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Oracle Order Managementインプリメンテーション・マニュアル
リリース11i
B25742-01
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受注入力ツール

取引タイプ

概要

リリース11iのOracle Order Managementでは、取引タイプを定義する必要があります。取引タイプにより、受注、見積および包括受注基本契約などの営業文書にデフォルト情報を提供し、Oracle Workflowとのプロセス制御を設定します。

機能の概要

この章では、「受注管理取引タイプ」の設定について説明し、詳細な例を示します。受注取引タイプと明細取引タイプの作成、ドキュメント連番の割当と適切なワークフローの関連付けなど、新規取引タイプの作成に必要な設定ステップについて説明します。この章の最後には、詳細な例が記載されています。

取引タイプ/ワークフローには、次のような新しい機能が用意されています。

機能

文書ヘッダーと受注明細の両方に関連付けられている取引タイプが存在します。このリリースでは、受注取引タイプに一意の文書連番を割り当てることで受注番号が制御されます。Order Managementでは、文書連番の作成と受注取引タイプへの割当は2つの個別ステップであり、どちらも「取引タイプ」ウィンドウから直接実行することはできません。設定については後述します。

注意: BSAには自動採番のみを使用します。

用語

取引タイプは、Oracle Order Managementで営業文書の取引タイプの両方を指す一般用語です。売掛管理トランザクション・タイプはまったく異なるオブジェクトであるため、混同しないでください。

取引タイプ・コードには、値「受注」または「明細」を指定できます。このコードにより、取引タイプが受注取引タイプであるか明細取引タイプであるかが決定されます。このマニュアルでは、受注タイプは受注取引タイプと同義、明細タイプは明細取引タイプと同義に使用しています。

文書連番は、受注タイプに使用する番号の範囲で、採番方法(自動、手動または無欠番採番)により定義されます。この連番は、開始受注番号です。

文書カテゴリは、受注や発注など、特定の文書タイプです。これは、多数のOracle Applicationsで主要エンティティに使用されます。Oracle Order Managementでは、受注取引タイプの作成時に、同じ名前を持つ文書カテゴリが自動的に作成され、次のように2つの文書連番カテゴリが作成されます。

一方のカテゴリは取引タイプと同じ名前で、他方のカテゴリは取引タイプと同じ名前ですが文字列「-quote」が追加されます。これは、受注タイプに連番を割り当てるために使用されます。

明細取引タイプの定義

「取引タイプの定義」ウィンドウを使用して、受注タイプと明細タイプの両方について、営業文書の取引タイプを定義します。最初に定義するのは明細タイプです。受注明細と返品明細の両方について明細タイプを定義する必要があります。明細タイプを定義するには「取引タイプ」ウィンドウにナビゲートします。詳細は、「Order Management取引タイプの定義」を参照してください。

取引タイプを使用して明細を定義する際の注意事項は、次のとおりです。

このタイプの明細について受注入力時の予定作成機能を制御できるように、「ATPのみ」、「全出荷予定処理の許可」、「予約なし」、「予約あり無効需要」および「予約なし無効需要」という5つの予定作成レベル・オプションが用意されています。残りのフィールドはデフォルト設定に使用できます。

「出荷」タブの「予定作成レベル」値リストでは、2つの値「予約あり無効需要」および「予約なし無効需要」により異なる予約要件がサポートされます。これらのレベルを取引タイプに設定すると、明細の予定は作成されず、APSでは需要とみなされません。このレベルが設定されている場合、ユーザーが入力した予定出荷日が受け入れられ、予定作成は実行されません。予定作成が処理として、またはワークフローを介して実行される場合、予定出荷日が設定されていなければ要求日がコピーされます。値は次のとおりです。

予約あり無効需要

予約なし無効需要

「財務」タブのフィールドには、財務アプリケーションとのインタフェースに影響する情報が含まれています。「請求ルール」および「会計基準」フィールドは受注のデフォルト・ソースとして使用され、この情報が自動インボイスに渡されます。「請求書ソース」、「非搬送請求書ソース」および「売掛管理トランザクション・タイプ」の各フィールドの値は、Oracle Receivablesへのインタフェースには必要ですが、受注ヘッダーや明細にはありません。ワークフローの請求インタフェース・アクティビティが実行されると、明細取引タイプ、受注取引タイプ、プロファイル・オプションの順に値が検索されます。値が見つからない場合は、請求インタフェース・アクティビティが失敗します。「売上原価勘定」は、明細の出荷確認時に在庫インタフェースの勘定科目生成機能で使用できます。

Order Management明細取引タイプには、次の役割があります。

次の表は、Order Management明細取引タイプに対して使用できる様々な列管理を示しています。

Order Management明細取引タイプで使用できる列管理
列名 目的 明細タイプで使用可能か 明細タイプで必須か 明細のデフォルト・ソース
NAME 指定の言語の表内で一意であること。 Yes No  
TRANSACTION_TYPE_ CODE 受注タイプと明細タイプを区別する。有効な明細タイプの値は「受注」と「明細」。 Yes Yes No
ORDER_CATEGORY_CODE 受注または明細のデフォルト設定。受注タイプで使用する場合は、明細タイプに制限。有効な明細タイプの値は「受注」と「返品」。 Yes Yes Yes
CURRENCY_CODE デフォルト・ソース。 No No No
CONVERSION_TYPE_CODE デフォルト・ソース。 No No No
CUST_TRX_TYPE_ID 請求での使用。 Yes No No
COST_OF_GOODS_SOLD_ ACCOUNT 請求インタフェースでの使用。 No No No
COST_OF_GOODS_SOLD_ACCOUNT 請求インタフェースでの使用。 No No No
ENTRY_CREDIT_CHECK_RULE_ID 与信チェックでの使用。 No No No
SHIPPING_CREDIT_CHECK_RULE_ID 与信チェックでの使用。 No No No
PRICE_LIST_ID デフォルト・ソース。 Yes No Yes
ENFORCE_LINE_PRICES_FLAG 受注/明細への値引適用の検証に使用。 No No No
WAREHOUSE_ID デフォルト・ソース。 Yes No Yes
DEMAND_CLASS_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
SHIPMENT_PRIORITY_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
SHIPPING_METHOD_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
FREIGHT_TERMS_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
FOB_POINT_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
SHIP_SOURCE_TYPE_CODE デフォルト・ソース。有効な値は「内部」と「外部」。 Yes No Yes
AUTO_SCHEDULE_FLAG 予定作成で使用。有効な値は「Yes」と「No」。 No No No
SCHEDULING_LEVEL_CODE 予定作成で使用。有効な値は「1」、「2」、「3」。 Yes No No
AGREEMENT_TYPE_CODE ヘッダーの検証。 No No No
AGREEMENT_REQUIRED_FLAG ヘッダーの検証。 No No No
PO_REQUIRED_FLAG ヘッダーの検証。 No No No
INVOICING_RULE_ID デフォルト・ソース。 Yes No Yes
INVOICING_CREDIT_METHOD_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
ACCOUNTING_RULE_ID デフォルト・ソース。 Yes No Yes
ACCOUNTING_CREDIT_METHOD_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
INVOICE_SOURCE_ID 請求での使用。 Yes No No
NON_DELIVERY_INVOICE_SOURCE_ID 請求での使用。 Yes No No
         
         

Order Management明細取引タイプの定義時に、このタイプの明細が実行される明細フローを定義できます。明細取引タイプは、異なる受注取引タイプと組み合せることができます。たとえば、返品取引タイプは、標準受注タイプまたは国際受注タイプと組み合せて使用できます。ただし、取引タイプの可能な組合せについては、フロー結合を指定する必要があります。

受注取引タイプの定義

「取引タイプ」ウィンドウにナビゲートして受注タイプを定義します。詳細は、「Order Management取引タイプの定義」を参照してください。

Order Management取引タイプ

図の説明は本文中にあります。

受注取引タイプを定義する際の注意事項は、次のとおりです。

「メイン」タブ

「出荷」タブ

「財務」タブ

注意: 通常、クレジット・メモ取引タイプは明細取引タイプ、受注取引タイプおよびプロファイル・オプション(「OM: クレジット・メモ取引タイプ」)から順番にデフォルト設定されます。ただし、複数の営業単位を使用している場合、プロファイル・オプションの値は考慮されません。

受注レベル管理と明細レベル管理

受注全体に適用し、明細レベルでは上書きできない受注管理を定義できます。たとえば、受注の採番は受注レベルで管理されます。受注には、受注や返品など受注タイプによって異なる番号を付けることができます。

明細タイプ・レベルに影響を与える明細管理も定義できます。受注レベルからデフォルト設定し、明細レベルで上書きできる特定の管理を設定できます。たとえば、1つの受注に返品と受注の両方を含めて、処理は返品明細と受注明細で別々に行うことができます。個別の明細処理は、上位の明細タイプ・レベルで管理されます。取引タイプの可能な組合せについては、ワークフローの結合を指定する必要があります。明細を処理する前にヘッダー・フローで完了する必要がある通知、またはワークフロー・アクティビティが組合せに含まれている場合は、ヘッダー・フローにフロー継続アクティビティを含める必要があります。明細フローには、適切な待機アクティビティを含める必要があります。

次の表は、Order Management受注取引タイプに対して使用できる様々な列管理を示しています。

Order Management取引タイプで使用できる列管理
列名 目的 受注取引タイプについて定義 受注取引タイプで必須 ヘッダー・ソースのデフォルト設定
NAME 指定の言語の表内で一意であること。 Yes Yes No
TRANSACTION_TYPE_CODE 受注タイプと明細タイプを区別する。明細タイプは「受注」と「明細」。 Yes Yes No
ORDER_CATEGORY_CODE 受注または明細にデフォルト設定する。受注での明細タイプは限定されている。カテゴリは「混合」、「受注」または「返品」。明細タイプは「受注」または「返品」。 Yes Yes Yes
CURRENCY_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
CONVERSION_TYPE_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
CUST_TRX_TYPE_ID 請求インタフェース/税金。 Yes No No
COST_OF_GOODS_SOLD_ACCOUNT 請求インタフェース。 Yes No No
ENTRY_CREDIT_CHECK_RULE_ID 与信チェック。 Yes No No
SHIPPING_CREDIT_CHECK_RULE_ID 与信チェック。 Yes No No
PRICE_LIST_ID デフォルト・ソース。 Yes No No
ENFORCE_LINE_PRICES_FLAG 受注および明細への値引適用を検証するために使用。 Yes Yes No
WAREHOUSE_ID デフォルト・ソース。 Yes No Yes
DEMAND_CLASS_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
SHIPMENT_PRIORITY_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
SHIPPING_METHOD_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
FREIGHT_TERMS_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
FOB_POINT_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
SHIP_SOURCE_TYPE_CODE デフォルト・ソース。値は「内部」と「外部」。 No No No
AUTO_SCHEDULE_FLAG 予定作成で使用。値は「Yes」と「No」。 Yes No No
SCHEDULING_LEVEL_CODE 予定作成で使用。値は0、1、2。 Yes No No
AGREEMENT_TYPE_CODE ヘッダー・レベルでの検証。 Yes No No
AGREEMENT_REQUIRED_FLAG ヘッダーの検証。 Yes Yes No
PO_REQUIRED_FLAG ヘッダー・レベルでの検証。 Yes Yes No
INVOICING_RULE_ID デフォルト・ソース。 Yes No Yes
INVOICING_CREDIT_METHOD_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
ACCOUNTING_RULE_ID デフォルト・ソース。 Yes No Yes
ACCOUNTING_CREDIT_METHOD_CODE デフォルト・ソース。 Yes No Yes
INVOICE_SOURCE_ID 請求インタフェース。 Yes No No
NON_DELIVERY_INVOICE_SOURCE_ID 請求インタフェース。 Yes No No
DEFAULT_INBOUND_LINE_TYPE_ID インバウンド明細のデフォルト・ソース。明細の明細タイプをデフォルト設定するために、この値をソースとして使用。 Yes No No
DEFAULT_OUTBOUND_LINE_TYPE_ID アウトバウンド明細のデフォルト・ソース。明細の明細タイプをデフォルト設定するために、この値をソースとして使用。 Yes No No

注意: 参照されている受注または明細がある場合、基準言語の取引タイプ名は変更できません。

明細フロー割当

明細フロー割当ウィンドウは、OM受注取引タイプのみの場合に使用できます。このウィンドウを使用して、受注タイプとともに使用できる様々な明細タイプに明細フローを割り当てます。

明細フローは、受注タイプ、明細タイプおよび品目タイプの組合せに割り当てることができます。Order Managementでは、特定の組合せに対して有効な割当を1つのみ定義できます。品目タイプが指定されていない場合は、特定の割当がないすべての品目タイプにその割当が適用されます。ATOモデルの明細タイプを使用する場合は、構成品目の品目タイプに割当を指定する必要があります。「ワークフローの概要」および「ワークフローの設定」を参照してください。

次の表は、サンプル受注明細タイプと関連受注明細ワークフロー割当を示しています。

サンプル受注明細タイプと関連受注明細ワークフロー割当
明細タイプ 使用する受注タイプ 品目タイプ 明細フロー割当 注釈
標準 国内   アウトバウンド国内 全品目タイプを対象(構成品目を除く)。
標準 国内 構成品目 アウトバウンド国内構成 構成品目に固有のワークフロー。
標準 海外   アウトバウンド海外 海外ヘッダー・フローの通知アクティビティで定義した適切な「フロー待ち」があります。ワークフローは全品目タイプで使用できます(構成品目を除く)。
標準 海外 構成品目 アウトバウンド国内 - 構成 このワークフローは構成品目専用です。
返品 国内   インバウンド国内 全品目タイプを対象。
返品 海外   インバウンド海外 海外ヘッダー・フローの通知アクティビティで定義した適切な「フロー待ち」があります。ワークフローは全品目タイプで使用できます。

取引タイプへのワークフローの割当

受注タイプと明細タイプに適切なワークフローを選択します。複数のヘッダーおよび明細ワークフローがシードされています。受注、返品、直接出荷受注、構成品目の受注、受注組立品目の受注など、すべての標準OM処理は、シード済ワークフローのみを使用して実行できます。見積用に新規の交渉フローを割り当てることも可能です。また、追加のステップ(通知など)や追加のプロセスが必要な場合は、独自のワークフローを定義することもできます。すべての受注ワークフローがすべての明細ワークフローと併用できるとはかぎりません。受注と明細間の一部のワークフロー・ステップは、相互に依存しています。たとえば、ヘッダー・レベルの請求を伴う受注フローには、ヘッダー・レベルの請求を伴う明細フローの続行アクティビティが完了するまで待機するステップがあります。連動するように設計された受注フローと明細フローを使用しない場合は、完了準備ができていないアクティビティや完了することのないアクティビティを完了する受注や明細を使用できます。

受注タイプのみにより、受注ワークフローが決定されます。受注タイプの「取引タイプの定義」ウィンドウで、選択した受注ワークフローを入力します。これは、Workflow Builderでのプロセス名です。受注タイプまたは交渉フロー、あるいはその両方を保存します。保存しないと、その受注タイプを次のステップで選択できません。

受注タイプ、明細タイプおよび品目タイプの組合せにより、明細のワークフローが決定されます。このため、受注タイプのワークフロー定義ウィンドウから明細ワークフローを定義し、「明細フローの割当」ボタンをクリックして受注タイプを入力します。この受注に使用する明細タイプと品目タイプの組合せごとに、「ワークフロー・プロセスの割当」ウィンドウに1行を入力します。最初のステップで定義した明細タイプを使用してください。品目タイプは在庫モジュールでの品目の定義に基づいており、「標準品目」、「キット」および「PTOモデル」などの値があります。「品目タイプ」を空白にすると、定義したワークフロー・プロセスはすべての品目タイプに使用されます。(例外: 受注構成プロセスを使用する場合は、構成品目タイプにワークフローを特別に割り当てる必要があります。構成品目には、「品目タイプ」フィールドが空白になっているワークフローは使用されません。)プロセス名は、Workflow Builderで定義されたワークフロー・プロセス名です。各明細フロー定義の開始日を入力する必要があります。注意: 受注タイプを使用して文書を作成した後は、対応付けられたワークフロー割当を変更できません。したがって、取引に割り当てたワークフローの変更や、取引の無効化が必要な場合は、既存の割当の終了日を入力する必要があります。また、該当する場合は、新規ワークフロー用に新規割当を入力してください。

最後に、「受注取引」ウィンドウにデフォルト受注明細タイプとデフォルト返品明細タイプを入力します。この2つの値は、明細タイプのデフォルトをこの受注タイプの受注のデフォルトに設定するためのソースとして使用できます。

見積

Order Managementフレームワークには、内部承認や顧客受入のように通常は交渉フェーズで発生するアクティビティをサポートするためのワークフロー・フェーズが組み込まれています。交渉フェーズでの文書は見積と呼ばれます。これにより、交渉フェーズで見積を作成して管理し、見積を確定受注に移行させることができます。

交渉で承認を使用するには、まず使用する取引タイプに「交渉フロー - 承認のある一般」を割り当てる必要があります。交渉はBSAにも適用できます。見積と同じワークフローが使用されますが、BSAは交渉フェーズでも履行フェーズでもBSAのままです。

参照: 「Order Managementでの交渉」

承認

Oracle Order Managementには、承認階層を定義して取引タイプに関連付ける機能が用意されています。「OM承認」フォームを使用すると、承認通知を受け取る承認者のリストを設定できます。このフォームにアクセスするには、「設定」→「取引タイプ」→「承認」の順に選択するか、「取引タイプ」フォームで「承認」ボタンを使用して設定します。承認通知を受け取るメンバーのリストを割り当て、それぞれの「有効」フラグを設定します。取引タイプは必ず指定してください。

参照

承認

ワークフロー割当

受注タイプにより受注ワークフローが決定されます。受注タイプ、明細タイプおよび品目タイプの組合せにより、明細ワークフローが決定されます。

受注タイプ、明細タイプおよび品目タイプ用に適切なワークフローを選択します。

受注、返品、直接出荷、構成品目の受注、受注組立品目の受注など、すべての標準処理はシード済ワークフローを使用して実行できます。追加のステップ(追加の通知やプロセスなど)が必要な場合は、独自のワークフローを作成することもできます。

明細ワークフローに使用する受注ワークフローは選択できません。受注と明細間の一部のワークフロー・ステップは、継続フロー・アクティビティと待機フロー・アクティビティがどのようにペアになっているかに依存します。したがって、異なる受注取引タイプと組み合せて使用する場合は、同じ明細取引タイプで異なる明細フローを使用する必要があります。

たとえば、ヘッダー・レベルの請求を伴う受注フローは、明細フローのアクティビティが完了するまで待機します。連動するように設計された受注フローと明細フローを使用しない場合は、完了準備ができていないアクティビティや完了することのないアクティビティを完了する受注や明細を使用できます。

明細が処理中の在庫品目には、特定のフロー要件がある場合があります。たとえば、構成には、ピックして出荷する前に作成された部品構成表と作業指示が必要です。標準品目は在庫からピックして出荷できます。したがって、構成品目に対するワークフローは、標準品目とは異なります。ただし、両方のタイプの受注明細で同じ明細タイプを使用できます。「ワークフロー割当」ウィンドウには、指定の受注または受注明細タイプの割当に対してワークフローの割当が可能な次の品目タイプが表示されます。

品目タイプ・コードを空白にすると、指定したワークフロー割当は、特定の割当がないすべての品目タイプに適用されます。ただし、ATOモデルに明細タイプを使用する予定の場合は、構成品目タイプの割当を指定する必要があります。

注意: 指定した明細タイプを使用して明細を作成するには、その明細タイプに対するワークフロー割当が必要です。

「クイック受注」ウィンドウの「サービス詳細」リージョンは、サービス明細の作成ではなく明細のサービス情報の表示に使用します。このウィンドウの「サービス詳細」リージョンではサービス明細を作成できますが、デフォルト設定されるためには取引設定が適切に定義されていることが前提となります。このリージョンでは明細タイプはフォルダ項目ではなく、値を選択できません。明細ワークフローは「サービス」タイプの品目に関連付ける必要があります。取引タイプの定義の詳細は、『Oracle Order Managementユーザーズ・ガイド』を参照してください。

次の表は、サンプル受注タイプと関連受注ヘッダー・ワークフロー割当を示しています。

サンプル受注タイプと関連受注ヘッダー・ワークフロー割当
受注タイプ ヘッダー・フロー割当
国内 ヘッダー - 標準
海外 ヘッダー - 海外(記帳後の承認があります。)

文書連番の作成

Oracle Order Managementでは、受注の採番にAOL文書連番機能が使用されます。受注タイプに使用する文書連番を少なくとも1つは定義する必要があります。ただし、旧リリースのOracle Order Entryからアップグレードする場合は、文書連番もアップグレードされます。定義した文書連番は、すべての受注タイプに使用できます。たとえば、1から始まる自動連番を定義して、すべての受注タイプに割り当てることができます。その場合、新規受注を入力するたびに、連番で次の番号が割り当てられます。また、複数の文書連番を定義し、受注タイプごとに異なる連番を使用できます。たとえば、一方の連番を1で始まる国内受注に使用し、他方の連番を10000から始まる国際受注に使用できます。番号の範囲は分離されているため、受注タイプを簡単に識別できます。

文書連番の割当

受注タイプを文書連番に割り当てます。「受注管理」→「設定」→「文書」→「割当」の順にナビゲートします。「文書」タブで、「アプリケーション」フィールドに「Oracle Order Management」と入力し、「カテゴリ」フィールドに受注タイプを入力します。会計帳簿を選択し、「方法」フィールドに連番が手動の場合は「手動」、それ以外の場合は「NULL」と入力します。「割当」タブで、前のステップで受注タイプに対して定義した開始日と連番を入力します。受注タイプと会計帳簿に対する割当は変更できないことに注意してください。割当を変更するには、既存の割当に終了日を割り当てて、新規割当用に新規作成する必要があります。同じ日付範囲、文書タイプおよび会計帳簿に複数を割り当てることはできません。

見積が受注に移行するときには、文書番号の参照と番号の生成方法について追加の制御を考慮する必要があります。

無欠番採番タイプが要件となる場合は、交渉と履行に取引タイプを使用するときに「文書番号の保持」チェック・ボックスを選択しないでください。

取引タイプに交渉フローを割り当てる方法の詳細は、「Order Managementでの交渉」を参照してください。

受注採番用文書連番の定義

受注文書の採番

Oracle Application Object Library(AOL)の文書連番機能を使用して、受注採番オプションを定義します。様々なOM受注取引タイプと文書連番を設定できます。OM取引タイプと文書連番のどちらでも、どの受注タイプを自動または手動で採番するかを制御できます。

たとえば、すべてのアウトバウンド受注に特定の連番で番号を付け、すべての返品には別の連番で番号を付けることができます。OM受注取引タイプが作成されると、同じ名称の文書カテゴリが自動的に作成されます。連番を定義し、その連番をそれぞれの文書カテゴリに割り当てることができます。

レポート

取引タイプの設定情報が印刷されるレポートを使用できます。これは取引タイプ・リスト・レポートと呼ばれ、名前順の単一取引タイプ、名前順の取引タイプの範囲、受注取引タイプのみ、明細取引タイプのみ、またはこれらのパラメータの任意の組合せを指定して印刷できます。

この例では、新規の受注タイプと関連明細タイプを作成し、ワークフロー・プロセスを割り当て、文書連番を作成して割り当てます。ここまでのステップを完了すると受注を入力できます。

受注明細用の明細タイプを作成します。「設定」→「取引タイプ」→「定義」にナビゲートします。次の情報を指定して新規取引タイプを作成します。この表にないフィールドは空白にしてください。

受注明細の明細タイプの作成
リージョン フィールド
ヘッダー 営業単位 デフォルト
  取引タイプ 標準
  摘要 標準受注明細
  受注カテゴリ 受注
  取引タイプ・コード 明細
  有効日 [今日の日付]
出荷 予定作成レベル 全出荷予定処理の許可
財務 クレジット方法: ルール付請求 按分
  与信方法: 分割条件請求書 按分

次に、返品明細用の明細タイプを作成します。同じウィンドウで、次の情報を指定して新規取引タイプを作成します。この表にないフィールドは空白にしてください。

返品明細の明細タイプの作成
リージョン フィールド
ヘッダー 営業単位 デフォルト
  取引タイプ 受入とクレジットを伴う返品
  摘要 標準返品明細
  受注カテゴリ 返品
  取引タイプ・コード 明細
  有効日 [今日の日付]
出荷 予定作成レベル 全出荷予定処理の許可
財務 クレジット方法: ルール付請求 按分
  与信方法: 分割条件請求書 按分

最後に、取引タイプとして受注取引タイプを作成する必要があります。同じウィンドウで、次の情報を指定して新規取引タイプを作成します。この表にないフィールドは空白にしてください。

受注取引タイプの作成
リージョン フィールド
ヘッダー 営業単位 デフォルト
  取引タイプ 混合
  摘要 受注明細と返品明細の両方を含む標準受注
  受注カテゴリ 混合
  取引タイプ・コード 受注
  有効日 [今日の日付]
出荷 予定作成レベル 全出荷予定処理の許可
財務 請求ルール ADVANCE INVOICE
  会計基準 IMMEDIATE
  クレジット方法: ルール付請求 按分
  与信方法: 分割条件請求書 按分
  売掛管理トランザクション・タイプ 請求書

次に、取引タイプにワークフローを割り当てます。この場合も、「混合」受注タイプの「取引タイプの定義」ウィンドウで操作する必要があります。このウィンドウに次の情報を追加します。

追加する情報
タブ フィールド
メイン    
  履行フロー 受注フロー - 一般
  デフォルト返品明細タイプ 受入とクレジットを伴う返品
  デフォルト受注明細タイプ 標準

次のステップで使用できるように、受注取引タイプを保存します。

「明細フローの割当」をクリックし、「明細ワークフロー割当」ウィンドウに次の情報を入力します。

「明細ワークフロー割当」ウィンドウの情報
  フィールド
  受注タイプ 混合
明細1    
  明細タイプ 標準
  品目タイプ [空白]
  プロセス名 明細フロー - 一般
  開始日 [今日の日付]
明細2    
  明細タイプ 受入とクレジットを伴う返品
  品目タイプ [空白]
  プロセス名 明細フロー - 受入のあるクレジット返品
  開始日 [今日の日付]

受注用の文書連番を作成します。「受注管理」→「設定」→「文書」→「定義」にナビゲートし、次の情報を入力します。

受注の文書連番情報
  フィールド
  名前 混合受注連番
  アプリケーション Oracle Order Management
  有効日: 自 [今日の日付]
  タイプ 自動
  初期値 1
  開始日 [今日の日付]

最後に、受注タイプを文書連番に割り当てます。「受注管理」→「設定」→「文書」→「割当」にナビゲートし、次の情報を入力します。

受注タイプから文書連番への情報
タブ フィールド
文書    
  アプリケーション Oracle Order Management
  カテゴリ 混合 [これは受注タイプ名です]
  会計帳簿 [受注タイプの会計帳簿]
割当    
  開始日 [今日の日付]
  順序 混合受注連番

これで、「混合」タイプの受注を入力し、受注明細と返品明細の両方を請求経由で処理できます。

Oracle Order ManagementでのOracle Workflowの使用

概要

ワークフロー・テクノロジでは、ビジネス・プロセスの自動化と継続的な改善がサポートされます。どのようなタイプのルーティング情報も、ユーザー定義のビジネス・ルールに従ってサポートされます。受注の発行や購買依頼など、各種の制御、ルーティングおよび承認を必要とするビジネス・トランザクションは、ワークフロー・テクノロジを活用することで従来より効率的に管理できます。主としてこのような理由から、Oracle Order ManagementがOracle Workflowと統合され、ユーザーに包括的な受注処理および履行システムを提供します。

Oracle Order Managementでは、Oracle Workflowを使用して受注、返品、受注明細および返品明細の処理中に発生するイベントの順序を制御します。Oracle Workflowでは、アクティビティを管理し、機能を実行し、通知を送信し、完了済アクティビティ履歴を保守し、エラーを検出してエラー・プロセスを開始します。Oracle Order Managementでは、受注履歴の追跡を可能にするためにもOracle Workflowが使用されます。また、一般的な受注処理についてビジネス・プロセスをモデル化できます。新規のワークフローを定義するときは、受注処理の基本アクティビティから開始できます。シードされているフローをコピーして編集するか、またはシードされているカスタム・アクティビティをコンポーネントとして使用して、自社のビジネス・プロセスを拡張できます。Oracle Order Managementでビジネス・ニーズにあわせてOracle Workflowを拡張する方法の詳細は、『Oracle Order ManagementにおけるOracle Workflowの使用』を参照してください。このマニュアルには、Oracle Order Managementでシードされるワークフロー・プロセスの詳細も記載されています。

『Oracle Order ManagementにおけるOracle Workflowの使用』

ワークフロー

入力から請求までの基本的な受注フローでは、一般受注タイプに割り当てられている一般受注および明細フローが通常使用されます。次の図は、一般受注ワークフロー・プロセス(入力→記帳→クローズ)の例です。

「受注フロー - 一般」ワークフロー・プロセス

図の説明は本文中にあります。

次の図は、一般受注明細ワークフロー・プロセス(入力→計画→出荷→請求→クローズ)の例です。

「明細フロー - 一般」ワークフロー・プロセス

図の説明は本文中にあります。

待機を伴う履行

Oracle Order Managementでは、新規のシード済ワークフロー・サブプロセス「明細の履行を待機」を提供するために履行ワークフロー・アクティビティが拡張されています。このサブプロセスは、既存の「履行の遅延」または「明細の履行」あるいはその両方のサブプロセスの前に挿入できます。

Order Managementで「明細の履行を待機」サブプロセスを使用すると、より柔軟に受注を変更および取り消すことができます。このサブプロセスは、履行アクティビティを遅延させるのと同様に、出荷可能、出荷不可および請求のみの各明細に使用できるため、履行前に変更または訂正する機会が得られます。

タイムアウト・アクティビティは「ヘッダー」ワークフローの「履行 - 明細待ち」アクティビティに設定されます。Oracle Workflow BuilderでOEOH(受注ヘッダー・ワークフロー)を開き、「受注フロー - ヘッダー・レベル請求書インタフェースあり一般」プロセスを確認できます。前述のアクティビティのタイムアウトが1日に設定されている場合は、1日後にアクティビティが再試行されることを意味します。この値は要件にあわせて変更できます。

注意: 「明細の履行を待機」サブプロセスをコピーして、コピーされたcheck_wait_to_fulfill_lineファンクションを処理するプロシージャを記述し、ビジネス要件に固有の履行遅延に適格な受注明細については値「Yes」を戻させることができます。

注意: OE_Fulfill_WF.check_wait_to_fulfill_lineプロシージャのデフォルト論理では、出荷不可受注明細がFulfill_Line_Eligibleブロックで保持されます。次のタイプの出荷不可受注明細は、このブロックで保持されません。

参照: 『Oracle Order ManagementにおけるOracle Workflowの使用』

明細フロー - 一般、 パフォーマンス

このシード済ワークフロー・プロセスは、ワークフロー・サブプロセスを排除してワークフローのパフォーマンスを改善するように設計されています。「明細フロー - 一般」プロセスのアクティビティがすべて含まれていますが、そのほとんどはサブプロセスに分解されるかわりにメイン・フローに直接組み込まれています。

明細フロー - 一般、 パフォーマンス

図の説明は本文中にあります。

明細フロー - 一般、 パフォーマンス(続き)

図の説明は本文中にあります。

このプロセスは、パフォーマンスや多数のユーザーにあわせて最適化されており、一般フローをビジネス・ニーズにあわせて変更する必要がない場合の推奨プロセスです。また、このフローにはプロセス簡素化の一例という意図もあります。ワークフロー変更を含むパッチを適用した後、カスタマイズしたワークフロー全体をシード済ワークフローと比較して変更を上書きコピーする必要があるかどうかを確認する作業が必要になるため、このフローを使用してカスタマイズしたワークフロー・プロセスを作成することはお薦めしません。

デフォルト・ルール

概要

Oracle Order Managementのデフォルト・ルールにより、受注や返品の入力時に必要なデータ入力量が減少します。デフォルト値設定に関するビジネス・ルールを定義し、条件と検証ルールの実装方法に優先順位を設定できます。デフォルト・ルール定義で受注または返品に必要なデフォルト値を設定できない場合は、受注や明細などのエンティティ内でほとんどの属性(フィールド)に対してデフォルト・ルールを追加定義するように選択できます。

Oracle Order Managementにはシード済のデフォルト・ルールが用意されており、次のいずれかの方法で追加作成できます。

デフォルト・ルールを使用して、ヘッダー・エンティティと明細エンティティのフィールド(属性)に値をデフォルト設定できます。

デフォルトは、Order Managementにより受注または明細のフィールドに自動的に設定される値です。

受注と明細の両方の属性名が同一の場合は、最初にヘッダーの値を明細にデフォルト設定できます。

たとえば、最初に発注番号を作成するときに、ヘッダーの発注を明細の発注にデフォルト設定できます。

注意: 初期値はデフォルト設定されますが、発注を変更した場合、ヘッダーから明細に新規の値が自動的にデフォルト設定されることはありません。

デフォルト条件が実行時に評価され、すべてのオブジェクト属性に適切なデフォルト・ソース割当が選択されます。指定した機能モードでオブジェクト(データ・オブジェクト)のオブジェクト属性のデフォルト設定を制御するデフォルト条件を定義できます。たとえば、「支払条件」がAの場合には特定の方法でデフォルトが設定され、「支払条件」がBの場合には別の方法でデフォルトが設定されるように条件を設定できます。

エンティティ用に作成するデフォルト条件の基礎には、そのエンティティの属性を使用する必要があります。たとえば、「受注タイプ」はヘッダー・エンティティ内の属性であるため、明細エンティティ内では使用できません。

デフォルト・ルールは、次のコンポーネントで構成されています。

デフォルト・ルール

様々な受注処理状況で使用する複数の異なるルールを定義できます。

初期属性のデフォルト設定の順序

属性に同じ連番が付いている場合、デフォルトはアルファベット順に設定されます。異なる順序でデフォルト設定する必要がある場合は、この順序を変更できます。たとえば、明細の属性Aを同じ明細の属性Bからデフォルト設定するようにソース・ルールを定義できます。パフォーマンスを向上させるため、属性Aの前に属性Bがデフォルト設定されるようにデフォルト順序を変更します。

ルールがあらゆる使用例で正しく機能するように、属性Aを属性Bに依存するように設定する必要もあります。この設定方法の詳細は、「依存性」を参照してください。

デフォルト・ルールの順序

フィールドのデフォルト値を検索するための優先順序を指定します。Order Managementでは、最小の連番からデフォルト値の検索が開始され、番号を増加させながら値が見つかるまで検索が継続されます。たとえば、第1と第2のソースがNULLで第3のソースに値がある場合は、第3のソースが使用されます。

デフォルト・ソース

デフォルト・ルール・ソースとはデフォルト値を取得する場所であり、通常は別のエンティティや属性です。ほとんどの属性には、他のデフォルト・ソースを使用する他に、少なくとも1つのエンティティ/属性デフォルト・ソースを割り当てることができます。

次のようなデフォルト・ソースがあります。

たとえば、様々なソースから受注ヘッダーにデフォルトの価格表を設定するルールを定義する必要があるとします。使用可能なデフォルト・ソースには、顧客基本契約、顧客および受注タイプが含まれます。これら3つのすべてのエンティティに可能な属性が価格表です。使用するソースは選択可能で、ビジネス・プラクティス、特定の受注についてこれらのソースが存在するかどうか、およびこれらのソース向けに価格表が定義されているどうかに従って選択できます。顧客については、顧客自体のみでなく請求先および出荷先所在地に対して別の価格表を定義できます。これら3つのフィールドは、すべてソースとして使用できます。

デフォルト・ソースの例

アプリケーション・プロファイル

プロファイル・オプション・ソースでは、デフォルト値のソースとして、システム定義またはユーザー定義のプロファイル・オプションを使用できます。プロファイル・オプションの名前をデフォルト値として使用することをルールに記述する必要があります。プロファイル・オプション・ソースを使用すると、複雑なカスタマイズを行わずにデフォルト値を柔軟に調整できます。

注意: デフォルト・ソースとしてプロファイル・オプションを使用する場合は、デフォルト・ルール内で参照する前に、そのプロファイル・オプションが定義されていることを確認してください。

定数値

定数値ソース・オプションによって、値を含むフィールドのかわりに定数値を指定できます。デフォルトを同じ値にする場合またはルールに対して定義した他のソースが値を提供できない場合に特に役立ちます。

たとえば、組織のすべての品目が「各」単位で販売される場合、「受注明細」エンティティの「単位」属性の値が「各」にデフォルト設定されるようにデフォルト・ルールを定義できます。

システム変数

このシステム変数ソース・オプションを使用すると、フィールドに対してシステム変数またはシステム変数の関数をデフォルト設定できます。通常、このソースは日付フィールドのデフォルト設定に使用します。日付フィールドには、SYSDATE式またはSYSDATEの関数を使用して、現在の日付またはその関数をデフォルト設定できます。

たとえば、組織に全品目を翌日出荷するという方針がある場合は、システム変数としてsysdate + 1を指定して要求日のデフォルト・ルールを設定できます。

同じレコード

ソースと同じレコードを使用して、同じエンティティ・レコードの別の属性からデフォルト属性を設定できます。

たとえば、受注明細の予定出荷日に基づいてその明細の税額を計算するという共通要件があるとします。予定出荷日と同じレコード・ソースおよびソース属性を使用して、税金日付のデフォルト・ルールを設定します。

関連レコード

関連レコードは、最も使用頻度の高いデフォルト・ソースの1つです。特定の属性のデフォルトを、顧客、出荷先、請求先および品目などの関連オブジェクト・レコードを定義するときに設定できます。

デフォルトとして使用する属性ごとに、関連レコード・ソース・オブジェクト/ソース属性がシステム内で事前定義されます。

たとえば、受注タイプを、顧客、請求先または出荷先などの関連オブジェクトの値からデフォルト設定できます。いずれの場合も、ソース属性は「受注タイプ」です。

PL/SQL API

他のデフォルト・ソースでは定義できない複雑なデフォルト・ルールがある場合は、APIソースを使用できます。デフォルト値の導出論理をカスタムPL/SQL APIにコード化し、そのAPIをデフォルト・ルール内で参照できます。「デフォルト・ルール」を参照してください。

依存性

一部の属性は、同じレコードの他の属性の値に依存します。依存性を設定できるのは同じエンティティの属性間のみで、エンティティ間では設定できません。使用可能なソース属性と依存属性のリストは事前に定義されています。ほとんどの属性は使用可能ですが、使用できない属性もあります。

属性がユーザーまたはシステムにより変更されると、その依存属性は消去されてから再びデフォルト設定されます。

たとえば、ヘッダー・エンティティの「運送条件」は「基本契約」に依存します。ヘッダーの「基本契約」が変更されると、ヘッダー・エンティティの「運送条件」が消去されてから再びデフォルト設定されます。

属性Yを使用する条件に基づいて属性Xのルールを作成する場合は、属性Yが属性Xより先に(手動入力ではなく)デフォルト設定されることを確認してください。また、手動でYを入力し、現行の値Yに基づいてXをデフォルト設定する場合は、ソース属性Yと依存属性Xを指定して依存性を定義する必要があることに注意してください。

たとえば、「顧客」を使用して「単位」をデフォルト設定するための条件を定義する場合は、「単位」より先に「顧客」がデフォルト設定されることを確認します。顧客を入力し、この新規の「顧客」値に基づいて「単位」を再デフォルト設定させる場合は、「顧客」に対する「単位」の依存性を定義する必要があります。

依存性の追加作成または既存の依存性の無効化が必要な場合は、依存性拡張APIを更新できます。

「デフォルト・ルール」での依存性とAPIの使用の詳細は、OracleMetaLink(http://www.oracle.com/support/metalink/)から入手可能なOrder Managementホワイト・ペーパー「Defaulting Rules Setup」を参照してください。

受注および明細の変更による影響

受注を変更すると、デフォルト・ルールによるデフォルト値が再適用される場合があります。このデフォルトの再適用によって変更が生じ、さらに別のデフォルト設定が実行される場合もあります。

Order Managementでは、再適用によって値が変更されて受注の情報に整合性がなくなった場合は、ユーザーによる受注の確定ができなくなり、データの訂正に有効なメッセージが表示されます。たとえば、デフォルト・ルールによっては、受注明細の明細タイプが変更されると、明細の価格表が変更される場合があります。明細品目が新しい価格表に含まれない場合、その受注は確定できず、指示が発行されます。

デフォルト・ルールの変更は、「受注ヘッダー」または「受注明細」ウィンドウを開いたとき、または受注の属性(フィールド)を更新したときに、変更したデフォルト・ルールを使用する新規受注に対して有効になります。受注を問い合せたり、変更したデフォルト・ルールを使用する既存の受注を変更してデフォルト設定の検証を実行しなければ、変更による影響はありません。

受注と明細のデフォルト設定中に既存受注の更新を実行する際には、デフォルト設定された属性の値がすべての共通する下位レベルのエンティティに複製(連鎖)されることはありません。既存の受注または明細レコードの属性をデフォルト設定するために下位レベル・エンティティの値を変更する場合は、一括変更機能を利用する必要があります。

たとえば、受注ヘッダーの明細レベル属性「出荷方法」を全受注明細にデフォルト設定するように、デフォルト・ルールが設定されているとします。出荷方法Aを使用して受注を作成してから、複数の明細を追加します。受注ヘッダーには出荷方法Aを使用しているため、以降に作成する各受注明細にはデフォルトの出荷方法Aが使用されます。そこで、受注ヘッダーの出荷方法をBに変更することにします。

この属性を受注ヘッダーで変更すると、以降に作成される新規受注明細には、デフォルトとして出荷方法Bが使用されます。ヘッダー属性を変更した結果、出荷方法Aが設定されている既存の受注明細が出荷方法Bに更新されることはありません。

受注明細を出荷方法Bに更新するには、一括変更を使用します。

ルールと条件のデフォルティング・パッケージの生成

デフォルト・ルールまたはデフォルト条件を生成または更新するには、「デフォルティング・ジェネレータ」コンカレント・プログラムを発行する必要があります。このコンカレント・プログラムを発行すると、各エンティティの属性ごとにデフォルティング・ハンドラ・パッケージが生成されます。属性のデフォルティング・パッケージが正常に生成されるまで、新規ルールまたは条件の作成や変更後のルールおよび条件は無効です。

このコンカレント・プログラムは、次のいずれかを実行する場合に発行する必要があります。

主な拡張機能

このフレームワークでは、次のような新しい拡張機能が可能です。

用語

このリリースでは、デフォルト・ルールは汎用になっており、他のOracle Applicationsでも使用できるため、汎用的な名前が使用されています。属性とエンティティはデフォルトの設定対象で、ソースはデフォルトの取込元です。

参照: 「値のソース」

Oracle Order Managementでの属性とエンティティ

このコンテキストでのエンティティは、Oracle Order Managementの表またはフォームにほぼ対応する関連属性のグループです。受注ヘッダー、受注明細などのエンティティがあります。

属性は、そのエンティティに属しているフィールドまたは列です。したがって、受注単位は受注明細エンティティの属性です。特定のエンティティのデフォルト設定ウィンドウを問い合せると、デフォルト・ルールを定義できるすべての属性のリストが表示されます。

付加フレックスフィールドのデフォルトはAOLのフレックスフィールド・ルーチンにより制御されるため、付加フレックスフィールドのデフォルト・ルールは定義できません。

条件

デフォルト条件検証テンプレート

図の説明は本文中にあります。

条件は、特定のデフォルト・ソース・グループが検査される時期を制御するために設定されるルールです。ビジネス・ニーズを満たす共通のビジネス・ルールに基づいて、エンティティごとに1つ以上の条件検証テンプレートを定義します。このテンプレートは、そのエンティティの属性に何度でも使用できます。たとえば、すべての返品明細用に特定の条件テンプレートを設定し、すべての社内調達明細用に別の条件テンプレートを設定できます。エンティティごとにALWAYS条件がシードされます。条件セットを定義してルールに使用する場合は、デフォルト条件の優先順位の最後にALWAYS条件を置いてください。

条件検証テンプレートの定義

デフォルト設定ウィンドウで操作するエンティティを問い合せて(フラッシュライト・アイコンを使用すると、使用可能なエンティティの値リストが表示されます)、「デフォルト条件テンプレート」ボタンをクリックし、条件定義用のウィンドウを開きます。このエンティティについて定義済のすべての条件を示すウィンドウが表示されます。新規条件を追加するには、空白行にナビゲートし(または緑の「+」アイコンをクリックして空白行を作成し)、新規条件の名前と摘要を入力します。

デフォルトの順序

メインのデフォルト設定画面にはエンティティのすべての属性が表示され、「デフォルト順序」と呼ばれる列があります。この番号により、属性のデフォルトの順序が決定されます。複数の属性に同じ番号が付いている場合、デフォルト設定はアルファベット順になります。すべての属性は、順序50でシードされます。異なる順序によるデフォルト設定が必要な場合は、これらの順序を変更できます。たとえば、ある明細の属性Aのデフォルトを同じ明細の属性Bから設定するソース・ルールを定義できます。

値のソース

ソースは、値のデフォルトの取込み元です。デフォルト・ルールには、デフォルトの作成に使用できるように様々なソースが用意されています。そのほとんどは、Oracle Order Entryの場合と同様です。

デフォルト設定ウィンドウで操作するエンティティを問い合せて、条件を定義すると、ソース・ルールを定義する準備が完了したことになります。操作する属性を選択して「デフォルト・ルール」ボタンをクリックすると、「属性デフォルト・ルール」ウィンドウが表示されます。このウィンドウには、この属性に関して定義済のすべての条件とルールが表示されます。新規の条件とルールを追加するには、このウィンドウの「デフォルト条件」セクションの空白行にナビゲートし(または、緑の「+」アイコンをクリックして空白行を作成し)、優先順位を入力して、定義済の条件から選択します。(優先順位により、条件の評価順序が制御されます。)

このウィンドウの下半分に、この条件について定義または表示するルールの詳細を入力します。このデフォルト・ルール・セットは、対応するデフォルト条件がTRUEの場合に使用されます。

デフォルトには同様の制限事項があります。データ型は、デフォルト設定する属性のデータ型と一致する必要があり、ソース関係は事前に定義する必要があります。

依存性

一部の属性は、同じレコードの他の属性の値に依存しています。属性がユーザーまたはシステムにより変更されると、それに依存する他の属性のみが消去され、再デフォルト設定されます。2000年9月の時点で、この機能は、再デフォルト設定により依存フィールドに新しい値が設定されない場合は、古い値が消去されるかわりに保持されるように変更されました。この種のフィールドは「価格表」、「営業担当」、「顧客PO番号」または「受注タイプ」などです。

たとえば、価格表は基本契約に依存しています。基本契約に変更があると、価格表は消去され、再デフォルト設定されます。再デフォルト設定により依存フィールドに新しい値が設定されない場合は、古い値が消去されるかわりに保持されます。

デフォルト・ルールの初期実装時に、依存性がハード・コード化されています。ハード・コード化されている依存性パッケージOE_Dependencies(ファイル$ONT_TOP/patch/115/sql/OEXUDEPB.pls)の現行のコードをチェックして、最新リストを取得することもできます。

依存性の追加作成または不要になった既存の依存性の無効化が必要な場合は、APIフックであるパッケージOE_Dependencies_Extn($ONT_TOP/patch/115/sql/OEXEDEPB.pls)を使用できます。

このフックを介した依存性の追加がサポートされるのは、ファイルに記述されているガイドラインに従う場合のみです。ガイドラインに従うことにより、顧客が導入した変更がパッチにより上書きされないことも保証されます。

ただし、次のことに注意してください。

受注タイプAに基づくデフォルト条件を設定し、受注タイプがAの場合は、この条件を使用して営業担当Aをデフォルト設定するとします。このルールを機能させるには、ソース属性に「受注タイプ」、依存属性に「営業担当」を指定して新規の依存性を有効化する必要があります。また、この依存性の定義先とする必要のあるエンティティは受注ヘッダーであるため、ヘッダー・エンティティに関するIFの下に依存性コードを追加します。

IF p_entity_code = OE_GLOBALS.G_ENTITY_HEADER THEN
x_extn_dep_tbl(l_index).source_attribute := OE_HEADER_UTIL.G_ORDER_TYPE;
x_extn_dep_tbl(l_index).dependent_attribute := OE_HEADER_UTIL.G_SALESREP;
x_extn_dep_tbl(l_index).enabled_flag := 'Y';
l_index := l_index + 1;

受注の出荷先は更新されていますが、このため請求先が消去または更新されます。出荷先から請求先をデフォルト設定するためのデフォルト・ルールが削除または無効化されても、動作に変更はありません。これは、「出荷先」フィールドについて「請求先」との依存性がハード・コード化されているためです。請求先が出荷先変更の影響を受けないようにするには、この新規フックを介して依存性を無効化する必要があります。ソース属性に「出荷先」、依存属性に「請求先」を指定します。

IF p_entity_code = OE_GLOBALS.G_ENTITY_HEADER THEN
x_extn_dep_tbl(l_index).source_attribute := OE_HEADER_UTIL.G_SHIP_TO_ORG;
x_extn_dep_tbl(l_index).dependent_attribute := OE_HEADER_UTIL.G_INVOICE_TO_ORG;
x_extn_dep_tbl(l_index).enabled_flag := 'Y';
l_index := l_index + 1;

「出荷先」が更新されても、受注明細の「請求先」の値が変更されないようにする場合は、明細についても依存性を個別に無効化する必要があります。

ELSF p_entity_code = OE_GLOBALS.G_ENTITY_LINE THEN
x_extn_dep_tbl(l_index).source_attribute := OE_LINE_UTIL.G_SHIP_TO_ORG;
x_extn_dep_tbl(l_index).dependent_attribute := OE_LINE_UTIL.G_INVOICE_TO_ORG;
x_extn_dep_tbl(l_index).enabled_flag := 'Y';
l_index := l_index + 1;

OEXEDEPB.plsにリストされていないソース属性または依存属性について依存性を作成する場合は、やや煩雑になります。この場合は、既存パッケージのカスタマイズが必要になり、変更内容は将来のパッチにより上書きされる可能性があります。

  1. 新規のソース属性を追加します。ヘッダーの「出荷方法」を「出荷優先度」に依存させるとします。

OE_Header_Util.Clear_Dependent_Attrに次の文を追加します。

(ファイル: OEXUHDRB.pls)。受注明細の出荷優先度を変更した場合に、それを受注明細エンティティの出荷方法にも反映させる場合は、OE_Line_Util_Extに次のようなコードを追加する必要があります。

     IF NOT OE_GLOBALS.Equal(p_x_header_rec.shipment_priority_code 
        ,p_old_header_rec.shipment_priority_code) 
     THEN 
        l_index := l_index + 1.0; 
        l_src_attr_tbl(l_index) := OE_HEADER_UTIL.G_SHIPMENT_PRIORITY; 
     END IF;
  1. 新規の依存属性を追加します。明細の「計画優先度」を「需要区分」に基づいてデフォルト設定するとします。前述のように、ソース属性に「需要区分」、依存属性に「計画優先度」を指定して、OEXDEPB.pls内で依存性を追加する必要があります。需要区分が受注明細エンティティで使用可能なソース属性の1つとしてリストされていない場合は、前述のステップに戻ってソース属性として追加する必要があります。また、計画優先度が受注明細エンティティの依存属性の1つとしてリストされていない場合は、エンティティ固有のユーティリティ・パッケージの別のセクションもカスタマイズする必要があります。

    OE_Line_Util_Ext.Clear_Dependents(ファイル: OEXULXTB.pls)に次のサブプロシージャを追加します。

      PROCEDURE PLANNING_PRIORITY IS
      BEGIN
      IF (p_initial_line_rec.PLANNING_PRIORITY = FND_API.G_MISS_CHAR
       OR OE_GLOBAlS.Equal(p_initial_line_rec.PLANNING_PRIORITY
                 , p_old_line_rec.PLANNING_PRIORITY))
      THEN
        p_x_line_rec.PLANNING_PRIORITY := FND_API.G_MISS_NUM;
      END IF;
      END PLANNING_PRIORITY;

VARCHAR2フィールドの場合は、G_MISS_NUMをG_MISS_CHARで置換する必要があることに注意してください。DATEフィールドの場合は、G_MISS_DATEにする必要があります。また、メイン・プロシージャの大きいIFループに、この新規サブプロシージャをコールする文を追加します。

 ELSIF l_dep_attr_tbl(I) = OE_LINE_UTIL.G_AGREEMENT THEN
         AGREEMENT;

受注ヘッダー・エンティティに依存フィールドを追加する場合は、前述の手順に従って、ヘッダー・ユーティリティ・パッケージOE_Header_Util(ファイル: OEXUHDRB.pls)に同様のコードを追加します。

変更の制御

Oracle Order Managementのデフォルト・ルールでは、属性のデフォルト設定方法に関係なく、処理制約フレームワークを使用して、データを変更できるユーザーと変更できる時期を制御します。また、処理制約を定義するときには、システムによる属性の更新は可能にし、他のユーザーの変更権限は制限するように指定できます。

デフォルト・ルールによりエンティティの既存属性が変更されるのは、その属性が変更対象となった他の属性に依存している場合のみです。

レポート

Oracle Order Managementには、設定済のデフォルト・ルールを示す新規レポートが用意されています。このレポートは、旧リリースのOracle Order Entryの標準値ルール・リストにかわるものです。このレポートはデフォルト・ルール・リスティング・レポートと呼ばれ、リストを特定のオブジェクト(エンティティ)、属性または条件に限定できるようにパラメータが用意されています。もう1つのパラメータは、シード済かどうかを指定するオプション「シード済」(「Yes」または「No」)です。

実装時の考慮事項

条件の作成

前述のように、条件により、会社用のデフォルト・ルールの実装方法を設計する場合に、大幅な柔軟性が得られます。ただし、条件の作成時には、いくつかの動作を考慮する必要があります。

使用できる属性

エンティティについて条件を作成する場合に基礎として使用できるのは、そのエンティティに属する属性のみであることに注意してください。したがって、たとえば、受注タイプはヘッダー属性であるため、受注タイプに基づいて明細属性の条件を設定することはできません。同じレベルの属性に関して条件を記述できるように、ビジネス・ルールを慎重に調べる必要があります。Oracle Order Managementでは、ヘッダー・レベルのほとんどの属性は(受注タイプや通貨など、一部の例外を除き)明細レベルにも存在します。ソフトウェアでは顧客が受注全体で同一になるように規定されていても、販売先顧客は明細レベルの属性として存在します。このため、顧客を明細の条件テンプレートに使用できます。

条件内で使用される属性の順序

属性のデフォルト設定の順序は、条件とソース・ルールを適切に設計する上で重要な役割を果たします。属性Yを使用し、条件に基づいて属性Xのルールを作成する場合は、属性Yのデフォルトが属性Xより前に設定されるように設定しなければ、条件はTRUEに評価されません。たとえば、顧客を使用して単位のデフォルトを設定する条件を定義すると、顧客のデフォルトが単位より前に設定される場合にのみ、この条件が機能します。また、この条件は、「単位」フィールドの初期デフォルト設定にのみ機能します。これは、依存性によるものです。

条件内で使用される属性の依存性

したがって、条件の作成時には依存性を考慮する必要があります。属性Yに関連する条件を使用して属性Xのデフォルト・ルールを設定すると、属性Xが属性Yに依存する場合にのみ、そのルールが属性Yの後続の更新中に機能します。このため、前述の単位と顧客の場合は、後で受注の顧客を変更しても、単位は顧客に依存しないため、新規顧客に基づいて単位のデフォルトが再設定されることはありません。

デフォルト設定と連鎖の違い

Oracle Order Managementでは、デフォルト設定と連鎖に明確な区別があり、リリース11のOracle Order Entryで使用されていたものとは動作が異なっています。Oracle Order Entryでは、デフォルト設定と連鎖が混在しており、あるレベルで属性が変更された場合の処理を予測するのは困難な場合がありました。Oracle Order Managementでは、デフォルト設定ロジックが機能するのは、レコードの初期作成時(ウィンドウ上で新規レコードをクリックしたとき)、またはこの属性が依存する属性に変更があった場合のみです。これに対して連鎖は、属性の値が下位レベルのエンティティへとレプリケートされることを意味します。Oracle Order Managementでは、連鎖は実行されません。既存の行の属性値を変更する場合は、新しい一括変更機能を使用する必要があります。この機能を使用し、変更対象となる行を複数選択して変更します。

このような概念がどのように適用されるかを考えます。たとえば、出荷方法のような明細レベルの属性のデフォルトを、ヘッダーから明細に設定するようにデフォルト・ルールを設定しているとします。複数の明細を含む受注を作成し、ヘッダー(および明細)に出荷方法Aを使用します。その後、出荷方法をBに変更する必要が生じました。この属性をヘッダーで変更すると、後続の新規明細には出荷方法Bがデフォルト設定されます。出荷方法Aが指定されていた既存の明細は、ヘッダー属性に変更があってもBには変更されません。明細の出荷方法を変更するには、一括変更機能を使用する必要があります。明細の変更内容を、ユーザーが明示的かつ明確に制御できるようになりました。

新規のデフォルト設定機能

このリリースでは、「最終顧客」機能を使用して導入ベース情報のデフォルトをより正確に設定できます。必要に応じてヘッダー・レベルと明細レベルで「導入ベース所有者」、「現行事業所」および「導入場所事業所」の値をデフォルト設定できます。「最終顧客」フィールドは、「受注」フォームの「その他」タブにあります。

新規の「価格設定および有効数量」機能も用意されており、需要区分、品目識別子タイプ、受注タイプ、倉庫および価格表などの価格設定および有効数量属性をデフォルト設定できます。

SVRSとデフォルト・ルールの間で根本的なアーキテクチャに大幅変更があったため、ユーザー定義のSVRSはアップグレードしないように決定されました。リリース11のシード済SVRSと同等の機能を持つデフォルト・ルールがシードされています。

Oracle Order Entryで独自の標準値ルールを作成したり、シード済ルール・セットをカスタマイズしていた場合は、変更やカスタマイズを裏付けるロジックを慎重に書き換えて、影響を受ける属性用に等価のデフォルト・ルールを作成する必要があります。通常、ユーザーは特定のビジネス・ニーズに対応する条件を作成して、必要な属性に関する条件を使用してデフォルト・ルールを作成します。

ここでは、デフォルト・ルールの使用方法について説明します。ごく一般的なビジネス・ニーズ、つまり、受注タイプのデフォルト設定を顧客またはユーザーに基づいて行う必要がある場合を考えます。これは、Oracle Order EntryではSVRSを使用して実行できなかった操作です。受注タイプは、常に入力するか値リストから選択する必要のある情報の1つでした。ただし、Oracle Order Managementでは、受注タイプをデフォルト設定するルールを記述できます。

次のビジネス要件を考えます。

顧客の一部は特別な処理要件を持ち、この種の顧客専用に特殊な受注タイプを設定しており、通常はすべての受注がその受注タイプであるとします。実際には、顧客の請求先事業所や出荷先事業所にも、独自の特殊受注タイプが必要な場合があります。ただし、通常は、各部門のユーザーに常に特定タイプの受注を入力させることを考えています。国内CSRは受注タイプ「国内」の受注を入力し、輸出部門のスタッフは受注タイプ「国際」の受注を入力します。

そのためには、次のように操作します。

顧客が受注を入力すると、デフォルト・コードにより最初に顧客の請求先サイト、次に出荷先レコード、顧客ヘッダー、最後に新規プロファイル・オプションでデフォルトの受注タイプが検索されます。

Order Managementのデフォルト・ルール

次の表は、デフォルト・ルールを定義できるエンティティと属性を示しています。それぞれの表は、ブロックの全フィールドを示します。

受注ヘッダー・エンティティ

受注ヘッダー
属性 優先度 デフォルト条件 ソース・タイプ デフォルト・ソース/値
会計基準 1 常に 関連レコード Agreement.Accounting Rule
会計基準 2 常に 関連レコード Order Type.Accounting Rule
担当 1 常に 関連 Agreement.Invoice To Contact
担当 2 常に 同じレコード Invoice To Contact
担当 3 常に 同じレコード Ship To Contact
換算タイプ 1 常に 関連レコード Order Type.Conversion Type
クレジット・カード失効日 1 支払タイプ PL/SQL API OE_DEFAULT_PVT.Get_CC_ Expiration_Date
クレジット・カード保有者名 1 支払タイプ PL/SQL API OE_DEFAULT_PVT.Get_CC_ Holder_Name
クレジット・カード番号 1 支払タイプ PL/SQL API OE_DEFAULT_PVT.Get_ Credit_Card_Number
通貨 10 支払タイプ PL/SQL API OE_DEFAULT_PVT.Get_SOB_ Currency_Code
通貨 5 常に 関連レコード Price List.Currency
顧客発注 1 常に 関連レコード Agreement.Customer PO
搬送先担当 1 常に 関連レコード Deliver To Org.Contact
搬送先組織 1 常に 関連レコード Customer Deliver To Org
需要区分 1 常に 関連レコード Ship To.Demand Class
需要区分 2 常に 関連レコード Order Type.Demand Class
FOBポイント 1 常に 関連レコード Ship To.FOB Point
FOBポイント 2 常に 関連レコード Invoice To.FOB Point
FOBポイント 3 常に 関連レコード Customer.FOB Point
FOBポイント 4 常に 関連レコード Order Type.FOB Point
運送条件 1 常に 関連レコード Ship To.Freight Terms
運送条件 2 常に 関連レコード Invoice To.Freight Terms
運送条件 3 常に 関連レコード Customer.Freight Terms
運送条件 4 常に 関連レコード Order Type.Freight Terms
運送条件 5 常に 関連レコード Price List.Freight Terms
請求先 1 常に 関連レコード Agreement.Invoice To
請求先 2 常に 関連レコード Ship To.Invoice To
請求先 3 常に 関連レコード Customer.Invoice To
請求先担当 1 常に 関連レコード Agreement.Invoice To Contact
請求先担当 2 常に 関連レコード Invoice To.Contact
請求ルール 1 常に 関連レコード Agreement.Invoicing Rule
請求ルール 2 常に 関連レコード Order Type.Invoicing Rule
受注日 1 常に システム変数 SYSDATE
受注日タイプ・コード 1 常に 関連レコード Customer.Order Date Type Code
受注タイプ 5 常に 関連レコード Invoice To.Order Type
受注タイプ 10 常に 関連レコード Ship To.Order Type
受注タイプ 15 常に 関連レコード Customer.Order Type
支払条件 1 常に 関連レコード Agreement.Payment Term
支払条件 2 常に 関連レコード Ship To.Payment Term
支払条件 3 常に 関連レコード Invoice To.Payment Term
支払条件 4 常に 関連レコード Customer.Payment Term
支払条件 5 常に 関連レコード Price List.Payment Term
価格表 1 常に 関連レコード Agreement.Price List
価格表 2 常に 関連レコード Ship To.Price List
価格表 3 常に 関連レコード Order Type.Price List
価格設定日 1 常に システム変数 SYSDATE
要求日 1 常に システム変数 SYSDATE
営業担当 1 常に 関連レコード Agreement.Salesperson
営業担当 2 常に 関連レコード Customer.Salesperson
営業担当 3 常に 関連レコード Ship To.Salesperson
営業担当 4 常に 関連レコード Invoice To.Salesperson
出荷先 1 常に 関連レコード Customer.Ship To
出荷先担当 1 常に 関連レコード Ship To.Contact
出荷優先度 1 常に 関連レコード Order Type.Shipment Priority
出荷方法 1 常に 関連レコード Ship To.Shipping Method
出荷方法 2 常に 関連レコード Invoice To.Shipping Method
出荷方法 3 常に 関連レコード Customer.Shipping Method
出荷方法 4 常に 関連レコード Order Type.Shipping Method
出荷方法 5 常に 関連レコード Price List.Shipping Method
免税 1 常に 定数値 S
倉庫 1 常に 関連レコード Ship To.Warehouse
倉庫 2 常に 関連レコード Order Type.Warehouse

受注明細エンティティ

受注明細
属性 優先度 デフォルト条件 ソース・タイプ デフォルト・ソース/値
会計基準 1 常に 関連レコード Agreement.Accounting Rule
会計基準 2 常に 関連レコード Line Type.Accounting Rule
会計基準 3 常に 関連レコード Inventory Item.Accounting Rule
会計基準 4 常に 関連レコード Order Header.Accounting Rule
基本契約 1 常に 関連レコード Order Header.Agreement
顧客 2 常に 関連レコード Order Header.Customer
顧客発注 1 常に 関連レコード Order Header.Customer PO
搬送先担当 1 常に 関連レコード Order Header.Deliver To Contact
需要区分 1 常に 関連レコード Order Header.Demand Class
需要区分 2 常に 関連レコード Ship To.Demand Class
需要区分 3 常に 関連レコード Line Type.Demand Class
出発計画要 1 常に 関連レコード Customer Item.Dep Planning Reqd
FOBポイント 2 常に 関連レコード Order Header.FOB Point
運送条件 1 常に 関連レコード Order Header.Freight Terms
請求先 10 常に 関連レコード Order Header.Invoice To
請求先 20 常に 関連レコード Ship To.Invoice To
請求先担当 1 常に 関連レコード Agreement.Invoice To Contact
請求先担当 2 常に 関連レコード Invoice To.Contact
請求先担当 3 常に 関連レコード Order Header.Invoice To Contact
請求ルール 1 常に 関連レコード Agreement.Invoicing Rule
請求ルール 2 常に 関連レコード Line Type.Invoicing Rule
請求ルール 3 常に 関連レコード Inventory Item.Invoicing Rule
請求ルール 4 常に 関連レコード Order Header.Invoicing Rule
明細タイプ 1 常に 通常明細 Order Header.Default Inbound Line Type
明細タイプ 1 常に 返品明細 Inventory Item.Primary UOM
受注数量単位 1 常に 返品明細 Inventory Item.Primary UOM
支払条件 1 常に 関連レコード Order Header.Payment Term
価格表 1 常に 関連レコード Order Header.Price List
価格表 2 常に 関連レコード Ship To.Price List
価格設定日 1 常に システム変数 SYSDATE
確約日 1 常に 関連レコード Order Header.Request Date
確約日 2 常に 同じレコード Schedule Ship Date
要求日 1 常に 関連レコード Order Header.Request Date
要求日 2 常に システム変数 SYSDATE
返品事由 1 返品明細 関連レコード Order Header.Return Reason
営業担当 1 常に 関連レコード Order Header.Salesperson
出荷先 1 常に 関連レコード Order Header.Ship To
出荷先担当 1 常に 関連レコード Ship To.Contact
出荷先担当 2 常に 関連レコード Order Header.Ship To Contact
出荷優先度 1 常に 関連レコード Order Type.Shipment Priority
出荷許容範囲上限 1 常に 関連レコード Item Ship To Tolerance.Over Shipment Tolerance
出荷許容範囲上限 10 常に 関連レコード Item Bill To Tolerance.Over Shipment Tolerance
出荷許容範囲上限 20 常に 関連レコード Customer Item Tolerance.Over Shipment Tolerance
出荷許容範囲上限 30 常に 関連レコード Ship To.Over Shipment Tolerance
出荷許容範囲上限 40 常に 関連レコード Invoice To.Over Shipment Tolerance
出荷許容範囲上限 50 常に 関連レコード Customer.Over Shipment Tolerance
出荷許容範囲上限 60 常に 関連レコード Inventory Item.Over Shipment Tolerance
出荷許容範囲上限 70 常に アプリケーション・プロファイル OM: 超過出荷許容範囲
出荷許容範囲上限 1 返品明細 関連レコード Item Ship To Tolerance.Over Shipment Tolerance
出荷許容範囲上限 10 返品明細 関連レコード Item Bill To Tolerance.Over Return Tolerance
出荷許容範囲上限 20 返品明細 関連レコード Customer Item Tolerance.Over Return Tolerance
出荷許容範囲上限 30 返品明細 関連レコード Ship To.Over Return Tolerance
出荷許容範囲上限 40 返品明細 関連レコード Invoice To.Over Return Tolerance
出荷許容範囲上限 50 返品明細 関連レコード Customer.Over Return Tolerance
出荷許容範囲上限 60 返品明細 関連レコード Inventory Item.Over Return Tolerance
出荷許容範囲上限 70 返品明細 アプリケーション・プロファイル OM: 超過返品許容範囲
出荷許容範囲下限 1 常に 関連レコード Item Ship To Tolerance.Under Shipment To
出荷許容範囲下限 10 常に 関連レコード Item Bill To Tolerance.Under Shipment Tolerance
出荷許容範囲下限 20 常に 関連レコード Customer Item Tolerance.Under Shipment Tolerance
出荷許容範囲下限 30 常に 関連レコード Ship To.Under Shipment Tolerance
出荷許容範囲下限 40 常に 関連レコード Invoice To.Under Shipment Tolerance
出荷許容範囲下限 50 常に 関連レコード Customer.Under Shipment Tolerance
出荷許容範囲下限 60 常に 関連レコード Inventory Item.Under Shipment Tolerance
出荷許容範囲下限 70 常に アプリケーション・プロファイル OM: 不足出荷許容範囲
出荷許容範囲下限 1 返品明細 関連レコード Item Ship To Tolerance.Under Return Tolerance
出荷許容範囲下限 10 返品明細 関連レコード Item Bill To Tolerance.Under Return Tolerance
出荷許容範囲下限 20 返品明細 関連レコード Customer Item Tolerance.Under Return Tolerance
出荷許容範囲下限 30 返品明細 関連レコード Ship To.Under Return Tolerance
出荷許容範囲下限 40 返品明細 関連レコード Invoice To.Under Return Tolerance
出荷許容範囲下限 50 返品明細 関連レコード Customer.Under Return Tolerance
出荷許容範囲下限 60 返品明細 関連レコード Inventory Item.Under Return Tolerance
出荷許容範囲下限 70 返品明細 アプリケーション・プロファイル OM: 返品不足許容範囲
出荷優先度 1 常に 関連レコード Order Header.Shipment Priority
ソース・タイプ 1 常に 定数値 INTERNAL
税コード 1 常に PL/SQL API OE_DEFAULT_PVT.GET_ TAX_CODE
税金日付 1 常に 同じレコード 予定出荷日
税金日付 2 常に 同じレコード 確約日
税金日付 3 常に 同じレコード 要求日
税金日付 4 常に システム変数 SYSDATE
免税番号 1 常に PL/SQL API OE_Default_PVT.GET_TAX_ EXEMPTION_DETAILS
免税事由 1 常に PL/SQL API OE_Default_PVT.GET_TAX_ EXEMPTION_DETAILS
倉庫 1 常に 関連レコード Customer.Warehouse
倉庫 2 常に 関連レコード Inventory Item.Primary Shipping Organization
倉庫 3 常に 関連レコード Order Header.Warehouse
倉庫 4 常に 関連レコード Line Type.Warehouse
倉庫 5 常に 関連レコード Ship To.Warehouse
         
受注価格調整
属性 優先度 デフォルト条件 ソース・タイプ デフォルト・ソース/値
自動 1 常に 定数値 N