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Oracle Paymentsインプリメンテーション・ガイド
リリース12
E06000-01
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資金取得と資金支出の共有設定タスク

概要

資金取得と資金支出の両プロセスには、共通の設定タスクがあります。この項で説明する各設定タスクは、資金取得と資金支出の両方で共有され、Paymentsに関する最初の6つの設定タスクを表します。これらの同じ設定タスクは、資金取得と資金支出の両方で使用するため、これらの共有設定ステップは、Paymentsの資金取得機能のみを使用する場合、資金支出機能のみを使用する場合、または両方を使用する場合に必ず実行する必要があります。

推奨設定ステップ

Oracle Paymentsでは、他のE-Business Suite製品またはOracle Paymentsを設定する前に、次の設定ステップを必要に応じて実行することをお薦めします。

支払機能アクセスの設定

支払機能は、支払の目的を示す買掛/未払金文書に関する属性です。支払機能の例には、仕入先支払、従業員経費支払、ローン支払などがあります。

支払機能は、買掛/未払金文書の目的の識別に加え、特定の買掛/未払金文書を処理するユーザーの機能を制御する上でも役立ちます。つまり、支払プロセス要求や支払指図に対して処理を実行できるのは、その要求や指図内のすべての買掛/未払金文書および支払に、権限を備えた支払機能がある場合のみです

支払機能は、Oracle Paymentsの「資金支出プロセス・ホーム」ページのメニューで使用可能または使用不可にします。このメニューに対する機能の追加または削除方法の詳細は、『Oracle Applicationsシステム管理者ガイド』を参照してください。

機能セキュリティの設定

Oracle Paymentsでは、様々な機密タスクを実行できます。機能セキュリティを使用すると、次のタスクのユーザーによる実行を許可したり、禁止できます。

E-Business Suite製品の設定チェックリスト

Oracle Paymentsを使用するには、他のE-Business Suite製品で、次の表に記載されている設定ステップを実行する必要があります。インストールされている各アプリケーションの設定ステップの順序を判断するには、該当するアプリケーション・ガイドを参照してください。

E-Business Suite製品の設定チェックリスト
設定ステップステップ・タイプOracle Applicationsおよび適切なガイド
当方銀行口座と関連支払文書の設定必須Oracle Cash Management。参照: 『Oracle Cash Managementユーザーズ・ガイド』の銀行および口座管理: 銀行口座の定義に関する項。
請求先事業所と営業単位の設定必須Legal Entity Configurator(『Oracle Financialsインプリメンテーション・ガイド』)。参照: 『Oracle Financialsインプリメンテーション・ガイド』の法的関連に関する項、報告組織の作成に関する項、および報告組織の更新に関する項。
外部銀行口座の設定条件により必須

注意: 外部銀行口座は仕入先銀行口座です。このステップは、PaymentsユーザーまたはPayablesユーザー(あるいはその両方)が仕入先銀行口座への電子送金を希望する場合は必須です。PaymentsユーザーまたはPayablesユーザー(あるいはその両方)が小切手の印刷のみを希望する場合、このステップは必須ではありません。

Oracle Cash Management。参照: 『Oracle iSupplier Portal User's Guide』の銀行口座詳細の作成に関する項
税金レポート・エンティティの設定必須Oracle Payables(『Oracle Payablesユーザーズ・ガイド』)。参照: 『Oracle Payablesインプリメンテーション・ガイド』のレポート・エンティティに関する項。
換算レートの定義複数通貨を使用する場合は条件により必須Oracle General Ledger(『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』)。参照: 『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』の換算レート・タイプの定義に関する項。

前提条件

Oracle Paymentsを設定するには、その前に、前提条件となる次の設定ステップを実行する必要があります。

Oracle Payments共有設定タスクの設定チェックリスト

次の表に、資金取得と資金支出の両方で使用する機能に関するOracle Payments設定チェックリストを示します。これらの共有設定ステップは、表に記載されている順に設定する必要があります。

資金取得と資金支出の両方で使用する機能に関するOracle Payments設定チェックリスト
ステップ
番号
設定ステップステップ・タイプOracle Applications
1.Oracle Paymentsユーザーの作成必須Application Object Library
2.システム・セキュリティ・オプションの設定オプションOracle Payments
3.支払フォーマットまたはレポート・フォーマットのためのOracle XML Publisherテンプレートの設定または更新

注意: Oracle XML Publisherにはこのような多数のフォーマットがシードされています。

条件により必須Oracle XML Publisher
4.フォーマットの設定条件により必須Oracle Payments
5.検証の設定オプションOracle Payments
6.伝送構成の設定条件により必須Oracle Payments
7.トンネリングの構成条件により必須Oracle Payments
8. 支払システムの設定条件により必須Oracle Payments
9.Oracle Paymentsサンプル・サーブレットの構成オプションOracle Payments
10.支払システム・サーブレット通信に対するSSLセキュリティの設定オプションOracle Payments
11.XMLフレームワークの構成必須Oracle Payments

ステップ1. Oracle Paymentsユーザーの作成

次の表に、Oracle Paymentsに用意されている主なユーザー・インタフェースと対応する職責を示します。これらのユーザー・インタフェースは、様々な目的のために機能します。

Oracle Paymentsのユーザー・インタフェースと対応する職責
主なユーザー・インタフェース対応する職責
資金取得設定資金取得設定管理者
資金支出設定資金支出設定管理者
資金取得プロセス・ダッシュボード  資金取得プロセス・マネージャ  
資金支出プロセス・ダッシュボード資金支出プロセス・マネージャ
クレジット・カード処理分析クレジット・カード処理分析

ユーザーには、複数の職責とロールを割り当てることができます。

注意: クレジット・カード処理分析にアクセスするには、JTF(Java Technology Foundation)ユーザー・インタフェースを使用してログインします。

Oracle Paymentsユーザーに対する職責とロールの割当

既存または新規のユーザーには、複数の職責とロールを割り当てることができます。ユーザーの作成方法は、「ステップ1. Oracle Paymentsユーザーの作成」を参照してください。

次の表に、Oracle Paymentsのシード職責とその説明を示します。

Oracle Paymentsのシード職責とその説明
職責説明
支払設定管理者共有、資金取得および資金支出の設定

注意: 支払設定管理者職責は、1人のユーザーがこれら3つの機能を設定する場合にのみ使用します。

資金取得設定管理者共有および資金取得の設定
資金支出設定管理者共有および資金支出の設定
資金取得プロセス・マネージャ資金取得プロセス・ダッシュボード
資金支出プロセス・マネージャ資金支出プロセス・ダッシュボード
クレジット・カード処理分析クレジット・カード処理分析

ユーザーにクレジット・カード処理分析職責が割り当てられている場合、そのユーザーには、次の表に記載されているロールを、対応する権限とともに割り当てる必要があります。

クレジット・カード処理分析職責およびそれに対応する必要なロールと権限
職責ロール権限
クレジット・カード処理分析IBY_DBC_ROLE(JTFテクノロジ・スタック固有)IBY_DBC_ROLE IBY_DBC_VIEW_PERMISSION

ステップ2. システム・セキュリティ・オプションの設定

システム・セキュリティ・オプションを使用すると、支払手段の暗号化、マスキングおよびクレジット・カード管理に関するセキュリティ・オプションを設定できます。これらのオプションは、資金取得と資金支出の両方のプロセスに使用されます。これらの設定は、支払手段に関する機密データの暗号化、支払手段のマスキング、クレジット・カード所有者の検証管理など、セキュリティ上の問題を処理する際に使用されます。

支払手段の暗号化では、チェーン・キー・アプローチが使用されます。チェーン・キー・アプローチでは、簡単に説明すると、AがBを暗号化し、BがCを暗号化します。Oracle Paymentsでは、システム・キーによってサブキーが暗号化され、そのサブキーによって支払手段データが暗号化されます。このアプローチによって、システム・キーを簡単に循環できるようになり、システム・キーが、インストール全体の暗号化マスター・キーとなります。この暗号化マスター・キーはWalletファイルに格納され、Oracle Paymentsのサブキーの暗号化に使用されます。

前提条件

セキュリティ・オプションを設定するには、その前に、Walletを設定する必要があります。Walletの設定方法は、「Walletの設定」を参照してください。

Walletの設定

システム・キーの管理は、Oracle Wallet Managerの機能を使用して実行されます。

Walletはシステム・キーを格納するファイルです。Walletファイルの内容はOracle Wallet Managerによって管理されます。Walletファイルには2つの機能があります。

次に、「Wallet設定」ページでWalletを設定する目的を示します。

Walletファイルの作成

Walletファイルを作成するには、Oracle Wallet Managerプログラムを起動する必要があります。UNIXシステムでは、次のコマンドを使用して起動します。

owm

Walletにシステム・セキュリティ・キーのみを格納する場合は、空のWalletファイルを作成することで十分です。Walletにクライアント認証用の非公開キーを格納する場合は、ここでインポートする必要があります。中間層サーバーに対してWalletファイルをアクセス可能にした後は、Oracle Paymentsで「Oracle Payments設定」 > 「システム・セキュリティ・オプション」の順にナビゲートし、システム・セキュリティ・キーを使用してWalletファイルを初期化します。24ビットの独自のシステム・セキュリティ・キー(ユーザー・インタフェースを介して指定した場所のバイナリ・ファイルに格納)をインポートするか、ランダムなキーを生成できます。Wallet設定プロセスが完了すると、システム・セキュリティ・キーがWalletに格納され、cwallet.ssoというパスワードのないWalletバージョンが当初のWalletファイルと同じディレクトリに作成されます。

Walletファイル・パスワードの定義

「Wallet設定」ページでWalletファイルのパスワードを定義するには、任意の文字列を入力します。このパスワードはWalletファイルを暗号化する際に使用されます。

システム・キー・ファイルの場所の指定または生成

「Wallet設定」ページでは、システム・キー・ファイルの場所を指定することでシステム・キーを準備するか、システムでシステム・キーを生成できます。いずれの場合も、指定または生成したキーはWalletファイルに格納され、指定のパスワードを使用して暗号化されます。

支払手段の暗号化

「システム・セキュリティ・オプション」設定ページでは、支払手段の暗号化を使用可能にするか使用不可にするか、および新しい支払手段の登録直後に暗号化を実行するか、パフォーマンス上の理由から暗号化を定期的なスケジュールに基づいて実行するかを指定します。

支払手段のマスキング

「システム・セキュリティ・オプション」設定ページでは、マスキングおよび表示する桁数を選択して、クレジット・カード番号と外部銀行口座番号をマスキングできます。たとえば、XXXX8012というクレジット・カード番号は、最後の4桁を表示し、残りの桁をすべてマスキングしていることを表します。これらの設定によって、多数のアプリケーションのユーザー・インタフェースで、支払手段番号に対するマスキングが指定されます。

クレジット・カード所有者の検証

このオプションを使用すると、クレジット・カード・セキュリティ・コードまたはクレジット・カード取引明細書請求所在地(あるいはその両方)の入力をユーザーに要求できます。この情報は支払システムに渡されて、クレジット・カード・イシュアとの照合が行われ、クレジット・カード所有者のセキュリティ・コードまたは取引明細書請求所在地(あるいはその両方)が確認されます。

ステップ3. Oracle XML Publisherテンプレートの設定

Paymentsでは、資金取得と資金支出の取引を正しくフォーマットするために、Oracle XML Publisherテンプレートが使用されるため、フォーマットを簡単に管理できます。これらの支払テンプレートは、新規に作成したり、Microsoft Wordなどの標準テキスト・エディタを使用して最小限の労力で変更することができます。したがって、支払システムまたは金融機関で支払手段フォーマットの変更が必要になった場合は、適切なOracle XML Publisherテンプレートを変更することで迅速に変更できます。

Paymentsでは、固定位置のフォーマットや区切りのあるフォーマットの作成に伴う複雑性に対して特別な配慮がなされています。このようなフォーマットには、Oracle XML PublisherのeText機能が使用されます。eTextを使用すると、フォーマット・レイアウトがわかりやすい表構造で表示されます。

支払に関連する複数のテンプレートがデフォルトで提供されています。各自のフォーマット要件を満たすには、既存のテンプレートを使用したり、変更することができます。

目的

Oracle XML Publisherのテンプレートを設定する目的は、Oracle XML Publisherに複数のテンプレートを作成して登録することです。これらのテンプレートは、Oracle Paymentsで支払手段をフォーマットする際に必要です。

関連項目

Oracle XML Publisherのフォーマット・テンプレートの作成、登録および使用の詳細は、『Oracle XML Publisherユーザーズ・ガイド』を参照してください。

ステップ4. フォーマットの設定

金融機関、支払システムまたは各国(あるいはそのすべて)には、資金取得取引、資金支出取引、支払文書および支払関連レポートについて固有のフォーマット要件があります。これらの要件を表すフォーマットは、Oracle Payments内で作成されます。Oracle Payments内の各フォーマットは、Oracle XML Publisherの1つのテンプレートに対応しています。Oracle Paymentsでは、Oracle XML Publisherのテンプレートを使用し、特定の金融機関または支払文書のフォーマット要件に従って、資金獲得および資金支出の取引をフォーマットします。

「書式の作成」設定ページでは、フォーマットが特定のOracle XML Publisherテンプレートに関連付けられているため、そのフォーマットを使用する取引を検証するために、検証セットを割り当てることもできます。1つの支払システムに複数のフォーマットを使用できます。

Oracle XML Publisherの各支払関連テンプレートには、デフォルトで1つのフォーマットが用意されています。

前提条件

フォーマットを設定するには、その前に、次の設定ステップを実行する必要があります。

目的

フォーマットを設定する目的は、Oracle Payments内でフォーマットを定義して、XMLパブリッシャ・テンプレートに関連付け、検証セットを割り当てることです。

注意: Paymentsでフォーマットを作成するには、その前に、対応するXMLパブリッシャ・テンプレートを使用可能にする必要があります。対応するXMLパブリッシャ・テンプレートが使用可能かどうかを確認するには、XMLパブリッシャ・テンプレートを設定するページの「検索」リージョンでテンプレートを検索します。

ステップ5. 検証の設定

検証では、資金取得取引および資金支出取引が有効であることに加え、印刷または支払システムに発行される前に正しくフォーマットされていることを確認します。

「検証」ページには、シード検証を表示できます。各検証について、検証とフォーマットのパラメータや割り当てられている支払方法を表示できます。

「支出支払指図」タイプのフォーマットまたは資金支出支払方法には、事前定義またはユーザー定義の検証を割り当てることができます。「資金取得精算バッチ」タイプのフォーマットには、事前定義の検証を割り当てることができます。

関連項目

検証の詳細は、「検証について」を参照してください。

フォーマットの詳細は、「ステップ4. フォーマットの設定」を参照してください。

資金支出支払方法の詳細は、「ステップ12. 資金支出支払方法の設定」を参照してください。

ステップ6. 伝送構成の設定

伝送構成では、特定の支払システムまたは金融機関に対する取引の配信を可能にする特定の伝送プロトコルを実装します。

各伝送プロトコルには、値が必要なパラメータがあります。パラメータに定義された値は、伝送プロトコルの伝送構成を構成します。たとえば、支払システム(PaymentTech)には、XのソケットIPアドレスとYのソケット・ポート番号が必要であるとします。 この場合、XとYはともに、特定の伝送プロトコルに対する伝送構成Aを表します。

目的

「伝送構成の作成」設定ページで伝送構成を設定する目的は、パラメータ値を指定して、支払システムとの電子的な接続を使用可能にすることです。

関連項目

伝送プロトコルの詳細は、「伝送について」を参照してください。

ステップ7. トンネリングの構成

トンネリングは、Oracle Paymentsの伝送機能で、2つのプロトコルを使用し、一方がもう一方のプロトコルをカプセル化してデータ(支払手段など)を配信する機能です。トンネリングは委任伝送とも呼ばれます。これは、Oracle Paymentsからの最初の伝送が、独自の伝送プロトコルを使用してデータを配信する外部モジュール(つまり、伝送サーブレット)への要求であるためです。伝送プロトコルの名称、そのパラメータおよび配信する必要がある実際のデータは、トンネリング伝送プロトコル本体内にカプセル化されています。

トンネリングの目的は、ネットワーク・セキュリティを危険にさらすことなく、Oracle Paymentsと外部支払システム間の接続を可能にすることです。たとえば、プロセッサ・タイプの支払システムでは、多くの場合、支払指図ファイルを受け取るために、FTPやローIPソケット接続などのプロトコルが必要です。ファイアウォールに侵入口を作成してこれらの接続要件を満たすかわりに、ユーザーは、ファイアウォールの外側にあるホストにPayments支払伝送サーブレットを配置して、Oracle Paymentsエンジンからサーブレットに要求をトンネリング(つまり、委任)できます。Oracle Payments伝送サーブレットは、アプリケーション・データベースを意図的に使用せず、外部支払システムのイントラネットから完全に隔離できます。

トンネリング・プロトコル

Oracle Paymentsでは、Oracle Paymentsトンネリング・プロトコル(コード=IBY_DELIVERY_ENVELOPE)というカスタマイズされたトンネリング・プロトコルを使用します。このプロトコルでは、基礎となる伝送メカニズムとしてHTTP POSTを使用し(HTTPSもサポートされます)、起動時に使用するパラメータ(FTPのホスト名、ユーザー名、パスワードなど)に加えて、トンネリングまたはカプセル化されたプロトコルを識別するXMLメッセージ・ヘッダーを要求の本文に含めて送信します。XMLメッセージ・ヘッダーの後は配信されるデータです。

Oracle Paymentsトンネリング・プロトコルは、伝送プロトコルのコードポイントとして、oracle.apps.iby.net.TunnelingFunctionインタフェースを実装します。

次の表に、Oracle Paymentsトンネリング・プロトコルのパラメータと説明を示します。

Oracle Paymentsトンネリング・プロトコルのパラメータと説明
パラメータ 説明
WEB_URL プロトコルを実行する伝送サーブレットのHTTP/HTTPS URL
USERNAME/PASSWORD URLがHTTP認証によって保護されている場合にサーブレットへのアクセスに使用するユーザー名とパスワード

伝送サーブレット

Oracle Payments伝送サーブレットは、Oracle Paymentsエンジンから送信されるトンネリングまたは委任された伝送要求を実行するモジュールです。このサーブレットは、Payments HTTP XML配信エンベロープ要求を受信し、XMLメッセージ・ヘッダーと伝送データの各構成要素に解析します。XMLメッセージ・ヘッダーのフォーマットは、DeliveryEnvelope.dtdという名称のXML DTDファイルによって定義されます。このメッセージ・ヘッダーは、そのJavaコードポイント・クラス名と入力関数名を使用して、伝送プロトコル自体と、トンネリングまたはカプセル化された伝送プロトコルに渡すための2つパラメータを指定します。次に、伝送サーブレットは、トンネリングされたプロトコルを実装するJavaクラスの動的ロードを試行し、XMLメッセージ・ヘッダーから解析された伝送パラメータと伝送データを渡すことでそのJavaクラスを起動します。この動作は、Oracle Paymentsエンジンによる起動と同じです。すべてのプロトコルは、oracle.apps.iby.net.TransmitFunctionインタフェースを実装しているかぎりトンネリング化できます。したがって、カスタム定義プロトコルも、コードポイントを実装するJavaクラスが、サーブレットのアプリケーション・コンテナのCLASSPATHに存在している場合は、サーブレットに対してトンネリング化またはカプセル化できます。

クラスoracle.apps.iby.bep.TransmitServletは、Oracle Payments伝送サーブレットを実装しています。このクラスは、中間層iASアプリケーション・サーバーではURL/OA_HTML/ibytransmitという別名になります。サーブレットを異なるホスト(DMZネットワーク・ゾーンのホストなど)に再配置する場合、ユーザーは、アプリケーション固有のすべてのJavaファイルを、E-Business Suiteインストールから、伝送サーブレットの新規サーブレット・コンテナでアクセス可能なクラス・リポジトリに、コピーする必要があります。開発した新規伝送プロトコルをサーブレットでサポートする必要がある場合は、その新規プロトコルのJavaコードをこのリポジトリにコピーしておく必要があります。

トンネリングの構成

トンネリングは、Oracle Payments伝送構成ユーザー・インタフェースを使用して構成します。トンネリング伝送構成は、その他の伝送構成として指定されますが、プロトコルは常にPayments HTTP XML配信エンベロープ・プロトコルです。トンネリング・プロトコルを構成した後は、伝送構成ユーザー・インタフェースにトンネリング構成フィールドに値を指定することで、通常の非トンネリング伝送構成を使用することも、カプセル化することもできます。

重要: Oracle Paymentsでは、トンネリング・プロトコルのトンネリング化またはカプセル化はサポートしていません。

ステップ8. 支払システムの設定

支払システムは、金融決済サービスを提供する組織です。Paymentsを採用している企業では、通常、資金取得や場合によっては電子的な資金支出支払指図を処理するために支払システムを選択します。支払システムは、採用企業が口座を開設している銀行、または採用企業と金融機関を接続する第三者プロセッサの場合があります。後者は、通常、クレジット・カード処理の場合です。支払システムは、印刷形式での資金支出支払には不要ですが、関連サービス(正支払やその他のレポートなど)には必要な場合があります。

前提条件

支払システムを設定するには、その前に、次の設定ステップを実行する必要があります。

目的

次に、支払システムを設定する目的を示します。

サポートされている機能の指定

「支払システムの作成」設定ページで支払システムを作成するには、次の操作を実行します。

支払システムによる設定が必須

このリージョンでは、各取引または精算バッチのために支払システムが必要とするパラメータを定義できます。支払システム・アカウントを定義する際は、支払システムが実際に用意した値をこれらのパラメータに指定します。

資金取得側での支払システム

資金取得側での支払システムは、資金取得プロセス・プロファイルの作成で中心的な役割を果たします。これは、資金取得プロセス・プロファイルの作成は支払システムに固有であるためです。資金取得プロセス・プロファイルは、決済のフォーマット方法や伝送方法も含めて、Paymentsでの決済処理方法を指定します。

資金支出側での支払システム

資金支出側での支払システムは、支払プロセス・プロファイルの作成で大きな役割を果たしません。このプロファイルは、支払のグループ化、支払限度および支払ソートに関する詳細に加え、支払指図フォーマットと伝送情報が盛り込まれた支払の設計図です。

ステップ9. Oracle Paymentsサンプル・サーブレットの構成

Oracle Paymentsサンプル・サーブレットは、ゲートウェイ・モデルのサーブレットです。このサーブレットを使用すると、Oracle Paymentsの実装を、実際の支払システムに登録せずにテストできます。サンプル・サーブレットがサポートするのは、クレジット・カードの認証、取得、差戻しなどのOracle Paymentsの核となる操作のみです。

サンプル・サーブレットを使用すると、ソース製品とOracle Payments間の統合をテストできます。サンプル・サーブレットに送信したすべての取引は、その取引値が事前に設定されている特定の値と一致しないかぎり継続され、一致した場合はエラーとなります。この統合を使用すると、エラー・ケースをシミュレートして、コール側ソース製品でのエラー処理をテストできます。

次の表に、事前定義の取引値とそれに関連するエラー・コードを示します。

事前定義の取引値とそれに関連するエラー・コード
取引値エラー・メッセージ
1001ゲートウェイへの接続時に通信エラーになりました。再試行してください。
1002以前の取引で使用されたオーダーIDが指定されました。
1004この取引に対するパラメータが正しくないか、欠落しています。
1005一般的な支払システム・エラーが発生しました。エラー・コードをチェックしてください。
1008取引タイプが無効か、この業者に対してはサポートされていません。
1016支払システム内部エラーです。エラー・コードをチェックしてください。
1017この取引を完了するには資金が不十分です。
1019クレジット・カード番号または有効期限が無効です。
1020承認が拒否されました。
1021音声承認コードが正しくありません。

サンプル・サーブレットのインストール

サンプル・サーブレットを構成する手順は、次のとおりです。

  1. サンプル・サーブレットを実行するサーブレット・ゾーンの構成ファイルに、次の別名文を追加します。

    servlet.oramipp_lop.code=oracle.apps.iby.bep.loop.LoopBackServlet

    注意: この行は、Oracle Paymentsをインストールするとプロパティ・ファイルに記載されます。ここでは、単にこの行が存在していることを確認してください。

  2. 同じ構成ファイルに、次の表に記載されているサーブレット・ゾーン全体のパラメータを指定します。これらのパラメータは、servlet.default.initArgs=形式の文で設定します。

    ゾーン全体のパラメータ
    パラメータ値の例説明
    errorfiletmp/error.logエラーとスタック・トレースの書込みに使用するデバッグ・ファイル
    debugfiletmp/debug.logデバッグ・メッセージの書込みに使用するログ・ファイル
    debugtrue、falseデバッグのオンまたはオフへの切替え

支払システムとしてのサンプル・サーブレットの構成

サンプル・サーブレットをインストールして構成した後は、そのサーブレットを使用できるように支払システムとして追加する必要があります。Oracle Payments設定管理者職責でログインし、次の値を使用してサンプル・サーブレットの支払システムを作成します。

注意: サンプル支払システムは、Oracle Payments設定にすでに存在しています。ここで入力する必要があるのは「ベースURL」のみです。

支払システム・アカウントの追加

サンプル・サーブレットを使用する各受取人に対して、支払システム・アカウント名の値を入力する必要があります。

サンプル支払システムのテスト

サンプル支払システムをテストするには、「取引テスト」ページを介して取引を作成するか、ソース製品から取引を作成します。サンプル支払システムへの取引の経路を指定するルーティング・ルールがあること、および取引がそのルーティング・ルールに適合していることを確認してください。

関連項目

第一者受取人に対するルーティング・ルールの設定の詳細は、「ステップ17. 第一者受取人の設定」を参照してください。

Paymentechの構成の詳細は、MetaLinkのPaymentechの構成に関する項(Note 405996.1)を参照してください。

FDC Northの構成の詳細は、MetaLinkのFDC Northの構成に関する項(Note 405999.1)を参照してください。

Concord EFSnetの構成の詳細は、MetaLinkのConcord EFSnetの構成に関する項(Note 406000.1)を参照してください。

Wells Fargoの構成の詳細は、MetaLinkのWells Fargoの構成に関する項(Note 406001.1)を参照してください。

Verisignの構成の詳細は、MetaLinkのPayPal Payflow Gateway(以前はVerisign)の構成に関する項(Note 406002.1)を参照してください。

CyberSourceの構成の詳細は、MetaLinkのCyberSourceの構成に関する項(Note 406003.1)を参照してください。

ステップ10. 支払システム・サーブレット通信に対するSSLセキュリティの設定

Oracle Paymentsが支払システム・サーブレットと通信する際に交換される情報は、クレジット・カード番号などの機密情報である可能性があります。通信が保護されていない場合は、セキュリティ上のリスクが発生します。

セキュリティ・リスクが増加するのは、次の状況です。

手順

  1. 支払システム・サーブレットをSSL付きで設定するには、サーブレットがある中間層サーバーに対してHTTPSを使用可能にします。

  2. 支払システムに対して資金取得プロファイルを定義していない場合は、https:プロトコルを使用するように、支払システムのBASE URLパラメータを変更します。あるいは、その支払システムで使用する伝送構成設定のURLにhttps:が含まれるように変更します。

ステップ11. XMLフレームワークの構成

Oracle Paymentsには、XMLフレームワークが組み込まれているため、XMLを使用して支払システムと通信できます。IBY: XML_BASEプロパティとオプションのIBY: JAVA_XML_LOGプロパティには有効な値が必要です。これらのプロパティは両方ともAutoConfigを実行することで設定できます。