ヘッダーをスキップ

Oracle Project Managementユーザー・ガイド
リリース12
E06006-01
目次へ
目次
前のページへ
前へ
次のページへ
次へ

プログラム管理

この章では、Oracle Projectsを使用してプログラムを設定および管理する方法を説明します。

この章では、次のトピックについて説明します。

プログラム管理の概要

プログラムとは、階層形式でリンクされたプロジェクトの集合です。Oracle Projectsのプログラム管理機能を使用すると、複数のプロジェクト(およびプログラム)をリンクしてプログラム階層を形成することによりプログラムを作成できます。

プログラムを使用すると、一群のプロジェクトの作業計画および財務情報を表示および管理することができます。この機能により、各プロジェクトを個別に管理するときには得られない利点が提供されます。プログラムでは、1つのプログラム内での複数プロジェクトの相互関係を指定したり、相互関係にあるプロジェクトの情報を全体として検討することができます。積み上げられた計画、実績および予測の従事、原価、収益と、プログラム階層内の全プロジェクトの進捗情報および予定情報を追跡し、報告することができます。

したがって、プログラム・マネージャとして、プロジェクト中心の戦術的なものではなく、プログラム全体に対して戦略的な焦点をあてることができます。

プログラム内のプロジェクトのリンクはトップ・ダウンのアプローチに従います。適切なセキュリティ権限があれば、プログラム階層内の個々のリンク済プロジェクトにナビゲートおよびドリルダウンできます。

プログラムには、次の特徴があります。

プログラム管理の有効化

プログラム管理を有効にし、プロジェクトをプログラムとして指定するには、そのプロジェクトの「体系」ページからプログラム管理を有効にする必要があります。プロジェクトをプログラムとして指定する方法の詳細は、『Oracle Projects基礎』のプログラム管理に関する項を参照してください。

注意: 「プロジェクト・リスト」ページをパーソナライズして、指定するプロジェクトをプログラムとして識別することができます。詳細は、「プログラム情報の表示」を参照してください。

プログラム階層の作成および保守

次の属性は、プログラム階層内のすべてのプロジェクトで同一である必要があります。

詳細は、「計画資源リストおよび期間分割方法の選択」を参照してください。

プログラム階層を作成するには、プログラムの作業計画体系または財務体系の最下位タスクにプロジェクトをリンクします。作業計画体系と財務体系が同一の場合、プログラムとプロジェクトの間でリンクを1つのみ作成できます。

プログラムで個別の作業計画体系と財務体系を使用する場合は、作業計画体系と財務体系に個別のプログラム階層を手動で作成する必要があります。プロジェクトをプログラムとして指定した後、プログラム階層内の任意のプロジェクトの体系を有効化したり、分割または共有構造のいずれかに変更できます。ただし、プロジェクトの既存の体系を無効にすることはできません。

プロジェクトのプログラムへのリンク

「タスク詳細」ページからプロジェクトをプログラムにリンクできます。

プロジェクトをプログラムにリンクする手順は、次のとおりです。

  1. 「作業分解構造の更新」ページまたは「タスクの更新」ページから、タスクの「更新」アイコンをクリックして「タスク詳細」ページにナビゲートします。

  2. 「設定」をクリックします。

  3. 「プロジェクトのリンク」をクリックします。

  4. タスクにリンクするプロジェクトを選択して「適用」をクリックします。

プログラム階層内での作業計画バージョンの使用

プログラム階層内のプロジェクトに対して作業計画バージョニングが有効になっている場合、Oracle Projectsにより、プログラムの作業中の作業計画バージョンと各リンク済プロジェクトの最新の公開済作業計画バージョンの間にリンクが作成されます。リンク済プロジェクトに公開済作業計画バージョンがない場合は、Oracle Projectsによりプログラムの作業バージョンがプロジェクトの現行作業中バージョンにリンクされます。

注意: プロジェクトの作業中の作業計画バージョンから、プログラムの作業中の作業計画バージョンに情報は積み上げられません。詳細は、「プログラム作業計画情報の積上」を参照してください。

作業計画バージョニング機能を使用していない場合、プログラムの単一の作業計画バージョンがプログラム階層内のプロジェクトの作業計画にリンクされます。プログラム・リンクを作成した後、「処理の更新」を選択して、リンク済プロジェクトからプログラムにすべての計画および実績情報を積み上げます。将来の更新はすべて自動的にプログラムに積み上げられます。

プログラム階層内の作業計画バージョンの公開

プログラムおよびそのリンク済プロジェクトの作業計画バージョンを、個別に公開することができます。ただし、リンク済プロジェクトの作業計画バージョンを公開する前にプログラムの作業計画バージョンを公開すると、Oracle Projectsによりプログラムの公開済作業計画バージョンとリンク済プロジェクトの作業中の作業計画バージョンとの間にリンクは作成されません。プログラムの作業中の作業計画バージョンとそのリンク済プロジェクトの間のリンクは保持されます。

リンク済プロジェクトの作業計画バージョンを公開すると、Oracle Projectsにより自動的に「PRC: 構造更新の処理」コンカレント・プログラムが実行されます。このコンカレント・プログラムにより、リンク済プロジェクトからの情報がプログラムの現行作業中バージョンに積み上げられます。

注意: 「PRC: 構造更新の処理」を階層内の単一のプロジェクトに実行すると、Oracle Projectsによりすべてのリンク済プロジェクトに自動的にこのコンカレント・プログラムが実行され、階層全体に対する情報の積上が実行されます。

プログラム作業計画が公開された後にリンク済プロジェクトの作業計画バージョンを公開すると、Oracle Projectsにより、プログラムの現行作業中バージョンに更新が積み上げられます。最新の進捗情報をプログラムに積み上げるには、プログラムを再公開する必要があります。

注意: Oracle Projectsでは、プログラムの以前の公開済作業計画バージョンから、リンク済プロジェクトの対応する作業計画バージョンへのリンクが保持されます。

プログラム階層内のプログラムまたはプロジェクトの作業計画バージョンを公開した後、それを基本編成バージョンとして指定できます。プログラムまたはそのリンク済プロジェクトの作業計画バージョンを、個別に基本編成バージョンとして指定することもできます。プログラムの公開済作業計画バージョンを基本編成バージョンとして指定しても、プログラム階層内のプロジェクトの作業計画バージョンに影響はありません。

Oracle Projectsにより、プログラムの基本編成作業計画バージョンを、リンク済プロジェクトの基本編成以外の作業計画バージョンにリンクすることができます。ただし、このようなシナリオの場合、プログラム・レベルで積み上げられた情報はリンク済プロジェクトからの情報と一致しない場合があります。この不一致は、リンク済プロジェクトの情報が作業計画の基本編成バージョンからのものであるのに対してプログラム・レベルでの情報がリンク済プロジェクトの基本編成以外の作業計画バージョンからのものであるために発生します。

プログラム情報の積上

Oracle Projectsでは、次の情報がリンク済プロジェクトからプログラムに積み上げられます。

注意: リンク済プロジェクトをプログラム階層から削除すると、積み上げられたプログラム情報がOracle Projectsにより再計算されます。

プログラム作業計画情報の積上

Oracle Projectsでは、プログラム内の次の作業計画情報が積み上げられます。

Oracle Projectsでは、計画従事および計画金額が、リンク済プロジェクトの公開済作業計画バージョンから、プログラムの作業中および公開済の両方の作業計画バージョンに積み上げられます。共有構造の場合、完了見積情報が、進捗の発行または集計プロセスの実行時に公開済バージョンから積み上げられます。分割構造の場合、完了見積情報が、進捗レコードの発行時に公開済バージョンから積み上げられます。プログラム階層内のどのレベルの完了見積も、作業バージョンに対する計画金額と実績金額の差(計画-実績)として計算されます。

Oracle Projectsでは、リンク済プロジェクトの作業バージョンからプログラムの作業バージョンに情報を積み上げることはありません。リンク済プロジェクトの作業計画バージョンを公開すると、Oracle Projectsにより「PRC: 構造更新の処理」コンカレント・プログラムが実行され、作業計画情報(予定日、計画従事および原価を含む)がプログラムの作業バージョンに積み上げられます。

詳細は、「プログラム階層内での作業計画バージョンの使用」を参照してください。

プログラム進捗情報の積上

作業計画進捗では、実行済実績作業が測定され、将来のプロジェクト作業を実績進捗に基づいて計画することが可能になります。プロジェクトをプログラムとして指定した後、進捗および出来高情報がリンク済プロジェクトの公開済作業計画バージョンからプログラムの公開済作業計画バージョンに積み上げられます。

プロジェクト進めてタスクの進捗を入力するに従って、Oracle Projectsにより次の情報が積み上げられます。

共有構造に対する集計プログラムの実行

プログラム階層内の1つのプロジェクトの共有構造に対して集計プログラムを実行すると、Oracle Projectsでは、この階層内のすべてのプロジェクトに対してこのコンカレント・プログラムが実行されます。したがって、プログラム階層内の任意のプロジェクトに集計プログラムを発行することによって、この階層内のすべてのプロジェクトの実績金額を計算することができます。詳細は、『Oracle Projects基礎』のプロジェクトおよび資源ベース要約の更新に関する項とプロジェクト実績データの更新に関する項を参照してください。

プロジェクトおよび資源ベース要約のリフレッシュ・プログラムの実行

あるプログラムに対して「PRC: プロジェクトおよび資源ベース要約のリフレッシュ」コンカレント・プログラムを発行すると、Oracle Projectsでは、プログラムとして指定されたプロジェクトに対してのみこのコンカレント・プログラムが実行され、プログラム階層内のすべてのプロジェクトに対して実行されることはありません。したがって、あるプログラムのすべてのデータがリフレッシュされるようにするには、一定範囲のプロジェクトに対してコンカレント・プログラムを発行するか、各プロジェクトに対して個別にコンカレント・プログラムを発行するかのいずれかの方法でコンカレント・プログラムを階層内のすべてのプロジェクトに対して実行する必要があります。プログラムの一部であるプロジェクトに対して「PRC: プロジェクト実績データのリフレッシュ」コンカレント・プログラムを発行すると、Oracle Projectsでは、プログラム階層内のすべてのプロジェクトに対してこのコンカレント・プログラムが実行されます。

詳細は、『Oracle Projects基礎』のプロジェクトおよび資源ベース要約の更新に関する項とプロジェクト実績データの更新に関する項を参照してください。

プログラム財務情報の積上

財務体系内のプログラム・リンクを使用すると、プログラム階層内で積み上げられた財務計画、実績および予測金額を表示できます。

Oracle Projectsでは、次の財務情報が積み上げられます。

プログラム情報の表示

プログラム階層全体から積み上げられた作業計画情報および財務情報を表示できます。ただし、積み上げられた情報の一部は、次に示すように、特定の状況下ではプログラムで使用できない場合があります。

「プロジェクト・リスト」ページでのプログラムの表示

「プロジェクト・リスト」ページには、プロジェクトとプログラムが表示されます。プロジェクトがプログラムであるかどうかを確認するには、「プロジェクト・リスト」ページをパーソナライズし、プログラム・インディケータを表示する列を追加できます。

「プロジェクト・リスト」ページと代替検索ページの両方に、プロジェクト・レベルの金額のみが表示され、プログラム・レベルの金額は表示されないことに注意してください。

プログラム作業計画情報の表示

「作業分解構造の更新」ページからプログラムの作業計画体系階層を表示できます。適切なセキュリティ権限がある場合は、ドリルダウンして各プロジェクトのステータスを表示できます。各プロジェクト内で、ドリルダウンして個々のタスク詳細を表示できます。

注意: リスト表示で作業分解構造を表示する場合、Oracle Projectsはリンク済プロジェクトのタスクを表示しません。

「作業計画原価の表示」(タスク要約)ページまたは「作業計画原価の表示」(資源要約)ページからプログラムまたはリンク済プロジェクトの作業計画原価を表示できます。

プロジェクトがプログラムとして指定されている場合、Oracle Projectsはデフォルトでそのプログラムのタスクおよび資源の作業計画原価を表示します。プログラム全体の情報を表示するときに修正や更新はできません。(積み上げられた情報なしで)プログラム・プロジェクトのみの情報を表示または更新する場合は、「プロジェクト」ラジオ・ボタンを選択し、「進む」をクリックします。

プログラムの作業計画体系の2つのバージョンを比較する場合、一方のバージョンに表示されるタスクまたはタスク金額がもう一方のバージョンに存在しない場合があります。詳細は、『Oracle Projects基礎』の作業計画体系に関する項を参照してください。

プログラム財務情報の表示

「レポート」タブの「パフォーマンス概要」ページからプログラムの全体的な予算、実績および予測従事、収益性、原価、収益、請求可能性、請求および回収を表示できます。デフォルトでは、「パフォーマンス概要」ページには、プログラム階層全体のタスクおよび資源の財務情報が表示されます。(積み上げられた情報なしで)プログラムとして指定されたプロジェクトのみの財務情報を表示するには、「プロジェクト」ラジオ・ボタンを選択し、「進む」をクリックします。

Oracle Projectsによって出来高情報が表示されるのは、プログラムとして指定されたプロジェクトの情報を表示するよう選択した場合のみです。プログラム財務体系の出来高情報は表示できません。

注意: プログラムが共有構造を持つ場合、作業計画体系と財務体系の出来高情報は同じになります。作業計画体系の出来高情報を使用して分析を完了できます。

「タスク要約」ページから財務体系階層を表示する場合、Oracle Projectsによって、プログラムにリンクされているプロジェクトと、各プロジェクトのタスクが表示されます。積み上げられた財務情報は、プログラム階層内のタスクに対して表示されます。

注意: プロジェクト間取引を表示する場合、プログラムの原価および収益金額に、プログラム内の個別のプロジェクト間のプロジェクト間請求額が含まれることがあります。したがって、同じプログラム内のプロジェクトにプロジェクト間取引がある場合、Oracle Projectsはプログラム・レベルで金額を表示する前に金額を2度カウントする可能性があります。

タスク、資源または時間別に実績を表示する方法の詳細は、「実績管理の概要」を参照してください。

注意: プログラムにリンクされているすべてのプロジェクトは、同じプロジェクト・タイプでない可能性があります。プログラム内の請求不可原価と資産計上不可原価は、リンク済プロジェクトのそれぞれの原価に対して消し込まれません。これは、プログラム内の合計請求不可原価に、資産プロジェクトと間接プロジェクトの両方の原価が含まれるためです。プログラム合計には資本原価は含まれません。

プログラムに複数の資源分解構造を関連付けることができますが、プログラム情報の表示に使用する主要デフォルト資源分解構造を選択する必要があります。Oracle Projectsは、選択された資源分解構造を使用して、すべての積上プログラム情報を表示します。プログラムに関連付けられた資源分解構造は、プロジェクトがリンクされるとき、または新規資源分解構造をプログラム資源分解構造として指定するときに、リンク済プロジェクトに関連付けられます。

注意: 「資源分解構造」ページからプログラム・レポートに対してプロジェクトに関連付けられている任意の資源分解構造を有効にできます。「プロジェクト実績」レポート・ページで資源分解構造のプログラム・データを表示するには、「PRC: プロジェクト実績データの更新」コンカレント・プログラムを実行する必要があります。

例外レポート

Oracle Projectsは、プログラム・レベルでリンク済プロジェクトからの積み上げられた日付に基づいて日付(予定日対基本編成日)に関する例外をレポートします。プロジェクトがプログラムでない場合、例外はプロジェクト日付に対してレポートされます。

注意: 財務金額の例外レポートは、プログラムに対して使用できません。プログラムについて、Oracle Projectsはプログラム・レベルで積上金額ではなく、プロジェクト金額に対する財務例外を計算します。

詳細は、「プロジェクト実績レポート」を参照してください。