Oracle Advanced Pricingインプリメンテーション・マニュアル リリース12 E05612-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章では次のトピックについて説明します。
この章で説明する方法は、Oracle Advanced Pricingのライセンスを取得している顧客、オラクル社の実装コンサルタントおよびプレセール・コンサルタントが使用できます。
顧客要件に対する価格設定ソリューション・モデルを開発する前に、次の価格設定の概念を使用して、価格設定ルール、価格設定処理、管理、および使用する拡張機能へのリンクについて記述する方法を理解する必要があります。
価格設定ルール
価格設定処理
価格設定管理
価格設定拡張
価格設定ルール
価格設定ルールは、価格設定エンジンが価格設定処理を取引に適用するために使用するルールベースのロジックを示します。
また、価格設定ルールは、顧客階層および製品階層に基づいて作成され、多くの場合顧客と関連付けられます。顧客は、単一または複数レベルのグループに属するため、Oracle Advanced Pricingを使用すると、価格設定処理を、顧客が属するグループまたはグループのレベルに関連付けるルールを定義できます。
Oracle Advanced Pricingでは、価格設定階層以外のデータに依存するルールを定義できます。たとえば、値引は多くの場合、数量に基づいて累進的に行われます。
価格設定ルールは、顧客および製品以外のルールを記述するために、「クオリファイア」ウィンドウで設定できます。これらのクオリファイア・オブジェクトは、価格設定処理に添付されます。製品階層の定義は、処理オブジェクトに含まれます。たとえば、価格表で、品目カテゴリA内のすべての品目に1.00ドルの価格を設定する場合、製品定義は、「クオリファイア」ウィンドウを使用せずに、「価格表」ウィンドウの一部で設定します。同じ価格表の使用をVIP顧客区分のみに制限するには、「クオリファイア」ウィンドウで顧客区分を入力します。
価格設定処理
価格設定処理は、エンジンが取引に適用する特定の価格設定アクティビティです。たとえば、価格設定エンジンは、受注明細に価格表処理を適用することによって定価を設定できます。同様に、定価を正味販売価格まで減額する値引はモディファイア処理です。
Oracle Advanced Pricingには、価格設定の問題を処理するための価格設定処理が用意されています。価格設定処理は、特定の価格設定ウィンドウ(オブジェクト)に直接関連付けることができます。オブジェクトには、次のものがあります。
価格表
基本契約
算式
モディファイア
モディファイアは、ネット価格を増額または減額する価格設定処理の区分です。特定の動作特性が設定された特定の価格設定処理を適用するために、複数のモディファイア・タイプから選択できます。
注意: モディファイアは、調整と呼ばれる場合があります。
価格設定管理
価格設定管理は、価格設定による処理の適用方法を管理するために使用されます。たとえば、有効日を使用すると、ルールを有効にする時期および無効にする時期を管理できます。また、ルールが示す処理を適用できる時期を定義することもできます。
価格設定は、他の管理タイプもいくつかサポートします。たとえば、価格設定処理のグループであるフェーズを設定できます。さらに、これらのフェーズを受注管理の物理的なイベントに関連付けることができます。価格設定管理のもう1つの例は、非互換グループです。非互換グループ内の1つのモディファイアのみが価格設定エンジンによって選択されるように、モディファイアを非互換グループに割り当てることができます。
価格設定には様々な管理があります。すべてが重要ですが、一部は、実装前に特に注意して計画する必要があります。
価格設定拡張
価格設定は多くの場合、顧客ファクタ別、取引先別、販売チャネル要件別に行われます。どのような会社も、同じ業界で競争している場合でも、他の会社と同じ方法で価格設定を実装することはほとんどありません。
この多様性に対応するために、Oracle Advanced Pricingには、ビジネス・ニーズを満たすために次のような拡張機能があります。
柔軟な属性マッピング
Oracle Order Management、Oracle iStoreまたはその他のOracle製品のライセンスを取得している場合、Oracle Advanced Pricingでは、顧客階層と製品階層、および通常参照されるその他の価格設定ルール・ドライバのデフォルトが提供されます。これらは、製品を拡張せずに使用できます。
より複雑な製品階層または顧客階層を使用する顧客のために、Oracle Advanced Pricingには柔軟な属性マッピングの機能が用意されています。この機能を使用すると、製品にシードされている値に加えて、顧客階層および製品階層のレベルを追加したり、変更することができます。属性マッピングを使用すると、製品階層または顧客階層を、製品のインストール時にデフォルトで提供されているソースおよび体系を使用するかわりに、代替のソースおよび体系に置換できます。
属性マッピングによって、Oracle Advanced Pricingを、Oracle Advanced Pricing外およびOracle Applications外で保守されているデータにリンクできます。また、前述の顧客階層および製品階層の関連データ以外に、価格設定算式の計算で使用される通貨レートを外部ソースから読み込むことができます。
アプリケ-ションプログラム・インタフェ-ス(API)
Oracle Advanced Pricingは、ユーザーが独自のコードを使用して利用できるパブリックAPIを提供します。この結果、Oracle Advanced Pricingの使用方法を大幅に拡張できます。
たとえば、Get_Custom_Price APIは、算式を使用する価格表にファンクション・タイプとしてリンクできます。このAPIを使用すると、Oracle Advanced Pricingで発注から原価を取得できます。この原価は、実績原価に基づいて販売価格を算出する計算に使用されます。
Oracle Advanced PricingのAPIは、『Oracle Order Management Open Interfaces, API, & Electronic Messaging Guide』を参照してください。これらのAPI用のコードを作成する必要がある場合は、ダウンロード可能なARUをOracleMetalinkから入手できます。このARUには、コード例が含まれています。
次の図は、Oracle Advanced Pricingの基本フローを示しています。
価格設定フロー
Oracle Advanced Pricingは、価格表で定義された定価を最初に識別することによって、取引の価格を設定します。価格設定では、価格表の価格を調整する必要があるかどうかが判断されます。モディファイアはこれらの調整の価格を管理し、価格を修正して増額(正)または減額(負)できます。価格設定エンジンが価格を調整したり特典を適用するモディファイアを1つ以上選択すると、最終的な価格または正味販売価格が計算されます。
価格設定ウィンドウ
価格設定はビジネスに関する価格設定エンティティから構成され、エンティティはそれぞれ機能を定義しています。これらのエンティティとその関連機能は、価格設定ソリューションを作成するために使用できます。これらのOracle Advanced Pricingのビジネス・エンティティと対話するには、機能を利用するために設定する必要があるウィンドウ(フォームとも呼ぶ)およびHTMLページを使用します。
価格設定ウィンドウは、価格設定ソリューションを提供するために使用される、Oracle Advanced Pricing製品内の特別なツールです。各オブジェクトには、ソリューションの一部として実行する特定の機能があります。Oracle Advanced Pricingのウィンドウの詳細は、『Oracle Advanced Pricingユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Oracle Advanced Pricingは、HTMLベースのユーザー・インタフェース(UI)を備えており、以前はOracle Formsベースのインタフェースでのみ使用可能だった多くの価格設定タスクを実行できます。HTML UIには、ガイド付きのステップや使いやすいページが用意されています。これらを使用して、モディファイア、価格表およびクオリファイアを設定および保守できます。
注意: HTMLユーザー・インタフェースはOracle Advanced Pricingでのみ使用できます。
形式相互の互換性
1つの形式を使用して作成された価格表、モディファイアまたはクオリファイアなどの価格設定エンティティは、別の形式で保守できます。たとえば、価格表をフォーム・ベースのUIで作成した場合、この価格表はHTML UIで更新および保守できます。また、フォーム・ベースのユーザー・インタフェースを使用して、前のリリースのように価格設定機能を設定および保守することもできます。
注意: クオリファイア・グループなどの一部の機能は、フォーム・ベースのUIでのみ設定できます。
HTMLユーザー・インタフェースにアクセスするには、Oracle Pricingユーザー職責を選択して「ホーム」リンクをクリックし、「Oracle Advanced Pricing: ホーム・ページ」を表示します。
HTML UIで使用可能な機能の詳細は、『Oracle Advanced Pricingユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Oracle Advanced Pricingの推奨実装方法は、次の3つのステップで構成されます。
価格設定ニーズの分析
価格設定ソリューションの開発
価格設定ソリューションのテスト
価格設定の実装における第1ステップは、顧客の価格設定要件を理解することです。Oracle Advanced Pricingを使用した価格設定ソリューションを開発するには、価格設定要件をそれぞれのコンポーネント部分に細分化する必要があります。顧客要件、基礎となる価格設定要件の要素、要素間の関連および計算を分析すると、これらの各要素とその関連を、適切なビジネス・オブジェクトに関連付けることができます。この分析から価格設定ソリューションを構築できます。
注意: 価格設定の用語
Oracle Advanced Pricingを実装する前の価格設定要件の分析で、価格設定に関する用語がそれぞれの会社によって大きく異なる点を考慮することが重要です。段階式価格設定、ブロック価格設定、未請求、最高価格、最低価格およびその他多数の用語は会社によってその定義が異なります。
用語を混同しないようにする最善の方法は、基礎となる価格設定処理とその処理を実行する正確な条件を定義するルール別に各用語を定義することです。
ステップ1: 価格設定要件の定義
価格設定の使用例および要件を識別します。たとえば、北東地域の顧客がデジタル機器を2個発注した場合に、同時に発注したアナログ機器品目ABCまたはDEFのいずれかに10%の値引が適用されるとします。これは、10月1日〜12月31日の期間の受注に対して適用される販促値引です。
ステップ2: 価格設定要件の分析
基礎となるコンポーネントの価格設定要件の定義は、価格設定処理自体、およびその処理を適用する条件を正確に定義するために必要な情報を収集することによって行います。準備段階の問題文をさらに細かい項目に分けます。
デジタル機器とその他の機器とを区別します。デジタル機器は、アナログ機器とは別に値引されます。
価格設定ソリューションでは、1個または2個の各デジタル機器が無償品目として処理されるように考慮する必要があります。
価格設定ソリューション・モデルでは、複数の明細を受注に追加し、明細1と2が結合して混合基準および一致基準と等しくなるように考慮する必要があります。
販売価格に対して10%の値引が適用されます。
ステップ3: ルールおよび処理文の作成
次のステップは、実行する価格設定処理とその実行条件を定義するルールおよび処理文の開発です。最初に処理を定義します。
価格設定処理: 通常の販売価格から10%値引します。この処理文は、顧客、製品または日付とは関係ありません。
価格設定ルール: 北東地域のすべての顧客に対してのみ適用される値引処理
価格設定ルール: 品目番号ABCまたはDEFのアナログ機器に対してのみ適用される値引処理
価格設定ルール: アナログ機器がデジタル機器と同時に注文された場合にのみ実行される値引処理
価格設定ルール: 10月1日〜12月31日の期間の受注に対してのみ実行される値引処理
例では、エンド・ユーザーが表現した価格設定要件を、価格設定処理文とその処理を実行する条件を示す価格設定ルールに細分化する方法が示されています。価格設定方針は、大まかな条件で定義される場合があります。この場合、その関連ルールとともに各処理を定義する前に、会社の価格設定体系全体を理解する必要があります。
ステップ1: 価格設定要件の定義
Rick's Souvenir Companyでは、2つの異なる種目の消費者製品を販売しています。これらの製品は、別々の販売チャネルで販売されます。Rick's Pet Storeでは次の製品を販売しています。
食料品
コレクション・グッズ
Rickの食料品は、次の販売店を通して販売されます。
食料品店
量販店
Rickのコレクション・グッズは、食料品とはまったく関係がなく、別の製造施設で生産されます。これらの製品は、次の販売店を通して販売されます。
ホビー・ショップおよびトイショップ
量販店
ビジネスの全体的な構成が記述されると、会社の価格設定方針は、その体系にほぼ密接に結び付けられます。Rick's Souvenir Companyをさらに調査すると、次の情報がわかります。
食料品
食料品店および量販店に販売される食料品には、受注数量による価格分岐が適用されます。たとえば、製品12345のSan Francisco Rice Cakesは次のように販売されます。
数量 | 1ケース当たりの価格 |
---|---|
0-49 | 55 |
49 - 199 | 50 |
199 - 499 | 45 |
499〜 | 40 |
すべての食料品が、食料品店と量販店に対して同様に価格設定されます。食料品店および量販店はすべて、注文を増やしてもらうためや、1年の特定時期に市場認知度を上げる目的で提供される販促値引を受ける対象でもあります。たとえば、San Francisco Rice Cakesをハロウィーンの在庫用として小売店に売り込むために、8月1日〜10月15日の期間の受注に関して、San Francisco Rice Cakesに対する販促値引が提案されます。
量販店の中でも非常に規模の大きい顧客であるHugeCo Inc.は、常に低価格(Everyday Low Price: ELP)をテーマにしているため、販売販促用の価格設定を避ける選択をしました。HugeCo Inc.は、品目ごとにネット価格を交渉しました。交渉の結果、San Francisco Rice Cakesの場合、HugeCoへの販売では、1ケースごとにさらに10%の値引が行われることになりました。この値引は、販促用の価格設定を受け入れる他の顧客が、年間を通したすべての販促に対して受ける理論上の平均取引レートを反映しています。このため、HugeCoに対しては、San Francisco Rice Cakesに関して次のような異なる価格設定表が適用されます。
数量 | 1ケース当たりの価格 |
---|---|
0-49 | 50 |
49 - 199 | 45 |
199 - 499 | 40 |
499〜 | 35 |
コレクション・グッズ
コレクション・グッズは、1組のカードで構成され、各カードには人気のあるスポーツ選手の写真が印刷されています。1組のカードは、野球、サッカー、アメリカンフットボールなどの特定のスポーツでまとめられています。コレクション用のスポーツ・カードは生産個数が限定されており、カードの収集や交換を行う消費者をターゲットとしています。コレクション用のカード製品の1つであるNew Millennium Setの価格設定は、販売チャネルによって異なります。販促用の価格設定は使用されず、数量による値引も行われません。ただし、ビジネス上の様々な理由によって、品目番号65432のNew Millennium Setを始めとしたコレクション用のスポーツ・カード製品は、量販店よりホビー・ショップの方が高く価格設定されます。完全なNew Millennium Setsが24組入ったケース1つが、ホビー・ショップには375ドルの価格が設定され、量販店向けの価格は325ドルです。
ステップ2: 価格設定要件の分析
Rickの食料品には、3つの別々の価格設定方針(体系)があります。1つは食料品店用、1つはHugeCo以外の量販店用、後の1つはHugeCo専用です。食料品店および量販店(HugeCo以外)のチャネル内では、定価と販促用価格設定という2つのレベル(価格設定)があります。
HugeCo用にも2つのレベルがあります。HugeCoの場合、この2つのレベルは、定価とEveryday Low Price(ELP)です。HugeCoにはELPが適用されるため、販促用の価格設定が一緒に適用されることはありません。
コレクション用のスポーツ・カードには別々の販売チャネルがあり、それぞれ価格設定方針が異なります。これらは、ホビー・ショップ用の定価と量販店用の定価です。販促用の価格は設定されていないため、HugeCoのELPは、他の量販店の価格と同じです。
ステップ3: ルール、処理および管理文の作成
次の例は、すでに定義されている食料品とコレクション・グッズという2つの製品に限定されています。ただし、この同じ方法がその他の製品の価格設定を定義する場合にも使用されます。
食料品
価格設定処理: 数量によって変動する定価を設定(特定の受注数量レベルの価格については、San Francisco Rice Cakesの表を参照)
価格設定ルール: 製品San Francisco Rice Cakes用
価格設定ルール: 小売客区分に属するすべての顧客および大規模小売客区分のすべての顧客用
価格設定処理: 10%の販促用値引を適用
価格設定ルール: 小売客区分に属するすべての顧客および大規模小売客区分のすべての顧客用
価格設定ルール: 製品San Francisco Rice Cakes用
価格設定ルール: 前述のルールからHugeCoを除外
価格設定ルール: 8月1日〜10月15日の期間のすべての受注に適用
価格設定処理: HugeCoにELP表を適用(表を参照)
価格設定ルール: 製品San Francisco Rice Cakes用
価格設定ルール: 顧客HugeCo用
価格設定管理: 1月1日〜12月31日の期間のHugeCoに関するすべての受注に適用
コレクション・グッズ
価格設定処理: 1ケース当たり375ドルの定価を設定
価格設定ルール: 製品New Millennium Set用
価格設定ルール: ホビー・ショップに属する顧客に関するすべての受注用
価格設定処理: 1ケース当たり325ドルの定価を設定
価格設定ルール: 製品New Millennium Set用
価格設定処理: 大規模小売客区分に属する顧客に関する受注用
価格設定処理およびルール文の定義が終了すると、Oracle Advanced Pricing内で価格設定ソリューションを定義できます。価格設定に関する全体的な体系を設計することによって、実装ソリューションを定義します。次の各項では、この体系の作成時に行う必要がある決定について説明します。
実装に関する決定事項: 単一通貨価格表と複数通貨価格表
Oracle Advanced Pricingでは、単一通貨価格表と複数通貨価格表の両方がサポートされています。単一通貨価格表の場合は、価格表ごとに1つの通貨が定義されます。複数通貨価格表の場合は、複数通貨および価格の変換に必要な換算係数とルールを定義した複数通貨換算リストが価格表に添付されます。
組織でサポートする価格表計画を決定することは非常に重要です。Oracle Advanced Pricingには、既存の価格表を単一通貨価格表から複数通貨価格表に変換するためのプロファイル・オプションとコンカレント・プログラムがあります。ただし、このプロファイルを有効にし、価格表を変換した後は、複数通貨以外の価格表に戻さないでください。プロファイルを「No」に戻すと、換算基準が使用された場合に予期しない結果となります。Oracleでは、設定を「No」に戻した場合についてはサポートしていません。
複数通貨価格表の使用方法は、『Oracle Advanced Pricingユーザーズ・ガイド』の「複数通貨価格表」を参照してください。
単一通貨価格表
単一通貨価格表は、Oracle Advanced Pricingのデフォルト設定です。この価格表は、ビジネスで異なる通貨に対して別々の価格を保守する必要があり、定義される価格の間に関連がない場合に使用されます。
複数通貨価格表
複数通貨価格表を使用すると、品目に対して基準通貨による単一価格に基づいた価格設定計画を採用しているビジネスでは、換算レートまたは算式を使用してその価格を受注通貨に変換できます。エンジンの実行時に、価格設定エンジンは受注から通貨を取得し、この通貨と照合する基準通貨(換算通貨)で価格表を検索します。価格設定エンジンは、設定されている換算ルールに基づいて、基準通貨から価格を変換し、受注通貨を計算します。
顧客属性および製品属性に関する実装の決定事項
顧客属性は、顧客が関連付けられる単一レベルまたは複数レベルのグループの参照に使用されます。価格設定ルールは、これらのグループに基づいて体系化され、顧客に適用する価格設定処理に影響を与えます。
実装に関する主な決定事項: Oracleの顧客表のシード済属性が、価格設定ニーズに必要な顧客グループを含めるのに十分かどうかの確認
顧客のコンテキスト(顧客属性とも呼ぶ)を含む次のクオリファイア属性は、Oracle Advanced Pricingでシードされます。
顧客名
顧客区分
サイト
出荷先
請求先
基本契約名
基本契約タイプ
GSA
販売チャネル
勘定科目タイプ
パーティID
出荷先パーティ・サイト
請求先パーティ・サイト
注意: これらの属性は、価格表およびモディファイアのクオリファイアとして使用できます。「パーティID」、「出荷先パーティ・サイト」、「請求先パーティ・サイト」に関する情報は、ソース・ルールから自動的に導出されます。
前述の属性は、モディファイアまたは価格表のクオリファイアとして参照することにより使用できます。
Oracleの顧客表のシード済クオリファイア属性で十分である場合、顧客属性のマッピングは必要ありません。Oracleの顧客表のシード済クオリファイア属性では十分でない場合、属性管理を使用してOracle Advanced Pricingで追加の顧客属性を作成できます。たとえば、追加の顧客グループに属性を定義することもできます。
両方のオプションで、属性マッピングを使用して、価格設定クオリファイアで参照する顧客データの位置を定義できます。価格設定エンジンでは属性値の検索にマッピング・ルールが使用されるため、定義された各クオリファイア属性に対してデフォルトのソース・ルールを作成する必要があります。属性を拡張するためには、次のオプションがあります。
Oracleの顧客表からデータを取得するための属性マッピング・ルール
顧客属性を格納するためのOracle外部の表
属性マッピングを使用して、代替の顧客属性セットをマップできます。属性マッピングの詳細は、「属性管理の概要」を参照してください。
顧客区分は顧客のグループです。分類はいくつでも定義することができ、価格設定データは、価格および特典を様々な分類で使用可能にする方法に応じて設定できます。Trading Community Architecture(TCA)パーティを参照する属性に対しては、「パーティ階層使用可」チェック・ボックスを選択できます。これにより、クオリファイアを作成して、関連付けられた価格表およびモディファイアがTCAで定義されたパーティ階層で使用できるようになります。
製品階層
製品階層は、製品が関連付けられる単一レベルまたは複数レベルのグループです。価格設定ルールは、これらのグループに基づいて体系化され、顧客に適用する価格設定処理に影響を与えます。
ビジネス上の価格や値引を設定する製品階層の各レベルは、シード済製品コンテキストITEMの製品属性として定義する必要があります。
Oracle Advanced Pricingの製品階層には、Oracle Applicationsの品目マスターであるMTL_SYSTEM_ITEMS表を基にITEMコンテキストがシードされています。Oracle Advanced Pricingの柔軟性により、このコンテキストに対して次のように製品階層を定義できます。
品目番号
品目カテゴリ(階層的カテゴリをサポート)
品目ALL
品目単独より詳細にレベルを指定する価格設定属性
Oracle Advanced Pricingの属性管理機能を使用して、属性を定義できます。製品属性を定義する際、優先値を使用して階層を定義します。価格設定エンジンが、品目価格と品目カテゴリ価格のどちらかを選択する必要がある場合は、品目属性を製品グループ属性より特殊性の高いものとして設定します。
品目カテゴリおよびカテゴリ・セット
価格および値引を設定するために品目カテゴリとカテゴリ・セットを定義できます。価格設定の設定における品目カテゴリは、常に「組織レベル」ではなく「マスター・レベル」の品目の品目カテゴリに基づきます。
価格設定属性
属性によって、価格が設定または変更される対象が正確に定義されます。属性は、品目の価格、品目の作成を必要としない追加定義または製品階層内の品目より高いレベルでの値引に影響を与えるファクタとなります。
様々なコンテキストで価格設定属性を作成すると、ビジネス要件に従って属性をグループ化できます。品目コンテキストは、製品の価格設定階層の定義用に確保されています。価格および値引が設定される製品階層の各レベルは、このコンテキストのセグメントとして定義する必要があります。
実装に関する主な決定事項: 価格設定属性、複数価格表またはその両方の実装が必要かどうかの決定。必要となる価格設定属性とクオリファイア属性、およびどちらの属性かの決定方法。
複雑な価格設定使用例は、価格設定属性と複数価格表の組合せによる解決が最善の場合があります。2つの組合せの理解および保守が簡単であるだけでなく、エンジンのパフォーマンスも改善できます。
価格設定属性はさらに、価格表またはモディファイア・リストで価格を設定または変更する対象を制御します。製品階層の各レベルは、シード済コンテキストである品目の価格設定属性として定義する必要があります。価格設定エンジンでは価格設定属性値の検索にソース・ルールが使用されるため、定義する各価格設定属性に対してデフォルトのソース・ルールを作成する必要があります。
クオリファイアにより、複数価格表に対してAND/OR機能および演算子の「=」、「BETWEEN」、「Not =」が提供されます。
次に例を示します。
受注の時点で有効な条件によって同一品目に対して異なる定価を設定する場合は、価格設定属性を使用できます。
条件が製品に関係する場合(例: 品目123のGrade Aは、同じ品目のGrade Bとは異なる価格が設定される)、製品属性が示されます。
条件が製品には関係せず、階層内での顧客の地位、または顧客と受注タイプや時間帯などのその他のファクタの組合せに依存する場合は、複数価格表が示されます。
実装に関する主な決定事項:
必要なクオリファイアおよびクオリファイア・グループの決定。
価格設定ルールを実装するクオリファイアを開発するために必要な顧客グループ化の決定。
使用例の処理に必要となる価格設定処理の決定。
価格設定処理に必要な製品グループ化の決定。
顧客階層および製品階層は価格設定ルールを定義するうえで不可欠であるため、これらの階層の体系はOracle Advanced Pricingの設定と実装において非常に重要です。
クオリファイア
クオリファイアを使用して、取引に適用される価格設定処理を決定する適格性ルールを定義できます。クオリファイアはその価格設定ルールにも使用できますが、クオリファイア・ウィンドウは通常、顧客階層に定義された属性、または製品階層に関連のないその他の要素に関する価格設定ルールを定義するために使用されます。
Oracle Advanced Pricingを実装するときに、価格設定処理およびこれらの処理の選択に使用されるクオリファイアの体系について考慮する必要があります。この章で使用したRick's Souvenirsの例を使用します。
Rick's Souvenirsには、大きく分けて2つの異なる種目の製品があり、それぞれ2つの販売チャネルを通して販売されます。チャネルの1つは重複しています。価格設定はチャネル明細に従いましたが、規模の大きい1つの顧客は例外です。この情報に基づいて、価格設定処理およびルールの体系化方法に関していくつか推論してください。
顧客のグループ化
2つのレベルの顧客階層を価格設定ルールに関連付ける必要があります。
顧客区分: 食料品店、量販店、ホビー・ショップ
顧客名: HugeCo
顧客区分および顧客名は両方とも顧客階層のシード済要素であるため、顧客階層を拡張する必要はありません。
価格設定処理
前述の処理/ルール文では、製品ごとに異なり、チャネルによって条件が設定される価格表および販促値引処理の必要性が示されています。
食料品
- 食料品店および量販店用の価格分岐が設定された価格表
- 食料品店および量販店用の販促用価格設定値引
- HugeCo用の価格分岐が設定された代替価格表
コレクション・グッズ
- ホビー・ショップ用の価格表
- 量販店用の価格表
製品グループ化: 個々の製品に対するリストが設定され、この場合は特定の品目番号が設定されます。ただし、すべての食料品に10%の販促用値引が適用されます。品目番号および品目カテゴリは両方とも製品階層のシード済要素であるため、製品階層の拡張を考慮する必要はありません。
価格表
食料品とコレクション・グッズに次の価格表を設定します。
食料品
定価を処理する単一の価格表の体系化から開始します。次の表に価格表と関連する価格分岐明細を示します。
コンテキスト | 属性 | 単価 | 値 | 価格設定属性 | 値:至 | 値:自 |
---|---|---|---|---|---|---|
製品 | 品目 | 55 | 12345 | 数量 | 0 | 49 |
製品 | 品目 | 50 | 12345 | 数量 | 49 | 199 |
製品 | 品目 | 45 | 12345 | 数量 | 199 | 499 |
製品 | 品目 | 40 | 12345 | 数量 | 499 | 9999999 |
前述の例では、食料品に対してチャネル別の価格設定を適用する価格表処理をOracle Advanced Pricingで設定しました。
コレクション・グッズ
次に、コレクション・グッズ65432のNew Millennium Setを処理するための第2価格表を設定します。
コンテキスト | 属性 | 単価 | 値 | 価格設定属性 | 値 |
---|---|---|---|---|---|
製品 | 品目 | $375 | 65432 | 顧客区分 | Hobby |
製品 | 品目 | $325 | 65432 | 顧客区分 | Mass Merch |
この価格表は、Mass MerchおよびHobbyの両方の顧客区分に適しています。2つの区分に対する価格は価格表内で異なるため、価格設定属性として顧客区分を使用しました。この結果、コレクション品目を価格表でチャネルごとに1回ずつ2回定義できます。
食料品およびコレクション・グッズの価格表の結合
2つの個別の価格表を、価格分岐明細と価格明細の両方を含む1つの価格表に結合することができます。
コンテキスト | 属性 | 単価 | 値 | 価格設定属性 | 値:至 | 値:自 |
---|---|---|---|---|---|---|
製品 | 品目 | 55 | 12345 | 数量 | 0 | 49 |
製品 | 品目 | 50 | 12345 | 数量 | 49 | 199 |
製品 | 品目 | 45 | 12345 | 数量 | 199 | 499 |
製品 | 品目 | 40 | 12345 | 数量 | 499 | 9999999 |
製品 | 品目 | $375 | 65432 | 顧客区分 | Hobby | 適用なし |
製品 | 品目 | $325 | 65432 | 顧客区分 | Mass Merch | 適用なし |
販促用値引モディファイア
全体的なソリューションに対して2つの調整が必要です。1番目の調整: 食料品に対する販促用価格設定で、食料品店と量販店の両方の区分に適用されます。2番目の調整: HugeCoに対して、標準価格設定のかわりに、特別なEveryday Low Price(ELP)の価格設定が適用されます。追加の新規要件である、HugeCoに適用されるELPは、値引として考慮する必要があります。
最初に、販促用価格設定に対するモディファイアが必要です。販促用値引は、顧客区分全体に対して同じパーセントです。次の表で、食料品の販促用値引に対する顧客区分は、Mass MerchおよびHobbyです。
コンテキスト | 属性 | 値 | タイプ | 方法 | 金額 | 非互換グループ |
---|---|---|---|---|---|---|
製品 | カテゴリ | Edible | 値引 | パーセント | 10 | GRP01 |
HugeCoに対してはモディファイアが使用されないため、非互換グループ割当てが追加されています。HugeCo用のモディファイアを作成します。
コンテキスト | 属性 | タイプ | 方法 | 単価 | 値 | 価格設定属性 | 値:自-値:至 | 非互換グループ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
製品 | 品目 | PBH | 金額 | 50 | 12345 | 数量 | 0-49 | GRP01 |
製品 | 品目 | PBH | 金額 | 45 | 12345 | 数量 | 49-199 | GRP01 |
製品 | 品目 | PBH | 金額 | 40 | 12345 | 数量 | 199-499 | GRP01 |
製品 | 品目 | PBH | 金額 | 35 | 12345 | 数量 | 499-999999 | GRP01 |
数量に基づいた新規価格をHugeCoに提供する、HugeCo用のモディファイアを定義しました。価格表処理ではなくモディファイア処理を使用することによって、定価と、値引としてHugeCoに対して提供されるELPとの差異を考慮するための最終的な要件を満たします。適用方法に金額を使用することによって、例1または例3で示されている価格表の各数量レベルでの単価を、モディファイア上の単価に置換します。モディファイアでは価格分岐もサポートされるため、HugeCoのモディファイアを価格分岐として体系化しました。
この作業を終了すると、実装の決定に関する次の領域である価格設定管理に進むことができます。
価格設定管理では、価格設定ルールおよび処理の価格設定エンジンによる解釈方法を指定できる、Oracle Advanced Pricingの機能のグループについて説明します。実装の観点から、1つは実装プロセスで行う必要がある決定です。
実装に関する主な決定事項: 非互換グループの実装が必要かどうかの確認
この章で使用した例で、HugeCo用の2つのモディファイアを非互換グループに割り当てることによって、価格設定エンジンが1つを選択するように設定できます。
実装に関する主な決定事項: 非互換グループの実装が必要かどうかの確認
この章で使用した例で、HugeCo用の2つのモディファイアを非互換グループに割り当てることによって、価格設定エンジンが1つを選択するように設定できます。
Oracle Advanced Pricingの排他機能を使用する必要があるかどうかの確認
排他機能を使用すると、価格設定エンジンによって選択される場合に、取引に適用する唯一のモディファイアを指定できます。
非互換モディファイアを決定するために、優先または最善価格の使用をOracle Advanced Pricingに指示するかどうかの決定
Oracle Advanced Pricingには、非互換モディファイアを選択するための方法として、優先と最善価格の2つがあります。優先は通常、最善価格となります。
GSA価格設定の実装の必要性の決定
GSA価格設定を使用すると、最低レベルの価格を設定できます。これは、General Services Administration(米国の一般調達局)の価格設定ルールに準拠するために使用されます。GSA価格設定はOracle Order Managementと統合されています。
複数の価格設定バケットを使用する必要があるかどうかの確認。使用する場合に必要なレベル数の決定。
価格設定バケットは、複数の小計を使用して値引を処理する機能を提供します。
シード済の価格設定フェーズ/Oracle Order Managementイベントの関連が機能するかどうか、または再構成する必要があるかどうかの決定
価格設定モディファイアおよび価格表は、特定の価格設定フェーズと関連付ける必要があります。価格設定要求時にアプリケーションにより価格設定エンジンが呼び出されると、フェーズは呼び出しで識別されます。これにより、価格設定エンジンはそのフェーズに認定された価格設定処理のみを選択できるようになります。Oracle Order Managementでは、価格との統合によって、受注処理サイクルの特定の物理イベントが特定のフェーズに関連付けられます。イベントを特定のフェーズに関連付けることによって、受注管理では、エンジンに対して特定の価格設定フェーズを指定できます。価格設定フェーズの受注管理イベントへのマッピングは、ユーザーが構成できます。
価格設定フェーズおよびその使用方法は、このマニュアルの「価格設定フェーズの概要」を参照してください。
設定する必要がある有効日の決定
Oracle Advanced Pricingには、非常に広範囲にわたる有効日設定機能があります。価格設定エンジンがOracle Order Managementなどの呼出し側アプリケーションによって起動されるときに、価格設定日が渡されます。エンジンは、様々な価格設定フォームの有効日と比較するための参照ポイントとして、この日付を使用します。
価格設定日は、Oracle Order Managementでデフォルト設定されます。詳細は、『Oracle Order Managementユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Oracle Advanced Pricingの設定で必要な単位に関する考慮事項
価格設定エンジンが取引の基準価格を決定しようとする場合は、適切な価格表を検索して、価格を設定する取引明細の単位で価格を探そうとします。エンジンがこのような単位を見つけると、その取引の単位が価格設定の単位になります。
その検索が成功しない場合、エンジンは、入力された取引単位を価格表明細の基準単位に変換するための換算係数を検索します。
価格設定エンジンは、価格設定単位と同じ単位で定義されているモディファイアまたは製品単位が指定されていないモディファイアのみを戻します。後者は、モディファイアが製品固有でない場合のケースです。
一緒に使用されるすべてのモディファイアと価格表の単位が共通であることを確認してください。価格表とモディファイアの単位が受注単位と異なる場合は、換算係数が設定されていることを確認してください。
販促の費用を管理する必要があるかどうかの決定
販促限度機能を使用すると、販促、取引またはその他のモディファイアに対して顧客が受けることができる特典の最大値を設定できます。特典の金額を制限することによって、販促費用を予算内に収めることができ、販促用予算の超過を防止できます。
販促限度の詳細は、『Oracle Advanced Pricingユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Oracle Advanced Pricingの実装方法の最終ステップは、作成した価格設定ソリューションをテストすることです。
注意: リリース11iより前のリリースからアップグレードし、アップグレードしたデータを使用してOracle Advanced Pricingを基本モードで実行している場合は、使用中のシステムの別のテスト・インスタンスでテストを実行してください。
各使用例がテスト済であることを確認します。各使用例に対して、設定と予測結果を記述する文書化したスクリプトを開発し、順を追った概要を提供します。
簡単な使用例から開始し、順に複雑な使用例に進みます。
予測どおりの数値結果であることを確認します。
設定がテスト環境で正常に機能した場合、これらの設定の本番環境への複製を開始できます。価格表およびモディファイアのフラグが無効に設定されていることを確認します。価格設定の本番取引に対して価格設定エンジンが新しい設定を早期に使用しないように、開始有効日を注意して選択してください。
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