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Oracle Solaris 管理: ネットワークインタフェースとネットワーク仮想化     Oracle Solaris 11 Information Library (日本語)
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ドキュメントの情報

はじめに

1.  ネットワークスタックの概要

この Oracle Solaris リリースでのネットワーク構成

Oracle Solaris のネットワークスタック

ネットワークデバイスとデータリンク名

その他のリンクタイプの管理

パート I Network Auto-Magic

2.  NWAM の紹介

3.  NWAM 構成と管理 (概要)

4.  NWAM プロファイルの構成 (タスク)

5.  NWAM プロファイルの管理 (タスク)

6.  NWAM グラフィカルユーザーインタフェースについて

パート II データリンクとインタフェース構成

7.  プロファイルでのデータリンクおよびインタフェース構成コマンドの使用

8.  データリンクの構成と管理

9.  IP インタフェースの構成

10.  Oracle Solaris 上での無線インタフェース通信の構成

11.  ブリッジを管理する

12.  リンク集約の管理

リンク集約の概要

リンク集約の基本

バックツーバックリンク集約

ポリシーと負荷分散

集約モードとスイッチ

リンク集約の要件

リンク集約のための柔軟な名前

リンク集約の管理 (タスクマップ)

リンク集約を作成する方法

集約を変更する方法

集約にリンクを追加する方法

集約からリンクを削除する方法

集約を削除する方法

13.  VLAN の管理

14.  IPMP の紹介

15.  IPMP の管理

16.  LLDP によるネットワーク接続情報の交換

パート III ネットワーク仮想化およびリソース管理

17.  ネットワーク仮想化およびリソース制御の紹介 (概要)

18.  ネットワーク仮想化およびリソース制御の計画

19.  仮想ネットワークの構成 (タスク)

20.  仮想化環境でのリンク保護の使用

21.  ネットワークリソースの管理

22.  ネットワークトラフィックとリソース使用状況の監視

用語集

索引

リンク集約の概要

Oracle Solaris では、リンク集約へのネットワークインタフェースの編成をサポートしています。「リンク集約」は、単一の論理的なユニットとして構成されるシステム上の複数のインタフェースで構成されます。リンク集約は「Trunking」とも呼ばれ、IEEE 802.3ad Link Aggregation Standard で定義されています。

IEEE 802.3ad Link Aggregation Standard には、複数の全二重 Ethernet リンクの伝送容量を単一の論理リンクに統合する方法が記載されています。このリンク集約グループは、事実上単一のリンクであるかのように扱われます。

次にリンク集約の機能を示します。

リンク集約の基本

基本的なリンク集約のトポロジには、一連の物理インタフェースで構成された単一の集約が含まれます。基本的なリンク集約は、次のような状況で使用します。

図 12-1 に、有名な Web サイトをホストするサーバーの集約を示します。このサイトでは、インターネット顧客とサイトのデータベースサーバーの間の照会トラフィックのために帯域幅を増やす必要があります。セキュリティー上の理由で、サーバー上の各インタフェースの存在を外部アプリケーションから隠す必要があります。解決策として、IP アドレス 192.168.50.32 で集約 aggr1 を使用します。この集約は、bge0 - bge2 の 3 つのインタフェースで構成されます。これらのインタフェースは、顧客の照会に答えるためのトラフィックの送信専用で使用されます。すべてのインタフェースからのパケットトラフィック上の送信アドレスは、aggr1 の IP アドレスである 192.168.50.32 です。

図 12-1 基本的なリンク集約トポロジ

image:図は、リンク aggr1 のブロックを示します。このリンクブロックに 3 つの物理インタフェース bge0 - bge2 が接続されています。

図 12-2 は、それぞれに集約が構成された 2 つのシステムを含むローカルネットワークを示しています。2 つのシステムはスイッチによって接続されています。スイッチ経由で集約を実行する必要がある場合は、そのスイッチが集約テクノロジをサポートしている必要があります。このタイプの構成は、高可用性と冗長性を持つシステムを実現するために特に有効です。

図では、システム A が bge0bge1 という 2 つのインタフェースで構成される集約を使用しています。これらのインタフェースは、集約に入れられたポートを介してスイッチに接続されています。システム B は、e1000g0 - e1000g3 という 4 つのインタフェースの集約を使用しています。これらのインタフェースもスイッチの集約に入れられたポートに接続されています。

図 12-2 スイッチを使用したリンク集約のトポロジ

image:この図については、前の本文中で説明しています。

バックツーバックリンク集約

バックツーバックリンク集約のトポロジには、次の図に示すように、相互に直接ケーブル接続された 2 台の別個のシステムが含まれます。これらのシステムでは並列集約が実行されます。

図 12-3 基本的なバックツーバック集約のトポロジ

image:この図については、次の本文中で説明しています。

この図では、システム A 上のデバイス bge0 が、システム B 上の bge0 に直接リンクされ、ほかのデバイスも同様にリンクされています。この方法では、システム A とシステム B は、冗長性と高可用性を提供し、さらに両方のシステム間での高速通信をサポートできます。各システムではさらに、ローカルネットワーク内のトラフィックフロー用の ce0 インタフェースも構成されています。

バックツーバックリンク集約のもっとも一般的なアプリケーションはミラー化されたデータベースサーバーです。両方のサーバーを同時に更新する必要があるため、大きな帯域幅、高速のトラフィックフロー、および信頼性が必要になります。バックツーバックリンク集約のもっとも一般的な使用場所としてデータセンターがあります。

ポリシーと負荷分散

リンク集約を使用する予定の場合は、送信トラフィック用のポリシーを定義することを検討してください。このポリシーでは、使用可能な集約のリンク全体にパケットを分散する方法を指定し、負荷分散を確立することができます。次に、使用可能な層指定子と集約ポリシーに対するそれらの意味について説明します。

これらのポリシーを任意に組み合わせて使用することもできます。デフォルトのポリシーは L4 です。詳細は、dladm(1M) のマニュアルページを参照してください。

集約モードとスイッチ

集約トポロジにスイッチ経由の接続が含まれている場合は、スイッチが「LACP (Link Aggregation Control Protocol)」をサポートするかどうかに注意する必要があります。スイッチが LACP をサポートしている場合は、スイッチと集約の LACP を構成する必要があります。ただし、次のいずれかの LACP の動作「モード」を定義できます。

構文については、dladm(1M) のマニュアルページとスイッチの製造元のマニュアルを参照してください。

リンク集約の要件

リンク集約の構成には次のような要件があります。

一部のデバイスは、リンク状態通知をサポートするための IEEE 802.3ad Link Aggregation Standard の要件を満たしていません。ポートを集約に接続したり、集約から切り離したりするには、このサポートが存在する必要があります。リンク状態通知をサポートしていないデバイスは、dladm create-aggr コマンドの -f オプションを使用してのみ集約できます。このようなデバイスの場合、リンク状態は常に UP として報告されます。-f オプションの使用については、「リンク集約を作成する方法」を参照してください。

リンク集約のための柔軟な名前

リンク集約には、柔軟な名前を割り当てることができます。任意のわかりやすい名前をリンク集約に割り当てることができます。柔軟な名前またはカスタマイズされた名前についての詳細は、「ネットワークデバイスとデータリンク名」を参照してください。以前の Oracle Solaris リリースでは、集約に割り当てられた「キー」の値によってリンク集約が識別されます。この方法については、リンク集約の概要を参照してください。この方法は引き続き有効ですが、カスタマイズされた名前を使用してリンク集約を識別するようにしてください。

ほかのすべてのデータリンク構成と同様に、リンク集約は dladm コマンドで管理されます。

リンク集約の管理 (タスクマップ)

次の表は、リンク集約を管理するための手順へのリンクを示しています。

タスク
説明
手順
集約を作成します。
複数のデータリンクから成る集約を構成します。
集約を変更します。
集約のポリシーとモードを変更します。
集約を構成するリンクを変更します。
集約の基になるデータリンクの数を増やすか、または減らします。
集約を削除します。
ネットワーク構成からリンク集約を完全に削除します。

リンク集約を作成する方法

始める前に


注 - リンク集約は、同一の速度で稼働する全二重のポイントツーポイントリンク上でのみ機能します。集約内のインタフェースがこの要件を満たしていることを確認してください。


集約トポロジ内でスイッチを使用している場合は、スイッチ上で次の操作を行なったことを確認してください。

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. ネットワークデータリンク情報を表示します。
    # dladm show-link
  3. 集約の作成に使用しているリンクを、どのアプリケーションも開いていないことを確認します。

    たとえば、リンク上に IP インタフェースが作成されている場合は、そのインタフェースを削除します。

    1. リンクがいずれかのアプリケーションで使用されているかどうかを判定するには、dladm show-link 構文または ipadm show-if 構文のどちらかの出力を検査します。
      • データリンクが使用されている場合は、dladm show-link の出力にある STATE フィールドでそのリンクが up であることが示されます。したがって、

        # dladm show-link
        LINK     CLASS     MTU     STATE     BRIDGE   OVER
        qfe3     phys      1500    up        --       --
      • データリンクが使用されている場合は、そのリンク上の IP インタフェースが ipadm show-if 構文の出力に含まれます。したがって、

        # ipadm show-if
        IFNAME       CLASS        STATE     ACTIVE     OVER
        lo0          loopback     ok        yes        --
        qfe3         ip           ok        no         --

        注 - 出力に offline ステータスが表示された場合でも、そのリンク上に IP インタフェースが存在するため、そのデータリンクは引き続き使用されています。


    2. IP インタフェースを削除するには、次のコマンドを入力します。
      # ipadm delete-ip interface

      各情報の意味は次のとおりです。

      interface

      そのリンク上で作成されている IP インタフェースを指定します。

  4. リンク集約を作成します。
    # dladm create-aggr [-f] -l link1 -l link2 [...] aggr
    -f

    集約を強制的に作成します。このオプションは、リンク状態通知をサポートしていないデバイスを集約しようとする場合に使用します。

    linkn

    集約するデータリンクを指定します。

    aggr

    集約に割り当てる名前を指定します。

  5. 集約上に IP インタフェースを作成します。
    # ipadm create-ip interface
  6. IP インタフェースに有効な IP アドレスを構成します。
    # ipadm create-addr interface -T static -a IP-address addrobj

    ここで、interface には集約の名前を指定し、addrobjinterface/user-defined-string の命名規則を使用します。

  7. 作成した集約のステータスを確認します。

    集約の状態は UP である必要があります。

    # dladm show-aggr

例 12-1 リンク集約の作成

この例は、2 つのデータリンク subvideo0 と subvideo1 を含むリンク集約を作成するために使用されるコマンドを示しています。この構成は、システムのリブートのあとも永続します。

# dladm show-link
LINK          CLASS     MTU     STATE   BRIDGE     OVER
subvideo0     phys      1500    up      --         ----
subvideo1     phys      1500    up46    --         ----

# ipadm delete-ip subvideo0
# ipadm delete-ip subvideo1
# dladm create-aggr -l subvideo0 -l subvideo1 video0
# ipadm create-ip video0
# ipadm create-addr -T static -a 10.8.57.50/24 video/v4
# dladm show-aggr
LINK      POLICY  ADDRPOLICY      LACPACTIVITY   LACPTIMER  FLAGS
video0    L4      auto            off            short      -----

リンク情報を表示すると、このリンク集約がリストに含まれています。

# dladm show-link
LINK          CLASS     MTU     STATE   BRIDGE     OVER
subvideo0     phys      1500    up      --         ----
subvideo1     phys      1500    up      --         ----
video0        aggr      1500    up      --         subvideo0, subvideo1

集約を変更する方法

この手順では、集約の定義に次の変更を加える方法を示します。

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. 集約のポリシーを変更します。
    # dladm modify-aggr -P policy-key aggr
    policy-key

    「ポリシーと負荷分散」で説明されているように 1 つ以上のポリシー L2、L3、および L4 を表します。

    aggr

    ポリシーを変更する集約を指定します。

  3. 集約の LACP モードを変更します。
    # dladm modify-aggr -L LACP-mode -T timer-value aggr
    -L LACP-mode

    集約が実行される LACP モードを示します。値は、activepassive、および off です。スイッチ上で受動モードで LACP が実行されている場合は、集約用にアクティブモードに構成したことを確認してください。

    -T timer-value

    LACP タイマー値を示します。値は、short または long です。

例 12-2 リンク集約の変更

この例は、集約 video0 のポリシーを L2 に変更したあと、LACP モードをアクティブにする方法を示しています。

# dladm modify-aggr -P L2 video0
# dladm modify-aggr -L active -T short video0
# dladm show-aggr
LINK      POLICY  ADDRPOLICY      LACPACTIVITY   LACPTIMER  FLAGS
video0    L2      auto            active         short      -----

集約にリンクを追加する方法

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. 追加するリンクに、そのリンク上で plumb されている IP インタフェースが含まれていないことを確認します。
    # ipadm delete-ip interface
  3. 集約にリンクを追加します。
    # dladm add-aggr -l link [-l link] [...] aggr

    ここで、link は集約に追加しているデータリンクを表します。

  4. さらに多くのデータリンクが追加されたあと、リンク集約構成全体を変更するためのほかのタスクを実行します。

    たとえば、図 12-3に示されている構成の場合は、ケーブル接続を追加または変更したり、追加のデータリンクを収容できるようにスイッチを再構成したりすることが必要になる場合があります。スイッチに対して何らかの再構成タスクを実行するには、スイッチのマニュアルを参照してください。

例 12-3 集約へのリンクの追加

この例は、集約 video0 にリンクを追加する方法を示しています。

# dladm show-link
LINK          CLASS     MTU     STATE     BRODGE   OVER
subvideo0     phys      1500    up        --       ----
subvideo1     phys      1500    up        --       ----
video0        aggr      1500    up        --       subvideo0, subvideo1
net3          phys      1500    unknown   --       ----

# ipadm delete-ip video0
# dladm add-aggr -l net3 video0
# dladm show-link
LINK          CLASS     MTU     STATE     BRIDGE   OVER
subvideo0     phys      1500    up        --       ----
subvideo1     phys      1500    up        --       ----
video0        aggr      1500    up        --       subvideo0, subvideo1, net3
net3          phys      1500    up        --       ----

集約からリンクを削除する方法

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. 集約からリンクを削除します。
    # dladm remove-aggr -l link aggr-link

例 12-4 集約からのリンクの削除

この例は、集約 video0 からリンクを削除する方法を示しています。

dladm show-link
LINK          CLASS     MTU     STATE     OVER
subvideo0     phys      1500    up        --       ----
subvideo1     phys      1500    up        --       ----
video0        aggr      1500    up        --       subvideo0, subvideo1, net3
net3          phys      1500    up        --       ----

# dladm remove-aggr -l net3 video0
# dladm show-link
LINK          CLASS     MTU     STATE     BRIDGE   OVER
subvideo0     phys      1500    up        --       ----
subvideo1     phys      1500    up        --       ----
video0        aggr      1500    up        --       subvideo0, subvideo1
net3          phys      1500    unknown   --       ----

集約を削除する方法

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. 集約上に構成されている IP インタフェースを削除します。
    # ipadm delete-ip IP-aggr

    ここで、IP-aggr はリンク集約上の IP インタフェースです。

  3. リンク集約を削除します。
    # dladm delete-aggr aggr

例 12-5 集約の削除

この例では、集約 video0 を削除します。この削除は永続します。

# ipadm delete-ip video0
# dladm delete-aggr video0