このマニュアルでは、Sun(TM) WorkShop(TM) TeamWare (以降、TeamWare) コード管理ツールの使用方法について説明します。ツールの概念や機能などは、コマンド行インタフェース (CLI) とグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) のどちらにも適用されます。
このマニュアルはソフトウェア開発者を対象としていますが、コード管理に関わりのある作業を行なっている、統合担当者、システム管理者、およびリリースエンジニアも対象としています。
通常、コード開発者は、統合領域またはワークスペースからコードを持ってきて、以下の作業を行います。
プログラムモジュールに新機能を追加する
プログラムのテストおよびデバッグを行う
コードを実装領域または統合ワークスペースに戻す
ワークスペース管理ツールに関する記述は、ソフトウェアの開発やテストを行う方を対象としています。また、コードの統合担当者、システム管理者、リリースエンジニアにも便利な情報が書かれています。
ASCII テキストのソースプログラムを作成する場合は、バージョン管理とフリーズポイントに関する章を参照してください。これらの章は、プログラミングの構成とプロセスに精通していることを前提としています。ソースコード管理システム (SCCS) の使用経験は問いません。
構築ツールおよび分散メークに関する章は、標準の make ユーティリティについて書かれたドキュメントの補足となるものです。構築ツールおよび分散メークを使用してプログラムの構築プロセスをより効率的に処理する方法について説明しています。make ユーティリティを使用してプログラム管理する上で、構築処理をより短時間に行いたい場合にお読みください。これらの章は、読者が標準の make ユーティリティに関して十分な知識を持っていることを前提としています。
このマニュアルは、Solaris システムおよび UNIX コマンドに関するある程度の知識を持っていることを前提としています。
このマニュアルは次の章から構成されています。
第 1 章「TeamWare の各ツールの基本的な使用法」 Sun WorkShop TeamWare コード管理ツールの使用方法について簡単に説明します。
第 2 章「ワークスペース管理の概要」 ワークスペース管理ツールの概要について説明し、ワークスペース管理ツールを使用した事例を紹介します。
第 3 章「ファイルマージの概要」 ファイルマージの概要および GUI について説明します。
第 4 章「プロジェクトの開始」 TeamWare 環境で新しいプロジェクトを開始したり、既存のプロジェクトを TeamWare を使用する開発環境に移行する方法を説明します。
第 5 章「ワークスペース管理ツールのユーザーインタフェース」 ワークスペース管理ツールの、ユーザーインタフェース (CLI および GUI ) について説明します。
第 6 章「ワークスペースの操作と設定」 ワークスペース管理ツールを使用して、ワークスペースを操作したり、ワークスペースの属性などの設定内容を変更したりする方法について説明します。
第 7 章「ワークスペース間でのファイルのコピー」 ワークスペース間でファイルをコピーするための、ワークスペース管理ツールのトランザクションについて説明します。
第 8 章「衝突の解決」 親ワークスペースと子ワークスペース間のファイルの衝突を解決する手順について説明します。
第 9 章「SCCS ファイルのマージ」 ワークスペース管理ツールが、ファイル転送トランザクション中に SCCS 履歴ファイルをどのように操作するかについて説明します。
第 10 章「ワークスペース管理ツールの利用法」 ワークスペース管理ツールをどのように使用して、ブリングオーバー、プットバック、衝突解決の各トランザクションを行うかについて、例をあげて説明します。
第 11 章「バージョン管理ツールの使用」 ファイルのチェックアウトと編集、新しいファイルのチェックイン、デルタの相違の表示など、バージョン管理ツールを使用して実行できる一般的な SCCS 機能について説明します。さらに、基本的な作業の操作手順を説明します。
第 12 章「ファイルマージの起動とファイルの読み込み」 ファイルマージの起動やファイルの読み込みについて、およびファイルマージを使用してファイルをマージする方法について説明します。GUI の概要やコマンド行オプションについても説明します。
第 13 章「相違の検討」 ファイルマージを使用してファイル間の相違をマージして解決する過程を、自動マージの場合も含めて解説し、例を示します。
第 14 章「フリーズポイントツールの使用」 フリーズポイントツールを使用して、プロジェクトのスナップショットを作成する方法を紹介します。GUI の概要を示し、このツールをほかの TeamWare 開発ツールと組み合わせて使用する方法についても説明します。
第 15 章「問題の解決」 バージョン管理ツールやフリーズポイントツールを使用中に問題が発生した場合のための、チェックリストを示します。問題を報告する方法、エラーメッセージの意味と対処法についても説明します。
第 16 章「TeamWare でのプログラム構築」 TeamWare の特殊ターゲットを使用した構築処理について説明し、構築エラーを修正するためのヒントも示します。
第 17 章「分散メーク (dmake) ユーティリティの使用」 dmake ツールを使用して、複数のホスト上に構築を分散し並列処理を行う方法を紹介します。dmake の操作方法について説明し、構築を効果的に分散する方法を解説します。
第 18 章「エラーメッセージと警告メッセージ」 ワークスペース管理におけるエラーメッセージおよび警告メッセージの一覧になっています。各メッセージの定義と対処法の一例を示します。
付録 A 「SCCS マージ可能 ID について」 SCCS マージ可能 ID (SMID) が必要な理由と、SCCS デルタ ID (SID) から SMID へ、さらには SMID から SID への翻訳方法について説明します。
用語集 このマニュアルで使用している用語について説明します。
Solaris の最新リリースの名前は Solaris 7 ですが、コード名、パス名 (パッケージのパス名など) には Solaris 2.7 または SunOS 5.7 という名前が含まれていることがあります。その場合は、Solaris 2.7 または SunOS 5.7 を含む名前をそのまま使用してください。
Sun WorkShop のマニュアルの内容は、Solaris 2.5.1、Solaris 2.6、Solaris 7 オペレーティングシステムのいずれかを実行する以下のプラットフォームを対象としています。
SPARC(TM) プラットフォーム
x86 プラットフォーム
x86 とは、Intel の Intel 80386、Intel 80486、Pentium またはその同等品を意味します。
x86 とは、Pentium、Pentium Pro、Pentium II プロセッサおよび、これらと互換性のある AMD および Cyrix 製のマイクロプロセッサチップを含む、Intel 8086 マイクロプロセッサチップ群を意味しています。このマニュアルでは、これらすべてのプラットフォームアーキテクチャを総称して x86 と呼んでいます。特定のプラットフォームに固有の事項には、(SPARC) または (x86) と記述しています。
Sun の関連マニュアルには、次のものがあります。
『Sun WorkShop クイックインストール』 - インストールに関するマニュアルです。
『Sun WorkShop のインストールとライセンス』 - インストールとライセンスの情報について説明しています。
『Sun WorkShop 入門』 - Sun WorkShop を使用してプログラムを開発する方法について説明しています。
『dbx コマンドによるデバッグ』 - dbx コマンドを使ってプログラムをデバッグする方法について説明しています。
『プログラムのパフォーマンス解析』 - ループツール、ループレポート、ロック lint ユーティリティなどのプロファイルツールの使用方法と、標本アナライザを使用してプログラムのパフォーマンスを高める方法について説明しています。
『Sun WorkShop Visual ユーザーズガイド』 - Sun WorkShop Visual を使用して C++ および Java グラフィカルユーザーインタフェースを作成する方法について説明しています。
次の Solaris 関連のマニュアルにも役立つ情報が記載されています。
『リンカーとライブラリ』 - リンクとライブラリについて説明しています。
『プログラミングユーティリティ』 - 開発者向けに、SunOS(TM) システムに内蔵されている特殊なプログラミングツールについて説明しています。
サンのマニュアルは、次の形式でオンラインでご覧いただけます。
Web サイト docs.sun.com
AnswerBook2(TM) コレクション
HTML 形式
オンラインヘルプおよびリリースノート
Web サイト docs.sun.com では、サンの技術文書をオンラインでご覧になれます。 docs.sun.com にあるマニュアルの内容を参照したり、特定のタイトルや用語を含む マニュアルを検索することもできます。URL は http://docs.sun.com/ です。
Sun WorkShop に関するマニュアルは、AnswerBook2 ソフトウェアを使用して参照することもできます。このソフトウェアは、システムの管理者がインストールの時点で AnswerBook2 形式のマニュアルをインストールしていればご利用いただけます (インストールされていない場合は、システム管理者にお問い合わせいただくか、『Sun WorkShop クイックインストール』の第 3 章を参照してインストールしてください)。AnswerBook2 の使用法の詳細については、『Sun WorkShop クイックインストール』の第 6 章または Solaris のインストール関連のマニュアルを参照するか、ご使用の環境のシステム管理者にお問い合わせください。
Solaris 2.5.1 上で AnswerBook2 形式のマニュアルを参照するには、その前にサンの Web ページから AnswerBook2 文書サーバーソフトウェアをダウンロードする必要があります。詳細については『Sun WorkShop クイックインストール』の第 6 章を参照してください。
次の Sun WorkShop のマニュアルは、HTML 形式で用意されています。
『Tools.h++ 7.0 クラスライブラリ・リファレンスマニュアル 』
『Tools.h++ 7.0 ユーザーズガイド』
『数値計算ガイド』
『標準 C++ ライブラリ・ユーザーズガイド』
『Standard C++ Class Library Reference』(英語のみ)
『Sun WorkShop Performance Library Reference Manual』(英語のみ)
『Sun WorkShop Visual ユーザーズガイド』
『Sun WorkShop Memory Monitor ユーザーズガイド』
HTML 形式のマニュアルを表示するには、次の手順に従ってください。
HTML ブラウザで、次のファイルを開きます。
install-directory/SUNWspro/DOC5.0/lib/locale/ja/html/index.html
install-directory には、Sun WorkShop がインストールされているディレクトリを入力してください (デフォルトでは /opt です)。
ブラウザに、インストールされている Sun WorkShop 製品のマニュアル一覧が表示されます。
マニュアル一覧のマニュアル名をクリックします。
HTML 形式のマニュアルが開きます。
このリリースの WorkShop には、オンラインマニュアル以外に新しい形式のマニュアルが用意されています。詳細は、以下のいずれかを参照してください。
オンラインヘルプ - 様々な作業と内容に関する情報を参照できる、新しいヘルプシステムです。ヘルプを参照するには、「ヘルプ」から「ヘルプの目次」を選択します。すべての WorkShop ウィンドウで「ヘルプ」メニューを使用することができます。
リリースノート - WorkShop に関する一般的な情報およびソフトウェアの制限やバグに関する情報が記載されています。リリースノートを参照するには、「ヘルプ」から「リリースノート」を選択します。
このマニュアルで使用している書体と記号について説明します。
表 P-1 このマニュアルで使用している書体と記号
書体または記号 |
意味 |
例 |
---|---|---|
AaBbCc123 |
コマンド名、ファイル名、ディレクトリ名、画面上のコンピュータ出力、コーディング例。 |
.login ファイルを編集します。 ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。 machine_name% You have mail. |
AaBbCc123 |
ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力と区別して表わします。 |
machine_name% su Password: |
AaBbCc123 またはゴシック |
コマンド行の可変部分。実際の名前または実際の値と置き換えてください。 |
rm filename と入力します。 rm ファイル名 と入力します。 |
『 』 |
参照する書名を示します。 |
『SPARCstorage Array ユーザーマニュアル』 |
「 」 |
参照する章、節、または、強調する語を示します。 |
第 6 章「データの管理」を参照してください。 この操作ができるのは、「スーパーユーザー」だけです。 |
¥ |
枠で囲まれたコード例で、テキストがページ行幅を超える場合、バックスラッシュは、継続を示します。 |
machinename% grep `^#define ¥ XV_VERSION_STRING' |
⇒ |
階層メニューのサブメニューを選択することを示します。 |
作成: 「返信」 ⇒ 「送信者へ」 |
シェルプロンプトの例を以下に示します。
表 P-2 シェルプロンプト
シェル |
プロンプト |
---|---|
UNIX の C シェル |
machine_name% |
UNIX の Bourne シェルと Korn シェル |
machine_name$ |
スーパーユーザー (シェルの種類を問わない) |
# |