARC プラットフォーム用の pkgrm TASDCE を実行します。 |
HP 10.x |
コマンド swremove -x autoreboolt=true TAS TASDOC を実行します。 |
IRIX |
コマンド inst -a -R TAS を実行します。 |
プラットフォームに合った手順に従って、TAS 5.2 をインストールします。
tnvolck を実行します。以下の例は、tnvolck を実行して、TAS 内のすべてのボリュームと同期をとるコマンドのシーケンスを示しています。コマンドオプションの詳細な説明は、表 2-2 を参照してください。
# cd TNHOME/usr/bin # ./tnvolck -a |
TotalNET システムを起動します。
# cd TNHOME/usr/sbin # ./tnstart |
第 4 章「TAS の一般的な問題」を読んでください。
「TNAS への接続と文書へのアクセス」の手順に従って、TNAS に接続して、TAS を管理します。
アップグレードする場合には、初期設定を実行する必要はありません。
TAS 4.1.1 からアップグレードする場合には、以下の手順に従います。
すべてのボリュームを含めて、TAS の現在のバージョンをバックアップします。
TAS 5.2 CD をドライブに装着します。
以下のコマンドを使用して、ディレクトリを tnconvert の場所に変更します。ここで、mntpnt はマウント・ポイントを、OSversion は以下の表にある変換するプラットフォームの名前を表しています。
# cd /mntpnt/TAS/OSversion |
プラットフォーム |
OSversion |
---|---|
AIX |
aix4_1_4 |
SPARC 上の Solaris |
solaris2_5_1/sparc |
i386 上の Solaris |
solaris2_5_1/i386 |
HP 10.10 および 10.20 |
hpux10_20 |
IRIX 5.3 |
irix5_3 |
IRIX 6.x |
irix6_x |
下記の形式を使用して tnconvert を実行します。コマンドのオプションの詳しい説明は、「アップグレードの概要」を参照してください。
# tnconvert [-f] [-k activation-key] |
以下の例は、SPARC 上の Solaris の場合に、CD を装着して tnconvert を実行するコマンドのシーケンスを示しています。
# cd /cdrom/totalnet_advanced_server/TAS/solaris2_5_1/sparc # ./tnconvert |
tnconvert が正しく実行されたかどうかを確認するには、/etc/totalnet/convert ディレクトリの log.tnconv ファイルをチェックします。TAS 5.2 の tnconvert 用のログファイルには、それぞれの変換手順、元の構成のコピー、新しい構成のコピーなど、以前のリリースに比べて多くの情報が含まれています。
以下のコマンドシーケンスを使用して、TAS と TotalAdmin を停止します。
# cd /opt/TAS/tn # ./tnshut # cd totaladmin/W3/bin # ./tnadmin.sh stop |
ドライバをアンロードします。
# cd /opt/TAS/tn # ./tniunload # ./atunload |
Solais または AIX を使用している場合、すなわち、システムが NetBEUI を実行している場合は、tniunload と atunload に加えて nbuunload も実行します。
# ./nbuunload |
以下の表の該当する手順に従って、古いパッケージを削除します。
プラットフォーム |
コマンド/命令 |
---|---|
AIX |
smit を使用します。 |
SPARC/i386 |
コマンド pkgrm TAS TASDOC を実行します。 |
HP 10.x |
コマンド swremove -x autoreboolt=true TAS TASDOC を実行します。 |
IRIX |
コマンド inst -a -R TAS を実行し、次にディレクトリ /opt/TAS/tn と /opt/TAS を削除します。 |
プラットフォームに合った手順に従って、TAS 5.2 をインストールします。
以下の形式を使用して atconvert を実行します。dir 変数は、ボリュームのディレクトリパスを表しています。
# cd TNHOME/usr/bin # ./atconvert dir |
tnvolck を実行します。以下の例は、tnvolck を実行して、TAS 内のすべてのボリュームの同期をとるコマンドのシーケンスを示しています。コマンドオプションの詳細な説明を参照してください。
# ./tnvolck -a |
TotalNET システムを起動します。
# cd TNHOME/usr/sbin # ./tnstart |
第 4 章「TAS の一般的な問題」を読んでください。
「TNAS への接続と文書へのアクセス」の手順に従って、TNAS に接続して、TAS を管理します。
アップグレードする場合には、初期設定を実行する必要はありません。
tnvolck コマンドは、TAS ボリュームの下のファイルやディレクトリに、対応する TAS シャドウファイルの完全性があるかどうかをチェックします。
ボリュームのファイル名の大文字属性、小文字属性は、その命名規則を決定します。ファイル名の大文字属性、小文字属性が lower に設定されているボリュームについてのみ、ファイル名と同期をとる必要があります。デフォルトでは、ファイル名と同期をとる必要がある場合には、ファイル名を変換する前にユーザーの確認を求めるプロンプトが表示されます。
tnvolck コマンドは、対応する UNIX ベースファイルを持たなくなった TAS シャドウファイルがあるかどうかをチェックします。この条件が発生するのは、ユーザーが TAS コマンドの tnmv や tnrm の代わりに、mv や rm などの UNIX コマンドを使用して UNIX ファイルを移動したり削除した場合です。tnvolck コマンドはこれらのシャドウファイルを削除します。
tnvolck コマンドは、対応する UNIX ベースファイルと異なる所有者、グループ、およびモード情報を持つ TAS シャドウファイルがあるかどうかをチェックします。この条件が発生するのは、ユーザーが TAS コマンドの tnchown、tnchgrp、tnchmod の代わりに、chown、chgrp、chmod などの UNIX コマンドを使用して UNIX ファイルの所有権やモードを変更した場合です。tnvolck コマンドは、対応する UNIX ファイルの情報に合わせてシャドウファイルの情報を変更します。
tnvolck コマンドは、ファイルの UNIX 名がファイルが置かれている TAS ボリュームの命名規則に準拠しているかどうかをチェックします。名前が指定された規則に準拠していない場合は、tnvolck は名前の同期をとろうとします。
-p オプションを指定すると、tnvolck は、確認を求めるプロンプトを表示せずにファイル名の大文字/小文字を保存します。tnvolck は、ファイルの変更やシャドウファイルの削除の前に、ユーザーの確認を求めるプロンプトを表示します。
-y オプションを指定すると、tnvolck はユーザーがすべての質問に y と応答したかのように動作します。確認を求めるプロンプトは表示しません。このオプションは、tnvolck にシャドウファイルと同期をとらせる場合のみ使用します。
-n オプションを指定すると、tnvolck はユーザーがすべての質問に n と応答したかのように動作します。確認を求めるプロンプトは表示しません。不一致が見つかると、tnvolck はエラーメッセージを出力します。このオプションは、tnvolck にシャドウファイルの同期をとらずにボリュームをチェックするときのみ使用します。
# tnvolck [-a] [-y|-n] [-p] [volume[:file]] |
-a |
置換可能なパスを持つボリュームを除くすべての TAS ボリューム上で tnvolck を実行します。 |
-y |
tnvolck によるすべての質問にユーザーが yes と応答すると仮定します。 |
-n |
tnvolck によるすべての質問にユーザーが no と応答すると仮定します。 |
-p |
ファイル名の変換を抑制します。 |
volume |
ボリュームを指定します。 |
file |
有効なディレクトリパスのリストを含むファイル名を指定します。このオプションは、ボリュームがそのパス属性に対して置換可能なパスを持つ場合のみ使用します。このファイルに定義されるディレクトリパスがボリュームのパス属性と置換されます。tnvolck が置換可能なパスを持つボリュームを発見したが、ユーザーがファイルを指定していない場合は、tnvolck は警告メッセージを出力して、そのボリュームをスキップします。パス置換のため TAS がサポートするエスケープシーケンスについての詳細は、『TAS Reference Manual』の tnvolume コマンドの説明を参照してください。このマニュアルには、TNAS の TotalAdmin メニューフレームの中の Documentation をクリックすればアクセスできます。 |
以下のコマンドを使用して、ボリューム myvol の中のシャドウファイルを調べて整理します。
# tnvolck myvol |
以下のコマンドを使用して、置換可能なパスを持つボリューム mybin の中のシャドウファイルを調べて整理します。次に、ディレクトリ名のリストを含む ASCII ファイルであるファイル /tmp/mydoc.txt に含まれるパスにそのボリュームのパスを置換します。/tmp/mydoc.txt の中の各行にはディレクトリパス名が含まれています。たとえば、このファイルには、/home/simon、 /home/steven、/home/emily などのエントリが含まれています。
# tnvolck mybin:/tmp/mydoc.txt |
以下のコマンドを使用して、TAS 構成ファイルにあるすべての TAS ボリュームを調べて整理します。
# tnvolck -a |
以下のコマンドを使用して、ボリューム saleorders を調べて整理し、すべての質問に yes と応答すると仮定します。
# tnvolck -y saleorders |
以下のコマンドを使用して、ボリューム singular を調べますが、このボリューム上ではディレクトリの同期や整理は実行しません。
# tnvolck -n singular |
以下のコマンドを使用して、ボリューム spartacus を調べて整理し、ファイル名変換を抑制します。
# tnvolck -p spartacus |