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Oracle® Enterprise Manager Cloud管理ガイド
12c リリース5 (12.1.0.5)
B70509-13
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13 MWaaSクラウドの設定

この章では、WebLogic as a Service、SOA as a ServiceおよびOSB as a Serviceを含むMiddleware as a Serviceクラウドを設定および有効化するために必要な初期構成について説明します。内容は次のとおりです。

13.1 Middleware as a Serviceについて

Oracle Middleware as a Service (MWaaS)サービス・ファミリには、次のものが含まれます。

  • WebLogic as a Service (WLaaS)

  • SOA as a Service (SOaaS)

  • Service Bus as a Service (SBaaS)

  • Javaアプリケーション・サービス(JVMaaS)

Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12cでは、プライベートMWaaS環境を作成、監視および管理するための単一の管理ツールが提供されます。MWaaSでは、アプリケーション・ホスティング、永続ストア、アプリケーション統合、および、アプリケーションが必要とする追加のコンピューティング・サービスにプログラムによってアクセスできるAPIなどのサービスを含む、エンタープライズ・クラスのアプリケーションをデプロイおよび実行する際に必要なすべてのサービスから構成される、完全なランタイム環境が提供されます。MWaaSによって、開発者は、基礎となるハードウェア・コンポーネントおよびソフトウェア・コンポーネントの複雑さを処理する必要なく、アプリケーションのデプロイメントが容易になり、これにより、コストが低くなり、納期までの時間が短くなります。

Middleware as a Serviceは次のものを提供します。

  • ミドルウェア・サービスをプロビジョニングできる共有された統合プラットフォーム。

  • アプリケーションをデプロイおよび管理するためのセルフ・サービス・モデル。

  • Database as a Service (DBaaS)やJava Diagnostics as a Service (JDaaS)などの他のサービスとのシームレスな統合。

  • リソースを手動でおよびポリシーに基づいてスケール・アップおよびスケール・ダウンする機能。

  • プラットフォームの使用状況および基礎となるインフラストラクチャに基づくメータリングおよびチャージバック。

13.2 このリリースの新しい機能と強化

次の拡張機能は、このリリース用に作成されています。

  • 作成、削除、スケール・アップおよびスケール・ダウンの各操作を実行する単一の統合スクリプトは、管理サーバーと管理対象サーバーが実行されているホストと、外部ホスト上で実行できます。

  • デフォルトで、ドメイン・ホームのベース・ディレクトリがMiddlewareホーム配下に作成されました。このディレクトリの場所は、セルフ・サービス管理者またはセルフ・サービス・ユーザーが変更できるようになりました。

    • ミドルウェア・プールの作成時には、セルフ・サービス管理者が異なる場所を指定する必要があります。

    • 「拡張設定」オプションが有効な場合、セルフ・サービス・ユーザーは各インスタンスのドメイン・ホーム・ベース・ディレクトリを指定できます。


    注意:

    セルフ・サービス・ユーザーが指定するディレクトリ場所は、セルフ・サービス管理者が指定する場所より優先されます。

  • 配置関連の拡張:

    • ラック対応のExalogic配置: ミドルウェア・プールがExalogicホスト・ターゲットを含む場合、セルフ・サービス管理者は「複数ラックのExalogicですか。」フィールドを「はい」に設定して、使用できるラックに同じインスタンスのサーバーを分配し、高可用性を確保することができます。

    • ホスト間の負荷分散: セルフ・サービス管理者は、「使用可能なホストに負荷を分散させますか。」フィールドを「はい」に設定して、使用できるホスト間にサーバー割当てを分散するか、「いいえ」に設定して、使用できる最初のホストを完全に使用してから次のホストに移動することができます。

  • セルフ・サービス管理者は、セルフ・サービス・ユーザーに対して「拡張設定」オプションを有効化するかどうかを選択できます。これらの設定が有効の場合、セルフ・サービス・ユーザーはインスタンス・ベースディレクトリ、JVMパラメータなどのカスタム・パラメータを指定できます。

  • サービス・インスタンスの作成時に、セルフ・サービス・ユーザーが、スケール・ダウン操作時に維持する必要がある最小サーバー数を指定できるようになりました。

  • WebLogic Server 12.1.2と12.1.3 JRFプロファイルがサポートされるようになりました。

  • カスタム証明書がサポートされるようになりました。これらの証明書を含む新しいプロファイルを作成する必要があります。これらの証明書は、ミドルウェア・プール内のすべてのホスト上の、同じ名前を持つ同じ場所、またはミドルウェア・プール内のすべてのホストにアクセスできるNFSマウントされた場所に配置される必要があります。

  • ミドルウェア・プールは、バイナリを持つミドルウェア・プロファイルと組み合せて使用されるとき、Oracleホームのないメンバー・ホストを含むことができるようになりました。この場合、Oracleホームがその場で作成されます。

13.3 Middleware as a Serviceの開始

この項では、プライベート・ミドルウェア・クラウドの設定を開始するために実行する必要のある手順のリストを示すことで開始を支援します。MWaaSを設定する前に、第11.2項「共通設定タスク」にリストする共通タスクを完了する必要があります。

表13-1 Middleware as a Serviceの開始

手順 作業 ロール

1

管理対象ホストで権限委任設定を構成する必要がある場合があります。第3.5項「権限委任設定の構成」を参照してください。

注意: これはオプションの手順です。

スーパー管理者

2

ミドルウェア・ホームの作成。第13.3.2項「ミドルウェア・ホームのプロビジョニング」を参照してください。

注意: これはオプションの手順です。共有ミドルウェア・ホーム(NFSの場所)が使用される場合のみ必須です。ミドルウェア・ホームがローカルの場合、SOAまたはService Busサービスの作成に使用されるデプロイメント・プロシージャによってプロビジョニングされます。

セルフ・サービス管理者

3

ソフトウェア・ライブラリにミドルウェア・プロビジョニング・プロファイルをロードします。第13.3.1項「プロビジョニング・プロファイルの作成」を参照してください。

セルフ・サービス管理者

4

WebLogic as a Service (WLaaS)を設定する場合は、WebLogicドメインのプロビジョニング・プロファイルを作成する必要があります。第13.3.1.1項「WebLogicドメインのプロビジョニング・プロファイルの作成」を参照してください。

セルフ・サービス管理者


13.3.1 プロビジョニング・プロファイルの作成

プロビジョニング・プロファイルを使用すると、デプロイメントを標準化し、デプロイメント・プロシージャの構成時のエラーを削減できます。これらのプロビジョニング・プロファイルは、オペレータが一括デプロイメントを行う場合に使用します。ソフトウェア・ライブラリを使用して、ドメインからミドルウェア・プロビジョニング・プロファイルを作成できます。詳細は、第13.3.1.1項「WebLogicドメインのプロビジョニング・プロファイルの作成」を参照してください。

13.3.1.1 WebLogicドメインのプロビジョニング・プロファイルの作成

WebLogicドメインのプロビジョニング・プロファイルは、ミドルウェア・ホーム、バイナリおよびドメイン構成で構成されます。プロファイルを作成し、それをソフトウェア・ライブラリに保存し、保存済のプロファイルを新規WebLogicドメインを作成するためのソースとして使用できます。これにより、以降のWebLogicインストールでも標準の一貫した構成に準拠することができます。

WebLogicドメインのプロビジョニング・プロファイルを作成する前に、次の前提条件を満たしていることを確認してください。

  • 管理サーバーで管理エージェントが実行されている必要があります。

  • ソース・マシンで実行されている管理サーバーのホスト資格証明が必要です。

  • プロファイルを作成する対象のWebLogicドメインは、Enterprise Managerの監視対象ターゲットである必要があります。

  • プロファイルの作成に必要なディスク領域は、次の式で計算されます。

    ディスク領域 = ミドルウェア・ホームのサイズ + WebLogicドメインのサイズ + 一時スクリプト用の領域

  • サービス・インスタンスでログ表示のサポートが必要な場合、セルフ・サービス管理者は、次の操作を実行する必要があります。

    • ログ・ファイルの問合せに必要なホスト資格証明を構成します。「ターゲット」メニューから、「ログ」「ログの場所の設定の構成」の順に選択して、対応するWebLogicドメインのターゲット・ページにアクセスし、資格証明を構成します。

    • 「ログの場所の設定の構成」で指定したホスト資格証明にアクセスするための権限をセルフ・サービス・ユーザーに付与します。

    • このWebLogicドメインに関連付けられたすべてのホスト・ターゲットに対するターゲット表示権限をセルフ・サービス・ユーザーに付与します。

  • Fusion Middlewareのコンソール・アクセス・サポートが必要な場合、Fusion Middleware Controlを使用してWebLogicドメインを構成する必要があります。こうすることで、Fusion Middleware Controlリンクがミドルウェア・セルフ・サービス・ポータルのサービス・インスタンス・ホームページに表示されます。第28.3項「Middleware Serviceホームページの表示」を参照してください。

  • プロファイルの作成に使用されるWebLogicドメインは、次の要件を満たしている必要があります。

    • Weblogic Serverに関連付けられたマシンは、UNIX以外のタイプである必要があります。

    • 管理サーバーはマシンに関連付けられていない必要があります。

    • 管理サーバーは、管理対象サーバーのいずれかと同じホスト上に存在する必要があります。

  • すべてのサーバーの最大Javaヒープ・サイズは、256の倍数の適切な-Xmx設定にする必要があります。たとえば、Xms1024m -Xmx1536m -XX:PermSize=512m -XX:MaxPermSize=1536mのようにします。-Xmxサーバー設定を定義して、MWaaSのメモリー・メトリックおよび割当て制限チェック機能が正しく機能するようにします。MWaaSサービスのメモリー・メトリックの値は、サービスのすべてのサーバーで使用できる最大ヒープの合計です。

WebLogicドメインのプロビジョニング・プロファイルを作成する方法の詳細は、『Oracle Enterprise Managerライフサイクル管理ガイド』を参照してください。

13.3.2 ミドルウェア・ホームのプロビジョニング

ミドルウェア・ホームは、1つ以上のOracleホームで構成されています。PaaSインフラストラクチャ・ゾーンに含まれるホストに、ミドルウェア・ホームを作成する必要があります。詳細は、第11.2.2.1項「PaaSインフラストラクチャ・ゾーンの作成」を参照してください。

次のことができます。

  • 事前プロビジョニングされたOracleホームを使用する: インスタンスの作成やスケール・アップ操作に必要なターンアラウンド・タイムが少ないため、お薦めできる手法です。

  • オンデマンドでOracleホームを作成する: 事前プロビジョニングされたOracleホームが存在しない場合、その場で、またはオンデマンドでOracleホームを作成できます。その場でOracleホームを作成するには、Oracleホーム・バイナリを含むプロファイルを使用する必要があります。このオプションは、必要な管理者オーバーヘッドは少なく済みますが、ターンアラウンド・タイムはより多く必要です。

  • 両方を組み合せて使用する: 両方(事前プロビジョニングされたOracleホームと、Oracleホームを持たないホスト)の組合せです。この場合、Oracleホームが存在しないホストでは、その場で作成されます。

複数のホストにミドルウェア・ホームをプロビジョニングする場合、すべての宛先ホストからアクセスできる共有マウント・ディレクトリを指定する必要があります。


注意:

ミドルウェア・ホームを手動でインストールし、Oracleホーム昇格ターゲットの検出ジョブを使用して、これをEnterprise Managerで検出することもできます。

ミドルウェア・ホームを作成するには、「Oracleミドルウェア・ホームのゴールド・イメージからのプロビジョニング」デプロイメント・プロシージャを実行する必要があります。

前提条件

このデプロイメント・プロシージャを実行する前に、次の前提条件を満たしていることを確認する必要があります。

  • ユーザーが次のディレクトリに対する書込み権限を持っている必要があります。

    • すべての宛先ホスト上の作業ディレクトリ。

    • すべての宛先ホストのミドルウェア・ホーム。

  • Oracle Middlewareホームのゴールド・イメージがソフトウェア・ライブラリに存在している必要があります。このゴールド・イメージの作成の詳細。Oracle Middlewareホームのゴールド・イメージを作成して、ソフトウェア・ライブラリに保存できます。これで、以降のミドルウェア・ホーム・インストールのソースとしてこのゴールド・イメージを使用できるようになります。Oracle Middlewareホームのゴールド・イメージを作成する手順の詳細は、『Oracle Enterprise Managerライフサイクル管理ガイド』を参照してください。

13.3.2.1 Oracleミドルウェア・ホームのゴールド・イメージからのプロビジョニング・デプロイメント・プロシージャ


注意:

  • 手動で作成して検出したミドルウェア・ホームがある場合、この手順は無視できます。

  • 1つのホストに対して同じWeblogic Serverバージョンのミドルウェア・ホームを複数設定することはできません。


ソフトウェア・ライブラリに存在するゴールド・イメージからミドルウェア・ホームをクローニングできます。このゴールド・イメージは、既存のミドルウェア・ホームを指定して事前に作成しておく必要があります。ゴールド・イメージからミドルウェア・ホームをクローニングする方法の詳細は、『Oracle Enterprise Managerライフサイクル管理ガイド』を参照してください。