Oracle Payablesユーザーズ・ガイド リリース12 E06002-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章のトピックは、次のとおりです。
前払金/仮払金、経費精算書、および定型請求書など、あらゆるタイプの請求書を外貨で入力し、それと同じ通貨で支払うことができます。
注意: 請求書通貨がユーロ(Euro)あるいはその他の欧州通貨同盟(EMU)通貨のような固定レート通貨である場合には、請求書を関連する固定レート通貨で支払うことができます。関連項目: 固定レート通貨の異種通貨間支払
請求書を入力すると、選択した換算レートを使用して請求書配分が元帳通貨に換算されます。ユーザーの元帳の設定時に元帳通貨を定義します。外貨請求書の支払を作成すると、その時点で入力する換算レートを使用して支払明細が元帳通貨に換算されます。請求書入力と請求書支払間の元帳通貨建ての差異は、為替差損益として記録されます。
Oracle Cash Managementを使用して支払を消込むとき、Oracle Payablesにより損益会計仕訳が作成され、換算レートの変動によるオリジナル支払金額と決済済支払金額との差異が記録されます。関連項目: Oracle Cash Managementによる支払消込
取引は、必要な換算レートがすべて設定されていないと計上できません。Payablesでは、請求書と支払の会計仕訳が機能通貨と外貨の両方で作成されます。
外貨支払を行うには、支払文書を持つ銀行口座を使用します。この支払文書は、複数通貨の支払書式または外貨に対して定義済の支払書式のどちらかを使用します。
次の図は、外貨請求書を入力して支払う際の一般的なステップを示しています。
請求書の支払には、その請求書の入力に使用した通貨、または関連する固定レート通貨しか使用できません。入力後5回までは、請求通貨のデフォルトを入力または変更できます。以下の各ステップでは、前のステップで作成したデフォルトを上書きできます。
買掛/未払金オプション、デフォルト請求通貨を選択します。
仕入先入力
仕入先サイト仕訳
請求書バッチ・デフォルト(オプション)
請求書または経費精算書仕訳
請求通貨は請求書配分のデフォルトであり、この請求書配分通貨のデフォルトは変更できません。
外貨請求書を支払うには、外貨支払に対して定義された銀行口座および支払文書が必要です。次のいずれかの組合せを使用できます。
意図した外貨に対して定義された支払書式を使用する支払文書を持つ外貨銀行口座。
複数通貨支払書式を使用する支払文書を持つ複数通貨銀行口座。複数通貨支払書式を使用する場合は、支払時に支払通貨を入力します。
意図した外貨に対して定義された支払書式を使用する支払文書を持つ複数通貨銀行口座。
Payablesでは、次の日付の間に換算レートの変動によって発生した通貨損益が元帳通貨で計上されます。
請求書のGL記帳日
支払の発生日
支払満期(先日付支払の場合)
Oracle Cash Managementでの支払の消込または決済
さらに、発注または受入への照合を行う場合、換算レート差異勘定または費用勘定を使用して、請求書と照合対象のレコード(発注または受入)の間の換算レート差異が記録されます。
次の表は、選択された会計処理基準(「現金」または「発生主義」)との組合せで、いつどのように損益を計上するかを管理する買掛/未払金オプションを示します。
「買掛/未払金オプション」ウィンドウのタブ・リージョン | オプション名またはフィールド名 | オプション値またはフィールド値 |
---|---|---|
会計 | 支払についての勘定、『Oracle Payablesインプリメンテーション・ガイド』 | - 支払が発生したとき - 支払が決済されたとき |
会計 | 損益についての勘定、『Oracle Payablesインプリメンテーション・ガイド』 | - 支払が発生したとき - 支払が決済されたとき |
支払会計 | 損益の計算、『Oracle Payablesインプリメンテーション・ガイド』 | - 各請求書に対し - 支払合計に対し |
「損益についての勘定」オプション、「支払についての勘定」オプションおよび会計処理基準に基づく損益の計算方法を示す図は、『Oracle Payablesインプリメンテーション・ガイド』の「損益についての勘定」を参照してください。
為替損益勘定は必要な数だけ定義できます。買掛/未払金のデフォルト損益勘定を定義し、使用する銀行口座ごとに上書きできます。支払発生時に損益を計上する買掛/未払金オプションを有効にした場合、支払の換算レートが支払対象の外貨請求書のレートと異なるときに、為替損益が自動的に計算されます。為替損益の金額は、支払の作成に使用した銀行口座に割り当てられている適切な損益勘定に借方記入されます。支払決済時に損益を計上する買掛/未払金オプションを有効にした場合、Oracle Cash Managementで消し込んだ外貨支払の会計仕訳作成時に、為替損益が自動的に計算されます。
前で説明した例の会計仕訳を次の図で示します。
例
General LedgerおよびPayablesをインストールし、元帳の元帳通貨として米ドルを定義します。会計処理基準として「発生主義」を選択します。支払および損益は、支払時にのみ計上します。
「企業」換算レートでそれぞれ300ポンド(GBP)の2件の請求書を入力して検証します。請求書に入力した当日の「企業」換算レートは2:1です。請求書を計上すると、両方の請求書について、外貨(300 GBP)および元帳通貨(150米ドル)で会計仕訳が作成され、仕訳インポートの際には、元帳通貨とGBPで仕訳が1件ずつ作成されます。
最初の請求書を支払うときに、換算レートは1.5:1に下落していました。これは、元帳通貨で50米ドル(300/1.5 - 150)の差損に相当します。2件目の請求書を支払うときには、換算レートは2.4:1に上昇していました。これにより、25米ドルの差益が生じています。この2件の支払を転記すると、どちらの支払についても外貨建てと元帳通貨建ての会計仕訳が作成されます。損益の会計仕訳には元帳通貨のみが使用されます。
請求書を入力してから支払うまでの間は、いつでも未実現為替差損益レポートを発行して、未実現為替差損益を検証できます。
換算レートが指定されていない外貨請求書の支払および作成は行えず、会計仕訳の作成もできません。また、換算レートが指定されていない外貨支払の会計仕訳も作成できません。換算レートは、請求書入力時および支払作成時に入力します。
換算レートは手動で入力できます。また、GL日次レート表内で、請求書の通貨、換算レート・タイプ、および換算レート日と一致するレートを定義した場合は、換算レートが自動的に入力されます。取引に換算レートを割り当てるには、次の3つの方法があります。
手動 請求書作成時または支払作成時に、換算レートを入力します。関連項目: 手動換算レート入力
GL日次レート表のデフォルト 請求書入力時または支払作成時に、GL日次レート表から換算レートが自動的に入力されます。関連項目: 『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』の「GL日次レート表のデフォルト」
自動レート 換算レートなしで請求書を入力した後、または支払を作成した後に、GL日次レート表に必要な換算レート情報が含まれていることを確認して、自動レート・プログラムを実行します。換算レートが必要な請求書および支払には、GL日次レート表から自動的に割り当てられます。関連項目: 自動レート・プログラム
Payablesでは5種類の換算レートが使用されます。換算レートを使用して、請求書金額および支払金額が元帳通貨に換算されます。
ユーザー 請求書の入力時または支払時に、独自の換算レートを手動で入力するときに使用します。ユーザー換算レート・タイプを使用する場合、「ユーザー換算レートの計算」買掛/未払金オプションが使用可能な場合、および「請求書」ウィンドウまたはオープン・インタフェース表を使用している場合は、「元帳通貨」の金額を入力すると請求書の換算レートが計算されます。
直物 市場実勢レートによる取引日換算レート。直物レート・タイプを指定すると、Payablesでは、「GL日次レート」表から自動的に請求書換算レートが入力されます。
企業 ユーザーの組織全体で使用するように上席管理職により決められた標準市場レート。社内レート・タイプを指定すると、Oracle Payablesでは、GL日次レート表から自動的に請求書換算レートが入力されます。
ユーザー定義 「日次換算レート・タイプの定義」ウィンドウでユーザーが定義する換算レート・タイプ。必要なだけ多くの換算レート・タイプを定義できます。ユーザー定義のレート・タイプを指定すると、Oracle Payablesでは、GL日次レート表から定義した請求書換算レートが自動的に入力されます。
EMU固定 固定レート通貨を使用し、元帳通貨が「請求書通貨」または「支払通貨」と異なり、その通貨がユーロ(Euro)や欧州通貨同盟(EMU)通貨などの関連する固定レート通貨である場合、PayablesではEMU固定通貨がレート・タイプとして表示され、この値を更新できません。
次のレポートを発行して、外貨情報を検証します。
未計上取引レポート: Payablesで会計仕訳を作成できない請求書がリスト表示されます。レポートには、換算レートが指定されていない外貨請求書、貸借が一致していない配分などが含まれます。関連項目: 未計上取引レポート
「未実現為替差損益」レポートおよび「実現為替差損益」レポート: 換算レートの変更による元帳通貨での差益および差損がリスト表示されます。関連項目: 未実現為替差損益レポート
現預金要求レポート: 入力したパラメータと合致する請求書の支払に対して、必要な現金を予測します。関連項目: 現預金要求レポート
Oracle Payablesは、他の全てのOracle Applicationsと完全に統合されています。たとえば、Oracle General Ledgerで通貨、換算レート・タイプ、および換算レート情報を登録すると、Oracle Payablesでは同じ情報を入力せずにすみます。
換算レート必須: 外貨請求書に換算レートがない場合、その請求書には保留が適用され、支払および仕訳作成は行われません。未計上取引レポートで保留中の請求書をすべて確認できます。
関連項目
『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』の「日次レートの入力」
注意: この機能は、ユーロへの移行をサポートするために追加されました。固定レート通貨に関する現在の会計実務に準拠させるには、独自のプロシージャを実装する必要があります。たとえば、2002年1月1日以降はEMU参加国の通貨単位での支払を行わないようにするプロシージャを実装する必要があります。
ユーロ(Euro)またはその他の欧州通貨同盟(EMU)通貨のような固定レート通貨で請求書に入力する場合は、請求書を関連する固定レート通貨で支払うことができます。Oracle Payablesでは、自動的に欧州通貨同盟(EMU)固定レートを支払換算レート・タイプとして、デフォルトとして使用されます。
さらに、元帳通貨が請求書通貨または支払通貨として、固定換算レートを事前に定義している場合、Payablesでは、欧州通貨同盟(EMU)固定レートがデフォルトの換算レートとして設定され、デフォルト換算レートとして固定レートが提供されます。
この説明では、次の用語を使用します。
EMU通貨: ユーロおよびEMU加盟各国の通貨。
NCU: 各国通貨単位。ユーロ以外のEMU通貨。
請求書にNCU通貨と非EMU通貨間の換算レートが必要な場合、請求書ワークベンチで非EMU通貨とユーロ間の換算レートのみを入力します。ユーロと各NCU間のレートは固定であるため、NCUと非EMU通貨間の完全な換算レートがシステムで計算および表示されます。この機能を使用可能にするには、「通貨: 直接EMU/非EMUユーザー・レートの許可」プロファイル・オプションを無効にします。
請求書ワークベンチの3つのフィールドが換算レートの計算をサポートしています。非EMU通貨とNCU間の換算レートを必要とする請求書通貨をユーザーが入力すると、これら3つのフィールドの状態が変化します。
最初のフィールドが入力可能になります。このフィールドにユーロと非EMU通貨間の換算レートを入力します。
2番目のフィールドは表示専用のままです。ユーロとNCU通貨間の固定換算レートが表示されます。
「換算レート」フィールドが表示専用になります。NCUと非EMU通貨間の換算レートが計算されて表示されます。
2つの新規フィールドのプロンプトは、元帳の元帳通貨、「換算レート逆算表示」プロファイル・オプションの設定および現行レコードの請求書通貨に基づいて、動的に作成されます。プロンプトは、カーソルを合せる請求書レコードに応じて変化します。
次の表は、様々なシナリオで表示されるフィールド・プロンプトの例を示すものです。
元帳 | 請求書通貨 | 換算レート逆算オプションの使用 | フィールド・プロンプト1 | フィールド・プロンプト2 | フィールド・プロンプト3 |
---|---|---|---|---|---|
USD | NCU | Y | USDからEURへ | EURからNCUへ | 換算レート |
USD | NCU | N | EURからUSDへ | EURからNCUへ | 換算レート |
NCU | USD | Y | EURからUSDへ | EURからNCUへ | 換算レート |
NCU | USD | N | USDからEURへ | EURからNCUへ | 換算レート |
注意: 請求書ワークベンチでは2つの新規フィールドのラベルが動的に作成されるため、これらのフィールドのフィールド・プロンプト名は更新しないでください。オンラインでは、「NCU」は使用するNCUの通貨コードに置き換えられます。
異なる固定レート通貨で請求書を支払う場合、請求書が「請求書」ウィンドウ、Oracle E-Commerce Gateway、「クイック請求書」の「経費精算書」ウィンドウ、「定型請求書」ウィンドウのいずれで生成されたかにかかわらず、支払通貨を指定する必要があります。
「通貨」ウィンドウで、通貨に固定レートを割り当てます。関連項目: 『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』の「通貨」ウィンドウに関する項
使用している元帳通貨とユーロとの間には日次レートを割り当てます。関連項目: 『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』の「日次レートの入力」
「仕入先サイト」ウィンドウで、各仕入先サイトに対して使用するデフォルトの請求通貨と支払通貨を入力します。(オプション)
「買掛/未払金オプション」ウィンドウの「通貨」リージョンで、端数処理エラー勘定を入力します。関連項目: 『Oracle Payablesインプリメンテーション・ガイド』の「通貨買掛/未払金オプション」
General Ledgerの「仮勘定」ウィンドウで、元帳の仮勘定を定義します。買掛/未払金のソースを入力します。関連項目: 『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』の「仮勘定の定義」
請求書情報を入力するときに、関連固定レート通貨を支払通貨として入力します。たとえば、EMU通貨を請求書通貨として入力し、ユーロを支払通貨として入力できます。クロス・レート日を入力するか、デフォルトを受け入れます。Payablesでは、固定レート、EMU固定レート・タイプおよびデフォルトのレート基準日が提供されます。レート基準日は上書きできます。
支払予定はすべて支払通貨で作成されます。
請求書の支払をする前であればいつでも、請求書支払通貨を変更することができます。支払通貨を変更すると、Oracle Payablesでは、自動的に、支払予定が新規支払通貨で再計算されます。
請求書を支払うときは、支払通貨を使用する銀行口座を使用するか、または複数通貨銀行口座を使用します。
異種通貨間支払の会計仕訳を作成する場合、作成される会計仕訳は、請求書通貨と支払通貨という2種類の通貨で構成されます。Payablesでは、入力の貸借一致が必ず元帳通貨で行われます。しかし、入力の貸借一致は入力した通貨では行われません。
General LedgerはOracle Payablesで作成された異種通貨間の記帳を識別します。これらの記帳は、「異種通貨間」というカテゴリになります。これらの各記帳は、General Ledgerで貸借一致前に通貨ごとに分離されます。貸借不一致エラーが無視され、その後で精算勘定に計上する貸借一致仕訳が作成されます。精算勘定は、Oracle General Ledgerでは「仮勘定」と呼ばれます。
注意: 仕訳は元帳通貨ではすでに貸借一致しているため、精算勘定への入力は、元帳通貨では、常にゼロ(0)となります。
Payablesで異種通貨間支払を作成するために、元帳のための仮勘定を使用可能にする必要はありません。異種通貨間支払によって作成される仕訳記帳のための仮勘定を定義するのみです。
General Ledgerの「仮勘定」ウィンドウで、元帳の仮勘定を定義するときに、買掛/未払金のソースを入力します。関連項目: 『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』の「仮勘定の定義」
Payablesでは、すべての請求書および支払について、取引通貨および元帳通貨で仕訳が作成されます。割り当てられた損益勘定で損益が記録され続けます。支払通貨とは異なる通貨で請求書を支払うときは、Payablesでは「買掛/未払金オプション」ウィンドウの「通貨」リージョンで定義された端数処理勘定を使用して、端数処理エラーを記録します。
たとえば、仏フランが有効なNCUであるとします。元帳通貨が仏フラン(FRF)で、請求書に1000FRFを入力し、ユーロ(EUR)を「支払通貨」として入力します。「支払金額」は、固定換算レート6.555693により、152.53917EURに換算され、152.54EURに四捨五入されます。元帳通貨に再度換算しなおすと1000.0054となり、これは1000.01と四捨五入されます。0.01FRFの差違は「端数処理勘定」に記録されます。
前で説明した例の会計仕訳を次の図で示します。
発注照合 請求書を発注に照合する場合は、発注は同一通貨でなければなりません。
単一通貨 請求書の支払は、1種類の関連固定レート通貨によってできるだけです。
「自動レート」により、換算レートがない外貨請求書または外貨支払に対し、GL日次レート表内の換算レート情報を使用して換算レートが入力されます。まず、その請求書または支払の通貨、レート基準日、レート・タイプに合ったGL日次レート表に換算レートを定義しないと、「自動レート」による換算レートの更新が行われません。関連項目: 『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』の「日次レートの入力」
外貨請求書に換算レートがないと、請求書検証によって「レートなし」の保留が適用され、その請求書の支払および計上が不可能となります。「自動レート」により請求書の換算レートが入力されると、次に請求書検証を実行したときに、「レートなし」の保留が解除されます。換算レートのない外貨支払の会計仕訳は作成されません。
「自動レート」により、支払満期時の換算レートのない先日付支払に対しても、換算レートが入力されます。
「要求の発行」ウィンドウで、自動レート・プログラムを発行します。関連項目: 標準レポート、プログラムおよび一覧の発行。このプログラムにはパラメータがありません。
関連項目