IP インタフェースとアドレスの監視

ipadm コマンドはまた、IP インタフェースとそのプロパティーまたはパラメータを監視し、それらに関する情報を取得するための推奨されるツールでもあります。インタフェース情報を取得するための ipadm サブコマンドでは、次の基本的な構文が使用されます。

ipadm show-* [other-arguments] [interface]

インタフェース情報を取得するには、ipadm show-if を使用します。
アドレス情報を取得するには、ipadm show-addr を使用します。
特定のインタフェースのプロパティーに関する情報を取得するには、ipadm show-ifprop を使用します。
特定のアドレスのプロパティーに関する情報を取得するには、ipadm show-addrprop を使用します。

この節では、ipadm コマンドを使用してネットワークインタフェースに関する情報を取得するいくつかの例について説明します。ネットワーク上で実行するその他のタイプの監視タスクについては、『Oracle Solaris の管理: IP サービス』の第 5 章「TCP/IP ネットワークの管理」を参照してください。

注 - ipadm show-* コマンド内のすべてのフィールドの説明については、ipadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

ネットワークインタフェースに関する情報を取得する方法

この手順では、インタフェースの一般的なステータス、アドレス情報、および IP プロパティーに関する情報を表示する方法について説明します。

管理者になります。
詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。
インタフェースに関するステータス情報を取得するには、次のコマンドを入力します。
```
# ipadm show-if [interface]
```
インタフェースを指定しない場合は、この情報にシステム上のすべてのインタフェースが含まれます。
コマンド出力の各フィールドは、次の内容を示します。
IFNAME

情報が表示されているインタフェースを示します。

CLASS
インタフェースのクラスを示します。次の 4 つのいずれかです。
- ip は IP インタフェースを示します。
- ipmp は IPMP インタフェースを示します。
- vni は仮想インタフェースを示します。
- loopback は、自動的に作成されるループバックインタフェースを示します。ループバックインタフェースを除き、残りの 3 つのインタフェースクラスは手動で作成できます。
STATE

インタフェースのステータスを示します。ok、offline、failed、down、disabled のいずれかです。
failed のステータスは IPMP グループに適用され、ダウンしているためにトラフィックをホストできないデータリンクまたは IP インタフェースを示す場合があります。IP インタフェースが IPMP グループに属している場合、IPMP インタフェースは、グループ内のほかのアクティブな IP インタフェースを使用してトラフィックを引き続き送受信できます。
down のステータスは、管理者によってオフラインに切り替えられた IP インタフェースを示します。
disable のステータスは、ipadm disable-if コマンドを使用して unplumb されている IP インタフェースを示します。

ACTIVE

インタフェースがトラフィックをホストするために使用されているかどうかを示し、yes または no のどちらかに設定されます。

OVER

インタフェースの IPMP クラスにのみ適用され、IPMP インタフェースまたはグループを構成するベースとなるインタフェースを示します。
インタフェースのアドレス情報を取得するには、次のコマンドを入力します。
```
# ipadm show-addr [addrobj]
```
アドレス識別子を指定しない場合は、システム上のすべてのアドレス識別子に対するアドレス情報が表示されます。
コマンド出力の各フィールドは、次の内容を示します。
ADDROBJ

アドレスが表示されているアドレスオブジェクトを指定します。

TYPE

IP アドレスが static、 dhcp、addrconf のいずれであるかを示します。addrconf の設定は、アドレスがステートレスまたはステートフルアドレス構成を使用して取得されたことを示します。

STATE

実際のアクティブな構成内のアドレスオブジェクトを示します。これらの値の完全な一覧については、ipadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

ADDR

インタフェース上に構成されている IP アドレスを指定します。このアドレスは IPv4 または IPv6 のどちらかです。トンネルインタフェースには、ローカルアドレスとリモートアドレスの両方が表示されます。
トンネルについての詳細は、『Oracle Solaris の管理: IP サービス』の第 6 章「IP トンネルの構成」を参照してください。
インタフェースのプロパティーに関する情報を取得するには、次のコマンドを入力します。
```
# ipadm show-ifprop [-p property] interface
```
プロパティーを指定しない場合は、すべてのプロパティーとその設定値が表示されます。
コマンド出力の各フィールドは、次の内容を示します。
IFNAME

情報が表示されているインタフェースを示します。

PROPERTY

インタフェースのプロパティーを示します。インタフェースには、複数のプロパティーが含まれる場合があります。

PROTO

プロパティーが適用されるプロトコルを示します。IPv4 または IPv6 のどちらかです。

PERM

指定されたプロパティーの許可されるアクセス権を示します。読み取り専用、書き込みのみ、またはその両方のいずれかです。

CURRENT

アクティブな構成内のプロパティーの現在の設定を示します。

PERSISTENT

システムがリブートされたときに再適用されるプロパティーの設定を示します。

DEFAULT

指定されたプロパティーのデフォルト設定を示します。

POSSIBLE

指定されたプロパティーに割り当てることのできる値の一覧を示します。数値の設定の場合は、受け入れ可能な値の範囲が表示されます。

注 - いずれかのフィールド値が不明の場合 (たとえば、情報を要求されているプロパティーがインタフェースでサポートされていない場合)、その設定は疑問符 (?) として表示されます。
アドレスのプロパティーに関する情報を取得するには、次のコマンドを入力します。
```
# ipadm show-addrprop [-p property,...] [addrobj]
```
表示される情報は、使用するオプションによって異なります。
- プロパティーを指定しない場合は、すべてのプロパティーが表示されます。
- プロパティーのみを指定した場合は、すべてのアドレスのそのプロパティーが表示されます。
- アドレスオブジェクトのみを指定した場合は、システム上の既存のすべてのアドレスのプロパティーが表示されます。
コマンド出力の各フィールドは、次の内容を示します。
ADDROBJ

プロパティーが表示されているアドレスオブジェクトを示します。

PROPERTY

アドレスオブジェクトのプロパティーを示します。アドレスオブジェクトには、複数のプロパティーが含まれる場合があります。

PERM

指定されたプロパティーの許可されるアクセス権を示します。読み取り専用、書き込みのみ、またはその両方のいずれかです。

CURRENT

現在の構成内のプロパティーの実際の設定を示します。

PERSISTENT

システムがリブートされたときに再適用されるプロパティーの設定を示します。

DEFAULT

指定されたプロパティーのデフォルト設定を示します。

POSSIBLE

指定されたプロパティーに割り当てることのできる設定の一覧を示します。数値の設定の場合は、受け入れ可能な値の範囲が表示されます。

例 9-8 ipadm コマンドを使用したインタフェースの監視

この一連の例は、ipadm show-* サブコマンドを使用して取得できる情報の種類を示しています。最初に、一般的なインタフェース情報が表示されます。次に、アドレス情報が表示されます。最後に、インタフェース net1 の MTU という特定のプロパティーに関する情報が表示されます。これらの例には、トンネルインタフェースや、カスタマイズされた名前を使用するインタフェースが含まれています。

# ipadm show-if
IFNAME       CLASS        STATE     ACTIVE     OVER
lo0          loopback     ok        yes        --
net0         ip           ok        yes        --
net1         ip           ok        yes        --
tun0         ip           ok        yes        --

# ipadm show-addr
ADDROBJ          TYPE       STATE     ADDR
lo0/?            static     ok        127.0.0.1/8
net0/v4          static     ok        192.168.84.3/24
tun0/v4tunaddr   static     ok        173.129.134.1-->173.129.134.2

interface/? として表示されているアドレスオブジェクトは、そのアドレスがインタフェース上で、libipadm API を使用しなかったアプリケーションによって構成されたことを示しています。このようなアプリケーションは、アドレスオブジェクト名で interface/ user-defined-string という形式が使用されることを要求する ipadm コマンドの制御下にはありません。IP アドレスの割り当ての例については、「IP インタフェースを構成する方法」を参照してください。

# ipadm show-ifprop -p mtu net1
IFNAME  PROPERTY  PROTO  PERM  CURRENT  PERSISTENT  DEFAULT  POSSIBLE
net1    mtu       ipv4   rw    1500      --         1500     68-1500
net1    mtu       ipv6   rw    1500      --         1500     1280-1500

# ipadm show-addrprop net1/v4
ADDROBJ         PROPERTY    PERM  CURRENT         PERSISTENT  DEFAULT          POSSIBLE
net1/v4   broadcast   r-    192.168.84.255  --          192.168.84.255   --
net1/v4   deprecated  rw    off             --          off              on,off
net1/v4   prefixlen   rw    24              24          24               1-30,32
net1/v4   private     rw    off             --          off              on,off
net1/v4   transmit    rw    on              --          on               on,off
net1/v4   zone        rw    global          --          global           --

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