Oracle Receivablesインプリメンテーション・ガイド リリース12 E05607-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章の内容は、次のとおりです。
Receivablesでは、イベント基準の収益管理を使用して請求書を自動評価し、収益を即時に認識するか、前受収益勘定に一時的に繰り延べるかを決定できます。収益はその後、顧客受入や支払の入金などの特定のイベントに従って認識されます。
Receivablesでは、組織の確立した収益ポリシーと請求書明細における偶発収益の存在に基づいて、これらの収益を自動認識するか、または繰り延べるかを決定します。参照: 「収益ポリシーの定義」
偶発収益は、収益の即時認識を回避する、販売契約または受注内の条件です。この条件は、US GAAPおよび国際会計基準で義務づけられた厳密な収益認識要件に基づいています。通常、収益認識の遅延を可能にする偶発には、財務資金調達条項(政府契約の場合)、取消条項、顧客受入条項、顧客信用価値、非標準支払条件および非標準払戻ポリシーがあります。
収益繰延の期間と収益を認識する次のタイミングは、該当する偶発収益によって異なります。各偶発には、関連する独自の偶発削除イベントがあります。
たとえば、信用度が低い顧客の請求書について収益を認識できるのは、受領した支払金額のみです。
また、受注に対して非標準払戻ポリシーが付与された顧客の場合、顧客の請求書について収益を認識できるのは、その払戻ポリシーが失効した後のみです。
Receivablesには、イベント基準の収益管理で使用できる一連の偶発収益が事前定義されています。これらの事前定義偶発収益は更新または削除できませんが、独自の偶発収益を作成できます。Receivablesには、偶発削除イベントも事前定義されており、削除または更新できません。
これらの事前定義された偶発収益とそれらに対応する偶発削除イベントのリストは、『Oracle Receivablesユーザーズ・ガイド』のイベント基準の収益管理のための請求書評価に関する項を参照してください。
顧客請求書への偶発の割当を管理するには、各偶発に自動デフォルト・ルールを定義します。参照: 「偶発の割当」
「偶発収益」ページにナビゲートします。
既存の偶発を複製して変更するか、新規の偶発を定義します。
ヒント: 偶発の監査を容易にするために、ユーザー定義の偶発の変更は避けてください。かわりに、既存の偶発に終了日を割り当てて、新規の偶発を作成してください。
「一般情報」リージョンで、名称、有効日、摘要などの偶発に関する基本詳細を入力します。
注意: 偶発の最終有効日によって管理されるのは、その偶発を新規の受注または請求書明細にデフォルト設定できるかどうかのみです。受注または請求書明細上の失効した偶発は、当初のデフォルト設定日には有効であったことを前提に、有効のまま保持されます。
「関連一般ポリシー」リージョンで、この偶発が適用できるかどうかの検討時にReceivablesが確認する収益ポリシーを選択します。
払戻ポリシー
請求書に組織の標準ポリシーに違反する払戻ポリシーがある場合は、この偶発がデフォルト設定されます。
支払条件ポリシー
請求書に組織の標準ポリシーに違反する支払条件がある場合は、この偶発がデフォルト設定されます。
与信分類
組織の収益ポリシーに定義されている与信分類のいずれかと一致する与信分類が顧客にある場合は、この偶発がデフォルト設定されます。
なし
組織の収益ポリシーの詳細は考慮されません。
収益ポリシーは、「収益ポリシー」ページで定義します。参照: 「収益ポリシーの定義」
注意: Receivablesでは、ユーザーが定義したデフォルト・ルールとともに前述の詳細が確認されます。参照: 「偶発の割当」
「偶発削除イベント」リージョンで、請求書から偶発を削除するイベントを選択します。
偶発失効
顧客受入
請求
支払
配送証明
同じ削除イベントを設定した複数の偶発を定義できます。
必要に応じて、偶発削除の時系列を示す削除イベントの属性と日付を入力します。次のイベント属性を選択できます。
履行日
配送証明日
出荷確認日
取引日
ヒント: 削除イベントが「請求」の請求前受入の偶発を定義する場合は、「取引日」を選択しないでください。これは、顧客受入がフィーダ・システムに記録されるまで受注明細は請求されないためです。
たとえば、受注の出荷確認日から10日経過した後は、Receivablesで、顧客の偶発受入を自動的に削除できます(これは、Receivablesで事前定義した明示的な顧客受入の偶発とは反対に、暗黙的な顧客受入の例です)。
この例は、次のようにして設定できます。
「削除イベント」: 「顧客受入」
「イベント属性」: 「出荷確認日」
「イベント属性に追加された日数」: 10
偶発の自動割当には、デフォルト・ルールを定義できます。
重要: 偶発の自動割当を有効にするには、デフォルト・ルールを定義する必要があります。ただし、収益ポリシーの違反に対処するためのデフォルト・ルールは定義しないでください。これは、収益ポリシーに違反した場合は、適切な偶発収益が自動的に割り当てられるためです。参照: 「収益ポリシーの定義」
定義する各ルールには、1つ以上の一致基準を指定できます。ルールに指定した基準に一致した場合は、選択した偶発が割り当てられます。
たとえば、取引の収益を認識可能にするには、顧客ABCが常に手動で品目を受け入れる必要があるとします。このシナリオを実行するには、新規ルールを作成し、必要な結果(この場合は明示的な受入)である偶発収益を選択し、ルール・パラメータとして「請求先顧客」を選択して、顧客条件を入力します。
このデフォルト・ルールを設定すると、Receivablesでは、顧客ABCのすべての取引明細に対して明示的な受入の偶発を割り当て、顧客受入が手動で記録されるまで収益を繰り延べます。
同じ偶発を戻す異なる一致基準を使用して複数のルールを定義できます。また、複数の偶発を戻す同じ一致基準を使用して複数のルールを定義することもできます。
ルールを定義する際に使用できるルール・パラメータは、次のとおりです。
会計基準
バッチ・ソース
請求先顧客
請求先サイト
顧客プロファイル区分
在庫品目
メモ明細
営業単位
出荷先顧客
出荷先サイト
取引タイプ
関連項目
『Oracle Receivablesユーザーズ・ガイド』のイベント基準の収益管理に関する項
『Oracle Receivablesユーザーズ・ガイド』のイベント基準の収益管理のための請求書評価に関する項
企業の収益ポリシーを指定するには、「収益ポリシー」ページを使用します。収益管理エンジンは、ユーザーがこのページに入力した情報を使用して、手動で入力された請求書とインポートされた請求書の収益認識を自動的に判断します。
収益管理エンジンは、ここで指定した収益ポリシー情報と各請求書を比較します。違いがある場合は、請求書または請求書明細に偶発収益を割り当てて、請求書に対する収益認識のタイミングに影響を与えます。参照: 『Oracle Receivablesユーザーズ・ガイド』のイベント基準の収益管理に関する項
注意: このページに何も指定しない場合でも、Receivablesでは、請求書の収益を自動的に繰り延べたり、認識することができます。1つ以上の偶発収益が請求書明細に存在する場合、Receivablesでは、その明細について回収可能性分析を実行し、該当する偶発に基づいて収益を判断します。参照: 『Oracle Receivablesユーザーズ・ガイド』のイベント基準の収益管理のための請求書評価に関する項
「収益ポリシー」ページを使用して、次の情報を入力します。
高リスクで信用度が低い顧客を識別する与信分類
次のいずれかの与信分類に関連付けられた顧客の請求書を入力またはインポートした場合は、次のように処理されます。
Receivablesでは、その請求書に顧客信用価値の偶発を割り当てます。
収益管理エンジンは、即時に請求書全体の収益を繰り延べます。
Receivablesでは、受領した支払の範囲内でのみ、この請求書の収益を認識します。
顧客に通常提示する標準払戻期間
契約に関連付けられた明細が記載された請求書を入力またはインポートすると、収益管理エンジンは、その契約詳細を分析します。契約で提示されている払戻期間がここで指定した払戻期間を超えている場合は、次のように処理されます。
Receivablesでは、該当する請求書明細に偶発払戻を割り当てます。
収益管理エンジンは、その請求書明細の収益を自動的に繰り延べます。
Receivablesでこの明細の収益が認識されるのは、払戻ポリシー期間が失効した後です。
支払条件を拡張するまでの最大期間
支払条件または賦払計画がここで指定したしきい値を超えている請求書を入力またはインポートした場合は、次のように処理されます。
Receivablesでは、この請求書に拡張支払条件の偶発を割り当てます。
収益管理エンジンは、請求書全体の収益を自動的に繰り延べます。
たとえば、支払条件の最大しきい値を180日と入力し、後で4つの賦払(支払期日は60日、90日、120日および200日)の支払条件がある請求書を入力またはインポートしたとします。最後の賦払はしきい値180日を20日超えているため、Receivablesでは、請求書の収益金額を全額繰り延べます。
Receivablesでは、受領した支払の範囲内でのみ、この請求書の収益を認識します。
前提条件
必要に応じて、与信分類を定義して顧客に割り当てます。
イベント基準の収益管理を初めて実装するとき、または複数の顧客を一度に更新するときは、顧客与信分類の割当プログラムを使用します。
参照: 『Oracle Credit Management User Guide』のアカウントへの与信分類の割当に関する項
それ以外の場合、与信分類は、顧客プロファイル区分レベル、顧客アカウント・レベルまたはサイト・レベルで割り当てます。
参照: 「顧客プロファイル区分の定義」
「収益ポリシー」ページにナビゲートします。
収益ポリシーを定義する営業単位を選択します。
「与信分類」リージョンで、高リスクで信用度が低い顧客を識別する与信分類を3つまで選択します。
「標準払戻ポリシー」フィールドに、顧客に通常提示する標準払戻期間を入力します。
「標準支払条件」フィールドに、支払条件を拡張するまでの最大期間を入力します。
関連項目
『Oracle Receivablesユーザーズ・ガイド』のイベント基準の収益管理に関する項