Oracle Advanced Supply Chain Planningインプリメンテーションおよびユーザーズ・ガイド リリース12 E06012-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章のトピックは、次のとおりです。
モデルは、なんらかの構成可能な構成部品を持つ品目です。構成可能な構成部品は、塗装の色のように、様々な顧客が異なる発注を出せる構成部品です。
Oracle Advanced Supply Chain Planningでは、次のタイプのモデルが処理されます。
受注組立: 製造業者または販売業者が構成部品を組み立てて、自動車のような構成品目を出荷します。
受注ピック: 構成部品は個別に出荷され、子供用のアウトドア遊具セットのように受取側によって組み立てられます。Oracle Advanced Supply Chain Planningでは、受注ピック・モデル品目は予測展開に使用されます。計画対象ではありません。
モデルの構成要素は次のとおりです。
オプション区分: 塗装の色のように、顧客が選択可能なオプションとして構成部品が含まれている部品構成表体系。
標準品目: 赤、緑および青のように、顧客が選択するオプション。これらは、オプション区分の構成部品です。
展開品目(必須構成部品ともいう): 説明書のように、選択したオプションに関係なく顧客が受け取る標準品目。これらは、モデル品目の構成部品です。
別のモデル: パーソナル・コンピュータなどです。顧客が主要構成部品を選択し、製造業者がそれをケースに組み立てます(受注組立)。顧客は、周辺品目も選択します。周辺品目は製造業者または販売業者によりメイン・ユニットとは別に出荷され、受取側がメイン・ユニットに接続します。パーソナル・コンピュータは受注ピック・モデルで、メイン・ユニットは受注ピック・モデルの下位にある受注組立モデルの構成部品で、周辺品目は受注ピック・モデルの下位にあるオプション区分構成部品です。
受注組立モデル体系には、次のように複数のタイプがあります。
単一レベル単一組織(SLSO): 構成部品が標準品目である単一レベルのモデル。
複数レベル単一組織(MLSO): 1つ以上の受注組立モデルが構成部品として含まれている受注組立モデル。
複数レベル複数組織(MLMO): 1つ以上の受注組立モデルが構成部品として含まれ、一部の下位レベル・モデルが組織から転送される受注組立モデル。複数組織モデルがある場合は、予測を正確に消し込むためにグローバル予測を使用する必要があります。グローバル予測を実行するには、Oracle Demand Planningを使用する必要があります。「グローバル予測」を参照してください。
受注組立モデルは製品ファミリのメンバーにしないことをお薦めします。
組織内のモデルを別の組織から調達できる場合は、ソース・ルールを設定する必要があります。モデル・レベルのソース・ルールは、そのモデルから導出される構成すべてがソース組織で製造され、最終的に出荷組織で出荷されることを意味します。
オーダーの構成は、モデル品目に対してオプションを選択するプロセスです。オーダーの構成には、Oracle ConfiguratorとOracle Order Managementの「CTOワークベンチ」を使用できます。受注の出荷元組織に関係なく、構成をソース組織内で調達できます。
受注処理の後半で、「構成の自動作成」コンカレント・プロセスにより、受注入力時の選択内容に基づいて構成済モデルごとに一意の構成品目が作成されます。構成品目は、特定の受注について選択されたオプションと展開品目を構成部品として持つ標準品目です。受注上のモデル品目は構成品目で置き換えられます。
受注ワークフローでは、構成品目を作成するための受注を、この需要を計画で参照可能にする時点まで進行させる必要があります。受注を記帳する必要はありませんが、構成品目を受注にリンクする必要があります。
プロファイル・オプション「MRP: デフォルト・ソーシング割当」で指定した割当セットを、計画オプションで割当セットとして使用します。これは、モデルがソースされる場合に、Oracle Order ManagementではATP用に構成のソースが選択され、このプロファイル・オプションからの割当セットが使用されるためです。このプロファイル・オプションで指定したのとは異なる割当セットを計画で使用すると、ソースが不整合になる危険性があります。
『Oracle Order Managementユーザーズ・ガイド』のCTOコール・ワークベンチに関する項、Oracle Configuratorを使用したオプションの選択に関する項および構成に関する有効日に関する項を参照してください。
Oracle Advanced Supply Chain PlanningとOracle Global Order Promisingでの計画を使用すると、顧客に対する受注構成の回答納期を見積もることができます。Oracle Advanced Planning and Schedulingでは、構成に対する受注需要が自動的に処理され、最適な回答納期が評価されて供給が計画されます。
オーダー納期処理を実行するには、プロファイル・オプション「INV: CTP」を「計画出力に基づくATP/CTP」に設定します。
「マルチレベル・サプライ・チェーンATP」および「計画出力に基づくATPの機能設定」を参照してください。 『Oracle Order Managementユーザーズ・ガイド』のATO構成のGlobal Order Promisingに関する項も参照してください。
「予測展開」を参照してください。
モデル部品構成表のすべてのレベルで、すべての品目の予測を作成して保守できます。
単一組織モデルの場合は、予測をソース・インスタンスまたはOracle Demand Planningで保守して展開できます。複数組織モデルの場合、予測を保守および展開できるのはOracle Demand Planning内のみです。
ソース・インスタンスで単一組織モデルの予測を作成する場合は、Oracle Advanced Supply Chain Planningのインライン予測展開プロセス(「計画オプション」フォーム->「メイン」タブ->「予測の展開」フィールド)を使用して予測を展開することを検討するようにお薦めします。これにより効率が高まり、ソース・インスタンスの「計画マネージャのロード」コンカレント・プロセスにかかる負荷が軽減されます。
次のダイアグラムに、マルチレベルのサプライ・チェーン部品構成表を示します。
サプライ・チェーン構成表
品目タイプの説明は、図の凡例を参照してください。破線はソーシング関連、実線は部品構成表関連を示しています。品目名は各ノード内にあります。品目名の末尾には、組織を識別する2文字のコードが付いています。
CMPメインフレームには、PCIモジュール、デュアル・ポッド・エンクロージャ、Sub Prod 32およびSub Prod 64という4つの構成可能な組立品(ATOモデル)が含まれています。会社は米国ボストンとシンガポールにある出荷組織からCMPメインフレームを販売しています。製造サイトは中国の香港特別自治区、メキシコのメキシコ・シティおよび米国のボストンにあります。CMPメインフレームはボストンと香港で組み立てられます。PCIモジュールはメキシコ・シティの施設で製造および調達されます。デュアル・ポッド・エンクロージャは構成部品Sub Prod 32およびSub Prod 64とともに香港で製造および調達されます。オプション品目のCD ROM、DATドライブおよびテープ・ドライブは、ボストンまたは香港でスペアとして販売できます。
香港組織でCMPメインフレームに関して保守される予測は、香港組織内のモデル、サブモデル、オプション区分、オプションおよび必須構成部品まで独立需要として展開できます。
コンソール、Pデバイス、PCIモジュール、デュアル・ポッド・エンクロージャ、Sub Prod OC、Sub Prod 32、Sub Prod 64、PTN32-1MBなどには、展開予測があります。CD-ROM、DATドライブ、テープ・ドライブに関して保守される独立予測は、親からの展開予測と連結できます。
同様に、Sub Prod 32またはSub Prod 64に関して保守される独立予測は、親からの展開予測と連結し、構成部品予測に展開できます。
複数組織モデルを使用する場合は、予測を正確に消し込むためにグローバル予測を使用する必要があります。グローバル予測を行うには、Oracle Demand Planningを使用する必要があります。
「予測消込」および「グローバル予測」の「グローバル予測消込」、「グローバル予測消込の設定」、「グローバル予測の消込」、「社内受注の予測消込」および「下位レベルの事前構成の消込」を参照してください。
計画エンジンでは、同じ計画実行で、Oracle Demand Planningでの予測とソース・インスタンスでの予測の両方に対するインライン予測消込を実行できます。ただし、同じソースを使用して、構成の予測を消し込んでから、基本受注組立モデルの残りの受注需要を消し込む必要があります。
予測を最上位レベルの構成の受注で消し込む際に、予測消込プロセスでは様々なレベルの構成品目を消し込むことができます。例:
モデルM1の部品構成表にモデルM2が含まれているとします。
モデル1について数量120の受注を作成します。
構成の作成後、構成C*1の部品構成表に構成C*2が含まれています。
構成C*1の予測数量は100です。
構成C*2の予測数量は50です。
予測消込プロセスでは、最初にC*1の予測数量100が消し込まれてから、C*2の予測数量のうち20が消し込まれます。
C*1の予測の現行数量は0(ゼロ)になり、C*2の予測の現行数量は30となります。
データ収集プロセスでは、構成品目と計画品目の受注需要が収集されますが、モデルとオプション区分の受注需要は収集されません。計画エンジンでは、構成品目が標準品目の場合と同じ方法で計画されます。
受注ワークフローでは、一意の構成品目を作成するための受注を、この需要を計画で参照可能にする時点まで進行させる必要があります。受注を記帳する必要はありませんが、構成品目を受注にリンクする必要があります。
構成品目の作成後に、収集を実行できます。「ASCPに対する収集の実行の概要」を参照してください。
たとえば、シンガポール組織で受注を受け入れて、構成用に次のオプションを選択するとします。
CMPメインフレーム
CD-ROM
PTN32-2MB
32TLCアドオン
5Vカード
収集後、シンガポール組織にある構成品目の受注明細を確認します。選択した各受注組立モデルについて、香港にある構成品目(CMPメインフレーム、PCIモジュール、デュアル・ポッド・エンクロージャおよびSub Prod 32)も確認します。さらに、メキシコ・シティにあるPCIモジュールの構成品目を確認します。また、選択内容に基づいて各構成品目の部品構成表も確認します。計画エンジンでは、これらの情報を使用して依存需要が構成部品に渡されます。これにより、予測消込ではモデル品目ではなく構成品目が反映されます。
次の表に、構成品目を作成した後の計画中の需要データを示します。ATOモデルは品目名の末尾の*1で示され、構成品目はATOモデルごとに作成されます。
品目 | 組織 | 需要のタイプ |
---|---|---|
CMPメインフレーム*1 | SG | 受注 |
CMPメインフレーム*1 | HK | 計画オーダー |
コンソール | HK | 計画オーダー |
CD-ROM | HK | 計画オーダー |
PCIモジュール*1 | HK | 計画オーダー |
PCIモジュール*1 | MEX | 計画オーダー |
ケーブル | MEX | 計画オーダー |
5Vカード | MEX | 計画オーダー |
互換ブリッジ | MEX | 計画オーダー |
デュアル・ポッド・エンクロージャ*1 | HK | 計画オーダー |
電源 | HK | 計画オーダー |
Sub Prod 32*1 | HK | 計画オーダー |
PTN-32 OC | HK | 計画オーダー |
PTN32-2MB | HK | 計画オーダー |
TLC1032 | HK | 計画オーダー |
32TLCアドオン | HK | 計画オーダー |
構成品目の作成後に収集を実行して計画を実行した後、構成品目の受注明細を出荷組織で確認します。
たとえば、シンガポール組織で受注を受け入れて、構成用に次のオプションを選択するとします。
CMPメインフレーム
CD-ROM
PTN32-2MB
32TLCアドオン
5Vカード
計画エンジンでは、サブモデル、オプション区分、オプション品目および必須構成部品がモデルの依存需要として展開されるため、それぞれの供給を1単位として計画および再計画できます(予測の場合、この需要は独立需要として展開されます)。計画プロセスでは、標準品目から需要がさらに展開され、下位構成部品が存在する場合はそれが計画されます。
計画エンジンでは、資材計画の基礎として工程開始日ではなくオーダー開始日が使用されます。オプション供給に受注遅延が検出されると、次の処理が実行されます。
「制約付き - 生産能力制約の施行」計画の場合は、オプション区分とモデル需要がプッシュされます。
「制約付き - 需要納期の施行」計画の場合は、需要納期の変更を満たすために必要に応じて例外が生成されます。受注と受注明細は需要制約です。オプション品目の受注明細とオプション区分品目の受注明細はモデル品目の受注需要の制約となり、モデル品目の受注需要はオプション品目の受注明細とオプション区分品目の受注明細の制約となります。
構成および計画済の受注をAPSサーバーに収集して計画を実行すると、APS計画での需要データは次の表のようになります。
品目 | 組織 | 需要 |
---|---|---|
CMPメインフレーム | SG | なし |
CMPメインフレーム | HK | 受注 |
コンソール | HK | 受注 |
Pデバイス | HK | 受注 |
CD-ROM | HK | 受注 |
PCIモジュール | HK | なし |
PCIモジュール | MEX | 受注 |
ケーブル | MEX | 受注 |
PCIカード | MEX | 受注 |
5Vカード | MEX | 受注 |
互換ブリッジ | MEX | 受注 |
デュアル・ポッド・エンクロージャ | HK | 受注 |
Sub Prod OC | HK | 受注 |
電源 | HK | 受注 |
Sub Prod 32 | HK | 受注 |
PTN-32 OC | HK | 受注 |
PTN32-2MB | HK | 受注 |
TLC1032 | HK | 受注 |
32TLCアドオン | HK | 受注 |
計画エンジンでは、実際の供給に変換し、標準補充サイクルに従って受注を各国の組織間で出荷し、最終的には顧客に出荷できるように、適切な計画供給が作成されます。
基本モデルに使用可能な総計生産能力に基づいて、調達される構成に制約を適用できます。つまり、仕入先-仕入先サイトの生産能力を、製造できる基本受注組立モデル数で表現できます。計画エンジンでは、この基本モデルの全構成に対する計画オーダー、購買依頼および発注がすべて、総計生産能力値に制約として適用されます。受注組立モデルに対する発注でも、これと同じ生産能力が消し込まれます。
受注組立モデルの仕入先生産能力は、このモデルに基づいて作成される受注組立品目で消し込まれます。この生産能力消込は、「プランナ・ワークベンチ」の「水平プラン」ウィンドウで表示できます。計画エンジンで使用されるのは、次のデータのみです。
受注組立モデルの承認済仕入先リストで定義されている生産能力。いずれかの構成品目に対して定義されている仕入先生産能力は無視されます。
構成品目の承認済仕入先リストからの特定のオーダー・モディファイアとリード・タイム。
調達されるモデルの仕入先生産能力を設定する手順は、次のとおりです。
「購買」->「供給ベース」->「承認済仕入先リスト」にナビゲートします。
受注組立モデル品目を問い合せ、「グローバル」を選択し、「属性」をクリックして計画属性を入力します。
受注組立モデルの仕入先生産能力を定義します。これは、仕入先が製造できる基本モデルの全構成の生産能力合計です。
調達されるモデルの仕入先生産能力を表示する手順は、次のとおりです。
「サプライ・チェーン計画」->「ワークベンチ」->「仕入先別表示」にナビゲートします。
仕入先サイトを選択し、構成品目のいずれかまたは基本モデルを選択して、同じ水平プラン情報を表示します。Oracle Advanced Supply Chain Planningでは、この基本受注組立モデルの全構成に関する需要および供給情報が水平プランに総計表示されます。